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読んだ本の感想あれこれ。
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51x7qY6GjPL__SX230_.jpg   発行年月:2012年3月

  
  謎めいた女の手引きで降霊の儀式に導かれた初老の男。
  死者と生者が語り合う禁忌に魅入られた男が
  魂の遍歴の末に見たものは……。
  至高の恋愛小説であり、一級の戦争文学であり、
  極めつきの現代怪異譚-----。まさに浅田文学の真骨頂!


                        (朝日新聞出版HPより)


表題の通り、ある男が謎の女性に連れられて、行った先で、過去の知り合いで会いたいと思う人に会わせてくれると外国人女性・ミセス・ジョ-ンズに言われ戸惑う男。
過去の知り合いは、ジョ-ンズ夫人の姪・メアリ-が霊言として語りかけてくる。

そして、男の過去の話へ・・・
話は2つ。
最初の話は男が9歳の頃の話。
転校生の山野井清との出来事。
清は、父親が銀行員でその勤めの関係で転校してきたと先生は説明したが・・・・・

清の父親も男の父親も共に戦地で辛い思いを体験していた。
戦争が終わったが、清の父親は、ソ連兵の下で武装解除したので、そのままシベリアに抑留され3年の歳月を強制労働に費やした。
一方、男の父親は、アメリカに対して降伏したため、日本に帰国し家業の商売を継ぎ、現在も手広く繁盛させている。
同じように国の為に働いたのに、清の父は帰国後も共産主義に洗脳されているとして元の銀行員としての職はおろかまともな仕事には就けなかった。


男と清は友達として付き合っていたが、段々と清に対して嫌悪感を抱きはじめ
起きてしまう哀しい事故。

清が不憫で仕方ない。すごく優しくて良い子。
けれど、男が清に対してしたことは、さほど罪深いことだろうか?
9歳というまだ幼い子どもには、それを罪とするのは酷だろう。

清のことを気にかけていたおまわりさんも罪の意識を感じていたけれど、清には気にかけて貰っていた事が分かっていたようでちょっと救われた。


最初の話の方が印象が深かったので、その後再び、ミセス・ジョ-ンズを訪ねて今度は19歳のときの知り合いたちとの降霊会の話はイマイチだったな。
男のことがずっと好きだったのに、男はそれに気づかず(気づかないふりをしていたのか?)で、自ら離れていたった真澄と恋人だった百合子。
それから真澄のことが好きだった梶。
真澄の行動はよくわからず、哀しい最期を迎えた理由もちょっと???

9歳のときの話だけでよかったかも。


本の帯に 罪がない、とおっしゃるのですか----------

というインパクトある言葉がありましたが、これで罪があると言われたら、世の中の人、大抵が罪人だと思うんだけどな~。
自分では気づかないうちに誰かを傷つけている可能性は確かにあるとは思うけど。


                                            ★★★
PR
51tUGd9r9ML__SL500_AA300_.jpg発行年月:2012年4月


歴史的なプロジェクトを支える、15の職業と、そのしごとばを大公開! スカイツリーが完成するまでの建築過程や、タワーの秘密も満載。豪華しかけページには、「スカイツリー大解剖図」も収録。  【収録職業】 設計士/鉄工員/現場監督と職人/クレーンオペレーター/照明コンサルタント/エレベーター工/広報/地元の人びと



                                         (ブロンズ社HPより)


浜松市出身の絵本作家さん。
しごとばシリーズ最新刊は、今、話題の東京スカイツリ-。
2年半の間、足を何度も運び、関係各所に取材し、完成させたという本書。
絵本としては、勿論ですが、このなかに書かれている情報の多さにはビックリです!!
どの頁にも本の隅から隅まで、びっしりと絵と解説があり、見ていて飽きません。
いつまででも眺めていられるかんじ。

スカイツリ-製作に関わった人たちの仕事の様子が、丁寧に描かれていて、これは実際に関わった人たちにも思い出になる本だろうなぁ~なんて思ってみてました。


付属資料としてある エッセイマンガ 東京スカイツリ-取材日記も
またまた面白く、取材初日の様子から絵本完成までの記録ですが、のりたけさん、本当にお疲れ様でした!!と言いたくなるほど。


