忍者ブログ
読んだ本の感想あれこれ。
[390]  [391]  [392]  [393]  [394]  [395]  [396]  [397]  [398]  [399]  [400
61VyjNuLYlL__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2012年7月


3.11後の夏。
伊豆の海を舞台に、ひとりの少女の心の
成長をみずみずしいタッチで描いた生命キラメク物語!



                        (出窓社HPより)



お友達から薦められた本。
舞台は伊東市八幡町。
著者自身がその土地に思い入れがある様子で、物語の主人公・太田翼(通称ツ-ちゃん)と同様
伊東の海を愛しているのがよ~く伝わって来た。

ツバサは、夏休みの自由研究に海女漁をテ-マにする。
父親は漁協に勤めていて海女保存会を作り、海女漁存続のために現役で海女漁をしているエツコ(通称:エッちゃん)に後進を育てるための手助けをして欲しいと交渉中。
しかし、エツコには、30年前、哀しい事故の経験があった。
海女漁で娘を亡くしている。
そして、その漁のとき船に居たのはツバサの祖父であった。

辛いことがあったけれど、今は70を過ぎたけれど漁を続けているエツコ。
ツバサの自由研究にも協力してくれる。
海の話を沢山してくれて、物言いが優しい。

海で知り合った高校生の小川アツコとの出会いもツバサを大きく成長させてくれた。
アツコは環境問題を学ぶために大学に行くと言い、学んだことをこの伊東の海を守ることに役立てたいと思っている。
アツコの先輩のマサルも海洋大学で栽培漁業について勉強しているという。


地元を愛し、自分がそこの環境を守っていくために何が出来るか?を真剣に考えて
行動している若者ばかりが登場する。

これは若者に読んで欲しい!
と著者が強く思って書かれたんだろうな。


磯焼けという言葉、恥ずかしながら初めて知りました。
物語のなかで、ツバサの小学生の弟が「海草が枯れちゃうことだよ」みたいな話をしてましたが
今の小学校では、習っていることなのかな?
日本全国の海で問題になっていることらしいけど、原因がはっきりせず、対策を立てるのが難しいとか。


読んでいて、勉強になることも多かったし
一人の少女の成長を描いた物語としても、とてもよかった!

3.11のことも触れて東北に暮らす人のことは、ずっと忘れず意識し続けていかなくてはいけないとも思った。


ササッと読めるのに、すごく内容の濃い1冊でした!!

多くの人に読まれるべき本です!!
とりあえず、家族に薦めてみよう。

★★★★★

 
 
PR
51HH5Zo6OgL__SX230_.jpg   発行年月:2012年10月


   伍代藩士の楠瀬譲と栞は互いに惹かれ合う仲だが、
   譲は藩主の密命を帯びて京の政情を探ることとなる。
   やがて栞の前には譲に思いを寄せる気丈な女性・五十鈴が現れる――
   激動の幕末維新を背景に、己の思いに忠実に生きた
   男女の清冽な姿を描く長編時代小説。


                          (朝日新聞出版HPより)


国学と和歌を教えていた父・檜垣鉄斎の後を継ぎ、此君堂(しくんどう)で和歌を教える栞。
そこに父の代から通っている楠瀬譲。
父は娘の栞が生前は譲の妻となることを望んでいたが、譲は藩主・伍代忠継の勧めで馬廻り役二百石の杉杉浦家の三女・由里を妻に迎え、鉄斎は落胆した。
そして密かに譲に譲に想いを寄せていた栞も同様だった。
しかし、由里が病で没し、譲は、母・弥生と娘・志穂と暮らしている身。

元々は相思相愛の二人ならば、共に暮らせばよいのでは?と思って読んでいたら・・・・
先妻・由里の妹・五十鈴が登場。
栞とは対象的に気が強そう。
そして藩主・忠継も譲と五十鈴を添わせたいと思っているようだと。

ええ?三角関係?なんて今時の恋愛小説のようなものをこの幕末の時代を背景に物語の軸とするのか??とちょっと焦ったりしたけれど・・・・・
さすがは葉室作品、そんなことが軸ではありませんでした^^;

五十鈴も最初は栞びいきで見ていたので嫌なかんじと思ってしまいましたが、
格好いい!
鋭い洞察力で藩主・忠継の妻になってからは、栞と譲を助ける働きをする。

江戸幕府の倒幕を目指し、尊皇攘夷派が企てにより戦を起こす時代のなかで、新しい国造りをする時期だと思いながらも幕府側で政情を探り奔走する譲の姿に攘夷派にいつか命を狙われてしまわないか?と栞と同様、ハラハラドキドキ。

