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読んだ本の感想あれこれ。
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517kvDUUUqL__SX230_.jpg   発行年月:2011年9月


「博士の愛した数式」「猫を抱いて象と泳ぐ」など、その美しく詩的な小説世界に絶大なファンの多い小川さんの小説の中の言葉たちを“標本にする”というユニークな試み。電子書籍の波が押し寄せる今、失われつつある「紙の本」の中から言葉を取り出し、紙の上の博物館のように、分類、保管、展示する。小川洋子作品の小宇宙を存分に楽しめる、ビジュアルなガイドブックであり小川洋子論。


                             (文藝春秋HPより)


小川さんの遊び心がいいなぁ~。
小説のなかの言葉にも、センスの良さが窺える小川さんの作品ですが、この本には、そういう言葉がいっぱい詰まっている。
まさに言葉の博物館!

本をめくると・・・博物館館長からのご挨拶があり、小川さんの挨拶が綴られている。
そのなかに、小川さんの幼少期のことが書かれていて、なんとも微笑ましい。
生まれて初めて作ったクッキ-缶のなかの標本・・・あ~なんだかワクワクするなぁ~。
自分も似たようなことはやっていたっけ。


過去作品を紹介しながら、その作品のなかに出てくる言葉も披露していて、
まだ未読の作品もここで内容が少し知れたのは嬉しかった!

そんな未読作品のなかでは官能小説をというリクエストの元に書いたという「海」のなかの「バタフライ和文タイプ事務所」が一番、気になった!
物語の場面がタイプ事務所のなかというのもなんだか異質だし、新人タイピストと活字管理人との会話がユニ-ク。
こういう官能小説もありか?とこのセンスに脱帽!!

博物館内を巡りながらという進み方も面白く、よく考えたなぁ~、さすが!

写真も綺麗で幻想的で良かった。
ファンには嬉しい一冊でした(^^)


★★★★★
 
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51vQVEKZspL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2011年9月

くまにさそわれて散歩に出る。「あのこと」以来、初めて――。

1993年に書かれたデビュー作「神様」が、2011年の福島原発事故を受け、新たに生まれ変わった――。「群像」発表時より注目を集める話題の書!

2011年。わたしはあらためて、「神様2011」を書きました。原子力利用にともなう危険を警告する、という大上段にかまえた姿勢で書いたのでは、まったくありません。それよりもむしろ、日常は続いてゆく、けれどその日常は何かのことで大きく変化してしまう可能性をもつものだ、という大きな驚きの気持ちをこめて書きました。――<「あとがき」より>


                                     (講談社HPより)



神様をまだ読んでなかったけど、この本には先ず「神様」があり・・・
その後「神様2011」があり、二つを続けて読むと、平和でほのぼのとした日常が、変化してしまったことの怖さや切なさや哀しさや・・・いろいろな感情が沸いてきました。

短いお話なのに、そういう複雑な気持ちを抱かせる物語って凄いなぁ~。

すごく深い意味を感じた書でした!


★★★★★
 
d7383f00.jpg   発行年月:2011年8月


嫉妬、妄想、昂奮。その愉楽に、医師は溺れた。暗い衝動をえぐる邪心小説!

妻あり子なし、39歳、開業医。趣味、ヴィンテージ・スニーカー。連続レイプ犯。。水曜の夜ごと、川辺は暗い衝動に突き動かされる。救命救急医と浮気する妻に対する、嫉妬。邪悪な心が、無関心に付け込む時――。

                          (角川書店HPより)


嫌な話だったなぁ~。
医師が他人の家に忍び込み薬を静脈注射し強姦するなんて・・・。
気持ち悪くて吐き気がした。

でも、このバカ医者・川辺康之がどういう裁きを受けるのか、どんな天罰を桐野さんが与えてくれるのか、期待して読んだ。

被害者女性たちが、うまい具合に繋がっていき・・・・
川辺のクリニックで働く職員が医師が怪しいと気づく。

さてさて、どんな風に女性たちが川辺を懲らしめるのか!?
面白くなってきたぁ~と思ったけど・・・・・

こんな罰じゃまだ生ぬるいよぉ~桐野さん!
こんなバカ医者もっと痛めつけなきゃ!!