これは何か賞を貰ってもいい本だと思う。
のりたけさんの2年半をドキュメンタリ-番組として、何処かの局で作ってないかな?
なんてことも思ったり・・・。

兎に角、たくさんの人に手を取って欲しいなと思う本です♪


それから・・・・・
のりたけさんのブログもすごく好きで度々チェックしてます。
優しいパパとしての一面も見られてすごく、ほのぼのとした良いブログです。

よかったら、こちらから飛んでみてください♪



 
★★★★★
20010009784569804309_1.jpg   発行年月:2012年5月


   
天領である豊後日田(大分県日田市)で、私塾・咸宜園を主宰する広瀬淡窓(儒学者・詩人)と家業を継いだ弟・久兵衛の物語。入門にあたり年齢・学歴・身分を問わない淡窓の教育方針は当時としては画期的。全国から入門希望者が集まったが、お上にとっては危険な存在で、西国郡代からのいやがらせが続く。一方、掛屋を営む弟の久兵衛も、公共工事を請け負わされ、民の反発をかって苦境に陥っていた。

 そんな折、大塩平八郎の乱に加わった元塾生が淡窓のもとに逃げてくる。お上に叛旗を翻した乱に加わった弟子に対し、淡窓はどんな決断を下すのか。また久兵衛は難局を乗り切ることができるのか。

 本書は、直木賞作家である著者がデビュー以来、温めてきた題材。手を携えて困難に立ち向かいながらも清冽な生き方を貫こうとする広瀬兄弟の姿を通し、「長い雨が降り続いて心が折れそうになっても決して諦めてはいけない」というメッセージが切々と胸に迫る歴史小説。


                                          (PHP研究所HPより)


今回の物語も感動しました!!
葉室さんの物語の主人公達って、人として、正しく生きるとはこういう事なんだ!と思わせてくれる人物ばかり。

広瀬淡窓と久兵衛、兄弟のそれぞれが、自分の与えられた場所で、常に正しいと思うことを己の信念に基づいて行っている姿に感動する。

淡窓は、私塾<咸宜園>を主宰して、門下生たちに慕われている。
塾の評判は高く、それを己の功績としたい郡代の塩谷大四郎から何かと干渉されている。

そして久兵衛は兄の淡窓に代わり、家業の博多屋(日田代官所出入りの御用達商人として財をなしてきた)を継いでいる。そしてやはり塩谷大四郎からは、何かと無理難題を言いつけられ、筑前海岸の神殿開発には莫大な費用とに人夫を投じてやり遂げた。成功すれば自分の手柄とし、失敗すれば責任を押し付けるやり方に、兄弟そろって悩まされている。

兄弟が、それぞれに尊敬し合いよき理解者となり、窮地を乗り越えている様子がいい。

次々に悩みの種が舞い込むが、次はどう切り抜ける?と楽しみになるほどだった。

淡窓の妻・ななと久兵衛の妻・りょうも奥ゆかしいかんじでよかった。
久兵衛の思い出の人に似ている、千世とのことでは、本心では心穏やかでいられないような時もあっただろうけど、騒がず静かに成り行きを見守ってるかんじには、いじらしさを感じた。


昔、社会科で習った、天保の大飢饉と大塩平八郎の乱なども物語に登場し、こういう時代背景での物語りだったんだ~と思い、昔、習ったことを改めて学習したかんじ。

大塩平八郎も淡窓と同じ儒学者で、飢饉に苦しむ民の暮らしを何とかしなくてはと思う気持ちは同じだった。
けれど、大塩は、過激な手段を使ったことにより自滅したかたちになってしまった。

二人の対照的な顛末もなかなか興味深かった。


表題の「霖雨」とは、何日も降り続く雨の意味らしい。
兄弟の会話のなかで印象的だった言葉を記しておこう。


たとえ霖雨の中にあろうとも進むべき道を誤ってはならない

ひとを潤す慈雨となる生き方をしなければならない




葉室さんの物語を読んでいると心が綺麗になる気がします。


★★★★★
01120c35.jpeg   発行年月:2012年3月

わかば銀行から契約社員・梅澤梨花(41歳)が約一億円を横領した。梨花は発覚する前に、海外へ逃亡する。梨花は、果たして逃げ切れるのか? ----自分にあまり興味を抱かない会社員の夫と安定した生活を送っていた、正義感の強い平凡な主婦。年下の大学生・光太と出会ったことから、金銭感覚と日常が少しずつ少しずつ歪んでいき、「私には、ほしいものは、みな手に入る」と思いはじめる。夫とつましい生活をしながら、一方光太とはホテルのスイートに連泊し、高級寿司店で食事をし、高価な買い物をし・・・。そしてついには顧客のお金に手をつけてゆく。