攘夷派の佐倉健吾の存在は最後まで不気味だったなぁ~。

実際、佐倉の企みのせいである疑いをかけられ投獄されてしまう。
しかし、投獄されても志がぶれることはない。
これからの国造りについて同じく投獄された榎本武揚と熱く議論する姿は格好良い。

最後は恩赦のかたちで家に帰ることが出来、ホッとしたけれど、
この先は開拓使として北海道に一家で移住するというところで物語は終わる。

この先の暮らしも厳しいだろうなぁ~。
でも、愛する者と共に生きていかれたら・・・という思いなんだろうな。

「この君なくば一日もあらじ」・・・・・いつまでも胸に残る言葉です。


今回も良い話をありがとうございますm(__)m
著者の葉室さんに感謝!


★★★★★
 
 
51m3uak75QL__SX230_.jpg    発行年月:2012年9月

   
    近くて遠い異国で、彼女たちは何を見る?

    北京、台湾、上海。
    刻々と変化する隣国を訪れた3人の女達が未知の風景の中で出会う、
    未知の自分。飄々とした異国情緒溢れる中篇集


                           (文藝春秋HPより)



北京、上海、台湾・・・・行ったことないけれど、読みながらなんだか旅をしているような気分になれた。


<北京の春の白い服>
中国服飾美容出版社に唯一の日本人スタッフとして招聘された夏美。
この国で初めてのファッションマガジンを現地スタッフと作り上げるべく働く。
日本式のやり方をバンバン要求し、スタッフたちを圧倒させる夏美。
ふと、自分のやり方は現地スタッフには不快かも?と思ったりする。
休日、偶然知り合った北京で留学しているというコ-ジと共に出かけ、露天のおじさんに言われる
言葉が「マンマン・ゾウ」=慢慢走=のろのろ歩け=のんびり行け
この言葉、なんかいいな。


<時間の向こうの一週間>
夫の赴任先の上海に一緒に住むための家探しに日本から来た亜矢子。
一緒に家探しをする予定だったのに、夫は武漢に1週間の出張になってしまったと言う。
一人で過ごす上海での1週間。
夫が案内人の女性を頼んであるからと言ったが現われたのは男性。
親切にあちらこちらの物件を案内してくれるけど、本当は彼の元恋人が頼まれたことだったらしい。
夫が居なくても結構、面白い一週間だったんじゃないのかな?
お見合い広場が興味深かったなぁ~。


<天鐙幸福>
亡き母親の思い出の地・台湾。
生前、母親が言っていた「美雨には台湾に3人のおじさんがいるのよ」。
そしてそのうちの一人らしいおじさんから台湾に誘われ会いに行く。
電車のなかで、通訳をしてもらったことから現地の青年・トニ-仲良くなり一緒におじさんを訪ねる旅をする。
最後にやっと連絡をくれたおじさん宅へ。
そこで知る母親の台湾でのこと。
みんなが温かく主人公の美雨を受け入れてくれる様子が微笑ましい。
辛い時代もあったというおじさんたちがトニ-と美雨が仲良くしてくれると嬉しいという言葉が
印象的だった。


どの話もよかったなぁ~。
中国とは政治的にいろいろあるけれど、仲良く歩み寄っていけたら最強になれそうなんだけど・・・。
なんてふと思った。


                                          ★★★★




 

 
51vgUXdzPuL__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2012年10月


あたし、月夜は18歳。
紫の瞳を持った、無花果村のもらわれっ子。
誰よりも大好きだったお兄ちゃんに死なれてから、
あたしはどうもおかしくて…
少女の思いが世界を塗り替える。
そのとき村に起こった奇跡とは!?


                                           (角川書店HPより)


主人公・前嶋月夜の語りでどんどん物語が進む。
冒頭から、ひとつ年上の兄・奈落の葬式。
月夜が大好きだったお兄ちゃん。
家族はほかに父親と銀行員の8つ年上の兄・一郎。
月夜は、養女に貰われた子。
でも家族みなに愛されて育った様子。

奈落の死の真相が途中でわかる。
月夜にとっては辛い、その真相。

立ち直るまでには時間を要して当たり前の状況。

そんなとき、月夜の前に現われた密という名の青年。
月夜にだけお兄ちゃんと瓜二つに見える様子。
最初は戸惑う月夜だけど、自然に接し、中身は違う人だと理解する。
そして密も去っていく。