流行のツイッタ-で医師を追い込む過程は今時の方法で面白い!と思ったけど、これじゃまだまだ破滅という風でもない。

う~ん、ちょっと期待はずれだったな。
ぐいぐい読ませる力はさすがだったんだけど・・・


★★★
 
51pL66YST2L__SX230_.jpg   発行年月:2011年8月


自然を切り崩し、ロックフェスを誘致する以外に取柄もない山村。狭い日常に苛立つ高校生の広海は、村出身の女優・由貴美と出会い、囚われてゆくが、彼女が戻ってきたのは「村への復讐のため」。半信半疑のまま手伝う広海だが、由貴美にはもう1つ真の目的があった。そしてフェスの夜、取り返しのつかない事件が2人を襲い――。今年、吉川英治文学新人賞を受賞するなど注目の著者による傑作長篇



                                          (文藝春秋HPより)

村で開催されるロックフェスで高校生の広海と村の出身だが芸能界に入り村を出て行った由貴美が出会うことから物語が始まる。
広海は由貴美を見た瞬間から惹かれる。
そして、あるとき、偶然に村にあるダム湖で再会。
二人は急速に距離を縮めるが、広海はそのことを周囲には内緒にする。
クラスメイトや村の友達との間にも由貴美が村に戻ってきている噂が広がるが、大人たちは由貴美に対しては良い印象がない様子。


由貴美が村に戻ったのは、ロックフェスが見たかったからでもあるが、それよりも大きな目的が村に復讐をすることだと知る。

どんな恨みがあるのか?

父親が村長の広海には、由貴美の話は意外なことばかり。
村の選挙の不正により多額の金が動いているとか、村全体が隠蔽体質によって成り立つ人間関係だとか。

そして、そんな広海と由貴美に起きる悲劇。

あ~そんなぁ~!!

村の不正を一緒に暴こうと団結した広海と由貴美だったけど、やはり大人のル-ルに潰されたかんじで悔しい。

善人だと思っていた村長であり広海の父親・飛雄も実は怖い人だったんだ~。

なんだか、やるせない哀しい物語だったなぁ~。


ラスト、広海はこの後、どう行動するのか?
少し気になる。
続編はないのかな?


★★★

   
51UQ4swgEGL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2011年8月


狡猾で好色なノーベル賞受賞科学者ビアードは、同僚の発明を横取りしてひと儲けを狙っている。彼を取り巻く、優しくも打算的な女たち。残酷で移り気なマスメディア。欺瞞に満ちた科学界とエネルギー業界。ひとりの男の人生の悲哀とともに、現代社会の矛盾と滑稽さを容赦なく描き切る、イギリスの名匠による痛快でやがて悲しい最新長篇。



                                             (新潮社HPより)


いろいろな物語を書く作家だなぁ~。
今回のお話の主人公は、ノ-ベル賞科学者・ビア-ド。
ノ-ベル賞受賞後は、各地の講演など出向くものの、その後の研究成果はいまひとつ。
でも、ノ-ベル賞を受賞した事実があるだけで凄いと尊敬する!
普通ならば・・・・。

この主人公、私生活では全く尊敬出来ない。
5度目の結婚も破綻寸前。
今までの妻たちは、ビア-ドの女性関係のだらしなさに嫌気がさして別れているのだけど、懲りない人。
各地に講演に行ってはその地で女性に声をかける。
どうしたら、ベッドまで連れ込めるか?なんて妄想してる嫌なオヤジ^^;

ついには5番目の妻は反撃に出た。
自分も浮気をしたわけだけど、これがある事件を引き起こす。

自分の浮気は棚にあげ、妻の浮気相手には腹を立てるビア-ド。
まるでお子ちゃまですね・・・。

物語は3部構成で
1部は、ビア-ドの妻の浮気発覚に伴うある事件までの話。

2部は、5度目の結婚もついに終わり、独身の身になったビア-ドのその後。
そして、6番目の妻になる?メリッサとのこと。
仕事の方では同僚の研究成果を盗み、それをなんとか利益の出るものにしようと目論む。
あ~どこまで最低な男なんだろ?

3部では、ビア-ドの両親の話からビア-ドの子ども時代~青年時代の話が書かれ、なるほど~ビア-ゾの血は母親譲りであったのか?と納得。

最低な男だけど、運は良いみたい。
根っからの悪党というわけでもないから、どこか憎めないかんじもあるし・・・・

6番目の妻(?)との間に出来た娘・カトリオナがなにやらビア-ドの生き方を変えてくれそうなかんじだし、5番目の妻の浮気相手が尋ねて来て、告白されたことも、ビア-ドに何かを感じさせたかも?

最後に、ビア-ドのノ-ベル賞受賞時のスピ-チが載っていた。
これだけの言葉をしゃべった人の私生活が今まで読んでいたことなのか?と思うと、なんだか空しいかんじになったけど、案外、世の中、こういう矛盾だらけなのかもしれないなぁ~。

マキュ-アンのブラックなセンス炸裂なかんじの物語でした(^^)


★★★★★
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