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読んだ本の感想あれこれ。
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51H3QZKKKJL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2003年7月


死体のにおい、戦場の音……。

戦争の本質は、今も昔も変わらない。

「ミスター・ネルソン」女の子はまばたきもせず、わたしをまっすぐに見つめると、たずねました。
それは、わたしにとって運命的な質問でした。
「あなたは、人を殺しましたか?」
だれかにおなかをなぐられたような感じがしました。
わたしの体はこわばり、重くなり、教室の床にめりこんでいくような気がしました。----本文より


                                      (講談社HPより)



衝撃的な表題!
著者のネルソン氏は、1965年18歳で海兵隊に志願し、沖縄で1ヶ月の訓練の後、ベトナムの戦場へ向かった。
19歳でベトナムから帰還するまでの体験を綴っている。

表題の質問「あなたは人を殺しましたか?」の質問は、帰還後、温かく迎えてくれると思っていた家族の反応に戸惑い、無気力になりホ-ムレスとなったネルソン氏。
そんな彼の前に、高校の同級生で小学校教師をしているダイアンが現われる。
彼女は、ネルソン氏に戦争の話を子どもたちにして欲しいと依頼。
そして、子ども達をまえにしたときに投げかけられた言葉。


ストレ-トなこの質問に対して、ネルソン氏は、何も飾らない言葉で答え、自らの意志で人を殺したことを子どもたちに話す。
ネルソン氏の話を聞いて、涙を流しながら優しく触れてくれた少女。
責めているのではなく、赦すわけでもなく、ネルソン氏の心の痛みに同調したのかな?
そんな少女の態度にネルソン氏も多少は救われたのかも。

戦争の恐ろしさは、今までもいろいろな書物で読んだけれど、ネルソン氏の話を読んで普通の感覚を持った人が戦場という場所では人間が持っている感情を麻痺されてしまうことが一番恐ろしいことだと思った。


ネルソン氏が言うように、日本には憲法第9条がある。
「戦争をしない」と謳っている憲法。
アメリカの支配下のなかで掲げられた条文かもしれないけど、この憲法はとても大切なものだと思った。

どこの国も攻めることをしない国ですと謳っているのだから・・・・・。

世界中の国がこのような意識で他の国に武力攻撃をしないことが守られたらいいのにな。

子どもが読んでもわかりやすい本です。
たくさんの子どもたちに読んで欲しい本だと思った!


                                        ★★★★★
 
 
PR
51uDlWeUq-L__SX230_.jpg   発行年月:2012年1月


   
デザイン事務所で働くOL西野は上京して数年、東京での日々に流されるよう生きてきた。そんな日常の中で、ふと意識しだした年下デザイナー伊藤の存在。不器用な生き方の二人が恋を始めるのに必要なのは、今この瞬間のキス----(表題作)。さまざまなキスのシチュエーションを切りとって描く、温かくて切ない5つの物語。

                              (双葉社HPより)


いろいろな場面で生まれたキスまでの物語。

「フレンズ・キス」
幼馴染とのキスを思い出して、今も忘れずにどこかにその友のことを思う主人公。
今どうしてるかなぁ~と思う人の存在は誰にでもあるよね~?

「ガ-ルズ・キス」
高校の同級生同士がキス。でも二人は女子同士。
変ないやらしさは感じなかった。うん、こういうのもあり得る状況かも?

「パストディス・キス」
30代の同棲中の男女の関係。
元々は同じ会社勤務だったけど、その後女性が転職。
美味しい物を二人で食べているシ-ンがすごく幸せそうだった。

「イルミネ-ション・キス」
表題作。
年下の後輩と始まった関係。
料理が得意な彼氏・・・羨ましい^^;


「ハウスズバンド・キス」
妻が仕事を続けられるように、自らが専業主夫となった健太が格好良い!
新しい夫婦の形だな・・・。


どの話も素敵なキスの場面があって、ほんわか気分になれました。

パステル調の表紙も良いな。



 
★★★
514hNRNfGSL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2012年1月


それは真っ赤な贋作か、知られざる真作か? 傑作アートミステリー!

ニューヨーク近代美術館(MoMA)の学芸員ティム・ブラウンは、スイスの大邸宅でありえない絵を目にしていた。ルソーの名作『夢』とほとんど同じ構図、同じタッチ。持ち主の富豪は真贋を正しく判定した者に作品を譲ると告げる。好敵手(ライバル)は日本人研究者、早川織絵。リミットは七日間――。カンヴァスに塗り籠められた真実に迫る渾身の長編!


                                          (新潮社HPより)


マハさんの経歴(美術史を学び、ニュ-ヨ-ク近代美術館勤務の経験あり)を活かした、素晴らしい物語でした!!
今までのマハさんの作品のなかで一番かも!

