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読んだ本の感想あれこれ。
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51V0u3Q4GAL__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2008年6月

下町の小さなレストラン、ビストロ・パ・マルでは相変わらず、変わり者の三舟シェフが素敵に美味しい料理の数々で客たちの舌を喜ばせ、相変わらずの名推理で客たちの持ち込む謎を解いてみせます。今回の目玉は、フランス時代の三舟シェフのエピソードが二つ。しかもひとつは、『タルト・タタンの夢』を読まれたあなたもきっと作ってごらんになったでしょう、あのヴァン・ショーにまつわる物語なのです。あなたの〈パ・マル〉へようこそ!

                           (東京創元社HPより)


『タルト・タタンの夢』の続編。
シェフ二人(三舟、志村)とソムリエ(金子)、ギャルソン(高築)4人だけの小さなレストランの物語。
今回も短編形式で、ちょっとした謎を三舟シェフが解明していく。


「錆びないスキレット」
どんなにちゃんと手入れをしても錆びてしまうスキレット(分厚い鋳鉄で出来たフライパン)の謎

「憂さばらしのピストゥ」
三舟シェフのレストランにいた頃は新米シェフだった青年が自分の店を出した。
そこに常連として来るのはその店のビルのオ-ナ-の娘。
ベジタリアンの彼女がそこで注文するピストゥが美味しいと聞いたが、三舟は、違和感を覚える。

「ブ-ランジェリ-のメロンパン」
パ・マルのオ-ナ-である小倉から、近いうち開店のパン屋のオープンにあたって手伝いをして欲しいと頼まれた三舟。
パンに合う料理を提供したいという。
そして、そのパン屋のすぐそばに、昔ながらのパン屋・ブランがあり・・・・。

「マドモアゼル・ブイヤベ-スにはご用心」
訪れると必ずブイヤベ-スを注文する女性客の目的は・・・・?

「氷姫」
ギャルソン・高梨がパ・マルに訪れた最初のエピソ-ド。
カキ氷が大好きだった片思いの女性とのはなし。

「天空の泉」
フランス時代の三舟シェフのエピソ-ド。
レストランで偶然、知り合った女性写真家・ヒサコに「星の王子さま」のスト-リ-を交えて
彼女の悩みを聞いたあとアドバイスをする。そして、気持ちを前向きに変える。

「ヴァン・ショ-をあなたに」
こちらもフランス時代の三舟シェフの話。
美味しいヴァン・ショ-をつくるという、おばあさんの元につれて行って貰ったシェフ。
しかし、今までと味が違うと連れて行った人は言う。
どうして味を変えたのか?


どれもミステリ-というほどの謎ではなかったのですが、何かに悩んでいる人の気持ちを聞いて
その憂いを取り除いてあげる三舟シェフの推理には今回も脱帽でした!

ギャルソン・高築くんの片思い~失恋の話は切なかったなぁ~。
これから、高築くんに良い人が現れるといいな。

それにしても三舟シェフ、格好いい!!

これは、まだまだ続いて欲しいです。



ここでちょっと訂正・・・・^^;
これを読んでいる主人から「氷姫」の語り手僕=高築くんじゃないのでは?
という指摘あり、再度よ~く読んだら、なるほどこれは高築くんじゃないですね。
高築くんの名前は智行で、ここでの僕は圭一ですから~。
言われれば、なんだか高築くんらしからぬかんじだし、ウエイタ-として高築くんがチラッと出てました。
高築くんは実は辛い恋を経験してたのかぁ~と思ったけど、別人でちょっとホッ。



 

★★★★★

 
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21NsvfbmLrL__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2013年3月


鳥のように、雲のように、その土地を辿る。ゆかしい地名に心惹かれる----。

作家の胸奥の「ものがたり」がはぐくまれる場所に、滋養を与える旅の記憶。49の土地の来歴を綴り重ねた葉篇随筆。読む者の心も、はるばると時を超える。旅に持ち歩く「薬草袋」のなかの、いい匂いのハーブのブーケや、愛着のある思い出のメモの切れ端のような……日常を生きるときの常備薬ともなり、魂を活性化する、軽やかな愛蔵本。


                       (新潮社HPより)


今回は、物語でなく地名について書いたエッセイ。
この表題の鳥と雲はなんなくわかるけれど、薬草袋とは?と思ったのですが、
最初の「タイトルのこと」を読んで納得しました!


