忍者ブログ
読んだ本の感想あれこれ。
[349]  [350]  [351]  [352]  [353]  [354]  [355]  [356]  [357]  [358]  [359



発行年月:2013年8月


 まわりが闇でも、明りが灯っているだけでいい――。「その後」を生きる、家族の肖像。

震災後の日々をともに過ごす同棲中の二人、震災の直前に九十一歳で逝った謹厳な父、被災地に暮しつづける酪農一家の、言葉少なにたがいを思いやる姿……。日常の細部と感情のディテールをリアルに描きだし、それぞれの胸に宿る小さな光、生きる意志を掬いとる。大地震を経て生きる日本人をつぶさに見つめようとする短篇集。

                   (新潮社HPより)

3.11の前後の物語が6つ。
東北とは離れた場所で、それを体験した人たちの話が続き、ラストの<団欒>は
実際に被災した酪農家の家族の話。

<助けて>
同棲中の男女。、博嗣と順子。
博嗣は、アナウンサーの仕事で被災地へ。

<渦巻>
娘が結婚し家を出て、夫と2人暮らしの主婦。
やるべきことが見当たらないような日々を送りながらふと思い出す
子どもの頃のこと。母親とのこと。

<父>
大学教授だった父は91歳。
家で寝たきり。
介護は妻任せだったが、その妻が骨折で入院してしまい
勝手が分からないなりに父の世話をする。
ずっと厳格で自分には威圧的だった父。

<枝豆>
草食系男子の研究に協力することにした敦志。
自分では草食系だと思っていないが、そう思ってること自体が
草食系男子に共通することだと聞き不快感を覚える。
じゃ、何系?と問われ・・・

<海と陸>
高校時代のクラスメイト・美保子を見かけて声を掛けた健太郎。
海に一緒に行き、そこで東北へ3度ボランティアで行ったと言う美保子。
確かに高校卒業前、みんなで行こうと言っていた。
美保子は津波は怖い。海に勝ちたい。漁師になりたい。など話し最初は
戸惑う健太郎だけど・・・

<団欒>
震災前、酪農家だった家族のその前と後のこと。



それぞれの話の主人公たちの心理描写は細かい。
和やかな雰囲気の話もあるけれど、そんな日常のなかで3.11は起きたんだと
改めて思った。

<父>は、ちょっと泣けた。
息子と最後、気持ちが通じたようでよかった。


                         ★★★
PR



発行年月:2013年8月


ばかみたいに幸福な時間。
それは、ホンの少しさみしい。
最高の仲間との三年間。
恋、友情、初体験・・・すべてが詰まっている高校の日々。

                (BOOKデータベースより/幻冬舎)




まひる、クロノ、夏海、睦実4人の仲良し高校生の日常がリアルでした。
著者の椰月さん、1970年生まれなのに、何処かの高校生を観察して
書いたのか?と言うくらい言葉のひとつひとつが今どきなかんじでした。

自分の高校生のときもこんな感じだったのかなぁ~?
昔過ぎて忘れたけれど・・・

のほほんと他愛無い会話でこのまま終わるのかと思いきや
終盤、ビックリは事が起きて、驚いた!!

でも、前向きに夢を追い続けよう、それを支えてあげようという
気持ちが持ててよかった、よかった!

彼女たちの今後は明るい!!

同年代の子が読めば、もっと共感できるものも多いんでしょうね。


                          ★★★

 



発行年月:2013年8月


 他人の顔を移植されたら、心は「自分」のままでいられるのだろうか?

交通事故によって脳死となった親友の顔が、大火傷を負った私の顔に移された。彼女の家族は、恋人は、私の親は、そして私は、これまでと同じように、暮らしていけるだろうか? 「顔移植」の可能性と抱える問題点について、医師であり作家である著者が、短編、戯曲、詳細な解説、と縦横無尽に語り尽くした類書なき作品集。

                    (新潮社HPより)


顔の移植手術を受けることになった2人の女性の話を別々に。

<顔のない顔>
アルコール中毒の夫から猟銃で撃たれ顔が粉砕した主婦。
夫は、裁判で殺人未遂の罪で8年の禁固刑が確定する。
離婚も成立し、事件後1年半で職場復帰する。手術の跡も生々しいが
恥じることはないと生活していた。
そして、7年半後、医師の勧めで顔の移植手術を受ける。


