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読んだ本の感想あれこれ。
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8e825ded.jpg発行年月:2010年4月

「子どもなんて、いなければよかった」
g2連載「私の児童虐待」
作家・柳美里が、小説に閉じ込めてきた「過去」と初めて向き合った、家族「再生」への感動ノンフィクション。

「カウンセリングをはじめる前に、2つの約束をしていただきたい。1つは、自分の命は消さないということ。もう1つは、ほかのひとの命を消さないということ。約束できますか?」----<本文より>


                                           (講談社HPより)


柳美里さんの衝撃的な実生活の話。
両親は朝鮮戦争の最中に密航で日本に来た。
学歴コンプレックスのあった両親のすすめもありお嬢様学校に入学するが、中2の頃から家出と自殺未遂を繰り返し、万引きなどもしたり非行行為の数々を理由に15歳で退学処分となる。

最初の方にある、この告白だけでもかなり衝撃的ですが、その後は、10歳になった息子との関わり方にもビックリ。
児童虐待だと周囲からみられ児童相談所からも様子を見に来ることがあったり・・・・。


途中途中で登場する心理カウンセラ-・長谷川博一さんとの会話が実に興味深かった。
長谷川さんの言葉で美里さんが救われていくといいなと思いながら読みました。

長谷川さんは文中にもありましたが、臨床心理士で、大阪で起きた池田小事件の犯人・宅間守に面会したり、秋田の連続児童殺害事件で畠山鈴香被告の心理鑑定を行い、拘置所内でのカウンセリング、文通を重ねた人として知られている。

それらの事件の犯人となった人たちに共通するのは、真の感情を表に出すことが出来ない状況に子ども時代おかれていたということらしい。
そして、美里さん自身も同様だと。

そして、親になったとき、母性(父性)が育たないで大人になってしまったことで、子どもに対してどう接したら良いのかわからず、時には激しく叱ったり、子どもを居ないに等しい行為をしたりするのだとか。

読みながら、心が重くなんとも辛くなりました。
でも、読み進めずにはいられない、不思議な書でした。

6回のカウンセリングを受けて、美里さんはその後、少し楽に生きられるようになったんでしょうか?
すごく気になります。
息子さんとの関係もその後、どうなったのか?

今後の美里さんが書く物語で、それを探ってしまいそう。

この書は、良いとか良くないとか、面白いとか面白くないとか
評価することは出来ないけれど、わたしにとって、読みながらいろんな事を気づかせて貰えた書ということで、★をつけます。


★★★★★

 
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a4d2fce8.jpg   発行年月:2010年11月


   あの場所で、ウチらはイカれた最高のパーティーをしてた

   鼓笛隊の“おちこぼれ”ピアニカ組。
   練習場所は第二音楽室。
   あのころ屋上教室には特別な時間が流れていた。
   音楽室に彩られた4つの物語

                              (文藝春秋HPより)


音楽に関わっている少女たちの物語が4つ。

「第二音楽室」
小学校の鼓笛隊でピアニカ組のままのの5年生5人。
6年生が引退した後、ピアニカ以外の楽器を演奏する者はオ-ディションで合格した者だけ。
いわば、ウチ(倉田)の他敗北者の6年生ピアニカ組のル-ちゃん、佳代、山井、久保田、江崎の6人は練習の場を今は殆ど人の出入りがない「第二音楽室」に決めて集まる。

男子も女子もまださほど異性を意識しないで、仲間として一緒のときを過ごしている感じが小学生ぽくて良いな♪




「デュット」
中学の音楽の実技テストは男女で歌うため、各自パ-トナ-を選ぶよう言われ戸惑う生徒たち。
男子は女子の申し込みを断ってはいけない。
3人に申し込まれたら3回歌うこと。

誰と歌おうか?単純に誰でも言い訳でもなく、どうせなら、好きな人にこの際、お願いして一緒に歌おうか?
主人公の女の子がパ-トナ-に選んだのは、綺麗な声の男子・三野田くん。
二人が一緒に歌おうと決めた会話がなんだか良かったな~(^^)


