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読んだ本の感想あれこれ。
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12ea3ae2.jpg発行年月:2011年2月


家族であることとはいったい何なのか
父や伯父の持っていた教養、亡き妻との日々、全ては豊かな家族の思い出。

「お兄ちゃんのとこも子供いないでしょ。私も全然そんな気ないけど、このままだったら誰もいなくなっちゃうんだねえ」
「そうだな」
「じゃあ、ほんとに私がこの家の、最後の一人なんだ」
省三の脳裏に「末裔」という言葉がよぎった。-----<本文より>

妻を亡くし、子供たちは家を出た。省三は、自らの系譜に思いを巡らせる

                                      (講談社HPより)


58歳の富井省三は公務員。
ある日、家に帰ると・・・鍵穴がない!
そして、仕方なく家を後にする。

そんなバカな!?という出だしで始まる物語。
一人暮らしなのに家から追い出されたかたちの省三は、行くあてもなく途方に暮れる。
そんな省三の前に現れた不思議な自称占い師の梶木川乙戸治。
泊まる場所を提供してくれて、省三の今後のことについて忠告をしてくれたりする。
そして、ここには長く居座らないほうが良いと、またまた追い出されるかたちになって・・・
次に向かったのは、かつてよく訪ねた今は亡き伯父の家。
誰も住んでいる様子はなく、たやすく侵入出来た、その家で暫く生活をする省三。

夢なのか、現実なのか、不思議なことが度々、起きる。

自分が生まれて、ここに存在しているル-ツのようなものを考えたり、自分が生まれる前の先祖のことを考えたり・・・・

自分から遡り考えると、両親が居て、そのまた両親が居て・・・・・・とすごい数の先祖がいることに気づく省三に、読みながら、なるほど!!と思ってしまった。
そんなことあまり考えたことなかったけど・・・・。
自分がその系統の末裔になってしまうかもと考えたら、なんだか複雑な気持ちだろうな~。

省三には息子が居るから、自身が末裔とはならないだろうけど・・・・。

ラストは、入れなかった家にもなんとか入れそうかな?
省三にもまだまだ明るい未来はありそうだ!と思えるかんじで良かった。


主人公は58歳のおじさんなのに、女性の絲山さん、すごく見事におじさんの憂いを表現してる!
ちなみに絲山さんって何歳?と思ったら、1966年生まれだった!


それにしてもいつも面白い物語を書く作家さんだ!


次回作も楽しみです♪♪

★★★★
 
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94da3afb.jpg発行年月:2010年9月


文学がなんであったとしても、化け物だったとしても、おまえは超然とするほかないではないか。

おまえはこの町に来て初めて知ったのだ。ここでは、夕日はいつも山の向こうに沈む----。
「妻の超然」「下戸の超然」「作家の超然」を収録。
                異色の三部作


                                            (新潮社HPより)


超然って言葉は普段の生活ではなかなか言わないし、聞かない言葉ですが
意味は手元の国語辞典に「物事にこだわらず、平然としているさま」と書いてあります。



3つの話の主人公たちは皆違う人。
最初の「妻の超然」の主人公は妻。
5歳年下の夫の浮気を超然とした態度でやり過ごす日常が書かれていて、なかなか面白かった。
もう夫に対して今更どうこう言う気持ちもなく、気づかないふり。
でも、最後、夫の寝顔を見て思うこと・・・・・なかなか微笑ましい。
こういう夫婦が長く続くんだろうな。
わたしも万が一、こういう立場になったら超然として過ごすだろうけど・・・^^;


二番目の「下戸の超然」の主人公はお酒が飲めない下戸。
会社のコンパで知り合い同じ趣味で盛り上がった女性と付き合いが始まるが
次第に些細なことで衝突するようになる。
酒に酔う彼女の姿にも隔たりを感じたり
・・・・・・
ある日、彼女に言われる言葉「・・・いつまでも超然としてればいいよ。わたしはもう合わせられないけど・・・」
う~ん。リアルな男女の付き合いの終わり方。