<移された顔>
看護師のユミは、職場の医師・リョウを友人のリナに紹介し、二人は恋人同士になる。
そしてユミの2人と共に出かけることが多かった。
ある日、3人で車に乗っているとき、事故を起こし
リナは脳死状態。ユミは顔面を広範囲に重度の火傷で覆われる。
リナの両親の希望と、医師の説得もあり、悩んだ末、リナの顔を移植する手術を受ける
ことに決めたユミ。


2人とも壮絶な人生を歩むことになったわけですが、
二番目のユミの方が、抱えるものがより多かった気がする。
親友の顔を持つことになった気持ち。
想像しようと思っても、なかなか想像し得ない。

しかし、医療の発展はすごいな。
あとがきで、医師である著者が、実際の顔面移植手術の歴史を語りながら
今後の課題(医療現場、法律など)について語っていました。

いろいろと考えさせられる書でした。


                        ★★★★




発行年月:2013年7月


 捜査一課の犬養隼人が高速バス事故現場でみた真相とは?(「赤い水」)。話題作『切り裂きジャックの告白』の犬養隼人が「色」にまつわる難事件に挑む、どんでん返し満載の全7編からなる連作短編集!

                 (角川書店HPより)


俳優養成所出身の渋い二枚目刑事・犬塚隼人が真相究明に挑む7つの事件。


<一、赤い水>
高速バス運行中の事故で死亡したのは、多々良という男性。
運転手・小平は勤務態度も良好、会社側の運行状況も運転手の勤務スケジュールも
何ら違法なしの状況。
事故を起こした小平は事故直後のマスコミの取材にも落ち着いて、自分の落ち度を
謝罪する言葉を述べていた。
その落ち着いた態度に違和感を抱いた犬塚は・・・

<二、黒いハト>
中学校の屋上から飛び降り死亡した雅也。
彼はイジメられていて、親友として助けてやれなかったことを悔やんでいると
言う春樹。
イジメの張本人は都議会議員の息子。
学校の担任も校長もイジメの事実を知らされながら、何の対策もしなかった。
しかし、雅也が飛び降りる前に母親に遺した電話の声の後ろに聞こえた声は・・・・

<三、白い原稿>
ロック歌手でありながら新人文芸賞を受賞した桜庭巧巳が公園脇のベンチで
遺体となって発見される。
死因は泥酔したうえでの凍死。
被疑者は嵐山シュウト。彼も小説家として世に名が知れることを目標としていた。
怨恨か?

<四、青い魚>
釣具店を営む45歳の帆村亮。
そこに客として来た20代の恵美とやがて生活を共にする。
そして、恵美の兄という男・由紀夫も転がり込んで3人での共同生活が始まる。
帆村は、恵美と由紀夫との楽しい生活に満足していたが、
帆村の暴力団員になった弟・照之は、そんな兄の生活を非難し、
2人を追い出せと忠告する。
そして、ある日、3人で船で沖合いに釣りに出て・・・

<五、緑国の主>
ホ-ムレス狩りをしている中学生グループ。
主犯格の少年は14才の小栗拓真。
その少年はホームレスの住処に放火。
そしてその後、殺害された。
死因は毒殺。

<六、黄色いリボン>
10歳の翔は大人しい子どもだが、女の子の格好をしてミチルとして行動すると活発に振舞える。
ワンピースを着て、かつらを被り、髪にトレードマークにしている黄色いリボンを付けて。
両親もそんな行動を認めてくれているが、団地のなかだけという決まり。
両親と自分しか知らない秘密のはずが、ある日、ミチルの名前のダイレクトメールが
届いたり、公園でミチルの名前を呼ぶ男に話しかけられたり、刑事まで翔に
妹のミチルについて知りたいと言われ混乱する。
ミチルは架空の人物のはずなのに・・・

<七、紫の献花>
67歳の独り暮らしの高瀬昭文が包丁で刺されて死亡。
高瀬は第1話で出てきた高速バス事故を起こした会社のバス運行管理担当者だった。
バス会社が倒産し、その後は、タクシー会社の配車担当として勤務していた。
勤務態度は良好でとても有能、人柄も温厚で何故殺されたのか?と同僚たちも不思議がる。
そして、高瀬にはは死亡時1億円の保険に加入しており、その受取人は
陸上選手として将来有望だったが高速バス事故により陸上人生を絶たれた樫山有希になっていた。


どの話もとても面白かった。
いろいろな殺人事件に絡む人々の思惑が、徐々に明かされ、最初の被疑者のほかに
新たな被疑者が現れ、意外な人が犯人だったり、読みながら、いろいろと推理
しながら楽しめた。

