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読んだ本の感想あれこれ。
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2afbe009.jpg発行年月:2010年9月


愛は死んだ。
僕は生きる。

家族をもたず、信じることを知らない少年イオンの孤独な魂は
どこへ行くのか―。

                    (中央公論新社HPより)


主人公のイオンは、15歳。
生まれた時から一人。
親は居ない。
10歳で児童保護センタ-を脱走し、ストリ-トチルドレンとして生きる。

最初は公園内のホ-ムレスの大人たちの庇護の元で生活していた時期もあったが、頑なに一人で行動することに固執する。

そんなイオンを心配し、何かと手助けするNGOのメンバ-で「ストリ-トチルドレンを助ける会」のモガミ。
モガミに何度も助けられているとの思いはあっても、自分とは違う世界の者という意識からか、モガミの大切にしている家族のアルバムを平気で棄てたりする。
それでも、モガミはイオンの事を目にするたび、声を掛ける。
自分にとっての唯一の「優しいおとな」と認めているイオン。


けれど、イオンはどんどん過酷な生き方を選んでしまう。
地上の生活から地下へ。
モガミからも遠ざかっていく。

一体、どうなっちゃうの?と心配しながら読みました。

最後は、過酷な生活から、少し抜け出したので、ホッとした。

抜け出すまでの様子が良かった。

物語を通して、暗く重い空気が漂ってはいますが、なんだか最後は、清々しい。


この物語は新聞に掲載されていたものだそうで、いろんな年代の人が楽しめる物語というかんじ。
子どもにも読ませてみようかな?


★★★★                     

PR
832db394.jpg発行年月:2010年9月


「とある地方の小さな書店が経営の危機にあるらしい」。よくある悲しい噂のひとつだと思っていたが、書店営業仲間の女性がそのことを妙に気にしていて……(表題作)。個性的な面々に囲まれつつ奮闘する井辻くんは、東に西に今日も大忙し! 出版社の新人営業マンの活躍を描いた、本と書店を愛する全ての人に捧げるハートフル・ミステリを五編収録。
好評〈出版社営業・井辻智紀の業務日誌〉シリーズ第二弾!

                         (東京創元社HPより)

前作「平台がおまちかね」の続編ですね。
出版社・明林書房の新人営業マン・井辻智紀の物語。

5つの話が連作形式で綴られ、本をめぐっての井辻くんの仕事場での出来事あれこれ。
営業先で出会う、ほかの出版社の者。
最初の「ビタ-な挑戦者」に登場の者に突然、暴言を吐かれて戸惑う。

「新刊ナイト」は、最近人気が出てきた新人作家・白瀬みずきの新作についての謎。
作者自身の体験に基づくものじゃないか?と憶測を呼ぶが、その内容は、結構、重いもの。
でも最後は、ホッとした。

「背表紙は歌う」は表題作。
井辻と話が合う、先輩営業ウ-マンの久保田。
彼女の過去を知り、彼女が以前関わったとある書店の危機を探る話。
心が温まるお話でした。

「君とぼくの待機会」は、本の授賞式前に流れた「受賞作は〇〇」の噂に翻弄される出版業界と作家たちの話。授賞式前後って、こういう風になってるんだぁ~なんて話とは違うことで楽しんだ。
で、結局、本当に受賞したのは誰だったの??

「プロモ-ション・クイズ」
本の帯に書店員からの推薦のことばを使おうとする井辻くん。
でも、手にしたものに何やら変な文。
なぞなぞみたいなもの。
う~ん、一緒になって考えちゃいました。
答えがわかって「へ~なるほどね~」と感心したけど
井辻くんは、どうこの仕事を片付けたんだろ?想像すると可笑しい。

登場人物たちが個性豊かで、みな本が大好きな人たち。
特にライバルだったりする真柴とは、時には協力したり、飲みに行ったりで良い関係を築いてる。
相変わらず井辻くんを「ひつじくん」と呼ぶのも可笑しい。
いちいち「井辻ですけど・・・」と返す井辻くんも可愛いな。

今回も出版業界の仕事のあれこれが知れて楽しかった♪

まだまだ続くかな井辻くんシリーズ。

★★★
93294247.jpg発行年月:2010年10月

物語の水源へ

緑溢れる武蔵野に老いた犬と住む棚。
アフリカ取材の話が来た頃から、不思議な符合が起こりはじめる。
そしてアフリカで彼女が見つけたものとは。
物語創生の物語。

                         (筑摩書房HPより)
  


生と死を考える、梨木さんらしい不思議な物語でした。
主人公の山本 翠は、ライタ-で仕事上の名前を棚(たな)と言う。

愛犬マ-スに異変が起き、獣医に「子宮に腫瘍があり手術が必要」と言われる。
腫瘍はどうしてできるのか?を問う棚に
「体のなかの要らないものがそうなるのかも」と言う医師。

過去に避妊手術を受けさせたことがあり、子どもを一度も宿すことなく存在する子宮が不要なものを
腫瘍に変えたのか?とも思う棚。
こういう発想は、なるほど~と思いました。女性ならではの考え方かも。
マ-スは術後は元気になりホッとしました。


そして、ライタ-としての仕事でアフリカに向かう棚。
物語はアフリカに飛びます。
ライタ-としての仕事とともに最近亡くなった知り合いの片山がウガンダで呪医について学んでいたことに興味を持ち、彼の足跡も追う。

この辺りから不思議な話にどんどん突入。
呪医っていう響きも何か怪しいかんじ。
でも、全く理解出来ない世界ではないな。と読みながら感じた。

科学ではうまく証明出来ないものが、人の生死には存在しそうだと、思っているから・・・。

棚がアフリカで感じたことを基にライタ-として書いた文章が最後
「ピスタチオ---------死者の眠りのために」として30ペ-ジほどあります。
その文章が良かった!


