結婚5年目。私たちの店は、郊外の古いビルの地下にある
「coffee NADA」のマスター夫婦をめぐる不穏な日常
----共有される時間と不在の時間の記憶。
現在と過去、変わらぬ日常と秘密の外出
(文藝春秋HPより)
NADAってなんだ??と思ったら、物語の夫婦が営む喫茶店の名前だった。
夫婦は結婚と同時に喫茶店を開いた。
そこには、近所の常連客が集う。
物語は連作形式で、時々、夫婦の過去の元恋人の話だったり、ずっと昔の小さい頃の思い出だったりが語られる。
夫婦仲は悪くもなく良くもなく?
お互い、恋人が出来たりしてそれをお互い気づいている。
でも、夫婦は特にお互いのことは干渉せず、夫婦の変なル-ルを作ってゲ-ム感覚で楽しんでいたり・・・
他人から見たら変わっているかも。
わたしは絶対出来ない(笑)
でも、二人が似たもの同士だから、こういう状況でも暮らしていけるんだろうなぁ~。
常連客のメンバ-も似たようなかんじで、古本屋の夫婦もなかなか面白かった。
夫婦でラブホテルに行った話は愉快でした。
取り立てて、珍しい出来事が起きるわけでもないけど、こういう雰囲気の話は好き。
次回作も期待してます(^^)
★★★
「私たちにメールをください。時間はかかっても、お返事をします。」
私たちと、たわいないやりとりをして、気持ちを楽にしませんか? 姉の名はどん子、妹はぐり子。両親を事故で亡くし、つらい少女時代を送ったふたりが始めた、ネットの海の小さな居場所(サイト)、それが「どんぐり姉妹」。とめどなく広がる人生で、自分を見失わないように----。数え切れない小さな哀しみにそっと寄り添う最新小説。
(新潮社HPより)
最初、この表題の「どんぐり姉妹」も文字を見て、可愛いなと思いましたが・・
名前がどん子とぐり子の姉妹だとは・・・・!?
幼いときに両親が交通事故で亡くなり、その後、田舎の親戚の家、旦那さんが医者の母方のおばの家、父方の祖父の家と暮らす場所を点々としながら姉妹は生きる。
それぞれの場所にいろいろな思い出を持って大人になる姉妹。
姉のどん子は、恋愛をよくするタイプ。妹は、あまり恋愛には興味なく、姉の恋の行方を傍観してるかんじ。
けれど、ぐり子の初恋の麦くんとの思い出。
そして夢に出てきた麦くんの今の様子が気になり、わかった事実。
このあたりはちょっと切なかった。
姉妹は「どんぐり姉妹」と名乗って、ちょっとしたお悩み相談のようなサイトをネット上に作っている。
そこに来るお便りに答える姉妹。
いろいろなものを失った人からのお便りが多かったので、ちょっとしんみり。
姉妹も大切な人を失って来た過去があるので、気持ちをすんなり理解して、温かい言葉で返す。
姉妹の名前の由来は、ちょっと良い話でした(^^)
姉妹は、今後も二人で寄り添って生きていくのかな?
まだまだ若いから、それぞれ別の家庭を持つ可能性もあるんでしょうけど、
なんだか、この二人はずっと一緒が似合うような・・・。
結婚することばかりが幸せとは限らないしね~。
なんてついつい、自分も娘二人を持つ身なので、いろいろ想像しちゃいましたが・・・・^^;
特別、感動するような話じゃないけど、何故か、好きなんだな~。
ばななさんの物語は、やはり好き。
途中の写真も雰囲気あって良かった!
すべての家庭の床下には、戦争の記憶が眠っている
謎多き祖父の戸籍----祖母の予期せぬ“帰郷”から
隠された過去への旅が始まった。
満州、そして新宿。熱く胸に迫る翡翠飯店三代記
(文藝春秋HPより)
読み応え十分の物語でした。
物語は、翡翠飯店という中華料理店を始めた藤代泰造の死から始まる。
泰造の死後、気力を無くしたような祖母・ヤエだが、「帰りたい」とつぶやく。
もしかしたら・・・以前住んでいた、満州に行きたいってことかも?
