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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2013年5月

注目の作家たちが、隅田川近くの下町を舞台に、もうひとつの「東京ホタル」を描く。
温かな感動が広がる、極上のアンソロジー。

                 (ポプラ社HPより)


「東京ホタル」・・・2012年から毎年開催される。
隅田川に10万個のホタルに見立てた「いのり星」を流すイベント。

5人の作家さんが、ひとつのテーマ「東京ホタル」を元に書いた物語。


<はぐれホタル・・・・・中村 航>
大学の演劇サークルの同期生7人が仲間の結婚式で再会。
就職して3年。それぞれの近況報告。
章吾はその頃、つきあっていたサトミと三次会のあと、海に向かって歩く。
かつて約束していた事は「ホタルを見に行こう」


<蛍の光り・・・・・小路幸也>
東京で独り暮らしのおじいちゃんと同居が決まり、家族で引越すことになる。
おじいちゃんは昔、和食屋さんをやっていた。
そんなおじいちゃんのお話。
料理人になった経緯には、温かい人との繋がりがあった。


<夏のはじまりの満月・・・・・穂高 明>
電車のなかで偶然、再会したのは高校時代、仙台に住んでいたときの同級生。
彼女の話から懐かしい高校時代のことを、いろいろ思い出す。
震災で自分は東京に引っ越したが、あれから10年のときが過ぎていた。


<宙色三景・・・・・小松エメル>
東京ホタルのイベント見学のため隅田川を訪れた。
教師を定年退職し10年。
今日は、孫の清を連れてきた。
途中、清との会話に違和感を感じ、過去の父親とホタルを見に行った
ときの思い出が鮮やかに蘇る。


<ながれぼし・・・・・原田マハ>
流里は付き合って7年の志朗と妊娠を機に結婚することに。
二人で記念の旅行で鬼怒川温泉に行き、そこの宿の仲居であった母親と12年ぶりに
偶然、会う。
流里の両親は離婚し、流里は高校1年のときから父と暮らしてきた。
後日、改めて母親に会い、離婚のときの話を聞く。


どの話も短いけれど、ジ~ンと沁みるお話でした。
特に今回、初めて読んだ作家さん小松エメルさんの<宙色三景>が良かった!
三代に渡って繰り返される同じようなホタル見物の思い出話。
ちょっと不思議でファンタジックな雰囲気がよかったなぁ~。
ほかの作品も今度、読んでみよう。


実際の「東京ホタル」のイベントも機会があれば見てみたいなぁ~。


                      ★★★★






 
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発行年月:2013年9月


 「自我自讃」に「自画持参」、「短刀直入」、一番大切な漢字を決める……文字モジした言葉エッセイ集。

「俺」と「僕」には「人」がいるが、「私」の中には不在の「人」。「禾」が「人」になると「私」は「仏」、死して「私」は初めて「人」になる? 絵文字の元祖、(笑)(怒)(仮)につづく( )内の新顔、あらゆるところに潜む「心」、一番偉そうな漢字、文字を売る店……クラフト・エヴィング商會の物語作者がカラーイラストつきで綴る、日本語の愉しみ方。  

                      (新潮社HPより)


漢字の話が沢山。
うかんむりのこども・・・字
文字(漢字)についてあれこれ語る。
なるほど・・・と勉強になることばかり。
ひとつひとつの話の結び方も素晴らしい!

特に面白かったのが<午後四時>
数字の一、二、三、四、五を見たとき。。。。
四以外はそれぞれの棒の数はそのままの数に当てはまるのに、
何故、四だけ違うのか?から始まるお話。
考えたこともなかったけれど、言われてみれば、なるほど何でだろ?
と思いながら読む。
吉田さんならではの解釈に感嘆!


そんな風にそれぞれの話で、「おぉ~」と心のなかで叫ぶことが多かった。
凄いな。
日本語って面白いな。


そして最後の、<うかんむり>の話では・・・
「字」はうかんむりではないと。
え?そうなの?うかんむりじゃないの?
子の部首だそうです。
はぁ~知らなかった。

最後に「完」で終わりになるのも素敵(^^)

著者のプロフィール横に、これから書こうと思っているキーワードがありました!
文字化け。放送局。温水プール。出前少女。シェヘラザード。食堂車。
除夜。ト書き。おひるどき。影武者。

う~ん。どんな話にこれらがなるのやら??
楽しみに次の作品を待ちたいと思います!


                       ★★★★★









発行年月:2013年9月


 少年が抱える切ない空想、曼珠沙華が語る夫の過去。老夫婦に届いた絵葉書の謎、少女が見る奇妙なサソリの夢。姉弟の哀しみを知る月の兎、製鏡所の娘が願う亡き人との再会。

ほんの小さな行為で、世界は変わってしまった。それでも――。
六つの世界が呼応し合い、眩しく美しい光を放つ。まだ誰も見たことのない群像劇。      

                   (集英社HPより)



6つの短編連作集。
6つの話に登場する人物たちは、重なる。
最初の話<やさしい風の道>で登場の8歳の少年・章也とその姉の翔子。
最初の話では翔子は、章也の生まれる前に転落事故で亡くなっている。
章也のそばにいつも翔子がいて、二人は会話する。
章也には、自分の存在は姉の死があったからではないか?
姉が生きていたら、自分は生まれなかったんじゃないか?と思い、自分が生まれる前
両親と姉が生活していた家を訪ねる。
そこに住んでいるのが、瀬下という男性。

次の話<きえない花の声>では、瀬下の物語。
けれど、この話では瀬下は、溺死していて、その妻・栄恵の夫に対する疑惑。
浮気をしていたんじゃないか?という思いが勘違いであったことがわかる話。
瀬下は職場の同僚である男性・飯先と結乃の仲を取り持っていた。
栄恵は夫の死後、息子の俊樹を連れて引っ越す。

