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読んだ本の感想あれこれ。
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41UEx-86luL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2011年6月


怪物は死体を溶かす…緊迫のミステリー長編
物体を跡形も無く溶かせるという、最新鋭のゴミ処理施設の研究者・真崎。定年間近の刑事・香西は、真崎の部屋で強烈な「死の匂い」を感じる。頻発する失踪者たちと真崎との繋がりを探ろうとする香西だが…。



                        (集英社HPより)


初読みの作家さんかも?

なかなか面白かった!
後味の悪さが残るのは、ちょっと湊かなえ路線かも~?

最初は、定年間近の刑事・香西がずっと心のなか重く圧し掛かっている誘拐殺人事件のことが描かれる。
15年前のその事件の容疑者・堂島昭(当時20歳)は、ほぼ犯人に間違いないというところまで追ったが父親が警察庁の高役職ということからかいつの間にか容疑者リストから抹殺されてしまった。
そして、その堂島は近く衆院選に立候補するとメディアにも登場。
野放しにしていていいのか?
逸る気持ちでいる香西の元にメディアを通じて堂島を見て「15年前の犯人だ!」と連絡してきた女性・理紗。
彼女も15年前の事件被害者の一人だった!

おぉ~どうやって追い詰める?面白くなってきたぁ~!!

と思っていたら・・・・え?そういう展開ですか?と次なる怪しい人物登場。


堂島を追い詰めながら、とある失踪事件に出くわしたが為に知り合う正に怪物のような人物!

それからは、段々と善良な刑事・香西の思考がズレテいく。
そのズレ方は、自分が同じ立場だったら、同じ行動をしてしまうかも?と思えるような自然な流れで、それゆえに怖かった。

香西自身も怪物化してしまう。

なんとも哀しい物語でした。

でも話は面白かった!
文章も読みやすいし。

ちょっとこれからは要チェックの作家さんだわ!


★★★★
 
 
PR
51ba9r2cFsL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2011年2月


オタク青年オスカーの悲恋と、カリブ海の呪い。ピュリツァー賞・全米批評家協会賞W受賞!

心優しいオタク青年オスカーの最大の悩みは、女の子にまったくモテないこと。どうやら彼の恋の行く手を阻んでいるのは、かつて祖父や母を苦しめたのと同じ、ドミニカの呪いらしい――。英語とスペイン語、マジックリアリズムとオタク文化が激突する、全く新しいアメリカ文学の声。英米で100万部のベストセラー、日本上陸。


                                          (新潮社HPより)

なかなか面白かった!
読むににすっごい時間がかかったけど・・・。

物語はドミニカ系アメリカ人のオスカ-・ワオの青春小説です。
140kgの巨漢でオタクのワオは、女の子に振られてばかり。
でもめげずに好きな子が出来ればアタックする、憎めないけど、ちょっと哀しい。

そんなワオは、母親と姉と住んでいて、ワオの行く末を心配した母親は、自身の故郷であるドミニカに送る。
姉のロラは母親と折り合いが悪かったので先にドミニカに渡っていた。
そこにはワオの母親・ベリを育てたラ・インカが住んでいてワオはラ・インカの元で暮らすようになる。
そして、自身のル-ツ、一族のル-ツを知る。

ドミニカは1930円から31年間、独裁者・トルヒ-ヨによって統治されていたそうで、トルヒ-ヨの残虐性に苦しんだ人々も多かったらしい。
そういう事実をしらなかったので、この書を読んで勉強させてもらった部分が多かった。

そして、ワオの出生に、この独裁者の存在が大きく関わっていたという設定。
女好きで残酷な独裁者・トルヒ-ヨの呪いのようなものを受け継いでしまったかのような、ワオの最期は哀しいけれど、それでもワオは、きっと幸せなときを過ごしたんじゃないかな?と想像できる事実が後からわかり、ちょっと救われた。


物語の途中、かなり膨大な注釈が度々出てくる。
その注釈を読むと、なるほど物語がよりよく判る!
なので、必死に読んだ・・・・・ゆえに一生懸命、読んでもなかなかペ-ジが進まず読了までに時間がかかってしまった^^;

でも読み終えたときは、すごい充実感!

日本の文学にはない面白さがあった!


★★★★
51D2nnZeTfL__SX230_.jpg   発行年月:2011年8月

京都府南部の高校2年生のわたしと親友の楓はバトン部に所属し、楓はレギュラー、わたしは万年補欠部員だった。ある日楓が顧問の先生はかい人21面相に似ていると言い出す。事件当時、小学生だったわたし達はキツネ目の男に会っていたのだ……。昭和の最大のミステリーといわれたグリコ・森永事件を題材に、ユーモアのある文章と著者の破天荒な世界観で真の自己を追求する、渾身の芥川賞受賞後第一作ほか2篇を含む中篇集の登場



                                       (文藝春秋HPより)


表題作は、1984年の未解決事件「グリコ森永事件」が絡んだ物語。
小学生からの幼馴染である、わたしと楓。
高校ではバトン部に所属し、その顧問の鬼頭先生を事件の犯人じゃないか?と疑う。
キツネ目だし・・・・・。
事件を覚えているので、あの当時、よく報道番組やらで出た似顔絵の顔が浮かび、当時自分も10代だったので、なんだか懐かしいような気持ちで読めた。
まあ、これは青春小説っぽくて読みやすかった。

