発行年月:2013年5月
この世界が素晴らしいのは動物たちがいるから──震えるような感動を呼び起こす連作小説。
たてがみはたっぷりとして瑞々しく、温かい──ディープインパクトの凱旋門賞への旅に帯同することになる一頭の馬、森の彼方此方に不思議な気配を残すビーバー、村のシンボルの兎、美しいティアーズラインを持つチーター、万華鏡のように発色する蝸牛……。人の孤独を包み込むかのような気高い動物たちの美しさ、優しさを、新鮮な物語に描く小説集。
(新潮社HPより)
・帯同馬
・ビ-バ-の小枝
・ハモニカ兎
・目隠しされた小鷺
・愛犬ベネディクト
・チ-タ-準備中
・断食蝸牛
・竜の子幼稚園
動物が出てくるお話8つ。
どのお話も少し不思議でおとぎ話のような雰囲気。
小川さんの文章は、いつも通り美しい。
どのお話もおかったけれど、特に気に入ったには・・・
後半の2つ。
<チ-タ-準備中>
動物園の売店で働く女性。
17年前にhを手放した。
hは・・・・?たぶん子ども?
仕事帰りにアイスクリム屋さんに寄るのが楽しみ。
24種のアイスクリ-ムは季節によって種類が変わるけれど、バニラだけは
いつもある。
けれど、バニラを注文する人は見ない。
女性はアイスクリ-ムをケ-スの端から順番に食べていくことにする。
細やかな日常を描きながら、その情景が目に浮かび楽しくなってくる。
そして・・・動物園である日、発見したh。
チ-タ-の檻の前でそれを見つけた。
チ-タ-は「cheetah」なんだぁ~
女性はそれから、別れたhを思うことを禁じていたが代わりにチ-タ-を日々
心のなかに思う。
<竜の子幼稚園>
遠い昔、5歳で亡くなった弟がいる。
弟の誕生日は3月3日。
私の仕事は、身代わりガラスをぶら下げて旅をする。
身代わりガラスは、何らかの理由で旅ができない人の代わりに、その人の身代わりの品を
ガラス瓶に入れたもの。
それを首からぶら下げて旅をする。
そして、同じように身代わりガラスを首から下げた男性と出会う。
男性が首から下げていたのは、タツノオトシゴ。
タツノオトシゴの輪郭は数字の3のよう。
そして二匹の姿は33・・・・3月3日。
最後の描写は、素敵だった!
これは最後のお話。
やさしい気持ちで本を閉じることができたかんじ(^^)
素敵な短編集でした!!
表紙の絵も素敵♪
★★★★★
PR
発行年月:2011年9月
瑞々しくも恐ろしい子どもの世界。
「倦怠を知ったのは、八歳のときだ」
感情のみなもとに視点を注いだ14編。
(筑摩書房HPより)
鈴
姉妹
ひよこにはならない
黒蜜
回る回る
九月の足音
黒い月曜日
雲雀
倦怠
砂のボ-ル
馬足街
どよどよ
壁
おはよう
子どもが主人公のお話たち。
既に大人になった者が子ども時代を思い出したものもあり。
自分の子ども時代のことを、ふと思い出すような話もあった。
ちょっとした描写が、ホラ-っぽい作品も幾つか。
「姉妹」「回る回る」「馬足街」は、ちょっと不思議で怖いかんじ。
ホラ-とまではいかないけれど・・・。
表題作の「黒蜜」は、暗い過去も抱えた主人公・海人だけど
出会った少女とのやり取りはちょっとほのぼのしていて好き。
あんみつにかける餡は、白蜜か?黒蜜か?
わたしも断然、黒蜜だなぁ~^m^
いろいろな雰囲気のお話が、集まった短編集でした。
初めて読む作家さんでしたが、詩人でもあるそうです。
他の作品も読んでみようかな?
