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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2013年8月

歴史の渦と夫婦の深淵。林真理子の新たな代表作!

わたくしは妻でございます。妻なら真実を聞かねばなりませぬ――。
鳥羽伏見の敗戦で江戸へ「逃げ帰った」と伝えられる最後の将軍、徳川慶喜。若い頃から英邁と讃えられた男は、しかし、本当にただの卑怯者なのか。
公家の姫として京から江戸へ嫁いだ美賀子の人生を通して、妻だけが知り得た歴史の真相を描き、幕末史に新しい光をあてる傑作長編、完結!

                  (講談社HPより)


幕末の日本史を背景に、美賀子の生き様を描いていた。
薩摩と長州が手を結び、徳川を倒そうとしている。
そしてイギリスやフランスは、日本に開港を機に自国の利益を目論んでいる。
いろいろな事が、これから起きると頭のなかで考えていた慶喜。


そして、鳥羽伏見での敗戦で謹慎の身となり江戸から駿河(静岡)に移り住む。
幾人かの側室と美賀子も共に・・・。

そして、側室に次々と子が生まれ、美賀子は「おたあさま」と子等に呼ばれ
徐々に母性をかんじ、子ども経ちと過ごす時間にも穏やかな幸せを感じる。

一方の慶喜は、多趣味で、油絵、写真、鷹を使う猟に夢中になり、村人の家にも気安く
立ち寄ったりして「けいき様」と呼ばれ親しまれていく。


晩年の暮らしは、穏やかで、美賀子との間にも温かい夫婦らしい会話があって
ホッとした。
このままでは美賀子が気の毒と思っていたが、最期はきっと心穏やかだったんじゃないかな?
と想像できる物語の結びになっていた。


美賀子のほかに同じように好感が持てたのが、火消しの辰五郎の娘・お芳。
側室とはちょっと違うかたちで慶喜のそばで世話をしていた女性。
思ったことをハッキリ言うところが気持ちよかった。
お芳の父・辰五郎も慶喜のことをどんなときにも支えて自ら「上さまには男惚れした」と言っていた。


世間的には、戦を放り出し、自分だけ先に逃げた卑怯な者という認識だけど
こうして物語を読んでみると、確かにいろいろな考えがあっての事だったのかな?
なんていう風にも思える。


なかなか面白い物語だった。


                          ★★★★





 
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発行年月:2013年8月


新聞連載時から大きな話題を呼んだ傑作長編!

わしは将軍にはならん。どんなことがあってもならぬつもりだ――。
幕府と朝廷の関係が激しく揺れ動く幕末。京から江戸へと嫁いだ、一人の姫がいた。その夫、家康公の再来とも噂される男こそ、のちに「最後の将軍」となる徳川慶喜であった。公家の姫から将軍の妻となった美賀子の人生を通して、幕末の動乱と人間の深淵を描く、林真理子の傑作歴史長編。

             (講談社HPより)



読みやすく面白い。
徳川家15代将軍・慶喜のことよりもその正妻・美賀子の視点で描かれているのが
興味深い。

慶喜との子どもが出産後、まもなく亡くなったのは気の毒でした。
その後、子が出来ず・・・
自分で「・・・女に好かれるのだ」と言い、美賀子との子どもがなくても
その後、側室に子が次々に生まれることに。
現在では、考えられないけれど、この時代では普通のこと。
それでも美賀子は自分の立場をわきまえて、静かに慶喜を見守る。
今まで美賀子の存在すら、知らなかったけれど
とても好感のもてる女性だなぁ~。

さて、下巻も楽しみに読みましょう。


                           ★★★



発行年月:2013年10月


 あなたはあなたが連れてきた──サスペンスとたくらみに満ちたハードな愛の物語。

嵐の日、あなたは、行方不明だった弟を連れて来た。あなたに瓜二つのあなた。そして言った、「僕は死ぬんだ」──幸福な結婚生活を送っていると感じていた「私」に、ある日訪れた不可解な出来事。女が男を愛するとき、取り替え不可能なもの、確かなものとは何か。翻弄しようとするものたちに挑む、静かで激しい「私」の物語。

                      (新潮社HPより)


16歳のとき、両親を列車事故で亡くしたみさき。
その葬儀会場で別の葬儀に参列するために居た夫・新時と知り合い、結婚した。

夫は余命短い病気に罹る。
そして、ある日、夫と瓜二つの弟・盛時を連れてくる。
ホスピスに入所した新時。
盛時はふらっと家にやってきて、食事をしたりする。
夫は自分の亡き後、妻が寂しくないように盛時を引き合わせたのだ。


盛時の性格は好きになれないな。
容姿がそっくりだから同じように好きになれるわけではないのだが・・・
男の人の考えるとことは、よくわからない。

みさきは戸惑いつつも盛時と居ることを拒まない。

そして、夫の同僚・久保の存在も絡んできて、どうなる?と思ったら・・・

ラストはサスペンス?SF?ホラー?
いろいろな解釈が出来そう。


表題の意味も、ちょっとあれこれ考えちゃう。
ちょっと変わってきてなかなか面白かったけれど
評価が分かれそうな作品かもね。




                          ★★★




発行年月:2013年9月
生きるために、踊って踊って踊りまくれ!

