これは神の悪戯か、一冊の本が狂わす人間の運命----
表題作をはじめ、万華鏡の如く広がる七つの小説世界。
引き込まれるストーリー、予想外の結末!
『ジウ』『ストロベリーナイト』で大人気の著者が贈る傑作小説集。
(中央公論新社HPより)
7つの短編集
「帰省」
「贖罪の地」
「天使のレシ-ト」
「あなたの本」
「見守ることしかできなくて」
「最後の街」
「交番勤務の宇宙人」
最初の2つ「帰省」と「贖罪の地」は、ちょっと不気味な話で、イヤ~な雰囲気に包まれるようなかんじ。
「天使のレシ-ト」と「あなたの本」は、不思議な話。
明るい話ではなく、最後にちょっとゾッとする。
「見守ることしかできなくて」と「最後の街」は、最後におぉ~とちょっと感動。
「交番勤務の宇宙人」これが一番、気に入った!
面白い設定で場面を頭のなかで想像すると可笑しい。
宇宙人が地球の交番勤務なんて・・・・最高~!!
ひとつひとつには、すごい感動とかないけど、よくもいろんな雰囲気の話が思いつくものだということには感心しちゃう。
長編の方が、いいけどたまには、こんな遊び感覚の作品もいいか?
★★★
運命的でも情熱的でもないけれど、互いを必要としている二人の恋。
一人でだって生きてはいけるけれど、あなたとだったらもっと楽しい。
泣いて笑って温かい、著者の魅力全開の感動長編!
(幻冬舎HPより)
4章からなる物語。
主人公は二人。
葉山亮太と上村小春。
「米袋は明日を開く」
中学3年生~高校3年生
中学最後の体育祭で米袋ジャンプにペアで臨むところから、二人の関わりがスタ-トする。
そして、高校3年生で上村から告白。葉山は戸惑いつつも付き合う二人。
「水をためれば何かがわかる」
大学生になった二人。
小春は短大で保育士を目指す。
亮太は小春の通う近くの大学に入学し、一人暮らしを始める。
「僕が破れるいくつかのこと」
小春は短大を卒業し保育士として働き始める。
亮太はバイトを掛け持ちしながらお金を貯める。
合コン先で鈴原えみりと知り合い、一方的に好意を持たれる。
小春から別れを切り出され交際は一時ストップ。
「僕らのごはんは明日で待ってる」
亮太と小春は結婚して2年。
小春が妊娠するが・・・。
ごくごく有り触れた日常の連続のなかに、いろいろな物語がありました。
亮太の家族にも小春の家族にも深刻なことは起きたりするけれど、二人はいつもそばにいて、お互いの気持ちを思いやりながら過ごしている。
最初の章での二人の関係は、小春が暗くて無気力な亮太を常にリ-ドするかんじで、なんだか可笑しい。
第三章で別れようと言い去っていく小春を呆然と見送りながら、後日、自分の気持ちを伝えたところは、おぉ~!と感動した。
最後の章は、既に結婚しているので、ホッとしながらも、また新たに起きた問題に、二人で乗り越えていこうという終わり。
中学校で国語を教えていたと記憶してた瀬尾さん。
2011年に退職されて、作家活動に専念することに決めたんですね!
これから、またどんどん素敵な作品を読ませてください!
★★★★
結婚詐欺師を通して描く男女の業と性(さが)
結婚願望を捨てきれない女、
現状に満足しない女に巧みに入り込む結婚詐欺師・古海。
だが、彼の心にも埋められない闇があった……。
父・井上光晴の同名小説にオマージュを捧げる長編小説。
(角川書店HPより)
表題から想像していたかんじとは、全く別物の物語。
結婚詐欺師・古海健児(うるみけんじ)は、名前を変え、いろいろな女性に近づく。
その詐欺行為を操っている千石るり子との関係もナンだか意味あり。
騙される女性たち
柊亜佐子・・・学習塾の事務員。エッセイ教室で知り合う。マンションの頭金を騙し取られる。
円地マユリ・・・クラブ歌手。ワインの会で知り合う。
七戸鈴子・・・津軽の豪農の娘。
穂原鳩子・・・家事代行サ-ビスの会社勤務。古海と知り合い、夫に離婚してほしいと告げ別れる。
間宮千種・・・古海に騙されたあと、実家に帰郷。
初音・・・古海の妻。古海の裏の顔を知らない。
一応、メモを取りながら読んだので、漏れはないと思うけど・・沢山の女性が騙される。
騙されたことに気づく者。気づかない者。気づいてても信じたいと思っている者。いろいろ・・・。
しかし、こんなに沢山の女性を一時とはいえ虜にするんだから、古海という男には魅力があるんだろうな~。
宝石鑑定士を名乗り、結婚を匂わせて女性からお金を騙し取る。
女性達は、優しい言葉で自分を愛してくれる(演技だけど)古海に心を許してしまう。
結婚詐欺なんて、引っかかる方も悪いでしょ?なんて今まで思って来たけど、
騙されてしまう気持ちも、わからなくはないな・・・なんて思ってしまった。
マメなんだなぁ~詐欺師・古海は。
女性の敵だけど、古海に幸せな思いをさせてもらっている女性達は不幸とは言い難い部分もあるし・・・・。
騙された女性たちのなかでも鳩子の話が一番、面白かった。
夫に古海の存在を告げ、離婚はしたけれど、その夫からは離婚を告げたときひどい暴力を受けていて、そんな思いまでしながらの古海のことを想ったのに、騙されていたことに気づき、詐欺の片棒を担いでいる千石るり子のことも追い詰める。けれど、優しかった古海のことを憎み切れないかんじ。
また古海の妻・初音もちょっと曲者っぽい。
可愛い妻を演じているかんじで、古海もまた騙されている部分がある。
ここに出て来る人たちのこの後がとても気になる終わり方。
なかなか面白かった!
