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読んだ本の感想あれこれ。
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d912b753.jpg    発行年月:2010年11月


    十五年前のキャンプに参加した二十七歳の男女五人が、
    キャンプ主催者の遺言執行者に集められ、
    莫大な遺産の相続者がこの中にいると告げられる……。
    
     人間の記憶の暗部に迫る群像ミステリー!

    
                                (幻冬舎HPより)


物語が始まる前にある短い話のなかに出てくる、夫婦と周りからは認識されているけど、それにしては他人行儀過ぎる男女。
その男女は誰と誰なのか?
始まる物語のなかに出てくるんだろうな・・・。
と思いながら読みました。

小学6年生のとき、参加したサマ-キャンプの当時の主催者の遺言で、そのとき参加した5人の男女の誰かにに遺産分与したいのだが、その誰かを知るために、それぞれが当時の事を振り返り文章にしたものを用意して欲しいと。

なんだか胡散臭い話だなぁ~と思いましたが、莫大な遺産が自分の物になるかも?と思い各自が作文のようなものを書く。
なかには、面倒臭がって放棄するような人もいましたが。。。

そして、そんな作文のようなものを書かせた本当の意味が段々明かされる。


なんだか辛い話でした。

そして、冒頭の夫婦のようだけど、他人行儀の二人もわかりますが・・・・
二人を結びつけることになった過去のあれこれは、びっくり。
それぞれの気持ちに、共感出来るものは全くないし、二人が一緒にいて安らげるという意味もよくわからないなぁ~。


そして、ここに出てくる若者たちの話す言葉が、なんだか地元の方言に似てるけど
なんだか田舎っぽくてイヤだな・・・・と思ったら、やはり浜松でした。

でも、ちょっとこの方言は、違う気がする。
こんな話し方をする若者は、わたしの周りには居ない^^;

妙にこの話しことばが気になって、こんなクセのある方言で書く必要なかったんじゃないかな?

ま、でも、物語としては、結構、楽しめました。
次回作に期待します。

★★★
 
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Kiss.jpg発行年月:2010年9月


唇を重ねると、千の言葉が渦巻いた。そこに嘘はなかった。名手にしか描けない恋と愛、そして人生。

そのとき、感じた。一糸まとわぬ男を、彼の秘めていたものを。決して若くはなかった。この先のことなど、なにもわからず、なにひとつ決まっていなかった。でも、どんな交歓より、つながり合え、どんな未来より、身をまかせられた。甘く、とろけるばかりでない深みと味わい。あられもない、男と女の交わりと営みを描く九つの恋愛短篇。

                                             (新潮社HPより)

この表紙がいい。
明るいだけの恋じゃない、何か重いものを背負った恋人たちの物語を読む前から予感させてくれた。

9つの恋愛。
それもそれぞれ、そこに登場する恋人たちが愛おしくなるかんじだった。
切ない恋や悲しい結末を迎える恋もあったけど・・・それが不幸かなんて断定出来ない。
第三者には理解出来ない、幸福の瞬間があったのだろう。


どれも印象深いけど・・・
特に好きなのは「猫壷」かな?
今、付き合っている女性の前に付き合っていた女性・佳奈から急に呼び出される・慎二。
二人が一緒に暮らしていたときに飼っていた猫の遺骨をしばらく預かって欲しいというお願いで、それを受け入れる慎二。
猫の骨壷を部屋に置いた環境が慎二にいろいろな思いを抱かせていく話。

女性が語る話が多いなかで、この話は男性の慎二が語る。
そんな事もあって、印象に強く残っているのかも。


ラストの「オンブラ・マイ・フ」も好き。
不倫関係にありながら心中した男女の女性・多美子が死んでいる身で生きてきた34年間を繰り返し繰り返し見つめなおす旅を続けているという話。
でも最後は、安らかな眠りにおちていくようで、ホッとした。

過ちだらけだと第三者は言うでしょうけど、多美子自身も苦しんだのだし赦してあげてもいいんじゃないかな?と思って読んでいたので・・・。


多くの経験を積んだ大人だからこそ書ける恋愛小説でしょうね。

Kissという表題も意味が深いかも。

★★★★★
2378747f.jpg発行年月:2010年11月


ロンドンから出帆し、波高き北海を三日も進んだあたりに浮かぶソロン諸島。その領主を父に持つアミーナはある日、放浪の旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニコラに出会う。ファルクはアミーナの父に、御身は恐るべき魔術の使い手である暗殺騎士に命を狙われている、と告げた……。自然の要塞であったはずの島で暗殺騎士の魔術に斃れた父、「走狗(ミニオン)」候補の八人の容疑者、いずれ劣らぬ怪しげな傭兵たち、沈められた封印の鐘、鍵のかかった塔上の牢から忽然と消えた不死の青年----そして、甦った「呪われたデーン人」の襲来はいつ? 魔術や呪いが跋扈する世界の中で、「推理」の力は果たして真相に辿り着くことができるのか? 現在最も注目を集める俊英が新境地に挑んだ、魔術と剣と謎解きの巨編登場!