★★★
836f773b.jpg発行年月:2010年7月


ニースの国際学会にお供することになった新米外科医・世良。命じられた秘密ミッションは、伝説の天才外科医・天城に佐伯教授からのメッセージを渡すことだった。一筋縄ではいかないクワセ者の天城を相手に、カジノで一世一代の賭けをした結果、無事日本に連れ帰ることに成功。佐伯と天城の計画する、新しい心臓専門病院の設立を手伝うことになる。しかし、それこそが大学病院内での激しい戦いの始まりだった!
神の手は実在するのか!? 医師にとって大切なのは、患者の命と金、どちらなのか!?

         
                                             (講談社HPより)


チ-ムバチスタより10年以上前の話?
天才外科医・天城の個性が強烈でした!
その弟子役に抜擢された若き医師・世良が良かった!
2番弟子の1年生医師・駒井も薩摩弁で話し、物怖じせず、飄々としたかんじが面白かった。

天城はモナコのモンテカルロ・ハ-トセンタ-で勤務していたが、佐伯病院長からのオファ-で東城大学病院へ。
そして心臓手術専門病院「スリジエ・ハ-トセンタ-」を創設することを命じられる。
その資金繰りは?
驚きの出所!
ちょっと現実離れした話のようでしたが・・・・・。
実際に創設されたのか?

その後の天城医師とともに気になるぅ~。

バチスタ手術で有名の桐生ドクタ-が、まだ新米医師というかんじで登場したときは、おぉ~!!と思いました。
この時から、なかなか鋭い視点で物事を見ていてのね。

そして、藤原婦長さんは、かなり威厳あるポジションで頑張ってました!
若き花房看護師も登場で、最後の方では世良ドクタ-と良い雰囲気♪
でも、その後は・・・・・・・。
バチスタの頃は、速水ドクタ-と何やらありそうな感じでしたよね?


でも、登場するドクタ-たちが海堂作品では、あれこれリンクしてるので、頭のなかで相関図を浮かべながら・・・・。
海外の推理小説みたいに登場人物の相関図が欲しいです!
自分で作ればいいんだけど・・・・^^;

世良ドクタ-がもうちょっと成長した時代の話も読みたいなぁ~



★★★

339e0fb1.jpg発行年月:2010年9月

野球の才能に恵まれ、中学生で「怪物」と呼ばれた北澤宏太は家庭の事情で有力高校に進めず、甲子園出場を逃してしまう。一度は就職するものの夢を諦めきれず、独立リーグで野球を再開、実力を認められ、育成枠でプロ入りを果たす。やがてスター選手となった宏太だったが、女子アナとの結婚、不倫、離婚を経て、怪我からは復活できず、それでも再生を求めて新天地を目指す──。 本作品では、この北澤宏太のキャリアを通奏低音として、彼の人生にその時々で関わった故郷の元恋人や、妻となった女子アナ、愛人、ファンなど、すべて女性の視点から、彼女たちの夢や打算、愛憎の物語を描きます。夢を追った男にも、男に魅せられた女にも、人生は続いていく。

                                            (講談社HPより)

主人公の北澤宏太以外のプロ野球選手、その妻や関わりのある女性たちも登場し、登場する人物が多く、相関図をメモしながら読まないとわけがわからなくなるかも?
ま、わたしの理解度が低いだけかもしれないけれど・・・^^;


登場する人たち、それぞれに結構な事が起きてくるので、もっと深くその人たちの事を知りたいと思った話もあったなぁ~。

例えば・・・東京オリオンズの高橋信之選手をずっと応援している女性・慶の話。
ミ-ハ-な気持ちでなく、本当に心から応援してる。
そんな慶がその後の話で再び登場し、新しい人生を歩み始めたのに、闘病生活を強いられている。
悲観的になっている彼女に勇気を与えたのは、引退を控えた高橋信之選手の雑誌でのインタビュ-記事。素敵だった!
面と向かって話したことなどないのに、お互いが勇気を与えあっている。
慶の話をもっと詳しく読みたかったなぁ~。


北澤宏太のプロになってからの女性関係は、なんだか最初に読んだ印象とかけ離れているかんじでしっくり来なかったな。
有名になると人と出会う機会も増えるから、実際にもあり得る話なんでしょうけどね・・・・。

あとがきの著者の言葉から
あ~柴田さんはプロ野球が大好きなのね(^^)とわかりました。


★★★
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