でもやはりイジメが絡む第二話の<黒いハト>は、辛い話だった。


                         ★★★★




発行年月:2013年5月


 駅前の寂れた通りの地下にある「スナックひばり」。そのママは身長2メートルを超えるマッチョなオカマ・通称ゴンママ。彼(彼女?)の周りに集まるのは、一癖も二癖もある「変わり者」ばかり。エロジジイ社長、金髪モヒカンの歯科医師、シャイで生意気な男子高生、謎のセクシー美女、うだつの上がらない中年サラリーマン…。いつもは愉快な彼らも、それぞれ人知れず心に傷を抱えていて―。心の垢を洗い流す感涙小説。

                (BOOKデータベースより/幻冬舎)


スポーツクラブのジムで筋肉を鍛える者たち。
会えば、冗談連発、下ネタ披露の愉快な仲間たち。
けれど、それぞれは、心に重たいものを抱えていた。

<第一章 本田宗一の追伸>
45歳の課長補佐。
職場の同期たちは、みな補佐がつかない。
自分だけが出世に遅れたかんじ。
家のなかでは、高校2年の娘に疎まれる。
お腹まわりにも脂肪がついて情けない姿。
そんなとき新聞の折込広告でスポーツジムの勧誘のことばに惹かれ
ジムで体を引き締めようと決心し、入会。
そこには変わったメンバーたちがいた。

<第二章 井上美鈴の解放>
25才の見た目、麗しき女性。
職業は見た目に反してハードなバイオレンス系の少年漫画家。
締め切りに追われる日々に辟易。
しかし、ジムで利き手の指骨折の事態!

<第三章 国見俊介の両翼>
16歳の男子高校生。ジム仲間にも素っ気ない態度。
10歳のとき両親が離婚し、父親と2人暮らし。
仕事の忙しい父は帰りが遅く、家で独りの夕食の日々。
紙飛行機づくりが趣味。
ある日、ジムに小学校時代の同級生の恵那が入会してくる。
恵那は小学校で転校するとき、俊介から貰った紙飛行機を大事にしているという。

<第四章 四海良一の蜻蛉>
歯科医師。5歳で病死した娘のことが今も頭から離れない。
生きていれば小学校3年生。
娘が亡くなってから、妻との関係がギクシャクしている。

<第五章 末次庄三郎の謝罪>
ジムでは下ネタ連発の通称シャチョー。
仕事は、広告制作会社の社長。
しかし社員は4人。
新しい仕事の依頼は、老人ホームのパンンフレット作成。
2人の若い社員がやりたいと意欲を見せるので、少々不安だがやらせてみることにする。

<第六章 権田鉄雄の阿吽>
ジムではひときわ目立つ存在。
身長は2m超え。胸板は厚く、見た目は怖いマッチョ。
しかし、オカマでおねえ言葉。
駅近くの地下で「スナックひばり」を営んでいる。
従業員はバーテンダーのカオリ。
ジムではいつも明るくバイタリティ溢れる強烈なキャラクターだけど
夜、独りになると孤独に苦しむ日々。


どの話も良かった~。
ジムとは違う顔を持つメンバー。
しかし、スナックひばりに集い、ほかのメンバーの言葉を聞いて励まされたりしながら
なんとか自分の抱えている問題を解決していく様子が良かった。

特に第四章の歯科医の四海の抱えているものは深刻で、胸が痛くなるほどの
辛さを感じた。
でも、亡くなった娘のことを夫婦でとことん話し、共に泣き感情をぶつけ合い
新たな気持ちで2人一緒に進んでいこうと思えるようになったのは、嬉しかった!
感動的な話でした!


家族とか、職場とか学校とは、違った場所で、年齢もバラバラな友達が出来るって
なんだか羨ましいな。

権田の店の看板ネコ、チロちゃんの出番はあまりないけれど、そこに居ることを
想像するだけでネコ好きにはニンマリ。
この表紙もメチャクチャ可愛い♪


                          ★★★★★
カレンダー
12 2025/01 02
S M T W T F S
1 3 4
6 7 9 10 11
13 14 15 18
20 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
メ-タ-
kyokoさんの読書メーター
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
[09/20 kyoko]
[05/23 のぶ]
[09/15 kyoko]
[09/14 ひろ]
[03/06 kyoko]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
kyoko
HP:
性別:
女性
自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
フリーエリア

Copyright (c)本を片手に・・・ All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  image by Night on the Planet  Template by tsukika

忍者ブログ [PR]