はるか昔、倭国の平和のために海を越え大陸をめざした人々がいた。それは、失われた歴史をつむぐ朝貢の旅。
いまにつながる、この国のはじまり。
日本人のルーツを壮大なスケールで描く、書き下ろし歴史ロマン小説
使譯(しえき/通訳)一族に伝わる四つの教えが、国を和の心へと導く――。
●人を裏切らない。 約束は守り、恩や親切を受けたならば、返さなければならない。
●人を恨まず、戦いを挑まない。 恨んで戦うと、天の恵みが受けられなくなる。
●良い習慣は才能を超える。 絶え間ない良い習慣があれば、才能など何の重みもない。
●骨休めは仕事と仕事の転換にある。 仕事の中味を変えるのが、骨休めなのだ。
(講談社HPより)
舞台は邪馬台国でしょうが・・・微妙に設定を変えて帚木さん独自の邪馬台国の話として成り立っていたかんじでした。
主人公は、日御子(卑弥呼)ではなく、代々、他国(漢)のことばを学び子から孫へと教えを受け継いでいく一族たち。
灰、圧、針、江女、朱、炎女、在、銘、治。
言葉の勉強とと共に大事な掟も守り抜き、それが国の和平にも繋がっていく。
一族は、遠い昔は漢の国から辿り着いたという。
そして弥魔大国(邪馬台国)を北九州北部に設定している。
実際の邪馬台国はどこにあったのか?歴史家たちの間でも諸説あるそうですが、この物語を読んでいると
この物語の通りでも違和感はないな・・・と思えた。
邪馬台国、卑弥呼・・・は学校の歴史で習ってはいるけれど、こうして物語で読むと、まだ日本の国内のなかに幾つも国があり、それぞれ王がいて、争いを繰り返していた時代に、平和な国づくりをするために努力した卑弥呼の偉大さを知ることが出来た。
読み応え十分の歴史ロマンでした!!
★★★★★
ヒロシマ原爆投下の後を生き抜いた若者たちの物語
ヒロシマ原爆投下のあとを、生き抜いた10代の若者たちは、
生き残った哀しみを記憶することで生きる力を得ようとする。
魂の救済の物語三編。
(偕成社HPより)
本の裏表紙の言葉
あの朝、ヒロシマでは一瞬で七万の人びとの命が奪われた
とあります。
この本には、その日を体験した3人の少年少女たちの物語。
自分たちは命こそ助かったけれど、心に深い傷を負ってしまった。
目の前で苦しんで命を落とす人たちをみて、自分はただ逃げることしか出来なかったと
責め続ける。
亡くなった人はどうして亡くならなければならなかったのか?
自分はどうして生き残ったのか?
何か出来ることはなかったのか?
実際に被爆した現存の方は段々と少なくなっていく。
わたしたちは、この事実を決して忘れることなく、後世に伝えていかなくてはならない。
この本は、そんな勤めを果たしてくれそう。
沢山の子どもたちにも是非、読んで欲しい書です。
あとがきでも、この物語を書いた著者の強い気持ちが伝わってきました。
★★★★★
新聞記者の千晶は父が遺した取材ノートから、
名画『マルセル』盗難の謎にのめりこみ・・・・
実在の未解決事件をモチーフにした芳醇かつ極上の絵画ミステリ!!
(毎日新聞社HPより)
実際にあった事件をモチ-フに描かれた物語。
1968年12月、京都国立近代美術館から何者かにより、ロ-トレックの描いた「マルセル」が盗まれた。
そして、7年後の時効成立後に名画は戻ってくる。
実際の事件では、犯人はわからず迷宮入り。
しかし、この物語では、その謎の事件の背景にあったことを物語として描いている。
主人公の瀬川千晶(36歳)は、父親と同じ新聞記者として働いている。
父が病で亡くなった後、遺品のなかにノ-トを発見。
過去の事件に取材メモ?