が・・・その後の2編は奇妙だったなぁ~。

「恋もみじ」は、じゅたん工場で働く女工の物語。
時代的にはいつだろう?
現在よりちょっと昔のようなかんじの物語で、15色のじゅうたんの色にそれぞれ配属されている女性たちをその色で呼ぶ。
もみじ色担当のもみじ工女とうぐいし色担当のうぐいす工女の物語。
そこに出張販売で来るよろず屋の「すずめ屋」が加わって・・・・・



「少女煙草」は、病気で床に伏せている男の看病をする家政婦の話。
病の男の妻・綾小路夫人は昭和33年に実家に戻ってしまい、その後50年が過ぎている。
家政婦は、その綾小路夫人に成りっている。当時の夫人の年齢は35歳なので35歳ということにして・・・。


「恋もみじ」も「少女煙草」も奇妙で難解な物語だけど、書かれていることが難しいんじゃなくて、
主人公たちの気持ちがうまく理解できない。
可笑しいかんじもするし、切ないような気持ちにもなって、本当に不思議な気持ちになる物語でした。


こういう物語は好き嫌いが分かれそうだな。
わたしは結構、好きだけど・・・・。

新作が出たら読んでみたい作家さんの一人にはなったな。


★★★
  
517xVoUqEKL__SX230_.jpg    発行年月:2011年7月


    ある町に生きる人々の喪失と再生。ばなな的小宇宙

   ハンバーグ店「ジュージュー」にはおかしな人々が集う。
   朝倉世界一のマンガにインスパイアされて書かれた、
   ささやかで美しい物語


                           (文藝春秋HPより)



ハンバ-グ店の名前がジュ-ジュ-。
お店の二代目は、美津子の父親で、美津子の亡くなったママが大好きだった漫画「地獄のサラムちゃん」に出てくるステ-キハウスの名前をお店の名前に付けた。

美津子もママの愛読書だった「地獄のサラミちゃん」を枕元に置き、眠れない夜はそれを読む。

ママは誰からも愛されていた。
元モデルでお店で働くママは笑顔が素敵で・・・・

でもいまは、パパと美津子と美津子の幼馴染で元恋人で、パパにとっては半分、息子みたいな存在の進一もお店を切り盛りしている。

進一は夕子というちょっと変わった女性と知り合い結婚。
美津子もお店に食べにくるようになった近所の本屋の息子・宮坂と恋人同士になる。

ほのぼのと人と人が関わりながら、過去の辛かったことを乗り越えていく。

でも夕子は、不思議な人だったなぁ~。
最後までよくわからないかんじの人でした。



表紙の絵を最初に見たとき漫画チックな絵と本の内容があまりも合ってないようで「?」と思ったのですが、文中にも出てくる漫画「地獄のサラミちゃん」の作者・朝倉世界一さんの絵なんですね!!

そんな漫画の存在も知らず読んでいたので、違和感を抱いてしまったのですが・・・・
あとがきのばななさんの言葉を読んで、実際に存在する漫画と知りました。
読んでみたいなぁ~。

                                        ★★★

 

 
 
51XgukOf2jL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2011年6月


かつてテロリストだった男が、二十年ぶりに出所した週末。

赤軍派テロを首謀した男が、恩赦を受けて出所した。旧友たちの胸に甦る、失われた恋、裏切り、自殺した家族の記憶。あのとき彼らが正しいと信じた闘争は、いくつもの人生を決定的に損なった。明らかになる苦い真実と、やがて静かに湧き上がる未来への祈り----。
世界的ベストセラー『朗読者』の著者が描く、「もう一つの戦争」の物語。


                                           (新潮社HPより)



映画化された「朗読者」に続き読んだシュリンクの新作。
今度も時代は1940年代かな?
ドイツの赤軍派でテロ活動をしていた男・イェルクが恩赦により刑務所を出てきたところから物語は始まる。

イェルクに親代わりでもある姉のクリスティア-ネが郊外の自宅にイェルクを知る十数人を招いて週末(金曜日~日曜日)をともに過ごす企画をした。

招かれた者の職業はばらばら。
ジャ-ナリスト、牧師、実業家、教師、弁護士、翻訳家などなど。
それぞれの社会的立場からだったり、むかしのイェルクに抱いていた感情からだったり、イェルクにいろいろな意見を述べる。
イェルクのテロ行為自体を直接、言葉で攻める者は殆ど居ない中、
唯一、彼の息子・フェルナンディナンドが厳しく父親を批判する場面が終盤あり、それに対して何ら反論出来ないイェルクの姿が痛々しい。

自分なりの思想を正当化していた彼だったが、息子の言葉は胸に突き刺さるものがあったのか?

赤軍派の事件は日本にもあったけどよくわからない。
なんでそこまでのことをしようとしたのか?

週末の滞在期間を終え、イェルクの元を去って自分達の生活に戻る知人たちをどういう気持ちでイェルクが送ったか?
これから社会に出て生きていかなければならない元テロリスト。
でも最後、息子との関係に少し和解の兆しが見えた部分は希望かな?


シュリンクの書く物語は重たいものが題材だけど、読み応えあり!
まだ読んでない作品も近いうちに読もうと思う。


★★★★
 
 
 
 
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