発行年月:2013年7月
史上初の女性総理、わが妻・凛子、君を守る!
20XX年、相馬凛子は42歳にして第111代総理大臣に選出された。夫である私・日和は鳥類研究家でありながらファースト・レディならぬファースト・ジェントルマンとして、妻を支えようと決意する。凛子は美貌、誠実で正義感にあふれ、率直な物言いも共感を呼んで支持率ばつぐん。だが税制、エネルギー、子育てなど、国民目線で女性にやさしい政策には、政財界の古くさいおじさん連中からやっかみの嵐。凛子が党首を務める直進党は議席を少数しか有せず、他党と連立を組んでいたのだが、政界のライバルたちはその隙をつき、思わぬ裏切りを画策し、こともあろうに日和へもその触手を伸ばしてきた。大荒れにして権謀術数うずまく国会で、凛子の理想は実現するのか? 山本周五郎賞作家が贈る政界エンターテインメント&夫婦愛の物語。
(実業之日本社HPより)
一気読みの面白さでした!!
設定からしてユニ-ク。
史上初の最年少であり女性の総理大臣誕生!
東大法学卒の才女で美貌も備えた人物。
実際、こんな女性総理大臣が誕生したら素敵だろうなぁ~。
その夫・日和は38歳の鳥類学者。
実家の母親は政財界にも顔が効くソウマグロ-バルの筆頭株主。
夫婦揃って、華麗な家族と華麗な経歴の持ち主。
けれど庶民の味方というのがちょっとうそ臭いんだけど、ま、物語なので
良しとしましょう^^;
何もかもうまく行きすぎな感じは否めないけれど、読んでいて痛快な気持ちになりました。
こんな風にリ-ダ-シップを取れる人が総理大臣になって欲しい。
選挙で当選するために考えられた建前の施政方針じゃなく、
本音で日本をどう変えて行きたいか?を語る姿を国民は求めているんだよね。
ラストは、え?と思ったけれど、ま、物語だから・・・^^;
でも実際に女性で総理大臣になるとしたら、その変のことは
少し、コントロ-ルしてほしいな。
物語としては、凄く面白かった!
ドラマ化とかしたら面白いかも。
★★★★
発行年月:2013年6月
仕方ないものだな。男というものは。
吉原で火事があった。
青柳屋の遊女・梅が枝は逃げ遅れて火傷を負ったという。
同心・玉島千蔭は梅が枝を気遣うが、すぐに見舞いに行こうとはしない。
千蔭は梅が枝の客ではないし、深い仲でもないから。
行ってどうこうできるわけでもないから。
やがて、梅が枝の身請けの話が進んでいるという噂が、千蔭の耳に入る─。
吉原。芝居町。華やかな舞台の陰には、行き場のない想いがわだかまる。
(光文社HPより)
シリ-ズ物とは知らずに読んだので、事件解決に奔走する同心・玉島千蔭とその
下で働く八十吉に最初は、馴染めず・・・話を追うたびにだんだんと千蔭の人柄に魅力を感じていきました。
4つの連作集。
<むじな菊>
長屋の差配人として人望も厚かった銀治が何者かに殺された。
疑わしい男がすぐに現れたが、犯人は・・・
<だんまり>
夜中にひとりで歩いている男の髷を切る変わった事件が連続して起きる。
犯人の目的は何なのか?
<土蛍>
吉原の火事でやけどを負った梅が枝。
その梅が枝に身請け話が持ち上がる。
千蔭は気にしつつも冷めた態度。
<はずれくじ>
ツキに見放されたような男・直吉。
そんな男が冨くじを買えば当たるとお金まで用立てて貰い、くじを買うように言わる。
が・・・後日、直吉は土左衛門となって発見される。
事件の真相解明の段階はまあまあ面白いけれど、その真相がわかると
何ともやり切れない気持ちにさせられた。
特に最後の<はずれくじ>は、あまりにも不憫な直吉・・・(:_;)
最後の話くらい、少し明るいものであってほしかったのになぁ~。
千蔭と梅が枝は、態度ではお互い淡泊なかんじだけれど本心は相思相愛なのかな?