爛熟期を迎える18世紀前半の琉球王国。数奇な運命の下に生まれた少年・了泉は、自らの命と野心をかけて舞踏の世界でのし上がる――。琉球に生まれた天才舞踊家の、壮絶なる《天国》と《地獄》を描く一大叙事詩!


                 (角川書店HPより)


いや~凄い大作!!
舞台は18世紀前半の琉球王国。
主人公は、そこで最下層の民・ニンブチャーとして生活していた蘇了泉。
母親が病に倒れ、伝染病と恐れられていたそれを排除するために、村人たちに
追いやられガマで暮らす。
食事は3日に1度のこともあるが病気の母を想う気持ちは変わらず
食べ物を確保して帰ると先ずは母に与える優しい少年。

そして、ある日、石羅吾が大道芸の一員として存在していた了泉に眼をとめる。
王府で踊奉行の地位に就いている男。
了泉には人を惹き付ける力があるとみた。

そしてまだ青年の尚敬王の教育係の男・蔡温は、王を支える月しろになれる男を
探しており、その眼にとまったのが了泉であった。


いろいろな人の思惑で王府に近づく了泉。
しかし、踊りを極めることにも最初は無頓着。
王に近づけば、病気の母を救う薬を手に入れられるという思いだけで
石羅吾の厳しい稽古にもついていく。
そして、踊りのライバル・雲胡もまた、月しろになれるのは自分だと
玉城里之子を師として踊りの稽古に励む。


性格も舞い方も対照的な二人が競う場面は、面白かった。
最初は自分の方が優れていると思いながらも徐々にお互いが自分にない
秀でた部分を持っていると認める。
踊りによって、低い身分から段々と地位を上げていく了泉は、驕りの心から
自ら築いてきたものを全て失うことになり、再び下級層に逆戻り。


ああ、なにやってるの!!と思わず叱りつけたくなるような気持ち。
でもでも、それが後に活きてくる。
そんなどん底生活も図られたものだったのかも?


了泉は、憎めないキャラクターだったけれど、琉球から江戸に向かう途中、
鹿児島で知り合った、樺山聖之助が面白い。
空気が読めない男だけれど、大活躍の場面は笑った。

吃音のチャンダラーは癒しのキャラで、どんなときにも了泉を友として
温かく見守っていた。
ピンチのときには手助けしていたし・・・。


兎に角登場人物たちがユニークで良い!
最初、なじゃこりゃ?と思った者たちが、のちの「おぉ~!」という働きをする。


琉球の踊りは、あまりちゃんと見たことないけれど
ちょっと興味が沸いて来ました。

しかし、月しろになるために生きた了泉の人生は、壮絶すぎて
普通の人なら、途中で死んでるな^m^


しかし、面白かった!!!


                       ★★★★★





発行年月:2013年10月


 色とりどりの白昼夢

よく耳にするありきたりなひと言。しかしその言葉の裏にはじつに奇妙な物語が潜んでいるものだ。白昼夢のような短篇25篇が色とりどりにきらめき連なる小説集。

                 (筑摩書房HPより)
               




25編から成る短編集。
よく耳にする言葉がお話の題になっているけれど・・・・
表題作であり、一番最初の話<ささみみささめ>は、奇妙なことば。

<ささみみささめ>
これからナイショ話をするぞ-------それは身内だけで通用する隠語。
その言葉を聞いたら、同じ言葉で返す-------承知した、誰にも言わないと約束をして
話を聞く。
父が祖父から亡くなる寸前に聞いたこと。

ちょっとした謎があって、真相はハッキリしないけれど、なるほどと思えた。


他には・・・
<ああどうしよう><ちからしてるけど><あしたは晴れる><行ってらっしゃい>
<おかけになった番号は><ママにはないしょにしておくね!>
<きみは、もう若くない><あなたにあげる><ウチに来る?><名刺をください>
<一生のお願い><ヒントはもう云ったわ><ありそうで、なさそうな>
<もう、うんざりだ><わたしに触らないで><ウチ、うるさくないですか?>
<ドシラソファミレド><すべって転んで><ここだけの話><スモモモモモ>
<春をいただきます!><最後尾はコチラです!><悪いけど、それやめてくれない?>
<こんどいつ来る?>


サスペンスっぽい話、主人公がお気の毒な話、オチが不気味な話、ちょっと心温まる話
いろいろな要素で楽しかった♪

お気に入りは、表題作。
あとは、似たようなシチュエーションなんだけれど、
<ヒントは云ったわ>
祖母から結婚が決まったら、七色の宝石で飾った冠をつけた天女像をあげると云われていた親戚で唯一の女の子だったエリカ。
5歳年下のボーイフレンドに婚約者のふりをさせて祖母に会いに行き、天女像の
ある場所を聞き出そうとする話。

おばあさんの粋な計らいがいいなぁ~。

<ドシラソファミレド>も良かった。
こちらは施設入所している父と娘の物語。
小さいころの優しかった父親の姿って、いくつになっても思い出として
残っているもので、心通う会話が久しぶりに出来てよかったぁ~(;_;)
ちょっと感動の物語。
「もろびとこぞりて」が「ドシラソファミレド」とは、気づかなかったぁ~。


長野さんファンには嬉しい短編集。
長編とは違う魅力が詰まっていました♪


                          ★★★★

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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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