月夜がなんとか自分なりに心の整理をして、奈落の死を受け入れるまでの物語かな?
月夜の純真な想いが切ない。

でも18歳の女の子の日常は、明るく可愛らしかった。
ちょっと変わってる月夜だけれど、可愛いなと思った。

表紙の絵も雰囲気にピッタリ!
酒井絢子さんの絵っていいな。


★★★★
41woq3zbKeL__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2012年10月


人生のコツは深刻になりすぎへんこと。
ノーと言えないおっちゃん、キリオ。
彼のもとには次々と、なにかを胸に抱えた人たちがやってくる。
なんだかおかしい、なんとも不思議な連作短篇集。


                (筑摩書房HPより)



キオスクで働いているキリオ。
同僚のヨシノさんと二人、お客さんと対応している。
何故かキリオのところには変わったお客さんが次々やって来る。



<迷いへび>
キオスクで働いている姿を見て好きになったと家にまで押しかけてきたミイコ。
断ることもなく何故かそのまま一緒に暮らす。
が・・・・ある日突然、出て行く。
変な女性だな・・・・。

<調合人>
駅で販売機(?)のジュ-スを補充しているカワシマ。
彼の今までの話を聞くキリオ。
薬の調合を家でやって生計を立てていたときがあると言うが、なぜその仕事をやめたのか?
わかったときは怖かった!

<夕暮れ団子>
今何時ですか?とキリオに尋ね、お昼の2時半だと応えるキリオ。
一日中夕暮れのなかにいるように暗いと訴える女・ニシムラ。
なんとか治す手助けをして欲しいと言い、自分の後を付いてきて欲しいと。
キリオは、人が良いな・・・でも優しいな。

<トラの穴>
全く知らない女・ホシナから「大きくなったなぁ~」と言われるキリオ。
しかも泊めて欲しいと言われ断らない。
記憶を辿っていくと思い出した女がいた。
う~意味不明・・・^^;
でも面白いな。

<シャボン>
突然、一話目で出てきたミイコが帰ってくる。
というか・・・・キリオが帰宅したら家で料理作ってる!
この状況が凄いな。
しかも結局また出て行く。
でもキリオが10年待つと約束したのは驚いた。

<アジサイコ-ラ>
キオスクに脱脂綿あるかしら?と来た女性。
キリオがないと答えるとガ-ゼみたいなものでも良いと言うのでマスクならあると言い
それを買う女性。
暫くしたら再び来て、アジサイを差し出し、ガ-ゼに水を含ませてあるけれど、家で水に活けて
ほしいと。
秋なのに咲いていたアジサイは自然の摂理から浮いている・・・・なるほど~。
変な二人の会話だけれど、なんだか優しさが感じられて、いい。

<ミルキ->
5歳の男の子が駅でウロウロ。
迷子か?と声を掛けるキリオに男の子は一人で来たと妙にナマイキ。
おかあさんもおとうさんもいないと。
そこに母親らしき人が男の子を探して駆けて来るが逃げる。
逃げる拍子に発車する電車に飛び込んだキリオと男の子。
ちょっとファンタジ-っぽくていいかんじ。

<行方不明見届人>
絵の具をくださいとキオスクに来た中学生のエミ。
絵の具はないとキリオが答えると不満げ。
二人の会話が可笑しい。
話を聞くと学校がイヤ。行方不明になりたいから見届けてほしいという。
キリオの優しい人柄が少女の気持ちを和らげたかんじで、これも良い話でした♪

<空の中>
元銀行員だったときの同僚が訪ねてきて、儲け話を持ちかける。
その後、その息子がキリオの元へ。
ちょっと切ないけれど、キリオってやっぱり良い人。

<時の煮汁>
高校の同級生・キジマエミコに突然、呼び出され会う。
エミコは高校当時は学校のマドンナ的存在だったが、今も変わらない容姿。
しかし、エミコはキリオのように年を取りたい。
年を取りたくても取れない不都合さを切々と述べる。
そして隣に居させてほしいと。
律儀なキリオは、ミイコを10年後に迎え入れる約束を説明するがそれならそれまでの10年でも
いいから一緒にと。
う~ん。モテモテじゃん!キリオ・・・^m^



面白い、連作短編集でした!!
キリオには幸せになって欲しい!!


                                       ★★★★★

 




 
カレンダー
01 2025/02 03
S M T W T F S
1
3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28
メ-タ-
kyokoさんの読書メーター
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
[09/20 kyoko]
[05/23 のぶ]
[09/15 kyoko]
[09/14 ひろ]
[03/06 kyoko]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
kyoko
HP:
性別:
女性
自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
フリーエリア

Copyright (c)本を片手に・・・ All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  image by Night on the Planet  Template by tsukika

忍者ブログ [PR]