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読んだ本の感想あれこれ。
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c478e1a2.jpg発行年月:2005年11月


藤子・F・不二雄をこよなく愛する、有名カメラマンの父・芦沢光が失踪してから五年。残された病気の母と二人、毀れそうな家族をたったひとりで支えてきた高校生・理帆子の前に、思い掛けず現れた一人の青年・別所あきら。彼の優しさが孤独だった理帆子の心を少しずつ癒していくが、昔の恋人の存在によって事態は思わぬ方向へ進んでしまう…。家族と大切な人との繋がりを鋭い感性で描く“少し不思議”な物語。
 

                                           (講談社HPより)

藤子・F・不二雄の漫画は、子どもの頃から見ているけど、ここでよく出てくる「ドラえもん」はあまり見てなかった。
でも、登場するアイテムの解説があるので、楽しめた。

冒頭のプロロ-グでは、既に写真家・として歩んでいる主人公の理帆子の言葉。
父・芦沢光も写真家だった。
そして、二代目芦沢光を名乗って賞も受賞した。


物語は、理帆子の高校生時代から始まる。
女友達もいるし、普通の高校生だけど、常に相手によって自分の立ち振る舞いを計算するようなちょっと変わった子だな。という印象。
大なり小なり、人って案外そういうの考えて行動するところあるけどね。
そして、SFで人を分析するクセ。
これはちょっと面白かった。自分のことはSukoshi Fzai・・・少し不在。

そして、元彼で美しい容貌だけど、かなり傲慢でプライドが高く危ないかんじの
若尾大記は Sukoshi Fujiyu・・・少し不自由
その後、sukoshi Fuhai・・・少し腐敗に変貌していく。
若尾の行動は、段々に狂気めいてきて怖かった。
その後の彼はどうなったんだろう??
この物語のなかで実は一番、気になってるんだけど・・・・^^;


理帆子の父親は胃癌で先が短い状態だったのにある日、突然、姿を消してしまう。
残された母親と二人で暮らしていたが、その母親も末期癌で入院し、理帆子は度々、病院にお見舞いに行く。
そして、ある日、祖母のお見舞いに同じ病院に度々来る、同じ高校の先輩・別所あきらに会う。
別所も、カメラが趣味で話も合う。
いつも理帆子に優しいアドバイスをしてくれたり頼りになる存在になってゆく。


後半に登場の郁也との関係も良かった。
母親を亡くし、父親とはわけあって離れて暮らし、家政婦の多恵との二人暮らし。
郁也と理帆子がお互いに大切な存在となっていく過程は良かった。

そして理帆子の母親も亡くなるのだけど、夫・理帆子に宛てた言葉にも胸が熱くなった。

別所あきらと理帆子の関係には、ビックリの真実があって、気づかず読んでいたけど、振り返ればなるほど~という事があとから思い出され、ちょっとしたミステリ-の要素も含んでいて
まさに少し不思議。
でもとても温かい気持ちが残る物語でした。

面白かった!

まだ過去作品で読んでないものが沢山あるので、順番に読んでいこうと思う。

★★★★★

 

PR
a84c9b60.jpg   発行年月:2010年5月


北海道を舞台に、時を超え「あの日」へ帰る人びとの、
小さな奇跡と希望を描く、感動の傑作短編集!
施設で会った80歳の老人は、介護士の卵でボランティアにきた「わたし」だけには心を開いてくれた。彼の嘘のような失敗続きの半生記にただ聞き入る日々。あるとき老人が呟いたひとこと「あの日にかえりたい」の真意とは……!? 戦慄と感動の表題作ほか、いじめられっ子の家出少年と動物園の飼育員のひと夏の交流「真夜中の動物園」、地震に遭った少年が翌日体験した夢のような一日「翔る少年」、高校時代の仲間と15年ぶりの思わぬ再会を描く「へび玉」。落ち目のプロスキーヤーが人生最期の瞬間に見た幻「did not finish」、ハクモクレンの花の下で出会った老女の謎「夜、あるく」。北海道を舞台に、時の残酷さと優しさ、そして、時空を超えた小さな奇跡と一滴の希望を描く、感動の6篇です。