★★★
発行年月:2004年9月
日系2世の語学兵の苦悩を描く戦争長編。
日本人と同じ顔、同じ言葉を喋るがアメリカのために戦う二世の語学兵・ショ-ティの栄光なき孤独な戦い。アメリカ以上にアメリカ合衆国への忠誠を要求される日系人の苦悩を描く戦争長編。
(集英社HPより)
サイパン島での激戦。
アメリカは日本軍を追い詰めるが、玉砕を覚悟の日本兵や民間人は、なかなか降伏しない。
そんな日本人の心理をアメリカ人たちは理解できず、苛立つ。
日系二世のショ-ティは、語学兵として激戦地に就いている。
そして、そんな理解不能な日本人の心理を多少なりとも分かっているため、一人でも多くの日本人を
無傷のまま降伏させたいと奔走する。
戦争が始まる前、日本人の両親はアメリカに渡った。
ショ-ティはそんな日本語しか知らない両親の元、アメリカ人と関わっていくが、差別による理不尽な目に幾度も遭って来た。
戦争で日本を敵にしなければならないことは、両親には複雑な思いがあっただろう。
しかし、ここでアメリカのために仕事をすれば日本人でも認めて貰える。
そんな気持ちがあってか、両親はアメリカ兵として戦う息子を送り出す。
ああ、その気持ちを考えるだけで苦しくなる。
そして、語学兵として、ショ-ティは奔走。
アメリカ人では理解し難い日本人の心理を予測しながら、上官にもアドバイスを提言したり
自ら、危険を冒して日本兵と民間人が潜む場所に先頭をきって、降伏の説得に当たる。
自分の命を取られることより、生きて捕虜になることを恐れる日本人。
生きて捕虜になることは、恥であるという考えから、自分が捕虜になったことを祖国に知らされることを一番恐れる。
切羽詰まれば、自分の命をかけて敵に突進していくのが日本人だとアメリカ兵も恐れる。
日本人とショ-ティの関わる場面は、少し温かい気持ちの交流みたいなものも感じられ、一瞬、気持ちが和んだけれど
やはり、戦争は惨い。
命の危険にさらされるという恐怖のほかにも、いろいろな恐れがあって
こんな時代を生きなければならなかった人たちを本当に気の毒に思う。
日系のアメリカ人・ショ-ティみたいな人たちが実際に何人も居たんでしょうね。
その人たちのことは、今回の物語で初めて知り、その苦悩の様子も胸が痛くなった。
古処さんの書はいつもズ-ンと胸に残る物語だ。
★★★★★
日系2世の語学兵の苦悩を描く戦争長編。
日本人と同じ顔、同じ言葉を喋るがアメリカのために戦う二世の語学兵・ショ-ティの栄光なき孤独な戦い。アメリカ以上にアメリカ合衆国への忠誠を要求される日系人の苦悩を描く戦争長編。
(集英社HPより)
サイパン島での激戦。
アメリカは日本軍を追い詰めるが、玉砕を覚悟の日本兵や民間人は、なかなか降伏しない。
そんな日本人の心理をアメリカ人たちは理解できず、苛立つ。
日系二世のショ-ティは、語学兵として激戦地に就いている。
そして、そんな理解不能な日本人の心理を多少なりとも分かっているため、一人でも多くの日本人を
無傷のまま降伏させたいと奔走する。
戦争が始まる前、日本人の両親はアメリカに渡った。
ショ-ティはそんな日本語しか知らない両親の元、アメリカ人と関わっていくが、差別による理不尽な目に幾度も遭って来た。
戦争で日本を敵にしなければならないことは、両親には複雑な思いがあっただろう。
しかし、ここでアメリカのために仕事をすれば日本人でも認めて貰える。
そんな気持ちがあってか、両親はアメリカ兵として戦う息子を送り出す。
ああ、その気持ちを考えるだけで苦しくなる。
そして、語学兵として、ショ-ティは奔走。
アメリカ人では理解し難い日本人の心理を予測しながら、上官にもアドバイスを提言したり
自ら、危険を冒して日本兵と民間人が潜む場所に先頭をきって、降伏の説得に当たる。
自分の命を取られることより、生きて捕虜になることを恐れる日本人。
生きて捕虜になることは、恥であるという考えから、自分が捕虜になったことを祖国に知らされることを一番恐れる。
切羽詰まれば、自分の命をかけて敵に突進していくのが日本人だとアメリカ兵も恐れる。
日本人とショ-ティの関わる場面は、少し温かい気持ちの交流みたいなものも感じられ、一瞬、気持ちが和んだけれど
やはり、戦争は惨い。
