忍者ブログ
読んだ本の感想あれこれ。
[472]  [473]  [474]  [475]  [476]  [477]  [478]  [479]  [480]  [481]  [482
af4d7115.jpg発行年月:2011年1月


 大学を卒業した結乃は、
田舎に戻り「ひとをきれいにする仕事」を選んだ。

注目の著者が、真摯に生きる女の子を描く、
ささやかだけど確かな“しあわせ”の物語。

                        (ポプラ社HPより)



宮下さんの作品は、成長する女性を描いてくれるので、前向きな気持ちになれます。

今回のお話は、大学を卒表し郷里・福島に戻り、ショッピングモ-ルの化粧品売り場で美容部員として働き始めた女の子の話。

当初は、デパ-トの化粧品売り場で働くことを夢見ていたのに、配属先はショッピングモ-ル。
けれど、職場の先輩・馬場さんやお客さんたちと関わるなかで、働く事の意味を見つけていく。

主人公の結乃(よしの)は、実家で母親と妹と暮らしているが、二人は結乃が化粧品を売るという仕事に嫌悪感を抱いている。
女性の仕事としては、良い仕事だと思うのに、なぜ?と思いましたが、読むとなるほど・・・というわけがあった。
けれど、やがて、その気持ちも軟化していく。

化粧品って、やはり女性には、かなり重要なアイテムなんだ!

職場では、先輩の馬場さんには、固定客が何人かいるのに、結乃が接客する客は、世間話だけして何も買わない人などで自分の何がいけないのか?悩んだりする。
結乃は悩みながらもお客さんには、常に丁寧に接している。
この人は、何を求めてここに来たのか?
この人に、何をしたら喜んでもらえるのか?

働くって、ただ決められたことをこなしてお金を貰うだけじゃないんだよね?

いろいろ悩みながら、多くのことに気づきながら成長していく。

結乃の謙虚な様子は、初々しく好感が持てました。

 
成長していった結乃のその後もまた覗いてみたいなぁ~なんて思わせてくれる爽やかな読後感を残す物語でした。

★★★★
PR
1d8f0732.jpg   発行年月:2009年5月


   作られた「天才の兄弟」を待ち受ける残酷な運命!


   天才精子バンクで生まれた兄弟------
   兄は天才数学者への道を歩むが、
   弟は母親からも見放されてしまう。
   「失敗作」の烙印を押された弟は孤島の施設に
   入れられてもなお、なんとか家族の絆を取り戻そうとするが…。


                                           (角川書店HPより)


山田悠介は次女が時々、読むのですが、結構残酷なかたちで人が亡くなるので、わたしは敬遠してます。
が・・・これは表紙のイラスト可愛さに釣られて読んでみました^^;。

ま、酷い形で亡くなる人がいなくてホッ(笑)。

けれど、内容は結構、ダ-クかなぁ~?
天才を産むために、オ-クションにかけられる有能な人物の精子を高値で買う女性たち。
この物語の麒麟(キリン)もそうして、買われた精子と買った母親から生まれる。

キリンの父親はノ-ベル化学賞受賞者。
そして、兄の秀才(ヒデトシ)は、IQ180の数学者が父親。

幼い頃から勉強することを強いられる兄弟。
兄は無口で表情も乏しいがキリンは普通の子どもらしい感情表現もする。

母親はキリンの方に愛情を感じるが・・・
兄は、8歳で高校生も解けない数学の問題を難なく解くが5歳のキリンは、小学生の問題までしか解けなくなってしまう。
それでも充分、凄いと思うけど、母親は落胆し、キリンに次第に冷たくあたる。
この辺りは、読んでいてキリンがかわいそうで泣けました(/_;)。
そんな冷たい仕打ちにも健気にキリンは耐える。
自分が悪いのだから・・・・・と。

最後は、兄にも試練が待っていて、こちらも気の毒なことになり・・・・・


あ~どうして登場人物たちが追い込まれるようになっていくのか?
この著者の作品だから、ま、しょうがないか?^^;

けれど、まあ最後は、健気な良い子のまま成長していったキリンにちょっと明るい未来があるようで良かったかな?

