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読んだ本の感想あれこれ。
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61lpwkdwl2L__SX230_.jpg   発行年月:2011年12月


   著者初の推理小説、いよいよ登場!

   東京湾で発見された2つの遺体。
   殺人事件の鍵を握るのは、銅鐸と、
   遥か昔の哀しき“夜空の記憶”。
   充実の一途を辿る著者初のミステリが登場


                              (文藝春秋HPより)


久しぶりに手に取った伊集院さんの作品。
初めての推理小説とか。


物語の冒頭は昭和42年の夏。
3人の高専生(美智子・建侑・康次郎)が夜空の星を見ながら、将来の夢をお互いに叶えようと誓うその場の情景が目に浮かぶようなシ-ン。

それが突如、時代が変わり現在へ。
東京湾で若い女性と老人が一緒に繋がれた遺体が発見される。
二人の被害者の因果関係は?

冒頭、登場の3人は、この事件に何か関わりがあるのか?

謎だらけで読み進めました。
登場人物ばかりが、どんどん増えていき、誰が誰と繋がっているのか、混乱するので中盤くらいまでは、なかなか読むスピ-ドが上がらずでしたが、それ以降、少しずつ繋がっていく登場人物たち。

被害女性は、19歳の佐藤可菜子。
両親は三陸沖地震の二次災害で亡くなり、祖父に引き取られ高校までを一緒に過ごし、その後、好意を抱いていた先輩が東京に出たのを追って上京していた。
孫の行方が心配で、上京し手がかりを掴もうと警察に出向き、警視庁鑑識課の皆川と葛西と知り合う。
やがて東京湾の遺体が可菜子だと知ったあとの老人が痛々しかった。

もう一人の被害者は、85歳の佐田木泰治。
鍛治職人であり、捜索願が孫娘である由紀子から出されていた。

一見、何ら関連性のない、少女と老人ですが、犯人がわかると同時に、二人が最初の昭和の話の人物達と深い関わりのあることがわかりました。
そこに辿り着くまでが長かったけど、なるほど・・・・そういうふうに繋がっていたのか!?と納得。

推理小説ではあるけれど、事件そのものよりもそこに居る人物達の気持ちなどを想像して、事件に至るまでの出来事に、なんとも切ない気持ちにさせられた。

犯人の犯行動機はちょっとよくわからないけど、そこは想像するしかないか?

孫娘を亡くした老人が、かつて可菜子と耕した棚田にいるラストの風景も目に浮かぶようだった。
警察官の皆川と葛西が、それを思いやる言葉かけにもジ~ンと来るものがあった。

文章の美しさはさすがだなぁ~と久しぶりに読んで思った。


また推理小説を書かれるのかな?
次回作も期待したいと思います。



 

★★★★

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41lLJXUa2JL__SX230_.jpg   発行年月:2011年11月


   憶えていてね、と彼女は言った。
   忘れないで。
   美しく純粋な魂が奏でる、
   せつない祈りに満ちた純愛小説集。



                             (祥伝社HPより)


表題作を含む4つの短編集。
どの話も、美しい純愛だけど、儚げで切ないかんじ。

植物園や赤道儀室など共通のシチュエ-ションが出てくるけれど、主人公たちが全て繋がっているというわけではない。

前の日に読んだ恩田さんの「夢違」と、なにか被るようなものがあったので、比べてしまったのがイカンかんったか?
話はどれもそれなりに良いのですが・・・・ちょっと飽きてしまった^^;
暫く経ってから読めば、違った感想を持ったかも。

表題作より<夜の燕>が、印象的だった。
家が隣同士の少年・幸生と美織の恋。
お互いを意識しながら何故か素直に接することを拒んでしまう思春期を経て、大人になり夫婦になる。これはハッピ-な話?と期待したけど、幸せは長く続かず・・・・
あぁ~辛いな。


読み終えると、なんだかズ~ンと暗い気持ちになってしまった。

物語の主人公達は、彼らなりに幸せだったのかもしれないけれど・・・・。


                                         ★★★


51TLNQTE7zL__SX230_.jpg   発行年月:2011年11月


   「何かが教室に侵入してきた」。学校で頻発する、集団白昼夢。
   夢が記録されデータ化される時代、
   「夢判断」を手がける浩章のもとに、夢の解析依頼が入る。
   悪夢は現実化するのか? 
   戦慄と驚愕の幻視サスペンス。

                          

                                          (角川書店HPより)


面白かったぁ~!
恩田さんらしい物語でした♪

人類が夢を映像デ-タ化することに成功した。
物語は、夢診断をする男・野田浩章が主人公。

そして、物語の鍵を握る存在はかつて、兄の婚約者だった古藤結衣子。
予知夢を幼いときからみるという能力を持っていたが、交通事故で亡くなった・・・・とされている。
予知夢を何らかの悲劇が起きる前に利用できないか?と自らの夢を研究者に提供することで、悲劇から人を救いたいと思っていた。