ロ-トレックの「マルセル」盗難事件についても記事を書いていた父。
そして、謎の絵はがき。
父親のことをデュ-クと呼びかける人物。
その絵はがきの届いた住所に何かヒントがありそうと訪ねていく千晶。
父が昔、住んでいたアパ-トは既になかったが、そこの所有者である人物と会う。
所有者は画廊経営者・真丘永。妻の葉子は喫茶店経営。
画廊に出入りする画家の佐木オリオと親しくなった千晶は、オリオと共に父の遺したノ-トを元に、事件の謎に迫っていく。
そして、盗難事件に父親が関わっていたこと。
物心ついたころから居なかった母親の存在も明かされていく。
謎の解明は、千晶の両親の実像を知ることにも繋がっていく。
謎がどんどん、深まりながら、最後にはいろいろなことがすっきり解明されて
なかなか面白い物語でした。
物語中に書かれていた、マルセルを描いたロ-トレックの生涯を描いた映画「赤い風車」も観てみたくなった。
ひとつの事件から、いろいろ構想を練って読み応え十分の物語を完成させた著者の努力に拍手!!
中国・台湾が領有権を主張する尖閣諸島。
中国が実力行使に出た時、日本は……。
政治的影響を睨みつつ展開される水面下での熾烈な駆け引き
と日中の軍事作戦の行方を、迫真の筆致で描く。
(中央公論新社HPより)
新聞の文芸コ-ナ-で見つけて図書館で借りました。
面白くて一気読み。
インパクトある表題。
正に今の日本の問題でもある尖閣諸島の領土問題。
それが、喪失しちゃうってこと??
どういう経緯でそうなるんだろう?と読み前からドキドキ。
水面下でジワジワと中国が尖閣奪還の作戦を遂行していく。
日本はそれに気づいてどうする??
そこに関わってくるアメリカ。
日米安保条約によって、日中間での武力抗争はない。
そして、表題の通り、尖閣は失われてしまう。
う~ん。
実際に、こんなことは起きないだろうと思うけれど・・・・いろいろ考えさせられたなぁ~。
日米安保条約って、ナンなんだ?とか。
この物語では中国が尖閣に上陸するけれど、無人島だから出来たこと。
だとしたら・・・日本はここを無人島にしておかなきゃいいじゃん。
なんて考え方が単純かな?
でも、そんなことできるならとっくにしてるだろうし・・・・・
それが出来ないのは何故なんだ?
そういえば、ちょっと前に石原都知事が尖閣諸島を買うと、その土地の地権者に申し出たというニュ-スがありました。
東京都が買う?とそのときは思ったけれど、このままじゃダメだという思いが強いからで
その行動力は凄いなと思った。
小説の背景が、日本の政治状況とか、この物語とドンピシャなので、凄いリアルに感じる部分もあった。
この物語のなかのように、強い姿勢で「ここは日本の領土だ!!」と態度で示すことが出来る人が国の政治を動かす人のなかに現われて欲しい!!
今後の尖閣諸島問題に、これからも注目していかなきゃ。
★★★★
木賞作家・角田光代さんが『オレンジページ』で連載を始めてから7年の月日が経ちました。その間に連載をまとめた『よなかの散歩』を2011年に刊行し、『まひるの散歩』は2冊目、いわば姉妹本のような存在です。 書かれている内容は「日々のこと」。新しい家電を買うかどうか迷って迷って購入した話、妻を自慢する男性たちの話(でも女性からしたら自慢が失敗してるんだけど、な話)、なんとなく作った料理が悶絶のおいしさに仕上がるも、二度と作れなくて無念な話……。だれもが同じような体験をしていて、読むと思わず「そうそう!」と共感してしまうような、毎日のあれこれが綴られています。そんな1冊です。
(オレンジペ-ジHPより)
角田さんの日ごろ考えていること、あれこれ。
うんうんと共感することが多く、楽しかったなぁ~。
食べ物の話、旅行の話。
そして愛猫・トトちゃんの話。
表紙の写真も可愛い♪
話の最後にある写真も、カラ-で見せて欲しい!!と思えるものばかり。
オレンジペ-ジにはきっともっと大きくカラ-で載ったんだろうなぁ~。
特に面白かったのは
「おれ、彼女いますよ」かな?
合コンの席とかで、そういう男の人について、語っていて、うんうん、そう思う!!と強く共感した話。
既刊の「よなかの散歩」も読んでみようかな?
★★★
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;