命の危険にさらされるという恐怖のほかにも、いろいろな恐れがあって
こんな時代を生きなければならなかった人たちを本当に気の毒に思う。
日系のアメリカ人・ショ-ティみたいな人たちが実際に何人も居たんでしょうね。
その人たちのことは、今回の物語で初めて知り、その苦悩の様子も胸が痛くなった。
古処さんの書はいつもズ-ンと胸に残る物語だ。
★★★★★
発行年月:2013年3月
寂れた温泉町・津雲へと続くかんかん橋。
菊おばあちゃんの嫁入り、出征、食堂『ののや』 の真子親子の別れ・・・。 多くを見送った今、町を容赦ない不況が襲う、それでも生き抜く女たちの、母なる強さと温かい涙の物語。
(角川書店HPより)
ある温泉街の人々を連作形式で綴ったお話6つ。
第一章 ののや
第二章 お母ちゃん
第三章 遠い人
第四章 雨が止んだら
第五章 土埃の向こう側
第六章 かんかん橋で
『ののや』は町の定食屋。
町の人々が集う場所。
その店の娘・真子は、町に古くからある写真展『フォトスタジオ KOKUMI』の菊おばあちゃんが大好き。
登下校の度に挨拶するが、おばちゃんはいつも「あんた誰だっけ?」と言う。
おばあちゃんは90歳を超えている。
かんかん橋を渡ってお嫁に来た。
そんな菊おばあちゃんの嫁入り当時の話を書いた第三章の<遠い人>は物悲しくて胸が痛くなるような
お話だった。
戦争の前後の時代の人々の苦悩が辛い話。
戦争はやっぱり悲劇しか生まなかったんだと思った。
戦地で亡くなった方も気の毒だけれど、残された人。
戦地からなんとか帰還出来た人、みんなそれぞれの辛い思いを抱えて、戦後を生きて来たんだな・・・。
ほかの話もそれぞれ苦悩を抱えながらも懸命に生きている人々を描いている。
懸命に生きていれば、必ず希望があるとも思わせてくれた。
町のなかにある小さな石造りの橋が、かんかん橋。
どんな時代にも変わらず、そこにあって、人々の記憶に残っていく物っていいな。
ののやの真子も幼い頃から、母親と離れてしまい、寂しい思いをしながら成長したけれど
優しい女の子になって、これからもきっと逞しく生きていくんだろうな。
★★★★
寂れた温泉町・津雲へと続くかんかん橋。
菊おばあちゃんの嫁入り、出征、食堂『ののや』 の真子親子の別れ・・・。 多くを見送った今、町を容赦ない不況が襲う、それでも生き抜く女たちの、母なる強さと温かい涙の物語。
(角川書店HPより)
ある温泉街の人々を連作形式で綴ったお話6つ。
第一章 ののや
第二章 お母ちゃん
第三章 遠い人
第四章 雨が止んだら
第五章 土埃の向こう側
第六章 かんかん橋で
『ののや』は町の定食屋。
町の人々が集う場所。
その店の娘・真子は、町に古くからある写真展『フォトスタジオ KOKUMI』の菊おばあちゃんが大好き。
登下校の度に挨拶するが、おばちゃんはいつも「あんた誰だっけ?」と言う。
おばあちゃんは90歳を超えている。
かんかん橋を渡ってお嫁に来た。
そんな菊おばあちゃんの嫁入り当時の話を書いた第三章の<遠い人>は物悲しくて胸が痛くなるような
お話だった。
戦争の前後の時代の人々の苦悩が辛い話。
戦争はやっぱり悲劇しか生まなかったんだと思った。
戦地で亡くなった方も気の毒だけれど、残された人。
戦地からなんとか帰還出来た人、みんなそれぞれの辛い思いを抱えて、戦後を生きて来たんだな・・・。
ほかの話もそれぞれ苦悩を抱えながらも懸命に生きている人々を描いている。
懸命に生きていれば、必ず希望があるとも思わせてくれた。
町のなかにある小さな石造りの橋が、かんかん橋。
どんな時代にも変わらず、そこにあって、人々の記憶に残っていく物っていいな。
ののやの真子も幼い頃から、母親と離れてしまい、寂しい思いをしながら成長したけれど
優しい女の子になって、これからもきっと逞しく生きていくんだろうな。
★★★★
カテゴリー
フリーエリア
最新記事
(01/21)
(01/19)
(01/17)
(01/16)
(01/12)
最新トラックバック
プロフィール
HN:
kyoko
HP:
性別:
女性
自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
ブログ内検索
P R
カウンター
フリーエリア