京都府南部の高校2年生のわたしと親友の楓はバトン部に所属し、楓はレギュラー、わたしは万年補欠部員だった。ある日楓が顧問の先生はかい人21面相に似ていると言い出す。事件当時、小学生だったわたし達はキツネ目の男に会っていたのだ……。昭和の最大のミステリーといわれたグリコ・森永事件を題材に、ユーモアのある文章と著者の破天荒な世界観で真の自己を追求する、渾身の芥川賞受賞後第一作ほか2篇を含む中篇集の登場
(文藝春秋HPより)
表題作は、1984年の未解決事件「グリコ森永事件」が絡んだ物語。
小学生からの幼馴染である、わたしと楓。
高校ではバトン部に所属し、その顧問の鬼頭先生を事件の犯人じゃないか?と疑う。
キツネ目だし・・・・・。
事件を覚えているので、あの当時、よく報道番組やらで出た似顔絵の顔が浮かび、当時自分も10代だったので、なんだか懐かしいような気持ちで読めた。
まあ、これは青春小説っぽくて読みやすかった。
が・・・その後の2編は奇妙だったなぁ~。
「恋もみじ」は、じゅたん工場で働く女工の物語。
時代的にはいつだろう?
現在よりちょっと昔のようなかんじの物語で、15色のじゅうたんの色にそれぞれ配属されている女性たちをその色で呼ぶ。
もみじ色担当のもみじ工女とうぐいし色担当のうぐいす工女の物語。
そこに出張販売で来るよろず屋の「すずめ屋」が加わって・・・・・
「少女煙草」は、病気で床に伏せている男の看病をする家政婦の話。
病の男の妻・綾小路夫人は昭和33年に実家に戻ってしまい、その後50年が過ぎている。
家政婦は、その綾小路夫人に成りっている。当時の夫人の年齢は35歳なので35歳ということにして・・・。
「恋もみじ」も「少女煙草」も奇妙で難解な物語だけど、書かれていることが難しいんじゃなくて、主人公たちの気持ちがうまく理解できない。
可笑しいかんじもするし、切ないような気持ちにもなって、本当に不思議な気持ちになる物語でした。
こういう物語は好き嫌いが分かれそうだな。
わたしは結構、好きだけど・・・・。
新作が出たら読んでみたい作家さんの一人にはなったな。
ある町に生きる人々の喪失と再生。ばなな的小宇宙
ハンバーグ店「ジュージュー」にはおかしな人々が集う。
朝倉世界一のマンガにインスパイアされて書かれた、
ささやかで美しい物語
(文藝春秋HPより)
ハンバ-グ店の名前がジュ-ジュ-。
お店の二代目は、美津子の父親で、美津子の亡くなったママが大好きだった漫画「地獄のサラムちゃん」に出てくるステ-キハウスの名前をお店の名前に付けた。
美津子もママの愛読書だった「地獄のサラミちゃん」を枕元に置き、眠れない夜はそれを読む。
ママは誰からも愛されていた。
元モデルでお店で働くママは笑顔が素敵で・・・・
でもいまは、パパと美津子と美津子の幼馴染で元恋人で、パパにとっては半分、息子みたいな存在の進一もお店を切り盛りしている。
進一は夕子というちょっと変わった女性と知り合い結婚。
美津子もお店に食べにくるようになった近所の本屋の息子・宮坂と恋人同士になる。
ほのぼのと人と人が関わりながら、過去の辛かったことを乗り越えていく。
でも夕子は、不思議な人だったなぁ~。
最後までよくわからないかんじの人でした。
表紙の絵を最初に見たとき漫画チックな絵と本の内容があまりも合ってないようで「?」と思ったのですが、文中にも出てくる漫画「地獄のサラミちゃん」の作者・朝倉世界一さんの絵なんですね!!
そんな漫画の存在も知らず読んでいたので、違和感を抱いてしまったのですが・・・・
あとがきのばななさんの言葉を読んで、実際に存在する漫画と知りました。
読んでみたいなぁ~。
★★★
かつてテロリストだった男が、二十年ぶりに出所した週末。
赤軍派テロを首謀した男が、恩赦を受けて出所した。旧友たちの胸に甦る、失われた恋、裏切り、自殺した家族の記憶。あのとき彼らが正しいと信じた闘争は、いくつもの人生を決定的に損なった。明らかになる苦い真実と、やがて静かに湧き上がる未来への祈り----。
世界的ベストセラー『朗読者』の著者が描く、「もう一つの戦争」の物語。
(新潮社HPより)
映画化された「朗読者」に続き読んだシュリンクの新作。
今度も時代は1940年代かな?