三番目の「作家の超然」は、女性作家が主人公。
首の腫瘍摘出のため、手術を受けることになり入院。
その入院生活のなかで、思う今後の自分のあり方。
あれこれ周りの事を気にかけて悩んでも仕方ないって事に行き着き、超然としているしか仕方ないと思う。
なるほど・・・・超然って言葉、なんだかいいな。


絲山さんの文章は、ズバズバと突き進む感があって良い!
読みやすいし、共感もし易い箇所が多い。


かなり楽しめました♪♪

★★★★

f00fad9d.jpg発行年月:2010年12月


「生まれる」ことの奇跡を描く再生と自立の物語
失踪した夫を探して南の島に来たまりあは、島の助産院で妊娠を知らされる。出生の秘密に囚われ、母になることに戸惑うが…。命を育み、自分の生を取り戻すまでの誕生と再生を描く感動の長編小説。


                        (集英社HPより)



主人公の女性・小野寺まりあは、夫が失踪し彼を探して以前、二人で旅した南の島に来る。
そこで、つるかめ助産院の院長・鶴田亀子に出会い、そこで働くことになる。
まりあは妊娠していることを亀子から告げられ、今後のことなどを考える日々。


亀子の大らかな人柄は好印象。
そこで働くスタッフたちや島の住人たちが皆、明るい。南の島というのどかな雰囲気もあって、始終和やか。

でも、段々にわかる普段は大らかな人たちにも過去には辛いものがあったこと。
まりあ自身の生い立ちも、結構いろいろ・・・。

助産院では、新しい命が誕生する。
神秘的な命の誕生の場面。
でも死産という残酷な場面もあり、喜ばしい誕生と哀しい死産を両方扱ったのは、良かったけど・・・
なんだろな・・・・
リアリティがない気がして・・・今ひとつ心揺さぶられるものがなかった。
職業柄、実際の現場を幾つも見てきた、わたし自身の問題かもしれないけど。。。。。
多分、多くの取材をして関係者から実状を聞いたんだろうけど。

ま、出産の場面はそんなにこの物語で重要視しなくて良いから、その辺は許せるけど。


物語全体を通しても、なぜか心が動かなかった。

話としては、面白くなくはないけど・・・。

多分、わたしはこの作者の物語が、あまり好きじゃないのかもしれない。
そのことに気づいてしまった。
以前、読んだエッセイのようなものは、楽しめたんですけどね。

多くのファンがいる作家さんなので、この作者の作品を好きな方には、なんだか申し訳ない気もするのだけど・・・・
個人のブログなので、ご勘弁を・・・・^^;

★★★
 
efe43a55.jpg発行年月:2010年11月


異国の地を舞台にくり広げるサスペンス長編
ギリシア山奥で無人となった修道院に迷いこんだ美貴たち。かつて居た修道士たちは死に絶えたという。彼らは何と戦ったのか。今、村に蔓延する死は、聖なる祈りを破って現れた悪魔の仕業なのか?


                        (集英社HPより)



冒頭は、何やら不気味な景色の描写が続き・・・・これってわたしの苦手なホラ-もの?
と思い、続きを読むのを少し躊躇いました^^;

主人公の中山美貴は、妻子ある同僚との恋愛の末、左遷されてレバノンの現地駐在員として赴任。
そしたら内戦が起きて、職を失うというとんでもない目に合わされる。
しかし、この人、凄い!
転んだあとが強い!!