                                          (東京創元社HPより)

今までの著者の作品とは、冒頭から違う雰囲気でした。
中世のヨ-ロッパが舞台で、登場人物も多く、最初は物語に没頭する以前に、登場人物紹介のペ-ジをパラパラ見ながら、なかなかペ-ジが進まず・・・・これは途中放棄かなぁ~^^;
なんて思いつつ・・・・

でも、途中、父親を殺されたアミ-ナが犯人探しをするなかで騎士・ファルクとその従士・ニコラに出会うあたりから段々引き込まれます。

冒頭から、殺人事件が起き、その犯人は誰?とミステリ-色を生むのですが・・・・
登場人物たちがそれぞれに怪しい。

父親は、魔術に操られた者により殺されたらしいとわかり、その容疑者は8人。
傭兵だったり、呪われたデ-ン人だったり、騎士だったり・・・・。

でも最後の方で、犯人はわかる。
怪しかった者たちについて、それぞれにどんな立場でその場に居たかも丁寧に明かされる。

犯人がわかったときには、なんだか哀しかった。
とても切なかった。


まだ、少年のニコラと父親を殺された16歳のアミ-ナの会話が最後、明るかったので読後感は良く
またいつか再会する二人の物語が読めたらいいな~なんて思った。


本書のようなファンタジ-の要素のあるミステリ-、今後も書いて欲しいな。

★★★★
be6e3f4f.jpg発行年月:2010年11月


働き、嫁ぎ、子を産み、育て上げた。
胸に秘めた強い想いは、だれに語ることもない。生きて、生きて、生きる。そして大人になる。
厳しく美しい知床の自然に翻弄されながら、ひたすら大正から昭和の時代を生き抜く。感動の最終章!
講談社創業100周年記念出版

小樽での奉公を終え、知床に帰った少女は、かつて家族を救ってくれたアイヌの青年と再会する。1度きりのかなわぬ恋。そのとき少女ははじめて思う。人は自分の人生を、どこまで選び、決められるのか、と

                                       (講談社HPより)



上巻では、奉公先での暮らしが始まった少女・とわでしたが、下巻では、更に成長したとわの人生を追う物語となりました。

奉公先の越前家は、長男・基、 次男・真、 三男・衛 末っ子で長女の蝶子の4人の子ども。
とわが奉公先として入ったときには、衛の子守から始まり、やがて生まれた蝶子の子守もする。
裕福な越前家だったけど、次男の真は、神経衰弱にて部屋にこもりがち。
以前は活発で、海外留学もしていたというのに・・・帰国したら人が変わっていたとか。

ある日、1日、自由な時間の出来たとわを映画に連れて行ってくれ、洋食もご馳走してくれたりと優しい人柄を見せて、ああ、こういうことを機に真の精神状態も好転したらいいな~。
なんて若い二人の楽しげな様子を読んで明るい気持ちになったのに・・・ショッキングな事態になって哀しかった(/_;)。

そして越前家の商い自体もうまくいかなくなり、とわも解雇。
実家に戻り、また別の奉公先に出たり・・・・

どこまでも苦労続きのとわの暮らしぶりに、いつになったら平穏で幸せな生活を送れるんだろ?と心が痛くなってきた。
幼い頃から、好きだった三吉に再会したが、とわには縁談話がまとまり嫁ぎ、夫となった片貝松二郎との間に二男二女を儲ける。

しかし、時代は昭和10年以降で日本は戦争に向かっていく時代。
松二郎にも召集令状が届き、戦地に。

時代背景も苦労しない人は居ないような時代。

でもとわは生き抜く。

今の時代をのほほんと生きている、わたしには想像出来ない苦労をしながら、生きてきた女性・とわ。

ラストは、やっとこの後は、少し穏やかな暮らしが出来るのかな?というかんじで終わっていたのが救いでした。

読み応え充分な物語。

北海道の開拓移民の苦労やアイヌの人たちの物語は時々、見たり聞いたりすることがありましたが、こうして一人の女性を軸に物語として読むと心に残ります。


知床=アイヌ語で、地のはてという意味だそう。

アイヌの人のことをもっと深く知りたいなとも思った。
機会があったら、そんな本も探してみようかな。

★★★★
 
333d2c18.jpg発行年月:2010年11月


生きて、生きて、生きる。それがすべて。
家族とともに、逃げるようにやってきた。豊かさが約束された「夢の土地」と信じて。
北海道知床で生きた女性の生涯を、丹念に描き、深い感動を呼び起こす。構想10年-----書き下ろし長編小説。
講談社創業100周年記念出版

物心ついたとき、少女はここで暮らしていた。アイヌ語で、「地の果て」を意味するというこの土地で。おがちゃの背中と、あんにゃの手に、必死にしがみつくようにして。

                                  
(講談社HPより)



福島県から北海道に移民開拓団の一員として移り住んだ登野原家。
父・作太郎の借金取りから逃げる手段でもあった。
母・つねと子どもは、長男・直一、長女・とわ。

北海道に移り住んだ一家だけど、何もないところで、一から何から何まで自分たちで暮らしに必要な家・畑などをつくってゆく。
あまりの過酷さに逃げ帰る家族も多いなか、登野原家は、ここで生きるしかない!と踏ん張る。
やっと作った畑の作物もバッタの大群により絶滅の危機。
一家は途方に暮れる。
そんなとき、父・作太郎が海で亡くなったりと一家の困難は留まることがない。
読んでいて辛くなりました。

その後、母親・つねは再婚(3人の息子ありの人)。
新しい父親と息子たちは、亡くなった妻(母)とつねを比べ、気に入らないことがあるとつねを殴ることも度々。

成長した長女のとわが母親を庇い代わりに殴られることも。

物語は、成長したとわを軸に進む。

上巻の後ろの方では、小学校を卒業した、とわが小樽の外国の雑貨を扱い商いをする家に、その家の子守として奉公に出る。
そして、そこでの暮らしぶりが描かれる。

時代は、大正の天皇が崩御され昭和に入った頃になって、その頃の日本の史実も少し出てきたりで、この時代の人々の暮らしぶりが、なんとなく想像できるようになっている。


下巻でのとわの暮らしぶりが気になる。

早く読まなきゃ!

★★★★

 
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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