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読んだ本の感想あれこれ。
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51kJQIkpSPL__SX230_.jpg   発行年月:2011年6月


   世代も場所も超えて通じ合う、それって、なんかすごくない?

   急死した母の葬式に来た3人組のおばさんから、
   昔4人で作ったという同人誌を渡されて……。
   4人の過去と想いが今に繋がる連作短篇集

                             (文藝春秋HPより)



最初は、お調子者の高校3年生の男子3人のやりとりから明るくスタ-ト。
いまどきの高校生の会話っぽく、バカっぽくて笑える。

でも、そんなム-ドが一挙に変わる。
なんと朝は普通に送り出してくれた男子の一人、セイヤの母が急死してしまう。

通夜・葬儀と慌しく行われるなかで、母親の小学校時代からの友人だというおばさん3人がやってきて、以前4人で作っていた同人誌を渡される。

セイヤにとっては、地味な母親だったけど、母親にも輝いていた青春時代があったんだ!と気づかされる。

そして、物語はセイヤの母・ショ-コの小学校時代へと移る。
セイヤに同人誌を手渡しに来た、3人との出会いの時期である。

樹村ショ-コ(セイヤの母)、陣ノ内アキ(女王様っぽい)、森川(ギャグ要員)、吉野(学級委員)の青春物語が、語り部を変えて次々進んでいく。
4人の共通は、漫画を描くのが好きなこと。


4人の成長したその後の事も追いながら、ショ-コの結婚に至る経緯やら、実際にプロの漫画になるという夢を叶えた者も居て、時代を超えて物語が上手く進んでいく。

そして、ラストには、また新たな出会いもあって、なんだか楽しい気分になった。

心温まる連作短編集でした♪

★★★★★
 
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f5187004.jpg発行年月:2011年1月


風変わりな少女、あみ子の目に映る世界を鮮やかに描き、小川洋子、三浦しをん、荒川洋治の絶賛を受けた第二十六回太宰治賞受賞作。書き下ろし作品「ピクニック」を収録。

                       (筑摩書房HPより)


表題作の「こちらあみ子」と「ピクニック」の二編が収められている本書。
どちらの主人公ともちょっと独特な世界観を持つ人たち。

「こちらあみ子」のあみ子は、まだ少女。
すごく純粋な心を持ち、物事の捕らえ方が、ちょっと常識(?)と離れたところにあるかんじ。
こういう視点でものをも見る主人公を描ける、この著者の感性は凄いなぁ~なんて思った。

純粋で、ストレ-ト過ぎるくらいに物事を捕らえるあみ子だけど、周りの大人たちの対応は、あみ子にとっては不幸なかんじ。
なんだか、読んでいくととても辛い気持ちになってきた。
あみ子自身が辛さを感じていない様子なのが救いだけど、そのこともなんだか切ない。


二編目の「ピクニック」の主人公は七瀬。
『スロ-ガ-デン』という飲み屋で働くようになり、そこの従業員仲間とのやりとりが描かれる。
そのやりとりは、結構楽しかった。
でも七瀬も凄く変わってる女性。
最後まで、言動の根拠がよくわからない人だったなぁ~。


二編とも変わった人が主人公の物語なので、とっても不思議な気持ちになる話だった。

こういう物語を書ける著者の今後の作品がとても気になる。
次回新しい作品が出たらぜひ、また読んでみたいと思った。

この表紙もどこか儚げなかんじが本の内容にピッタリ!

★★★★
 

41MlcsV2QyL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2010年7月

少子化対策のため「抽選見合い結婚法」が施行されることになった。この強制見合いに、アキバ系青年は万々歳、田舎で母親と暮らす看護師は、チャンスとばかりにひとりで東京へ。慌てて彼氏に結婚を迫るも、あっさりかわされるOLもいて…。それぞれの見合い事情をコミカルかつ、ハートウォーミングに描いた長編小説



                         (双葉社HPより)


既婚者のわたしには、面白く読めました。
適齢期の結婚前の人が読んだら、ちょっと身に覚えのある言動もあるかもしれない。

政府の打ち出したとんでもない「抽選見合い結婚法」に翻弄される法案の対象年齢者(25歳~35歳)たち。
ある者は、出会いの機会が増えて喜び、ある者は、それを理由に今までの生活を変えたり・・・。

そして、二人の男女の物語が別々に進行してゆく。

女性は、鈴掛好美31歳、看護師。
男性は、宮坂龍彦27歳、コンピュ-タ-ソフト会社勤務。

好美は恋愛経験もあるが、同居の母親にあれやこれやと難癖をつけられ結婚まで至らず。
龍彦は、恋愛経験ゼロ。彼女居ない暦27年。

好美と龍彦のお見合いが1回目から描かれる。
好美は3回目で出会った銀林嵐望と気が合い良いかんじでお付き合いが始まる。
龍彦は断られ続けるが6回目に出会った美人の冬村奈々には会えば辛辣に罵られるものの何故か断られず。

この法案にはいくつかの規則があり、
お見合いを断っても良いのは3回まで。
しかし、その3回以降、結婚まで至らなかったらテロ撲滅隊に参加して2年間の任務に就かなければならない。
そして奈々はこのテロ撲滅隊に行くかどうかの瀬戸際だった!
わざと嫌な女を演じているんだと推理した龍彦の言動が愉快。

好美と龍彦は果たして結婚までいくのか!?