偶然、めぐり合った蜂蜜を求め、ギリシャの山の中まで出かけてしまう。
なんとまぁ~バイタリティのある女性なんだ!!
この主人公の行動力に拍手!!
彼女がどん底からどう這い上がるのかが気になり読み続けました。

でも、なんだか妙な雰囲気になっていく。
廃院となった修道院。
周りでも同じように廃院になった修道院がたくさんある地域。
次々に出る死人。

美貴が現地のガイド訳を頼んだ、ギリシャ人と結婚したが夫が3年前に亡くなっている綾子。
そして、ひょんな事から一緒に旅を続けることになる吉岡というバツイチの男性。

3人の日本人が旅する先々で出会う不思議な体験。

そして、綾子の繰り返される奇行・・・・・・やっぱりこれはホラ-なのか??と思った。

美貴以外の二人の今までの人生もなかなか波乱万丈なものがあり、それぞれの詳しい経緯をもっと詳しく知りたかった気もしたなぁ~。

ホラ-か?と思った謎の連続した死の真相は、まあ言われればそういうものか?と思うものだけど、キリスト教のことをもっと詳しく知っていたら楽しみ方も違ったかな?


美貴と吉岡の関係は、今後、少し違う展開になるのか?
蜂蜜・・・どんな味なのかな?


読後も、いろいろ想像してしまいました。


どん底まで落ちた美貴だけど、いろいろな体験を通して得た物を、きっと今後活かせそう。
美貴の逞しさには最後まで拍手!

ホラ-かとかなり途中まで思い続けたけど、一人の女性の旅を通しての体験記というかんじかな?
まあまあ面白かった。


★★★

 
8bd5c9e2.jpg発行年月:2011年1月


いろんな形の「デート」、あります。
祖父と孫、元不良と老教師、特に仲良くもない同じクラスの男子同士、協力して一緒に公園で犬を飼うOLと男子学生。何気ないのに温かい人と人のつながりを軽やかに描く、5編収録の作品集。



                        (集英社HPより)


5つのいろいろなデ-トを描いた短編集。
若い男女の恋愛に限らず、いろいろな形のデ-ト。
そこには、ちょっと切ないものもありましたが、どのお話も心温まるものがあり、瀬尾さんらしい作品集というかんじ(^^)


表題作の「おしまいのデ-ト」は、一番最初。
両親の離婚で、離れて暮らしている父方のおじいちゃんと毎月会う、彗子。
お互いの近況を報告し合ったり・・・。
離れてしまっても、大切な繋がりは壊れないっていいな~。

次の「ランクアップ丼」は、ちょっぴり切なかった。
高校の恩師とわけあってずっと給料日に親子丼を食べると決めている、青年の話。
高校時代の二人の出会い、そして成長してもずっとその関係を保っている二人。
最後は、泣けた。でも良い話でした。

次の「ファ-ストラブ」が一番好きだった!
ある日、突然、高校の同級生・宝田から一緒に遊ぼうと声をかけられ戸惑いつつもその誘いに乗る広田。
男子高校生同士の会話が、なんだか微笑ましい。
宝田が広田を誘ったのは、お礼の気持ちからだけど・・・・ちょっとした誤解がそのなかにあって・・・・でも結果的に、全く親しくなかった二人に友情が芽生えることになる。
ああ、彼らが大人になっても友達として続いてくれたらいいなぁ~なんて思った。

「ドッグシェア」と「デ-トまでの道のり」は、男女の出会いを描いているけど、
「ドッグシェア」は、離婚歴のある32歳の女性と中華料理店でバイトしている青年が公園の捨て犬を同じように可愛がり、ある日、共同で可愛がろうと決める話。
二人の会話が愉快でした♪

「デ-トまでの道のり」が、唯一、男女の恋愛に関係ある話。
保育園の保母として働く祥子が、園児の父親と親しくなる話。
園児・カンちゃんのお母さんは亡くなっているので、恋愛関係に至っても問題はないけど、祥子はカンちゃんに心を開いて貰っていないことを気にしている。
子どもの気持ちも複雑なのかもね~。
でも、いつか新しい家族が生まれそうな予感を感じさせてくれる話で、ほのぼのしていました。


楽しみながら読める5作品♪


★★★★
 
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