美術に詳しいわけではないけど、アンリ・ルソ-の絵はとても好き。
表紙のこの絵も素敵だなぁ~(#^.^#)と本を開きました。
そして読み終えてみると、またさらに好きになりました。


主人公の早川織江とティムとの1枚の絵を巡るやり取りも良かったけど、途中に挟まれるルソ-の物語にも惹かれました。
ルソ-とピカソに親交があったなんて・・・。
この二組の絵画に賭ける情熱のようなものが、絵画知識が全くない、わたしにも伝わって来たのは、それを伝えようする著者の力量でしょう!


ルソ-は絵画の評価はイマイチで没後に価値があがった不運の画家のイメ-ジを持っていましたが、この物語によって決して不幸ではなかったのでは?なんてちょっと救いにも思えたのも良かった。


またこんな美術絡みの物語を読ませて欲しいなぁ~。


★★★★★


 
 
7d893c1d.jpeg   発行年月:2012年1月


   小劇団を主宰する大輔と瑞穂夫婦は、児童養護施設に暮らす小学生のひなたを週末だけ里親として預かることなった。天才的子役の才能を持つひなたをめぐり、瑞穂、大輔の三者三様の視点で、現代の新しい家族の在り方をコミカルに描く長編小説。



                              (朝日新聞出版HPより)



大輔・瑞穂の夫婦とひなたの関係が、ほのぼの。

施設で催されていた劇で主役を務めていた、ひなたの演技力に驚嘆して、週末里親に、ひなたを受け入れることに決めた大輔たち。
大輔が依頼人から頼まれた設定の通り、完璧な演技をするひなた。

病気の老人を見舞う孫娘を演じたり・・・・
そして、大輔の主宰する劇団の舞台にも立つようになる。

当初は、子どもの役者が欲しくて、ひなたを預かっていた大輔たちだったけれど、ひなた自身に愛情が沸いてくる。


瑞穂は、無性愛者という変わった設定で、大輔と夫婦ではあるけれど、夫婦という関係を築いていることで世間的に暮らしやすいからという割り切った考え方。

そこにひなたが入ることで、他人からみれば、子どもがいる家族。

ひなたには、母親が居るのだけど、育児放棄の末、施設で暮らすことになった為、母親に対しては嫌悪感しか抱いていない。

終盤、大輔の言った「・・・・俺と瑞穂とひなたは、3人のチ-ムなんです」という言葉はいい!
無理に家族になろうとしなくても、良い人間関係を築いているチームと思えば、ひなたも受け入れ易いでしょう。
10歳のひなたが、大輔夫婦と知り合い、今後も成長しながら、このチ-ムが継続していったら素敵だな。


シェークスピアを愛する大輔のせりふも面白かった♪


                                           ★★★
417FpcF9QLL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2012年1月


有人潜水調査船〈しんかい6500〉の女性初のパイロットを目指す深雪。
深海に棲む未確認巨大生物を追い求める浩二。
目的は違えど想いは一つ「深海へ」。
海洋調査をめぐる冒険恋愛小説の傑作!



                         (幻冬舎HPより)



面白かった!

独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の存在を今まで知らなかったけれど、ちゃんと実在する機関で<しんかい6500>で深海の闇を日々、探索しているとか。

この物語の主人公は、天谷美雪。深海を潜る有人潜水調査船のパイロットを目指している。
父親もかつては同じ機関で、海洋調査技術の専門家として、調査船の開発に関わり幼いときから、父の話はよく聞かされていた。そして自分もいつか父の造った船で深海を調査したいと思っていた。

そして、同じような想いで中途採用されてきた高峰浩二。
彼の父親は深海生物学者で、以前、深海に潜り<白い糸>のような生物を見たと言っていた。
その糸の先には閃光があり、新種の生物だと確信したが、ほかの者にはその主張が認められることなく、つい最近、海に転落死している。
自分は父親の見たものを確認する為に、今までの勤め先を辞して来たと言う。

当初、そんな高峰に、訓練をずっと続けている自分ですら深海に潜れるかどうかわからないのに、新参者の身でそんなことを言うのは場違いだと憤りを覚える深雪。

二人の関係が衝突しながらも同じ思いでいる者同士ということで、和解していく様子が良かった。

そして、突如現われた深雪の弟・陽生(小4で10歳)。
深雪の両親は離婚していて陽生は、父の再婚後の息子。

二人はわけあって一緒に暮らすことになる。
この二人の関係も面白かった。


深海探索にかける者たちの思いとともに登場人物たちの人間関係も面白く読めた。

四方を海に囲まれた日本。
深海探索が進めば、いろいろなことがどんどん発見されていきそう。

この物語のなかに登場した新生生物だって、見つからないだけでどこかにいそうな気もするし・・・
なんだか夢が広がるような話だった。

参考文献もたくさんで、いろいろ資料を集めて勉強して書かれた物語なんだと思った!

「マタタビ潔子の猫魂」でダヴィンチ文学賞大賞を受賞してデビュ-。
本作が受賞後第1作目となるらしい。

デビュ-作も是非、読んでみたい!!


                                         ★★★★★

 
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