しかし・・・この母親は許せん!

天才児を欲しがり、IQの高い男性の精子をオ-クションで買う意味がわからん。
しかも母親がその子が思ったほどの才能がないと言って、見捨てるような行動に出るとは!
父親だけが天才でも必ず子どもが天才とは限らないのに。

こんなことが近い将来、ホントに可能になることはないと信じたい。

人間の価値は、IQの高さで決まるものではないし。


でも、ま、ササッと読むには面白かった。

★★★
 
22e0cb88.jpg発行年月:2011年1月


夜の海で釣り上げた、貝のむき身みたいなもの。突起をそっと吸ってみると、とろりと甘い。

タイ訪問を機に執筆され、選考委員に絶賛された川端賞受賞作「トモスイ」ほか、アジア十カ国との交流から生まれた十篇を収める。台湾の小さな島から上海の路地裏へ、そしてモンゴルの荒野、インドネシアの密林まで。それぞれの土地に息づく瑞々しい匂いとやるせない思いを吸い込み、記憶の中の熱をはこぶ、アジアの物語たち。

                                             (新潮社HPより)


10篇の短編からなる本ですが、どの話も不思議なかんじでした。

最初の話は表題作の「トモスイ」。
なんのことだろ?トモスイって?
と先ずは興味を持ったのですが・・・ナンなんでしょう?

主人公の女性が、ユヒラさんと一緒に夜釣りに出る。
そして、トモスイなる物を食す話。
ユヒラさんと主人公の関係も不可解。
恋人というわけではなさそうだけど・・・・

そしてトモスイは、突起物と穴を持つ、魚類?
なんとも怪しい生き物。
その生き物を怪しい関係の主人公とユヒラさんが食す様子は、ホラ-っぽくて官能的。


短編集の最初からかなりのインパクト!!
そして、ほかの話も結構、奇妙だった。
舞台は日本に留まらず、アジア諸国を巡る。

著者がそれらの地を旅しながら書いたらしいけど、作家って凄いな。
こんな話が国が変われば、全然違う雰囲気で書けちゃうんだから。


どれも良かったけど、5編めの「唐辛子姉妹」が面白かった。
文字通り、唐辛子の姉妹が主人公。
絵本にでもしたら、面白いかも・・・・なんてちょっと思ったけど、一部ちょっと大人じゃないとわからない表現あったので、絵本にすると子どもには適さないか?^^;
唐辛子が赤くなる秘密が書かれていたわけだけど・・・・笑っちゃいました。

成長して、韓国レストランで客に食べられて終わるのだけど、最後の一行も好きでした♪


いろいろな思考で読めるお得な短編集でした!

★★★★★
 
836a3355.jpg発行年月:2010年5月


もう会えないなんて言うなよ。
あなたは思い出す。どれだけ小説を求めていたか。

ようこそ、小暮写眞館へ。著者3年ぶり 現代エンターテインメント
第1話 小暮写眞館
 世の中にはいろいろな人がいるから、いろいろな出来事も起きる。なかには不思議なこともある。
第2話 世界の縁側
 人は語りたがる。秘密を。重荷を。
第3話 カモメの名前
 「電車は人間を乗せるものだ。鉄道は人間と人間を繋ぐものだ。だから鉄道を愛する者は、けっして人間を憎めない」
第4話 鉄路の春
 ------僕はこの人を守らなくちゃいけない。

                                      (講談社HPより)

元写真館だった家を購入し、その店舗付き住宅に住む花菱家族。
主人公の英一(愛称:花ちゃん)は高校生。
弟の光(愛称:ピカ)は、6歳。
父親は秀一、母親は京子。
4人家族なのですが。。。。一家には、哀しい過去があった。
英一の妹で光の姉であった風子が4歳のとき、インフルエンザ脳症で亡くなっている。


写真館にある日、心霊写真を持ち込む女子高校生。
その真相を探る英一。
英一の友達、店子力(たなこつとむ)も捜査に協力。

分かってきたそこに写っている人たちのこと。
なるほど・・・そういう事もあって不思議じゃないかも・・・・・。

物語は4つの章から成っていて、度々出てくる心霊写真や幽霊。
でも、怖くない。
人の想いは、不思議な現象を引き起こす力があるって事かな?