近藤さんは、時代物も書かれて、本当になんでも書ける人なんだな・・・。
★★★
発行年月:2013年3月
小さな嘘が照らし出す、かけがえのない人への秘められた思い。十年ぶりの短篇集。
避暑地で出会った男女。疎遠だった父と息子。癌を患う元大学教授。人気女性作家とその夫。老女とかつての恋人。機内で隣り合わせ、奇妙な身の上を語り続ける男――。ふとしたはずみに小さな嘘が明らかになるとき、秘められた思いがあふれ出し、人と人との関係が姿を変える。ベストセラー『朗読者』の著者による、七つの物語
(新潮社HPより)
7つの短編集。
それぞれ、読んだあと余韻を残すような物語でさすがシュリンク!と思った。
<シ-ズン・オフ>
オ-ケストラでフル-トを演奏しているリチャ-ドは、シ-ズンオフの
海辺のペンションに宿泊する。
そこでスーザンに会う。
彼女は、そのペンション近くの屋敷に滞在中という。
2人は恋に落ちるが、ペンション経営の夫妻からス-ザンは自分とは違う
裕福な暮らしをしている人で、安アパ-トで暮らす自分とは雲泥の差の
環境にいる人だと知る。
<バ-デン・バ-デンの夜>
恋人のアンには内緒で、女友達・テレ-ゼと自分の書いた戯曲の初演を見に行き、
共にホテルで一夜を過ごす。が・・・2人の間にはその夜、何もなかった。
しかし、アンにそのことがバレ、何もなかったことを告げるが「嘘つき」と
言われてしまう。やけになり、別の女性一夜を共にし、関係を持ち
テレ-ゼとは一緒に寝たと嘘をつく。するとアンは、テレ-ゼに確認して
嘘じゃなかったことがわかったと言う。
<森のなかの家>
作家夫婦は半年前に森のなかの家に引っ越してきた。
今は、妻の作家としてのキャリアは上がり、夫の方は下り坂。
もうすぐ妻の書いた作品が全米図書賞を受賞しそうだというとき
夫は家の全ての通信手段を意図的に絶つ。
<真夜中の他人>
飛行機で隣になった男性から話しかけられる。
夜だから、寝たい気持ちもあったが、なんとなく話に付き合うが
男の話は次々に「え?ほんと?」という内容に。
<最後の夏>
末期癌を患っている男。
もういっその事、楽に死のうと安楽死の準備をしながら
一族と親友を別荘に集め、最後にみなと楽しい時間を過ごし死のうと
お膳たてをするけれど・・・・
<リュ-ゲン島のヨハン・セバスチャン・バッハ>
父親とバッハの音楽フェスティバルに出かける息子。
父親とは一度も話しあったことがなく、父親のことが全く理解できない。
この機会に父親と話し彼を理解しようと思うのだが・・・
会話も途切れ途切れ。
大好きなバッハのことはよく語る父。
しかし、やはり父の心のうちはよくわからない。
けれど・・・初めて父の涙をみる。
<南への旅>
施設で暮らす年老いた女性。
子ども4人と孫たちは、みなそれぞれ立派に成長しているけれど
あるときから、愛情を感じることが出来なくなっていた。
誕生日には皆が集まり祝ってくれた。
そこでふと孫が口にした別れた夫の、後の妻のこと。
その場が嫌な雰囲気になり誕生会は終わる。
翌日、熱を出すと孫のエミリア(大学生)が見舞いに来てくれる。
そして、エミリアに一緒に南への旅をしてほしいと頼み
2人は南へ。
かつての恋人との思い出の地。
そのことを話すとエミリアはそのかつての恋人と再会の機会を作る。
捨てられたと言って来たけれど、本当は自分が捨てたんだと
そのときの気持ちを思い出す。
どの話も、主人公たちの気持ちが痛いほど伝わって来て、切ないような
寂しいような複雑な気持ちを共感しました。
本当に心理描写に長けた作家さんだと思います。
嘘と言っても、いろいろ。
自分を守るためにそう信じ込んでいるものもあったし・・・・
映画化されるという「週末」、楽しみです!
