トレードマークは中折れ帽に渋いチェックの替え上着。
女が淡い恋心を抱いたその紳士は----幽霊だった。
兼業漫画家の立石晴奈がまだ幼かった頃、
家族旅行中に放火にあい、実家が全焼した。
燃えさかる家の中から写真が一枚出てきたのだが、
写っていたのは家族の誰も知らない女性だった。
この出来事は立石家にとって長年の謎になっている。
馴染みのバーのバーテンダー・柳井にその話をすると、常連の炭津は「名探偵」だから話してみては、という。
晴奈は炭津に事件のあらましを語るのだが・・・・・・。
(光文社HPより)
幽霊の炭津の暮らしぶりもなかなか面白く、物語のなかにいろいろ登場する謎を解決していく推理の過程も楽しめた。
幽霊の炭津は、56歳のときに交通事故で亡くなっている。
廃校になった小学校を住処にし、柳井が経営するバ-に夜になると現われ、隅の席で柳井と会話をする。
柳井は特殊な能力で幽霊の姿を見ることが出来、炭津とは、若い頃会っていた。
漫画家の立石晴奈は、ある日、酔っ払いにからまれて困っているところを炭津に助けられ、その後バ-に一緒に寄り、店の雰囲気が気に入り、毎週顔を見せるようになる。
柳井と晴奈がそれぞれ、自分の過去に起きた話で不思議に思うことを話し、炭津がそれを解決していく。
晴奈が語った、幼い頃、旅行中に自宅が家事で全焼した事件での、いくつかの謎の真相には、ビックリ!なるほど~そういうことだったんだぁ~!!
真相がわかってから、もう一度この物語を読むにも面白いかも。
時間があったら、ササッと再読してみようかな?
ラストは、炭津がこの世に留まっていた理由がわかり、切ないけれど、なんだか温かい気持ちにもなれた。
うん、面白かったぁ~!
表題の「煙」は出てきたけど、「サクランボ」は?一度出てきたような気もするけど、
よく覚えてない^^;
やはり再読しなきゃ!
でも、この著者のほかの作品も是非、読んでみたい!と思わせてくれました♪
★★★★★
自分でも理解できない感情に突き動かされ、平凡な主婦・小夜子は若い美容師に執着する。やがて彼女のグロテスクな行為は家族も巻き込んでいく……。息苦しいまでに痛切な長篇小説。
(幻冬舎HPより)
物語は、主婦・親海小夜子、その夫・光太郎。
そして、小夜子の行きつけの美容院の美容師・山田海斗の3人が代わる代わる語るかたちで進行していく。
小夜子は、40歳台の専業主婦。
高校生の娘と夫と最近、新しい家に引っ越した。
夫婦仲は悪くなさそう。
そして、近所のヘアサロン・MINTへ行き、そこの美容師・山田海斗からメ-ルを受ける。
ただの営業メ-ルなのに、小夜子は返信する。
まあ、そこまでは別に変というほどの行動ではない。
けれど・・・・その後、小夜子はなぜか海斗に固執していく。
彼のアパ-トを探し当てたり、行きつけだと言っていた飲み屋を見つけたり・・・・
留守中に買い物したものをドアノブにかけて来たり・・・・・
ちょっと変わったおばさんくらいの認識だった海斗と、その恋人・唯も、段々、小夜子の行動に気味悪さを覚えてくる。
読んでいながらも・・・・なんだかイヤな人だな・・・と思いました。
特に、海斗のことが好きだとか、海斗とどううこうなりたいとか思っている様子は、ないのに
行動が意味不明で怖い。
夫の光太郎は、そんなちょっと「?」とは思いながらも短絡的に解釈してるのみ。
光太郎の物の考え方もちょっと可笑しい。
海斗の恋人・唯がついに小夜子の行動の異常さを暴露しに小夜子の元に乗り込んで行ったが、光太郎の発言に怯む。
ああ、この夫婦は、お互い、お似合いだ・・・と変な安心感を覚えてしまった^^;
ずっと嫌なかんじの雰囲気だったけど、なんだか最後のこの場面で、スッと解消。
なかなか面白かった。
スト-カ-行為って、こんな風にも生まれてしまうんだと、ちょっとショックだったけど、
気づかないうちに他人から見たら、行き過ぎた変な行動って、誰にも起こす可能性あるってことだな。
この表題の意味を考えると、なかなか深いと思う。
物語のなかに特に「木琴」が出てくるわけではないので
自分なりに想像するしかないけれど・・・。
心臓外科医は、なぜ消えた?
「ドナ-予定者」「友のいない男」「関西弁の呟き」
かすかな手がかりを、元刑事・鹿川奈月が追う!
医療ミステリ-界の気鋭が贈るノンストップ・サスペンス!