孫の良嗣とヤエの息子で良嗣の叔父に当たる太二郎とで、祖母を懐かしい地へと連れて行く事になる。
その旅の様子と交互に語られる、藤代家の歴史物語。
日本人の泰造とヤエは、別々な理由で、満州に移り住んでいた。
あるとき、出会い、好きという感情とは別のもので、繋がり共に生きることにする。
日本が戦争に巻き込まれ、また世界もあちこちで争っていた時代。
異国の土地で祖父母は、そんな不穏なものから逃げ続けることで生き抜いていく。
住んでいた満州がまた危機的状況になり、終戦後の日本に引き揚げ船で再び戻る。
日本はその後、高度成長期を向かえ、泰造とヤエは小さな中華料理店を開く。
その後、子どもが生まれ、孫も生まれ、少しずつ家族が増えていくが、それぞれに降りかかる問題。
日本の史実もたびたび登場。
浅間山荘事件、学生運動、神戸の大震災、地下鉄サリン事件・・・・。
史実が家族の生活にも影響していて、その時代をリアルに生きている家族の様子がわかった。
祖母が旅を終えて、帰りつぶやく言葉に、なんとも言えない気持ちになった。
逃げることしか教えられなかったことを申しわけなく思う。あの時代は逃げる以外、時代に抗う方法を知らなかった・・・・・今はそういう時代じゃないけど・・・・・
みたいな言葉。
ラストは、祖母の死後も藤代家の家族が、逞しく生きていくであろう様子が描かれていて
良かった。
結構、厚い本でしたが、なかなか面白かった!!
★★★★
この喪失は永遠に取り戻せないのか----あなたが再会したい人は誰ですか?
もしOKしてくれたら、絶望的な孤独から私を救ってくれた「あの人」に、ただ一言、お礼が言いたいんです----。たった一人と一度だけ、死者と生者を再会させてくれる人がいるらしい……。大切な人を失った後悔を抱えながら、どう生きればいいのか。誰もが直面する苦悩に真っ正面から挑んだ、著者渾身の連作長篇ミステリ!
(新潮社HPより)
5つの章から成る物語。
「アイドルの心得」
「長男の心得」
「親友の心得」
「待ち人の心得」
「使者の心得」
4番目までは、使者(ツナグ)の少年によって、既に亡くなっている人に会う人たちの物語。
亡くなってしまった人に感謝の言葉を伝えたい者。
母親に病気を告知してしまったことは正しかったのか聞きたい者。
自分のせいで死に追いやってしまったのではないか?と自責の念に縛られている者。
結婚の約束までしたのに、失踪してしまった彼女を諦められない者。
そして、最後の「使者の心得」では、使者(ツナグ)を祖母から受け継いだ少年・歩美の物語。
少年が使者を引き継ぐようになった過程から、少年の生い立ちなどが描かれ、祖母の少年を想う優しさが沁みる温かい話でした。
最初の話は、少年が使者となって最初にした仕事。
病院の中庭に依頼人を連れてきたワケもここでわかりました。
4番目までの話を振り返りながら、少年が使者(ツナグ)の役目を通して成長していく過程がわかり、それぞれの話の別の側面も描きながらなので、より一層、前の話が膨らんで感動した。
死と真摯に向き合ったような作品で、読後に何か温かい余韻が残るようでした。
この表紙も素敵!
世界でもっとも美しい愛と命の物語。
ぜったいに忘れないこと、それが運命への復讐。
講談社創業100周年記念出版
一緒に暮らそう、一生に1度の気持ちでそう誓い合った翌日、惨劇が襲った。日本中を悲しみで震撼させたバス転落事故に巻き込まれた男と女。……なにがなんでも、あの人に会いたい。強い気持ちで待ちつづけた時、信じられないような奇跡がおこる。
切ない気持ちの輝き、強い願いの果て、空と山がまじわる場所での感動の再会。
(講談社HPより)
40年ほど前に実際に起きたバス転落事故が元になったお話だそうです。
物語は、バス事故のあった飛騨川周辺が舞台になっていて、そこに向かう主人公の女性・辰子の様子が描かれる。
家には夫がいるけど、会いに行く相手は、こちらも妻子がいる男性・芳ちゃん。
二人がある宿で会い、二人だけの時間を楽しむ。
途中まではよくあるダブル不倫の話。
でも・・・段々とこの男女の行く末がわかる。
二人は別れる。
そこには、男性が家族と共に巻き込まれた事故がある。
辰子は、芳ちゃんを思い続けて生きる。
が・・・夫との間には息子も誕生して・・・・
一人の人を思い続けて、その最期に再び会えたら、幸せでしょうね。
それが夫とは違う人というのが、ちょっと男性が読んだら気分悪いでしょうけど・・・笑
なかなかロマンチックな恋愛物語でした。
★★★
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;