近くの映画館で観られるかなぁ~?
★★★★★
発行年月:2013年1月
忙しい日々の疲れも。苦い人生も。辛い体験も。
やさしい甘さが溶かします。
(光文社HPより)
まえがき 坂木 司
空の春告げ鳥--------坂木 司
トマどら--------------日明 恵
チチとクズの国-----牧野 修
迷宮の松露-----------近藤史恵
融雪--------------------柴田よしき
糖質な彼女-----------木地雅映子
時じくの実の宮古へ---小川一水
古入道きたりて-----恒川光太郎
しりとり--------------北村 薫
甘き織姫--------------畠中 恵
塩をひとつまみ 坂木 司
まえがきに本書誕生の説明がありました。
坂木さんが好きな作家さんに和菓子をテ-マにした小説を書いていただいた作品集。
いろいろな和菓子が登場します。
最初の坂木さんのお話では、あの「和菓子のアン」の主人公・梅本杏子(アンちゃん)が
登場します♪
久しぶりのアンちゃん!
今回もちょっとしたお菓子にまつわる謎を解明していきました。
ここで初めて読んだ作家さんは 日明 恵と牧野修さん木地雅映子さん、小川一水さんかな?
畠中さんもお初かも?
どのお話もそれぞれ楽しめました。
恒川さんの<古入道きたりて>は、やはりちょっと怖かった。
戦場で語る以前、甘い夜船を食べたときの話。
夜船って??と思ったら、春は牡丹餅、秋はおはぎの夏に食べる同じもののことだそう。
本当?知らなかったなぁ~。
じゃ、冬に食べたらなんだろう??
和菓子のうんちくも満載のアンソロジ-でした♪
ほかの作家さんのリクエストに応えたアンソロジ-も読んでみたいな。
★★★
発行年月:2013年7月
いい子じゃないと、いけませんか――
『きみはいい子』と同じ町を舞台に、再び放つ感動作。
絶望の先にある希望を描きだす。
(ポプラ社HPより)
『きみはいいこ』の延長戦上にあるような物語でした。
主人公の山本弥生は、赤ちゃんのときに親に捨てられた。
乳児院で2年。児童養護施設で高校卒業まで過ごし、その後は
看護学校の寮に学校卒業まで住み、現在は准看護師として勤務している。
勤務歴11年目のもうすぐ33歳。
弥生が親から捨てられたことは不幸だけれど、両親以外の人からは、沢山の
愛情を受けて成長して来たことが救いでした。
勤務する病院の藤堂師長も立派な上司。
しかし、その上の院長が最悪。
医療現場のリアルな描写が表されていたけれど、こんな院長は医師として
患者に向かう資格ゼロ!
腹が立って仕方なかった!
そんな院長に真っ向から対峙した藤堂師長は立派だと思った。
看護師として院長にこんな風に立ち向かうにはよほどの覚悟がないと
出来ないことだと思うけれど、患者さんの生死に関わることだから
当然といえば当然のことだけど・・・。
親に捨てられた子どもの心理がよくわかり切なくなる箇所も多かった。
そんな風に小さい頃から自分の気持ちを抑えて生きて来たのか?
と思ったら、本当に胸が痛くなった。
良い子でいないと捨てられるから、本当は良い子じゃないけど
良い子のフリをしていなきゃ・・・なんて。
生まれたときから両親がいて当たり前のように、わがまま言ったり
甘えたりを何も考えずにしている子どもは、彼女たちからしたら
凄く羨ましいことなんですね。
当たり前のように親の元で育った自分が、凄く恵まれていたんだと
今更ながら気づきました。
こういう書は、若い人にもぜひ、読んで欲しいな。
★★★★★
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;