登場する地名は49。
知らない地名も沢山。
冒頭の地図で確認しながら、読みました。
ちょっと社会科みたいに勉強するかんじで楽しかった。

住んでいる静岡県の地名は1つも登場せず、少し残念でしたが
お隣の愛知県の<蒲郡>が登場!
でも、この地名、南アルプス市と同じように「新しく生まれた地名」の括りで出てきたのが意外でした。
明治11年に蒲形村と西之郡村が合併して蒲郡村となったとか。

こうして読んでみると、近くの町名とかもその由来がちょっと気になってくるなぁ~。

タイトルの下に描かれていた小さな挿画も素敵でした♪


★★★★★
 

61fo1brOfPL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2013年3月


13世紀、フランス。“天啓”を受けた羊飼いの少年・エティエンヌの下へ集った数多の少年少女。彼らの目的は聖地エルサレムの奪還。だが国家、宗教、大人たちの野心が行く手を次々と阻む―。直木賞作家・皆川博子が作家生活40年余りを経て、ついに辿りついた最高傑作。 



                       (ポプラ社HPより)



少年十字軍のお話。
悲劇的な最後が待っているのかなぁ~と思いながら読み進めたけれど
史実に基づきながらも、悲しいだけでない物語だったので、最後はちょっと救われた。

ある日、神の啓示を受けた貧しい羊飼いの少年・エティエンヌ12歳と彼の力を信ずる子どもたちが聖地エルサレム奪還を目的に旅を続ける。
彼が本当に神に選ばれた者なのか、疑う者もあり、信ずる者もあり。
少年たちに付き添う形で大人も数人、途中から旅に加わる。

そしてエティエンヌに対抗心を燃やし、自ら胸に十字の焼印を押し、自分こそが神に選ばれた者であり
エティエンヌは偽者と申し出たレイモン。

レイモンとは対照的にエティエンヌは、始終、穏やか。
仲間のなかにけが人が出れば、癒しの力を使い、レイモンの瀕死状態も救う。

レイモンに仕えていた者もエティエンヌのほうを心の中では認めたり・・・・

そして、旅の仲間で唯一の女の子・アンヌ(13歳)の洞察力は鋭い。
アンヌ視点の、エティエンヌとレイモンについての語りの部分が興味深かかった。

聖地に向かう難所、海を目の前にしてのラストの場面は
現実と空想が入り混じるような不思議な感覚で果たして少年十字軍たちは、この先どうなる??と
はっきりした終わり方ではない。
けれど、史実通りならば・・・・・・・とあれこれ想像。

もう少し、別の書物でも少年十字軍について学んでみたいと思った。


読み応え十分でした!
表紙の絵も素敵です。

                                          ★★★★

 



 
51UZn9brltL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2013年1月


出口なし、人生も台なし! ローン地獄、建替え問題、娘の将来……「住」に翻弄される家族の真っ暗な現実を描く長篇小説。

バブル崩壊前夜、都心から1時間の分譲団地を購入した織部家。広大な敷地には緑があふれ、「ニュータウン」と持て囃されたが、築30年を越え、妻の頼子は理事会で建替え問題にかかわる。が、住民エゴで理事会は紛糾、娘の琴里は資産家の男とつきあい、一家は泥沼から脱出を試みるが……。社会問題を炙り出す気鋭の長篇エンターテインメント。

                                         (新潮社HPより)



織部家は前途多難・・・・うぅ~暗い話だ・・・・と冒頭から思った。
分譲団地の資産価値が急落し、住民の間で持ち上がった、建て替えにして新たな住民を呼び寄せようという意見が多く出てきた。