荒野さんのお父さん、井上光晴さんの書いた「結婚」も気になるなぁ~。
妹を連れて命がけの旅に出た。
幼い兄妹は雪に閉ざされた村を出て零下30℃、
150kmの道のりを2週間かけて歩き通す過酷で幸福な旅に出た
(本の帯文より)
新聞の文芸紹介で載っていて気になったので図書館で借りてみました。
この表紙の表題と写真もインパクト大!
確かにこれは凄い本でした!!
著者は、冒険家であり写真家であり作家でもある。
15年ほど前(1994年現在)にザンスカ-ルを訪れたときに出会った一家との温かい交流はいまも続いているという。
ザンスカ-ルって何処?
インドの最北部ジャンム-・カシュミ-ル州にある標高3500~7000mの高地だそうです。
夏季は快適な暮らしだけれど、冬季は、マイナス30℃までになりザンスカ-ル河は凍る場所。
本書では、そんな凍った河沿いに歩いた旅の様子が多くの写真とともに綴られる。
写真はどれも綺麗だけれど、そこに人間が一緒に写っていることが信じられないような厳しい状況。
凍った河に沿って歩くと言っても、とても危険な場所が多くて、当時まだ11歳の兄・モトゥプと8歳の妹・ディスキットがよくこんな険しい場所を2週間も泣き言ひとつ言わずに歩き通したことに驚く。
表紙の写真は、旅の途中、夜に炊く枯れ枝を集める作業をディスキットが大人たちと同じように行っている写真。
でも、この夜、狼がキャンプに近づいてきたときには怖くて泣いたとか。
それでも夜は皆で洞窟に会話をしながら楽しい時間を過ごす。
食事は、乾燥した空気と寒さから身を守るため、バタ-と塩の入った紅茶をたくさん飲み大麦を料理したもの
lこの書を読んで写真を見ていると、彼らの暮らしに比べたら恵まれている環境で、のほほんと暮らしている自分が、なんだか恥ずかしくなる。
巻末には、紹介された写真が再び小さく白黒で載り、詳しい解説がついている。
モトゥプの顔もとても精悍!
村を離れて兄妹は学校で真面目に勉強し、とても優秀で、二人とも目標を持っている。
今現在は、既にその目標を達成しているだろうか?
ちょっと彼らのその後が気になるところ。
直木賞作家がおくる、暗黒の少女小説。
ある午後、あたしはひたすら山を登っていた。
そこにあるはずの、あってほしくない「あるもの」に出逢うために--
子供という絶望の季節を生き延びようとあがく魂を描く、
直木賞作家の初期傑作。
(角川書店HPより)
桜庭作品のちょっと前の作品。
本作品は2004年に富士見ミステリ-文庫より刊行されたと解説がありました。
その後、角川書店でも発売されているという珍しい経緯を取る作品。
↑の解説文は角川書店のHPより借りました。
長女が図書館から借りて、「一気読みの面白さ」と言うし、未読だったので読んでみた次第。
なるほど・・・・おもしろいというとちょっと語弊ががあるけれど、凄い本だった!
中学2年生の少女2人が主な人物。
山田なぎさのクラスに転校してきた風変わりな海野藻屑。
藻屑の父親はかつて有名なバンドのメンバ-で、ルックスもよく人気があった。
藻屑も綺麗な顔をしていて、お金持ちらしく持ち物は全て有名ブランドの物。
けれど、あまりにも不可解な言動なので、最初こそ皆が取り囲んだけれど、そのうち誰も近づかなくなる。
そんな藻屑を最初から遠巻きに冷静に見ていた、山田なぎさ。
藻屑がなぎさに接近し、疎ましく思いつつも次第に一緒に行動する二人。
二人の少女には、共通するものがあった。
藻屑は父親から虐待を受けている。
なぎさは、父親を亡くし、母親と兄との3人暮らしだけど兄は引きこもりでパ-トで働く母親に代わり家事をこなす毎日。
少女たちの家庭環境は過酷。
風変わりな奇行とも思われる行動をする藻屑だけど、追い込まれた環境のなかにいたことを思うと切なくて哀れでなんだかとても愛おしい。
痛めつけられても父親のことが大好きだと言う。
そして冒頭の新聞記事の事件は起きてしまう。
最初から起きてしまう悲劇を予告されているので、辛い。
けれど、なぎさの周辺では、ちょっと良い変化があったことが救いかな?
担任教師にも好感が持てたし。
衝撃的な物語だったなぁ~。
この表題が物語を読んだあとだと、たまらなく切なくかんじる。
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;