「私は孤独意外の何ものでもなかった。でも現実から目をそらし、憑かれたように動いた。佐藤基樹も、そういう生活をしていたのだろうか?」
肝臓移植のドナ-になるはずだった心臓外科医・佐藤基樹が失踪した。佐藤はかつての恋人・遼子から捜索を頼まれた元刑事・鹿川奈月は男の生まれ故郷を訪ねる。しかし、以前そこにおた「佐藤基樹」はまったくの別人だった。“佐藤”とは何者なのか?そして、なぜ逃げるのか?足取りを追う奈月は、孤独な男の影にいつしか自らを重ね合わせていた・・・・・。
(祥伝社HPより)
最初は、状況を飲み込むまでちょっと戸惑いましたが、途中から面白くなりました。
心臓外科医として信頼される仕事をしながらいた人がなぜ、突然、失踪したのか?
すごく疑問を持ちながら・・・・
そして、追う奈月が真相を掴んでいく様子が面白かった。
「佐藤基樹」と名乗っていた外科医の本当の名前は、棚田弘志であり、どうして名前を捨てて逃げ
どういう経緯で佐藤基樹になったのか?
ラストで明かされ・・・・・なるほど~といっぺんに納得出来ました。
言ってみれば、勘違いなんですが・・・・こういう状況にもしも追い込まれたら、あり得る話ではあると思う。
途中のハラハラドキドキ感も楽しかったし、真相が分かった後の、後日談にもホッとした。
まあまあ楽しめる作品だったと思います。
医療ミステリ-というには現場から離れ過ぎの話ではありましたが・・・・^^;
元刑事の奈月が、またどこかで登場する話しが読めるといいな。
逝ってしまったきみへの追想と祈り----。少年と教師、ひと夏の恋。
追悼式の日、合唱隊が歌い、彼は目を閉じる。夏休みの小さな港町で、少年は美しい教師に恋をした。海辺の出会い、ヨットレース、ビーチドレスと短い黒髪、そしてホテルの夜……織りなす記憶の重なりは、やがて沈黙に満たされる――妻を亡くした巨匠レンツが祈りを紡いだ物語、ドイツでベストセラーとなった清冽な恋愛小説。
(新潮社HPより)
物語は、学校の講堂での追悼式の場面で始まる。
その学校で英語を教えていた教師・シュテラ・べ-タ-ゼンの追悼式。
彼女は、生徒たちに人気があり同僚からも高く評価されていた。
そして、その追悼式のなか、一人の青年・クリスティアンは特別な想いでそこに居た。
先生と過ごした時間を思い出しながら・・・・
一言で言うと高校生と女教師の恋物語を描いたもので、そういう話は結構、過去にも読んだし、物語としてはありがちな設定です。
でも、物語のうしろにある背景が頭に浮かび、それがとても美しい。
海辺が近い場所が舞台で、そこで過ごす二人の姿はロマンチック。
状況として、よくわからない部分もあるのだけど・・・・
例えば・・・シュテラはクリスティアンになぜ、そしてどこに惹かれたのか?
事故の起きたときの状況もちょっとよく分からなかった。
それは、まあ置いておいて
80歳を過ぎてもこういう恋愛話を書けるレンツって、素敵だな。
ほかの物語も読んでみたくなった。
こういう雰囲気のある小説って好き。
海外の作品ぽくて・・・。
ビルマ難民を研究していた大学院生女子が、
ある日とつぜん原因不明の難病を発症。
自らが「難民」となり、日本社会をサバイブするはめになる。
命がけエッセイ!
(ポプラ社HPより)
壮絶な闘病記でありました。
この人の精神力の強さには脱帽です!!
自分だったら、とてもこんな風に行動したり、考えたり出来ない。
突然、発症した苦しみから、医療機関を転々とし、病名がつくまで約1年?
その間、あちらこちらの病院のあちらこちらの診療科に廻されている。
その間、一人で歩くのがやっとくらいの最悪な体調で、診療待ち時間は2~3時間とか。
運よく病名を診断してくれた先生に出会えたから良かったけど、出会えなかったら・・・・?と考えてなんだか凄く怖くなった。
病名が診断されたからといって、終わりではなく、そこからがまた凄い壮絶な治療のスタ-ト。
治療方針も確立されていないような病気で、この先どうなるのか?予後診断もつかないというのは、先が見えず、とても不安だと思う。
「死にたい」とさすがの著者も思ったときがあったけど、これを読んだら、そう思ってしまうのも非難する気持ちになれない。
しかし、どんなときも感じるのは、強い意志。
自分はこうしたい!と常に思っている。
そして、その意志に従って行動してしまう・・・なんてパワフル!!!
ちょっとした恋もあったのが、ちょっと救いだった。
彼女は今、現在どうしているんだろ?
気になったので、ブログに飛んでみた。
Blog http://wsary.blogspot.com/
うん、パワフルに活動している様子で、嬉しく思いました!
ホント、よく頑張ってる人だ!
★★★★★
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;