                                      (角川春樹事務所HPより)


一気読み。
自分の勤める銀行のお金を横領した梅澤梨花の事件を起こすことに至った話を、事件後、彼女を知る人たちの話を交錯しながら進む物語。

主人公の梨花は、子どもの頃からボランティア精神のある優しい子だった。
結婚し、一時は専業主婦だったが、毎日の暮らしに何となく空しさのようなものがあり
銀行のパ-ト勤めに出る。
人当たりがよく優しい性格から、顧客たちの評判もよく、会社側も仕事ぶりを高評価して、フルタイムで働くことになる。

顧客の一人、平林孝三は、高齢の一人暮らしで、財産家。
梨花のことを気に入って、何かと用事を言いつけて家に呼びたがる。
しかし、高額取引者だったりするので、上司も梨花に穏便に取引継続されることを願う。
そして、ある日、孝三の家で孫の光太と知り合う。
大学生の光太は、苦学生だと自嘲し、孝三にお金を都合して貰おうと思ったけれど、ムリだったと語る。


優しい性格だからか、優柔不断なのか・・・・
ちょっと途中から「おぃ!それはマズイだろ?」と突っ込みを入れたくなる梨花の行動。

夫とは、不仲というわけではないけれど、会話のちょっとした部分で違和感を感じたり?
そんなことどこの夫婦にもあるだろうけどなぁ~。
そこに急に現われた自分を慕う若い男性の存在が、そんなふうにさせるのか?


お金を扱う仕事というのも、こんなことになる要因だろうなぁ~。
怖い怖い。


こういうの読むと、こんな状況におかれたら、誰でも同じような過ちを犯しかねないと思ってしまう。

梨花はその後、どうなるんだろ?
残された夫もどうなったんだろう?

特に感動とかはない話だったけど、おもしろかった。


                                          ★★★

413bYNWsfcL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2012年2月


あの忘れられない日を心に刻む、胸に迫るアンソロジー。
作家・詩人17人は、3.11後の世界に何を見たのか?
日本、アメリカ、イギリス同時刊行

2011年3月11日に発生した東日本大震災により、甚大な被害を受けた日本列島。福島原発の重大事故との闘いは、今後何十年も続く。大きく魂を揺さぶられた作家たちは、何を感じ、何を考えたのか?


                                             (講談社HPより)


谷川俊太郎・・・・・言葉
多和田葉子・・・・・不死の島
重松 清・・・・・おまじない
小川洋子・・・・・夜泣き帽子
川上弘美・・・・・神様2011
川上未映子・・・・・三月の毛糸
いしいしんじ・・・・・ルル
J.D.マクラッチ-・・・・・一年後 
池澤夏樹・・・・・美しい祖母の聖書
角田光代・・・・・ピ-ス
古川日出男・・・・・十六年後に泊まる
明川哲也・・・・・箱のはなし
バリ-・ユアグロ-・・・・・漁師の小舟で見た夢
佐伯一麦・・・・・日和山
阿部和重・・・・・RIDE ON TIME
村上 龍・・・・・ユ-カリの小さな葉
デイヴィッド・ピ-ス・・・・・惨事のあと、惨事のまえ


17人の作家たちによる物語。
3.11の当日のことを描いた物語もあれば、それ以降のことを描いたものもある。
そして、どの話にも胸に迫るものがあった。

最初の谷川さんの詩もいい。
言葉は壊れない・・・・・・

次の多和田さんの物語は、ちょっとSFっぽい要素があって、3.11を体験しての未来の話。
こんな風に本当になったら怖いな。初めての作家さんだけど、すごく印象的だった。
そのあと、重松さん~いしいしんじさんは知っている作家さんなので、うんうん、らしいな・・・というかんじ。
重松さん、小川さん、いしいさんの話には、温かい想いが感じられた。
特に、いしいさんの「ルル」は良かった!

外国の作家さんの話もなかなか興味深いかんじでバリ-・ユアグロ-氏の「漁師の小舟で見た夢」は、とても幻想的なかんじだった。
舞台は日本にしているので、文章だけ読むと外国の人が書いたとは思えないかんじ。


アンソロジ-のよさは、まだ読んだことのない作家さんの文章が読めること。

これを機にそれらの作家さんの近著も、そのうち読んでみよう。


★★★★
 
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