離婚を望む一人の女性の移りゆく心の軌跡
人はなぜ同じではいられないのか。幸福な結婚生活を送る森子。だのに別れを決心した。理由は夫として好きじゃなくなっただけ。そんな理由に納得がいかない夫と森子の平行線の日々は続き……。
(集英社HPより)
結婚して10年の夫婦。
夫は、大学の教育学部教授。
それでも森子は、夫と別れたいと家を出る。
夫は、離婚することには反対で、月に一度の話し合いを条件に別居すりことを許した。
メ-ルだったり電話だったり、二人の話し合いは続くが意見は平行線のまま。
物語は、結婚した当初の10年前の出来事と現在を交互に語りながら進む。
一人暮らしした森子は、空港の掃除スタッフとして働き、同じアパ-トの隣室の大村さん(こちらも一人暮らし?60歳目前の女性)とは部屋を行き来する仲になる。
森子と夫の10年前から別れる前の暮らしは、穏やかで微笑ましい。
読んでいるだけなら何も不愉快さを感じない。
森子自身も決して嫌いにはなっていないと言う。
う~ん。
こういう感情は男性には、全く理解不能だろうなぁ~。
森子の我侭としか思えないでしょう。
でもなんとなく森子の気持ちが分かってしまう、わたし・・・(^^ゞ
表題が過去形の「・・・ありました」でなくて「・・・・あります」というのは
まだ完全に離婚した状況ではないからかな?
ちょっと夫が気の毒ではあるけれど・・・たぶん森子は戻らないだろうな~。
★★★★
理想の女は「浮気を許してくれる都合のいい人」と言い切っていたフリーライターの長谷部は、突如として正反対のタイプに惹かれてしまう。結婚を前提に付き合ってほしいと迫るものの、恋愛は自分の気持ちだけでは成立しないという現実にうちのめされる。婚活中のOL・奈留美は、冷凍食品を温めた夕食を取りながら、合コンで一度会ったきりの漫画家にデートのお誘いメールを送信。今までのそっけなさすぎる返信とたび重なるドタキャンのことは忘れて、最後のチャンスに望みを託す。
(幻冬舎HPより)
上巻で登場人物たちの仕事や性格などのプロフィ-ル的なものが頭のなかにイメ-ジ出来ていたので
それぞれの人物たちがどうやって恋愛のパ-トナ-を見つけていくのか?
その過程が楽しかった(^^)
上巻では登場しなかった、覚本敬彦の兄・祐樹が出てきて、バイク事故を起こして漫画を描くことを休んでいたということで心配だったけれど、奥さんと娘と新たな道に進み始めたことがわかってホッとした。
途中からどんどんカップル誕生!!
え?この人がこの人と?というカップルもあれば、ああ、やっぱり二人は・・・・。
なんていうカップルも。
普通のOLの松尾奈留美が、恋愛のアドバイスをネット上で受けながら、覚本敬彦にめげずにアプロ-チしていく様子も微笑ましかった。
そのアドバイスをする側の「ヌエ」という人物の正体が途中でわかったのも面白かった。
なるほど・・・・そういうわけで的確なアドバイスが出来たんだぁ~(^^)
登場人物たちが漫画家だったり、その編集者だったりで、よく知らない仕事の裏側を知れたのも興味深く
本の表紙(裏表紙も)にある、フカザワナオコさんの漫画「おさきに読みました」も面白かった。
途中の一歩という表題もいい!!
★★★★
昨日と同じような一日から抜け出すために、
6人の独身男女はこれからの人生を共に過ごす
たった一人のパートナーを探し始めた。
悩める大人に愛と勇気を贈る、共感度120%の恋愛群像劇。
(幻冬舎HPより)
最初は、登場人物が次々出てきて、やや混乱した・・・(^^ゞ
でも途中から段々とそれぞれの人物に馴染みが出てきて、この先どうなる?と
想いながら楽しんで読めた。
主な人物は・・・
覚本敬彦・・・漫画家
相馬慧・・・大手広告代理店勤務
玉石研司・・・編集者(元覚本の担当で慧の友人であったため覚本を引き合わせた)
長谷部昇吾・・・覚本の同級生、ゴ-ストライタをしたり漫画の原作に関わったり大きなイベントも企画する
やる気満々、自信家な男。
西崎綾子・・・編集者(仕事のためなら女も捨てる?と噂されている仕事の出来る女)
緑川優・・・売れっ子漫画家。編集側の男と不倫関係にあったが・・・
松尾奈留美・・・OLで編集社との仕事上の付き合いもある。
男女6人とあるけれど、実際はもっといろんな人が登場。
彼らが今後、どんな風に恋愛をしていくのか?
上巻ではまだあまり進展がなかったので、下巻を早く読もう!
インターネット上ではじまる、不条理な「戦争」
デモ、炎上、ステルスマーケティング─―。市町村合併を巡って、市役所VS反対派の静かなゲリラ戦がはじまった。現代の「見えない戦争」を寓話的に描く、ヒット作『となり町戦争』に続く系譜の会心作。
(集英社HPより)
これは以前に読んだ『となり町戦争』のもうひとつの物語ということなのか?
A市とC町の統合話から始まる、市民町民間の見えない戦争。
実際、統廃合は、全国各地であるだろうけど、こんな風に表面上には出てこないところで
双方の住民たちの思いが衝突したら?と考えると、ちょっと不気味。
今はネットで個人の気持ちを公に匿名で表し、それに共感する人たちが集まり、ひとつの行動を
起こすことも可能な時代。
う~ん、ここに書かれた物語は、フィクションだけど、こんなことが実際にも起きる時が来るのかな?
なんて考えてしまった。
「となり町戦争」をもう一度読み返してみたくなった。
★★★
発行年月:2012年11月
生涯に1度しか書けなかった家族の物語
亡き父が遺した日記には娘への愛、家族との不仲、
そして恋人との魂の交流が記されていた。
生と死、家族を問い直す入魂の感動作
(文藝春秋HPより)
主人公の三國衿子は、離婚して一人暮らし。
文芸誌の出版の仕事をしている。
衿子の父・泰造は衿子がまだ幼いときに他の女性と家庭を持つために出て行った。
その後は母親と二人暮らしをしていたが、母親は現在、認知症を患い施設入所中。
父は新しい家庭を持ち、そちらでも娘が二人。
成人し、それぞれ家庭を持っている。
父はパ-キンソン病を患い手足の自由が利かず、施設入所。
そして亡くなった。
物語は、亡くなった後の葬儀の場面から、父が生前、交流のあった人たちの存在を知り
泰造の知らなかった一面を少しずつ知ることになる。
晩年は病気のため、殆ど話すことはなかった泰造。
しかし、話さなかったけれど、いろいろなことを考え、生きることの情熱も失ってなかったと知る。
娘としては、複雑な心境になるような事実も出てくるけれど、そんな風に生き抜いたのだと知れたのは嬉しいことなのかもしれない。
再婚後の生活のなかで、ほかに大事に想う女性の存在があったり・・・
短歌の会で親交を深めた女性との友情があったり・・・
自分は幼いときに父から捨てられたのだけど、自分のことを最後まで気に掛けてほかの二人の娘より深い愛情を感じていてくれたと知る遺された手紙の文面はジ~ンとした。
短歌を通じて知り合った女性と交わす手紙のなかに詠まれている歌も素敵だった!
そして巻末の著者のことばで、泰造の詠んだ歌は小池さんのお父様が実際に詠んだ歌だそうで
なんだか感動した!
この物語は、小池さんのお父様がモデルなんですかね?
読み応え十分の物語でした!
★★★★★
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;