                                         (実業之日本社HPより)


どれも切ないものを含んでいるけど、優しくて温かいものがある。

最初の「真夜中の動物園」は、最初はちょっと重いなぁ~と思ったけれど、動物園の飼育員との関わりが少年の生き様を大きく変える転機になったお話で明るい話で良かった。

次の「翔る少年」は、地震による津波に襲われた少年の話で、こういう時期なので読んでいて、津波の襲う様子や逃げる人々の様子がリアルで怖くなった。
切ない話だったけど、生き残った者に勇気を与えてくれるようなお話。

次の表題作「あの日にかえりたい」は、本当に切なくて泣けた。
老人ホ-ムでボランティアをする福祉系専門学生が関わった偏屈じいさんで通っている石橋老人。
老人が語る昔話。
奥さんとのこと。
後悔している日々のこと。
その想いを知った上である行動を共にするアルバイト学生。
自分だったらどうする?を考えたけど、この学生と同じような行動には多分、出来ない。


ほかの3篇もそれぞれ、良かった。
ちょっと不思議だけど、人の気持ちがそうさせることってあり得るのかも・・・と思わせてくれる。


読み応えある短編集でした!

★★★★★
 
57930434.jpeg   発行年月:2010年12月


   暮しの中で遭遇する事象を個人的かつ
   社会的に映し出したエッセイ28編を収録。
   「憤ったり寂しかったり納得したり、何かを愛しんだり
   発見して感激したり嬉しくなったり」──あとがきより。



                              (文化出版局HPより)


梨木さんの物語が好きで、幾つか読んでいます。
エッセイは今回初めてでしたが、これがまた良い!

日々の暮らしの何気ないものたちに、優しくて鋭い視点で接する様に感動しました。
今まで読んだ物語から、きっと植物とか自然のものに愛着を感じていらっしゃる方なんだろうな~と想像していましたが、ここでも植物の話がやはり出て来て、わたしの想像は当たっていた!と嬉しくなった。

でも、植物以外のものとの関わり方も面白かった。
見知らぬ人たちとの関わり方がユニ-ク。

「見知らぬ人に声をかける」での言葉・・・見知らぬ人と、一瞬でも楽しい会話が交わせたら、それは二人の勝利である。
なるほどね・・・・ユニ-クだけど、とても良い考え方だ!と心のなかで拍手!

「プラスチック膜を破って」では
電車待ちをする客たちがアナウンスの何かいつもと違う言葉に同じように微笑む場面や電車内で1匹の蚊を次々に手で仕留めようとする様は、まさに各自がプラスチック膜を破った瞬間とか。
その表現が巧い!

そして、物にたいする考え方もユニ-クでした。

旧式のカ-ナビに翻弄されることが度々あっても梨木さんは寛大な気持ちで接している。
カ-ナビの音声が女性だから彼女と呼んでいるし(笑)。
そしてこの話の題が・・・「個性的なリ-ダ-と付き合う」。
う~ん、タイトルのつけ方にもセンスあり!!

何から何まで、いちいち感心しながら読みました。

やはり梨木さんは、わたしにとって一番の作家さんだ!と確信したエッセイでした♪♪
文庫が出たら買って手元に置きたい!