「FOUR」
中学の音楽の先生から放課後呼ばれた4人。
その4人はリコ-ダ-・アンサンブルの結成メンバ-として、卒業式の卒業証書授与のときBGMとして生演奏することになり、練習が始まる。
男女2人ずつ。

主人公の女の子は、メンバ-の一人・中原くんが好きなのに、気持ちを隠している。
バレンタインディに手作りチョコを渡そうと思っていたら・・・
あ~、切ないね。でも、こんなシチュエ-ションはなんだか身近にあった気がして
懐かしい気持ちになった。



「裸樹」
中学のとき、何気ない一言からいじめられるようになってしまった望(ノゾミ)。
高校では軽音楽部に入り、常に自分の居場所を失わないように気をつけている。

良い子なのに、些細なことで学校での居場所が無くなってしまうのって辛いこと。
高校で、仲間も出来たけど、再び孤立しないように気を張っている望が、音楽を通じて自分の意見を周りを気にせず出していくようになった姿にホッとした。


4つの音楽に関わりながら成長していく少女たちの物語は、
どれも清々しかった。

佐藤さんの物語は、はるか昔の主人公たちと同じ年代だった自分を振り返らせてくれる。


★★★★

 
c608efb9.jpg発行年月:2010年9月


ひとかけらでいい。僕が死んだら、愛する女性の骨と一緒に眠らせてほしい。

最愛の父に愛人がいた----見知らぬ男からもたらされたのは、娘が最も知りたくなかった事実。しかし亡き父の妄執は、35歳の主婦・美砂子の結婚生活にまで影を落としていく。愛に理由はあるか。人生に意味はあるか。運命は遺伝するのか。命から命へ脈々と根を張る「縁」に搦め捕られる男と女を描いた圧倒的長編小説。

                                           (新潮社HPより)

見知らぬ人から、突きつけられた衝撃的なこと。
自分の尊敬し、愛していた今は亡き父に、母のほかに愛する女性の存在があり、死んだ後、骨の一部でも良いので一緒に葬って欲しいと望んでいた。

主人公の美砂子は、そんな父親の希望をいとも簡単に叶えてあげる。
ま、それはそれでいいんでしょうけど・・・。
その事実を伝えてきた父の愛した女性の息子・浩之と深い関係になるのには、驚いた。

美砂子には夫が居て、不妊治療に協力的でない夫との間は、少しギクシャクしているのだが・・・。

美砂子との会話の中で発せられた浩之の「子どもなんてどうして欲しがるのか?」の疑問から始まった独特な考え方は、共感出来ないけど、その考え方はなかなか面白かった。


物語は中盤から、ちょっと複雑になってゆく。
父親と浩之の母・紘子の関係を追ううちに、浩之と美砂子の夫・直志は、知り合いという事実にも行き当たり・・・その後もどんどん、美砂子の周りの人たちが運命の偶然なのか、どんどん繋がっていく。
これを縁というのかな・・・?ちょっと出来すぎじゃない?とも思ってしまったけど
まあ、物語としては、面白く楽しめたから良しとしよう。


夫の間には、子どもが出来なかった美砂子だけど、妊娠したり・・・
夫は妻とは別の女性に子どもが出来たり・・・

美砂子夫婦は、それぞれ一緒になる相手を間違えたのかなぁ?