団地内の自治会役員になり、会合に出るたび、建て替え問題、賛成派、反対派の意見は平行線。
役員の一員である、織部頼子は、頭のなかで、建て替えされたら即、売ってしまうのもいいか?と考える。

その建て替え問題と平行して進む・織部家の長女・琴里(27歳)の話。
中学時代、同じ分譲住宅内に住んでいた同級生の坂本三起子と小川朋美。

3人で会う約束をしたが、朋美が来られず、三起子はイケメンの彼・黛環を連れてきた。
戸惑う琴里だが、ひょんなことから、黛とデ-トすることに・・・・そして三起子は別の男と海外へ行き、結婚したと後日、黛から聞く。
黛の実家は代々続く資産家でありことが判明。
黛は働かなくても、不動産を管理しているだけで食べていけるそう。

そして、黛からしつこく付きまとわれることになる琴里。
黛の本性が段々と分かってきて、お金持ちでも自由がないのは我慢できないと、別れを切り出す。
黛みたいな人が居たら、イヤだな。

悪い人じゃないかもしれないけど、自分を過大評価している姿が滑稽。
後半、黛の同級生から明かされた彼の本性を知って・・・ああ、なるほどね~と納得。

でも、その黛をうまく利用したのが朋美。
本性を見破ったうえで、それを利用して自分の夢を叶えてしまったのは、凄い!
マネできないけど、こういう選択もアリかな?


最初は、お先真っ暗な織部家だったけど、最後は、なんとか明るい展望も見えてきてホッ。
垣谷さんのお話は、最後にちょっと救われるから好き♪


★★★★


 
51vbMYluEvL__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2013年3月


また、あの基地に集まろう。そう誓ったのに

同級生4人の男子が作った秘密基地を巡る表題作「サクラ秘密基地」など夕焼けのような郷愁と、乾いた心に切ない涙を誘う6本の短編。

                       (文藝春秋HPより)




昭和を描いた短編6つ。

「サクラ秘密基地」
小学4年生のマナブ、同級生のヨシヒロ、その弟で小2のミツヒロ
ミツヒロの友達・ショ-スケ、4人は放課後一緒に遊ぶことが多く、本当の兄弟みたいに仲良しだった。
それぞれが抱えた家庭の事情を4人でいれば忘れられたのに・・・・・。

ショ-スケが可哀想で、胸が痛くなりました・・・(/_;)


「飛行物体ルル-」
小学校で同級生だった啓子とマリ。
お互いが当時は珍しいかぎっ子だったため、放課後は一緒に過ごすことが多かった。
二人でUFOの合成写真を撮ったら地元の新聞に掲載されマリが取材を受けた。
けれど、そのことが二人を仲たがいさせることに・・・・。

最後、啓子が入信した宗教団体が分かったときはゾッとした。


「コスモス通信」
よくわからない手紙が綴られて、誰かの思い出話?と思っていたら・・・・
その書いた本人は遺体で発見され、所持していた手紙だった!
うわ~気持ち悪い話。


「黄昏アルバム」
写した覚えのない写真が撮れるカメラ。
その元々の持ち主は・・・・

これもちょっと怖かったなぁ~。
死んでも強い思いはこの世に何か残すのかな?


「月光シスタ-ズ」
精神を病んで亡くなった母親のことを語る。
が、姉によると自分も母親と同じ病気を子どもの頃、患っていたと言う。

不思議な話、そしてやはり怖い。


「スズメ鈴松」
アパ-トの住人・鈴松と呼ばれた乱暴者の話。
酔っては暴れる男だけど、小2の息子・ヒロ坊には愛情を注ぐ優しい父親の姿を見せる。
そんな父子と親しくなった河本が語る。

最後はジ~ンと来た。
これは良い話で感動出来た。
最後がこの話でよかった!


どの話も読みやすく、引き込まれた。
読み終えてから表紙の絵を見ると・・・・泣ける(/_;)



 

★★★★

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