★★★★★

 
1cf1e61b.jpg発行年月:2010年12月


ファインダーを通して見ていたのは誰の秘密なのか?
東京でカメラマンのアシスタントとなり、
少女から大人になっていく黒江は、愛と葛藤と、
隠された秘密との闘いの世界へ向かう。


                    (中央公論社HPより)



上巻で、家出した黒江がカメラマンの浦賀仁の元でどう生きていくのか?
気にしながら読みました。
中学時代から文通のような交流を続けていた仁の人柄も気になって、またこの居候生活のなかで悲劇みたいなのが起こらなきゃいいけのなぁ~
なんて、ちょっといい加減な感じの仁の様子に危惧してしまった。
写真家だけど、アダルト雑誌が主な活動の場とか。ちょっと言動も最初は「?」だったので。。。

でも予想に反して本質の部分では、良識ある大人でホッとした。
亡くなった恋人との話は、結構切なかったなぁ~。


そして、黒江の過去の話は驚きの連続。

両親離婚の前の黒江と両親の暮らしの様子は、異様だったし、父親と黒江。
母親と黒江の関係も、わたしからしたら異常。
仁の恋人の死と、黒江の両親の離婚の原因のひとつが宗教というのも衝撃的だった。


結果的に高校中退して、家出したことが黒江にとっては、正しい選択だったということかな?

仁のアシスタントとして働きながら20歳に成長した黒江が、再び出会う、中学時代の弥生くん。
淡々とした会話のなかに、黒江のことを想う気持ちが溢れていてよかった。

黒江の過去は重苦しいことが多かったけど、現在の生活のなかでは、黒江のことを心配し力になってくれる人たちがいて、良かった。

写真家として、これから独立していくのかな?と希望が見えるラストも好き。


高校時代に写真を通じて仲良くなった、佐々木光太郎くんの近況が出てたときは嬉しかった♪
二人がまたいつか写真を通じて再会するなんてこともありそうだなぁ~
なんて勝手に想像したりして。


なかなか読み応えがあり、内容は少し重いものを含んでいるけど、物語としては面白かった!

 

★★★★

 

45158ebe.jpg発行年月:2010年12月


中三の春、少女は切ない初恋と未来への夢と出会った。
それは愛と破壊の世界への入り口だった。

恋愛小説の枠を越えた恋愛小説の最高傑作。
デビュー10周年を飾る書き下ろし作品。

                        (中央公論社HPより)


主人公の藤枝黒江は、両親が離婚して母親と二人暮らし。
第一章は、黒江の中学3年生の話。
途中、東京から転校してきた男子・酒井弥生は、父親が亡くなり母親と二人暮らし。
なんとなく似た様な境遇で親近感を覚えつつ・・・・
他の親しかった友達とも卒業と同時にさよなら。

第二章では、高校に進学した黒江。
そこで何となく親しくなった百合。
付き合っているのは、バイト先の店長だったり、年上の男性の友達が多い。
やや気まぐれな性格もあって他の女子生徒たちから敬遠されている存在。
百合の広い交友関係が黒江にも繋がり、学校の友達よりも親密な関係を築いていく。


黒江自身は優しいこ心遣いも出来てよい子だと思う。
第一章の中学時代の友達との様子は学生らしい微笑ましいものもあったけど、第二章では
年上のやや素行の悪い男の子と付き合ったりで、なんとなく危なっかしい。


高校生活のなかで、唯一癒される会話は
写真部を一緒に作ろうと誘ってきた佐々木光太郎との会話。
話し口調も敬語で、彼と黒江の会話は、良かった。

中学時代から写真の魅力に惹かれ、写真家の浦賀仁と文通(?)のような交流を続けていた。

そして、上巻の最後の方で、いろいろなゴチャゴチャなことから逃げるように東京の浦賀を頼って家出してしまう黒江。
高校は中退。
いちおう、母親も納得のもとでの退学だったけど、なんだか惜しいな。
写真部の佐々木との会話をもっと読みたかったし。。。。

浦賀とは運よく遇えて、家に居候させてもらうというラッキ-な展開。

下巻で浦賀との関係がどうなるのか?

高校時代に付き合った男の子たちとは、このままなのか?

気になることだらけ。

早く続きの下巻を読むとしよう!

★★★
 
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