最後の章では、花菱家の亡くなった風子ちゃんをめぐる話。
亡くなった当時の花菱夫妻は、尋常じゃない辛さだったでしょう。
精神的に落ち込んでいるのに、更に親戚から辛い言葉を投げかけられて・・・気の毒でした(/_;)

夫妻のほか、当時10歳だった英一や、まだ2歳だった光まで、風子の死の責任を抱えていたと知り、切なくなった。

でも、良い家族だな。
英一の友達、テンコ、コゲパン、橋口・・・みんな良い。

英一の初恋の相手かな?と思われる垣本順子と最後、父方の祖父の納骨の日に疎遠になっていた親戚一同の元を訪れ、英一が言い放った言葉には、スカッとした気分になった!
親戚づきあいって、切っても切れないけど、家族を不幸にするような付き合いなら蹴って当然!


本を読み終えて、表紙の写真を見たら、ラストのちょっと切ないシ-ンにピッタリで、ジ~ンときた。

厚くて、途中、正直やや飽きたけど、これは最後の章が良いからスッキリした読後感になれた。



★★★
e5f9b588.jpg   発行年月:2008年5月



尾木遼平、46歳、元刑事。職も家族も失った彼に残されたのは、3人の居候たちとの奇妙な同居生活だけだった。家出中の少女が彼の家に転がり込んできたことがきっかけで、ある殺人事件に巻き込まれてしまい……。

第25回横溝正史ミステリ大賞&テレビ東京賞、W受賞作!

                             (角川書店HPより)


ちょっと前の作品ですが、この著者の作品を以前、読んで良かったので、デビュ-作を読んでみたくなり図書館で借りました。

面白かった!

主人公は、運が悪い!
元刑事だったけど、ひょんな事から、殺人を犯してしまい、全てを失う。
けれど・・・・そんな状況だったからこそ、出会った人たちと生活し、同居人のそれぞれを、とても大事に思う。

主人公の尾木自身も辛い過去を持つけれど、同居人となっている石渡久典、柳原潤、村下恭子にもそれぞれに辛い過去があった。
そして、冒頭から登場し、新たな同居人となる自称21歳の高瀬早希も後々、わかってくるけど、結構壮絶な人生を生きてきた女性。

最初は、共同生活が和気藹々とした雰囲気も醸し出しているけど、段々と、危ない人たち(ヤクザ)が登場して、主人公の尾木は、痛い目にも遇う。
かなりボコボコに殴られたり、蹴られたりのシ-ンが出てくるので、読んでいると辛くなる(/_;)。

でも尾木は常に冷静に危機を乗り越える。
暴力を受けながらも次のことを冷静に考えるなんて、一般人には出来ないでしょうけど、武道にも長けているという設定の元刑事なら、まあ、納得出来るかな?

ただの同居人に、家族のような愛情を注ぎ、彼らを守るために必死な尾木は、格好いい。

ラストは、ちょっと切ないけれど、必ず先に希望の光はある!と予感させてくれて、良かった!

文章も読みやすく、また、この著者のほかの本も読んでみたい!
と思わせてくれた。

★★★★

 
カレンダー
12 2025/01 02
S M T W T F S
1 3 4
6 7 9 10 11
13 14 15 18
20 22 24
27 29 30
メ-タ-
kyokoさんの読書メーター
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
[09/20 kyoko]
[05/23 のぶ]
[09/15 kyoko]
[09/14 ひろ]
[03/06 kyoko]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
kyoko
HP:
性別:
女性
自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
フリーエリア

Copyright (c)本を片手に・・・ All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  image by Night on the Planet  Template by tsukika

忍者ブログ [PR]