三番目の話<うあゆたう海の月>では瀬下と栄恵は、瀬下の定年を機に引越しことにする話。その引越し先は、女の子がベランダから転落死した家。
栄恵は、その女の子が寂しがらないように自分たちが住もうと決めた。
2番目の話の飯先と結乃は結婚し、女の子葎が生まれる。


そんな調子で、先の話に登場した人物が、次に出てきたときには、前の不幸はなかった
ことになっている話が展開される。
普通に生活しながら、突然、ふりかかる不幸が読んでいて辛いのだけど、
また別の設定で、この人たちの違う人生を読めるのでは?と期待しながら
途中からは読んでいました。

そして、最終章の<鏡の花>では、今までの物語で別々に語られた人たちが
一つの場所に集まる。
その場所は、民宿「菱花」・・・鏡という意味をもつ。

民宿に集う、面々は、5章までの話では、亡くなった人も多い。
日常のちょっとした事が変わるだけで、全く違う人生が展開されるという話。

辛いことが多かった話でしたが、最終章で、期待通り、救われて良かったぁ~。
最後にああ、よかったと思わせるための前の5章だったのかな?


こういう話は、映像化できないだろうな・・・。
なかなか面白い物語展開でした。
 
 
                       ★★★★




発行年月:1997年1月

生意気で動物仲間のボス的存在のネロ。ドイツ人夫妻に可愛がられ、故郷イタリアからドイツへ行くが……有名女流作家の世界的話題作

                 (文藝春秋HPより)


イタリアで縁起の悪いとされる日は13日の金曜日と並んで17日の金曜日。
そして11月は不吉な月とされる。
そんな11月17日金曜日、雷が鳴り響く正午に生まれたのが、この物語の
主人公・ネロ(イタリア語で黒を表す)。
同じ日に生まれた猫がネロを含めて4匹。
ネロはそのなかで斜視で生まれた妹猫・ローザの面倒をよく見ることが
唯一の良い点。
あとは、傍若無人な振る舞いで、家の鶏の卵は奪うし老犬にも凄みを効かせる。

隣は、ドイツ人の夫妻の別荘。
ネロは怖いものなしで、そのドイツ人夫妻に近づき、可愛がられる。
夫人が猫好きだと知り、擦り寄り甘えた声を出し、ミルクや食べ物をねだり
ふかふかなソファーでくつろぐ。
そして、同じ体験をローザにもさせてあげようと連れていく。
夫妻がドイツに帰ると知り、連れて行って貰おうと、可愛い猫を演じ、まんまと
作戦成功。
ローザも一緒にドイツへ向かう。

ドイツに行っても、周りの猫たちを威圧し、ボス気取り。
しかし年を取り、ローザも亡くなってしまうと再びイタリアの故郷が懐かしくなる。
夫妻がイタリアの別荘に行くときに、再び連れて行って貰う。


ネロが可愛い。
乱暴したり威張ったりだけれど、優しいところもあったし・・・。

猫の視点で人間観察している言葉も面白かった。

猫好きなら絶対、楽しめる本です!!

イラストの絵も素敵でした。

                        ★★★★★



発行年月:2005年6月


 カレーソーセージ誕生を巡る一人の女性の悲恋の物語。食べ物が人間に与える幸福と苦悩が、ナチス・ドイツで脱走兵をかくまいつつ、不器用だがしたたかに生きるレーナの人生と共に語られる。

                    (河出書房新社HPより)


物語の始まりは現代。
主人公の「僕」は、10年以上前に屋台で食べたカレーソーセージが忘れられない。
大人になってからもハンブルグを訪れる度に食べに寄った。
でも屋台はあるとき、なくなってしまった。
屋台のおかみさん探しを始める「僕」。
おかみさんの名前はレーナ・ブリュッカー。
もう亡くなってるんじゃないか?という人も居たが・・
彼女に再会できた!
そしてカレーソーセージを考え出した人がレーナだと信じる「僕」は
彼女の元に通い、彼女の物語をきくことになる。

彼女の話す物語は1945年の終戦直前のドイツが舞台。
敗戦が近いドイツで夫や息子たちも戦争で家から離れているため一人暮らしをしていた
レーナ・ブリュッカー。
そんな彼女が若いドイツの脱走兵を家で匿うことに。

カレーソーセージのルーツを知りたい「僕」は、最初、関係なさそいなレーナの話に
やきもきする。
読んでいるわたしも同じ気持ちになる。
でも、段々とカレーソーセージのルーツよりもレーナの人生の物語の方に
興味が沸いてくる。

脱走兵のプレーマーを周囲からわからないように匿うことのスリル。
度々、訪れる地区防空責任者が来るたびに見つかるんじゃないかとヒヤヒヤ。
アパートの階下の夫人の「誰かがいるみたい」の指摘にもヒヤヒヤ。

時々、知らされるドイツの戦況。
ヒットラーの死から敗戦へと進むが、レーナはプレーマーにその事実を伝えない。
戦争が終わったことを知ったら、出て行ってしまうから・・・。
そして突然の別れ。

カレーソーセージのルーツは、とってもあっけなく、終盤に知らされるけれど
ああ、そういうことだと思ったと言うもの。
レーナ自身もそのことは喋っていたし・・・・。

語り手が現代の「僕」になったり、自分のことを語るレーナになったり。

なかなか面白く最後まで読みました。

あとがきにあったけれど・・・
カレーソーセージは、実際にベルリン、ハンブルグなどの北ドイツ地方の庶民の
代表的食べ物だそう。
普通は道端の立ち食い屋台で200円くらいで買えるとか。
ああ、食べてみたいな~^m^


                 ★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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