亡くなったはずの結衣子らしい人を浩章が目撃。
そして、飛び込んで不可解な事件。

最初から、なんだか不気味なものが潜んでいるような、嫌なかんじ。

正体のわからないものって、怖い。

そして、終盤、舞台が奈良に飛ぶ。
奈良という土地柄は、不思議な話が似合う。

ゾクゾクするような不穏な気配が始終つきまとう物語だったけど、ラストは、ハッピ-エンドと捉えて良いかな?
わたしはハッピ-エンドだとしたいけど。。。。
読み手によって、いろいろな解釈が出来そうな終わり方も、また良いな・・・・。


★★★★★
609564d2.jpg発行年月:2011年6月

ガリレオシリーズ待望の最新長篇!

夏休みに美しい海辺の町にやってきた少年。そこで起きた事件は、事故か殺人か。少年は何をし、湯川は何に気づいてしまったのか

                      (文藝春秋HPより)



夏休み、父親の姉夫婦が経営する宿<緑岩荘>にひとりで宿泊するために来た小学5年生の恭平。
向かう電車のなかで湯川博士と居合わせる。
湯川は緑岩荘のある場所で開催される海底鉱物資源開発をすすめようとする企業の説明会に出席するために向かっていた。
そして、宿泊先を恭平が滞在する宿に決めた。

そして同じ宿の宿泊客・塚原正次が墜落死したという事件が起き、物語が始まる。
最初は、ただの事故死と思われたものが、他殺の疑いが出て、事件の真相が追求されていく。


事件は背景にあるけれど少年・恭平と湯川のやりとりが微笑ましい。
子ども相手でも喋り口調が変わらないのが可笑しいけど、少年からしたら、そういう湯川だから信頼に値する人物だと思ったのかも。

事件の真相が近づくにつれ、段々、嫌な雰囲気になってきた。
え?まさか?

う~ん。
事件の真相がわかったら、なんとも辛い。

殺された元刑事・塚原正次には何ら非はないのに・・・・。
気の毒としかいいようがない。



大切な人を守るために犯してしまった罪が、後々、その大切な人を苦しめることになる。

少年・恭平も成長する段階で、大きく悩むだろうな。
そのことを憂いながら、少年に言葉をかけた湯川の優しさに感動・・・・(/_;)


話の展開にはいつものことながら、さすがと思わせるものがあったけど、ちょっとどこかで読んだようなオチだったし、事件解決の後味がよくなかったので、★少なめでご勘弁^^;


 

★★★

 

 
51cJUp1DQOL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2011年12月

幕府海軍の最期。少年士官たちの箱館戦争を描く、書き下ろし歴史小説。



新政府に抗した旧幕府方は、榎本武揚のもと箱館に結集した。旧幕府海軍の佐々倉松太郎ら若き浦賀衆たちもこれに加わるが、開陽丸は沈没、新政府軍が箱館に迫る。歴史小説の気鋭が描く、少年たちの箱館戦争とその後。

                                         (角川書店HPより)


大政奉還、徳川幕崩壊。

幕府の海軍に属していた浦賀衆たちは、恭順を示した徳川の意に従う諸藩とは別に、自らの武士としての力を示そうと榎本武揚のもとに結集。
そこには、かつて幕府海軍として海陽丸に乗っていた、朝夷正太郎、三郎、佐々倉松太郎、
中島恒太郎、英次郎などの若者もいた。

佐々倉松太郎と中島恒太郎は、家が近く幼い時からの友。
松太郎の父・桐太郎はかつて太平洋を横断したが、肺病を患い家督を松太郎に譲っている。
恒太郎の父は、現在隊長を務め、桐太郎とも厚い信頼関係がある。

物語では、新政府軍を敵にまわす形で戦いを続けることになった者たちが、箱館で五稜郭を築き、そこで戦いに挑む姿を描いている。
歴史的に言うところの箱館戦争ということらしいが、あまり知らなかった^^;


そこで命を落とすことを使命のように感じている若者達の想いが切ない。

そして、一緒にこの地で死のうと誓いあいながら、生き延びた佐々倉松太郎のその後。

生き延びたことを恥と思う当時の考え方。
生きて帰ることの辛さ。

しかし、その後、松太郎は浦賀に造船所を造ることに決め、その計画を実行する。


植松さんの歴史物語は、読みやすく、よく知らなかったことを学ばせて貰ってとても勉強になります。
壮絶な戦いのなかで、生き延びた若者が、苦悩しながらも生きた物語としても感動しました!


                                     ★★★★★

 
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