この夫婦がそれぞれ幸せになってくれたら良いな。なんて思いながら本を閉じました。

★★★
 
e519f12d.jpg発行年月:2010年9月


手紙だからつける嘘。手紙だから許せる罪。
手紙だからできる告白。
過去の残酷な事件の真相が、手紙のやりとりによって明かされていく。
衝撃の結末と温かい感動。
書簡形式の連作ミステリ。

                       (幻冬舎HPより)


3篇から成る本でした。

「十年後の卒業文集」
高校時代、同じ放送部に所属していたメンバ-が部員同士の結婚式で再会する。
そして、その後、ある事故により顔に怪我を負った千秋の行方についてのあれこれが、部員だった女性同士が手紙でやり取りする。
その手紙のやり取りをしている人物たちは手紙を交換するたび「果たして本当にこの手紙の相手は自分が思っている相手なんだろうか?」と疑問を抱き・・・・
ついに真実が明かされる。
高校生時代は、わからなかったこと。
今、大人になって振り返って真実を知ったら、すんなり受け入れられること。
う~ん。なかなか面白かった。


「二十年後の宿題」
20年前、担任だった女性教師・竹沢先生から今は高校の教師になっている男性に手紙が届く。
昔、担任をしていたときの教え子6人のその後を調べて教えてほしいと。
言われた通りに6人を訪ね歩くうち、先生が何故6人のその後を気にしているのかがわかる。
その理由は、悲しい事故を体験した6人だったから。
実際、その現場を見たもの。実際は見てないけど、そのときの様子は覚えている者。
教師って、いつまでも教え子の将来を案じているんだなぁ~。
読みながら切なくなったり悲しくなったり・・・・
でも、ラストは明るくてよかった♪


「十五年後の補習」
純一と万里子は恋人同士。
純一は突然、国際ボランティア隊に応募し、海外に行ってしまう。
しかし、その理由はちゃんとしたものがあった。
二人は中学時代の同級生。
そのとき、起きた事故の真相を手紙のやり取りのなかで明かしていく。
一番、ミステリ-色が強い話だったかな?
お互いがお互いを思っている。
ウソもついたけど、それには相手を守ろうという意志があったから。
離れた二人が再び、寄り添い幸せになれたらいいな~なんて思いました。


湊さん、最初に読んだ「告白」をはじめ、暗い話の展開のが多かったけど、
この3編には、辛い過去を踏まえて未来に向かう者達の明るさが感じられたような気がする。


今回も大いに楽しませてもらいました♪

★★★★
 
100e33a3.jpg発行年月:2010年10月


男子チアリーダーたちの青春スポーツ群像劇
女子の世界だった大学チア界に、男子のみの新チームが旋風を巻き起こす!? 人を応援することで主役になれる世界で唯一の美しいスポーツ、チアの魅力も満載の、笑って泣ける傑作青春小説。書き下ろし。


                       (集英社HPより)


2009年、「桐島、部活やめるってよ」でデビュ-。
小説すばる新人賞を受賞の早稲田大学在学中の著者によるデビュ-2作目の本書。

現役大学生らしい語り口で、なかなか面白かった。
主人公は家が柔道の道場主で姉と共に小さい時から柔道を学んでいた春希。
しかし姉には柔道では敵わない。自分のなかに限界を感じ、肩の故障もあったりして、柔道をやめてしまう。
幼いときから共に道場で練習していた幼なじみの一馬も柔道をやめ、一緒に新しいことを始めようと言う一馬に誘われ、男子だけのチアリ-ディングチ-ムを結成する。


ちょっと前にテレビで放送していたドラマ「タンブリング」を思い出すようなお話でした。

チ-ムは7人。
その7人が皆、個性的で一人ずつの特徴が生きていた。
春希と一馬のほかは・・・
ちょっとインテリっぽい溝口。100キロ近い体重のトン。器用に何でもこなすイチロ-。
イチロ-の凄さを認めつつも多少妬ましさも持つ弦。
唯一のチア経験者でイケメンなのに私服はちょっとダサい翔。


メンバ-の会話や練習の場面は、若者らしい会話で、結構微笑ましい。

柔道をやめてしまった事で、今まで分かり合えていた姉・春子との関係が微妙にギクシャクしてしまった春希ですが、お互いがそれぞれを応援する気持ちには変わりなく、姉と弟の温かい関わりもあったりで、胸が熱くなる部分もありました。

読みやすく、ササ~ッと読めて楽しかった!

また爽やかな青春小説を読ませて欲しいな~。

★★★
 
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