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読んだ本の感想あれこれ。
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b38e7ec3.jpg   発行年月:2010年4月

林真理子によるまったく新しい源氏物語の世界

「和の心を楽しむ」がテーマの月刊女性誌『和樂』にて連載中の林真理子さんの小説『六条御息所 源氏がたり』。その単行本第一巻が『光の章』として登場します。六条御息所を物語の語り部とする画期的な構成。そして、原文にない御簾の中での出来事の大胆な解釈。恋愛小説の名手、林真理子ならではの”小説源氏物語”の誕生です。「私の名をどうか聞いてくださいますな」という美しい一文ではじまる本巻は、桐壺帝と桐壺の更衣の異常な恋愛、光源氏誕生の謎、空蝉、夕顔との恋から、葵の上、藤壺をめぐる人間ドラマまでの全15話を収録。林真理子によって描き直された平安時代の貴族たちが繰り広げる恋模様は、究極の恋愛小説としても楽しめます。また、口絵には、日本画家千住博による源氏物語をモチーフにした作品を収録。

                                     (小学館HPより)


源氏物語は、ちゃんと読んだことがありません^^;
この本の語り部は、表題にもなっている六条御息所。
先に亡くなった東宮の妻であり、東宮の兄が光源氏の父ということは・・・
血は繋がってないけど、六条御息所にとっての光源氏は、甥に当たる存在なんですね。

そうして考えても、この二人が東宮亡きあと、恋仲になったのは、いやはや凄い。

この物語では、既にこの世に生はない六条御息所ですが、怨念が残りあの世に行けず、生霊となってこの世に留まり、光源氏の様子を見ているのですね。
う~、怖い!

光源氏は、次々と女性を意のままに自分のものにしていくのですが、女性たちも理性では受け入れられなくても、いざそういう(どういう?^^;)事になると抵抗して大さわぎになるよりは・・・・と身を委ねてしまう。
ま、状況からして、仕方ないか?

しかし、まあ、光源氏の節操のなさは、ちょっと呆れるものがあります^^;

いろんな女性が現れ、恋仲になり、別れる。
その繰り返しの物語でしたが、読みやすく、現在の恋愛事情とは、異なるものの
なかなか興味深く読みました。

生霊となってこの世に留まっている六条御息所ですが、淡々とした語り口なので、さほど強い怨念めいたものは伝わらず、静かに見ているかんじで、少し怖いことになるのを期待していたので、拍子抜けしました。
が、同時にホッとしました。

続きがあるようですが、そちらでは、何かしかけるのかな?

 

★★★


   
PR
92306b8a.jpeg発行年月:2010年8月


OLが選挙のスピーチライターに!? 
言葉のもつ限りない可能性をハートフルに描いた青春小説。
スピーチの極意もお教えします! お気楽なOL・二ノ宮こと葉は、密かに片思いしていた幼なじみ・今川厚志の結婚披露宴で、すばらしいスピーチに出会い、思わず感動、涙する。伝説のスピーチライター・久遠久美の祝辞だった。衝撃を受けたこと葉は、久美に弟子入りして……。

                       (徳間書店HPより)



面白かった!!
原田マハさんは、いろいろな経緯で作家になった方で、スピ-チライタ-として会社の社長のスピ-チ原稿なども書かれていたと以前、何かで知りました。
この物語は、そんな著者の経験があってこそ書かれた作品なのかも。


物語の主人公・二ノ宮こと葉は、普通のOLで、幼なじみの今川篤志の結婚披露宴に出席し、そこで衝撃的な出会いをしたのが、有名なスピ-チライタ-の久遠久美。
彼女の祝辞が素敵でした!
短いけれど皆の心を掴む言葉の数々。
言葉の力って凄いな~。

そして、こと葉は、スピ-チライタ-の魅力に惹かれ久美の下で修行をすることになり
幼なじみの篤志が、亡き父の跡を継ぎ会社員から政治家へと進む手助けをする。

ちょっと前の日本の政治が自民党から民主党に政権交代した、そのままをパロディ化したような話の展開で、なかなか面白かった。
政治の主導権を握るには、いかに国民を味方にするかにかかるのですね。
そのための街頭演説などのスピ-チはとても重要だと物語のなかでも感じました。

でも逆に言えば優秀なスピ-チライタ-が付けば、選挙には有利ということでしょうか?
その点、ちょっとしっくりこないけど・・・^^;

一OLのこと葉が、スピ-チライタ-として政界に関わるなんていうちょっとあり得ないようなお話でしたが、なかなか面白く読みました。


★★★

85a10806.jpg発行年月:2010年5月


18人の作家の読書歴などをインタビュ-形式で訊ね、それを1冊にまとめた書。

柳 広司/畠中 恵/道尾秀介/有川 浩/乙一/米澤穂信/
高野秀行/宮田珠己/近藤史恵/宮本昌孝/小地真理子/
貴志祐介/阿部和重/モリ・ノリオ/坂木 司/中村 航/
中島京子/豊島ミホ



それぞれの作家さんへのインタビュ-形式。
「小さいときは、どんな本を読んでいましたか?」で、自分も同じ本を読んでいた!と思うと嬉しくなったり・・・。
ラブコメを書かせたら、一番でしょう!と思っている有川さんが幼少期に読んでいたという
「シ-トン動物記」や「赤毛のアン」「大草原の小さな家」などは、自分も読んでいたので、
おぉ~!!と思いました(^^)