結末は、物語の最後、一年が経過した話でわかる。


なかなか面白い話でした♪


★★★
41gzqMisysL__SX230_.jpg   発行年月:2010年12月


ありがとう、と読んだあと、誰もが言いたくなる感動の物語


慎吾と夏美は、ツーリングの途中で、山奥のよろず屋「たけ屋」に立ち寄り、
地蔵じいさんと、その母のばあさんと出会う。、
何度も通うちに、二人は離れを借りることになり、
四人の家族のような共同生活が始まった


                           (角川書店HPより)



偶然見つけた本書。
なぜか気になり手に取り、もう感動で後半は泣けた。
本当に「素敵なお話をありがとう」と著者に言いたい!

大学生で、将来は写真家になりたいと思っている慎吾と幼稚園で働く夏美が、偶然、立ち寄った「たけ屋」。
そこに住む60歳を超えた男性(通称:地蔵さん)とその母親(通称:ヤスばあちゃん)と出会い、その温かい人柄に触れひと夏を「たけ屋」の離れを借りて住むことになる。


なんともほのぼのとした田舎の生活。
そして地蔵さんとヤスばあさんの人柄が本当に素敵。
地蔵さんは以前働いていた職場での事故で、半身麻痺という不自由な体だけど、暗さは全く見せない。
近所の子どもたちにも慕われ正にお地蔵さんそのもののような人。

けれど、過去にはいろいろな辛いこともあった。

地蔵さんが言った言葉には胸を打つものが幾つもあった。
なかでもなるほど~と思ったのは

人間ってのは、何かと何かを比べたときに、いつも錯覚を起こす。だから自分と他人をあまり比べない方がいい


物語を読んでいくと地蔵さんがそう言った言葉の意味がジ~ンと沁みます。

物語のなかに出てくる人たち、皆が本当に心が優しい。
口調は乱暴な仏師の雲月も素敵な人だった!

もう涙なしではこの物語は読めない!

でもその涙は、哀しいだけではない。

生まれてくれてありがとう。
生んでくれてありがとう。

実際、口にするのは恥ずかしい言葉だけど、誰もがこの本を読んだら、そう感じるでしょう。

この著者の名前すら正直、知らなかった!
偶然、手に出来た幸運にも感謝したい!

この著者のほかの作品もぜひ、読みたい!!

★★★★★

 
31e2G2X7GsL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2011年6月


夫の暴力から逃れ失踪した女が、身を潜めた地方都市の片隅で生き抜く姿を静謐な文体で描ききり、現在に生きる人が抱え持つ心の闇に迫った力作長編! 
絶望と希望、生と死の境界に怜悧に斬り込んだ著者の新境地!


                     (日本経済新聞社HPより)



今まで読んできた、小池さんの恋愛小説とは、少し違う雰囲気でした。
今までは、セレブな主婦とか、お洒落な環境のなかでの恋愛話が多かったように思うけれど。。。

今回の主人公・新谷泉38歳は、世間でも名を知られている映画監督の妻。
かつて夫の下で働いていて結婚したのだが、夫の日常的な暴力に身体的・精神的にも追い詰められ逃亡する。
行くあてもなくたどり着いた場所で、偶然、住み込みの家政婦として生活する場所を見つける。
その家主は、年老いた画家・天坊八重子。
八重子の言葉使いはやや乱暴だが、泉の境遇を詮索するような事もなく、日夜、製作活動に勤しみ泉に対しての要求もさほど多くない。

滅多に外出しない八重子に連れられて行った、飲み屋「ブル-・ベルベット」は、おかまのママ・サクラが経営する店。
サクラと八重子のどちらも口悪く相手をののしりながらの会話が可笑しかった。
相手を口ではボロクソに貶しながらも、お互いがよき理解者なのだなぁ~とも感じた。

その店で、泉は、かつて取材でたずねてきた事のある雑誌記者だった塚本鉄治と再会する。
塚本は、ある容疑の濡れ衣をかけられ逃亡している身だと。

似たような境遇の二人は、次第にお互いを必要な存在と認める。


どん底の中で出会った、自分を理解してくれる異性との出会いがあれば、当然、恋愛に発展するでしょう。

この出会いは偶然だし、ありきたりと言えばそう言えなくもないけど
二人の考え方がしごく真っ当で、二人が常識人なので、応援したくなりました。

画家の八重子とおかまのサクラも、言うことはとても常識的。
かなり辛辣な口調だったりするけど、本当はとても優しい人たちなので、好感が持てました。

そして、物語の終盤の展開も予想通りだったけど、安心出来る終わり方だったので
ホッとした。


恋愛小説というよりは、人間ドラマというかんじで、なかなか良かったと思う。
こういう作品もまた書いて欲しいな。

★★★★
 
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