ドイツの赤軍派でテロ活動をしていた男・イェルクが恩赦により刑務所を出てきたところから物語は始まる。
イェルクに親代わりでもある姉のクリスティア-ネが郊外の自宅にイェルクを知る十数人を招いて週末(金曜日~日曜日)をともに過ごす企画をした。
招かれた者の職業はばらばら。
ジャ-ナリスト、牧師、実業家、教師、弁護士、翻訳家などなど。
それぞれの社会的立場からだったり、むかしのイェルクに抱いていた感情からだったり、イェルクにいろいろな意見を述べる。
イェルクのテロ行為自体を直接、言葉で攻める者は殆ど居ない中、
唯一、彼の息子・フェルナンディナンドが厳しく父親を批判する場面が終盤あり、それに対して何ら反論出来ないイェルクの姿が痛々しい。
自分なりの思想を正当化していた彼だったが、息子の言葉は胸に突き刺さるものがあったのか?
赤軍派の事件は日本にもあったけどよくわからない。
なんでそこまでのことをしようとしたのか?
週末の滞在期間を終え、イェルクの元を去って自分達の生活に戻る知人たちをどういう気持ちでイェルクが送ったか?
これから社会に出て生きていかなければならない元テロリスト。
でも最後、息子との関係に少し和解の兆しが見えた部分は希望かな?
シュリンクの書く物語は重たいものが題材だけど、読み応えあり!
まだ読んでない作品も近いうちに読もうと思う。
★★★★
月光を売る怪人、小さな音楽をつくる才人、
沈黙する先生、時間の管理人、コルクレスキュ-隊、
そして、チョッキのメニュ-を差し出す料理人。
笑いあり、涙なし、ときどきほんの少しだけしんみり。
いま、語り明かされる、
知られざる「わたくし」たちの物語。
(本の帯文より)
あ~楽しい♪
なんてセンスの良い本なんだ!
毎回、驚かされるクラフト・エヴィング商會の本。
18の世間であまり知られていないお仕事が登場。
その仕事人の顔写真も一緒に。仕事に使われる道具や関連のものたちの写真も綺麗。
最初は架空の仕事でしょ?と思っても
もしかして、実際にあるのかな?なんて思ってしまう巧妙な細工。
出てくる仕事人の顔を知らないので途中まで半信半疑のままでしたが・・・
後半に差し掛かったあたりで、作家の小川洋子さんのお顔が出てきて、この本の趣旨がちょっとわかって一人にんまり。
小川さんは「冷水塔守」に、成りきっていた!
手に持ったコップの水が冷たそう。
でも、一番素敵なのは、最後の「シチュ-当番」かな?
本好きの人なら、一度は訪ねてみたい「冬眠図書館」。
夜の8時開館で朝の8時まで。
そこで出されるコ-ヒ-とパンとシチュ-。
森に囲まれた図書館の外のテラスで貸し出されたブランケットに包まれての読書。
あ~想像するだけでワクワクする!
最後のじつは、わたくし本当はこういうものです
も興味深く読みました。
本当の職業が写真とともに載っていて・・・
みんなで楽しみながら作った本なんだなぁ~。
こういう素敵な人間関係もいいな。
まだ未読の作品も探して読んでみよう♪
目指すのはゴールじゃない。そのもっと先にある、何かを掴みたいんだ----。
他人の勝利のために犠牲になる喜びも、常に追われる勝者の絶望も、きっと誰にも理解できない。ペダルをこぎ続ける、俺たち(ロードレーサー)以外には----『サクリファイス』『エデン』に秘められた過去と未来が今明かされる。スピードの果てに、彼らは何を失い何を得るのか。日本・フランス・ポルトガルを走り抜ける、待望のシリーズ最新刊!
(新潮社HPより)
先に読んだ「サクリファイス」、「エデン」に続くシリ-ズ3作目の本書。
サクリファイスより以前の話もあれば、エデン以降のことを描いたものもあり、前2作品の番外編的なかんじでした。
主人公も章ごとに変えて、6つの話で構成されていました。
自転車のロ-ドレ-スには無知なわたしですが、読んでいると、団体競技であり、チ-ムのなかにエ-ス(ゴ-ルを目指すもの)とアシスト(エ-スをゴ-ルさせるために自己を犠牲にしてチ-ムの勝利に尽くすもの)があり、それぞれの役には、それぞれの計算があり、なかなか奥が深い競技なんだと思いました。
チ-ム内ではエ-ス争いあり、他者とわかりあうことが苦手な選手には、誤解が生じチ-ム内がギクシャクしたり・・・・
いろいろな人間ドラマもあって面白かった。
「サクリファイス」「エデン」で登場の白石がらみの話も良かったけど、3話~5話の日本国内のチ-ム・オッジで活躍が期待される新人・石尾の話が面白かった。
他者と関わり事が嫌いな石尾の面倒を見る先輩・赤城とのやりとり、最後には良い人間関係が結ばれた時には嬉しかった!
第一線で活躍するアスリ-トゆえの苦悩などもあり、輝かしい結果を残せる選手は一握りなのに、そこに向かって日々、練習している人たちって凄いな。
なんて思った。
このシリ-ズはどこまでも続けられそうだけど、これで最後かなぁ~?
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