読書歴以外では作家さんが作家を目指して物語を書くようになった経緯は、とても気になっていたので、それらもなかなか興味深く読みました。

米澤穂信さんは、書店員だったそうで、デビュ-作の「氷菓」が出た頃も本屋さんで働いていて自分の本に「カバ-をおつけしますか?」なんて聞いていたそう。

恋愛小説で楽しませてくれる小地真理子さんは、三島由紀夫の本はかなり前から読み続けていて、自決をリアルタイムで体験したときには、かなりショックだったとか。


いろいろな情報が満載の嬉しい本でした(^^)


Web 本の雑誌のHP上で、ほかの作家さんの読書道も読めるようなので
時間のあるときに、またそちらも読んでみよう!


★★★
767104a5.jpg発行年月:2010年7月

戦争という悲劇を描く壮大な人間ドラマ。
中立条約を破棄して、ソ連が宣戦を布告した。
昭和20年8月18日。
北の孤島・占守島で実際に始まった日本とソ連の戦い。
様々な人間達が巻き込まれていくさまを描く、
着想から30年の戦争群像劇。

                     (集英社HPより)



戦争は、1945年8月15日で終わったと今まで思っていました。
北の孤島で、その後も攻めてくる敵に向かい、日本が占領されるのを阻止してくれた人たちが居た事実を今回、この小説で知りました。
そういう意味で、この書は、いろいろな事を教えてくれました。

ただ、物語としては、上巻で出てきた、翻訳の仕事をしていた事を買われて、英語通訳としての命を受けた片岡や、軍医として働く菊池のその後の話をもっと詳しく知りたかったので、その部分がやや薄くなる下巻は、ちょっと期待はずれだったかな?

片岡の息子・譲が疎開先から年上の静代と共に、学童疎開先から、親元へと帰ろうと二人で旅をする様子は、困難もありながら、出会う人たちの優しさも受けたりして微笑ましい部分もあって良かった。

後半は、攻める側のソ連兵の様子も描かれ、日本には敵ですが、同じような考え方を持つ人間なんだなぁ~と思った。
同じように平和を願い、生きて帰れることを何より望んでいる人間同士なのに、命を懸けて戦う行為の意味なんて、ない!


物語には上下巻通して、酷い殺し合いの戦場の場面はないので、淡々と読めてしまうのですが、
この時代、戦争に巻き込まれた人々の理不尽さや虚しさは、痛いほど伝わってきた気がします。

兎に角読み応えある作品でした。


★★★★
 

1c779920.jpg

発行年月:2010年7月


玉音放送後に起きた「知られざる」戦い。
妻と息子と、アメリカへ移住する夢を抱いていた
片岡に赤紙が届いた----。
片岡とその家族の物語を軸に、日本とソ連の兵士達や市民など重層的な視点で、戦争の理不尽と生きる意味を問う渾身の作。

                       (集英社HPより)



戦争の話はもう幾つも読んだけど、読むたびに胸が痛くなる。
けれど、知らない事があるなら知っていなければいけないんじゃないか?という思いで読みました。

これは上下巻2冊ですが、上巻は、登場する人物たちの背景のようなものが丁寧に描かれていました。
戦時下なので、皆、戦争に巻き込まれることは、ある程度覚悟はして生きていた時代とは思うのですが、この先の人生に夢や希望を抱いていた人たちが、現在の暮らし、家族を置いて、自分の命がなくなるかもしれない場に向かわなければならない時代があったことに今更ながら、ゾッとします。

主な登場人物としては
片岡直哉とその妻・久子、その息子・譲

直哉と久子は、出版社で翻訳の仕事をしていた。将来はアメリカで二人で翻訳の仕事を続けよう。
息子の名前も、アメリカでも馴染み易い「じょう=ジョ-」と付けている。
しかし、45歳にもうすぐなろうとしている直哉の元にも赤紙が届き、戦地に向かう。
息子の譲は、学童疎開で信州へ。


菊池忠彦
帝大医学部学生。
岩手医専卒業後、戦地に行くことになっては優秀な人材が底をつくとの計らいで大学に進んだのだが
医師免許修得済みであったので、その計らいも虚しく戦地に向かうことになる。


富永熊男
3度も赤紙により応召された過去あり、今度は4度めの応召。
過去の戦争でも活躍の経験を持ち、今度は軍曹として片岡や菊池たちと占守島へ向かう。


まだまだ他にも登場人物は居るのですが、それぞれが考えている事は冷静。
戦況に浮かれているかんじはなく、この戦争がどう日本に影響を与えるのか?
日本は敗れるのだろう。と心のなかで予測しながらいるかんじ。

今までの戦争を扱った物語には、ちょっとなかった事かも。
冷静に考えたら、この戦争は進めたらダメだと考えている人ばかりが登場する。
それゆえ、一層、戦争というものの怖さを感じた。


疎開先の児童たちの話も泣けた。
皆が家族や友人など他人の心を思いやっているのに・・・・
戦争はそういう人たちの気持ちを踏みにじる行為を続けている。


戦地での激戦の描写などは、上巻ではなかったけど、背景に戦争という恐ろしい現実があるんだ思うと残酷。
この人たちが下巻でどうなっていくんだろう?
続けて下巻を読もう!

★★★★
 
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