忍者ブログ
読んだ本の感想あれこれ。
[29]  [30]  [31]  [32]  [33]  [34]  [35]  [36]  [37]  [38]  [39



発行年月:2023年11月


中小企業診断士・北川が悩める経営者を導く! ”会社の終活”エンタメ小説
自分が引退しても、我が子のように大切な会社には末永く続いてほしい――経営者の願いも虚しく、中小企業の後継者不足が問題となって久しい。
二人の息子のどちらかに会社を継がせたい、洋菓子店の二代目社長。
社内に目ぼしい人材がいないとボヤく、ワンマンバッグメーカー社長。
社長の急な逝去により外国人オーナーのもとで働くこととなった、刃物メーカー社員。
会社の行く末に三者三様の悩みを抱える人々に、型破りな中小企業診断士・北川は、前代未聞の経営改革案を提示する。
『県庁の星』著者がおくる、痛快お仕事エンタテインメント!


                  (角川書店HPより)


面白かった。
後継者を誰にしよう?誰になる?という問題に直面した3つの会社のお話で
それらに関わるのが中小企業診断士の北川徹(56歳)。


第一章はケーキの製造と販売を行っている会社「ルージュ」。
65歳の現社長が次は2人の息子のどちらに経営を任せるかを悩んでいた。

長男は真面目だけど、商売センスに欠ける
次男はサーフィン好きで社交的だけど、店のことにそれほど興味が
あるとは思えない

北川は開店準備金を渡して期限をつけて二人に別々の店舗で商売を
させてみたらどうか?と提案。


第二は女性向けのブランドバッグを販売している会社「アスリ」の62歳の
女性社長。夫は他界していて子どもはいない。
会社の経営を助けてくれている部下の誰かから後継者を選ぶべき?と悩む
そのうちコロナ禍で店は休業せざるを得なくなる。
このままでは店そのものの存続が・・・・。

北川は、コロナ禍だからこそのものをつくるのは?
ほかにもいろいろ、アイデアを出してくれる


第三章は包丁を製造している「斉藤工業」。
社長が急に亡くなり、社員は動揺。
取締役の社長の妻・朝子は、元看護士で経営には全く関わってこなかった。

英語ができるからと中途採用され輸出業務を担当していた伊藤浩紀(45歳)は
知り合いで定期的な飲み友達でもある北川に、愚痴をいう。
北川は「伊藤くんなら大丈夫だよ」というが・・・
家庭内でも問題が起きる。妻が仮想通貨取引で失敗し、二人の貯金をゼロに
してしまったという。
謝って、離婚はしたくないと言うが・・・・



北川のアドバイスは適格で、それぞれの会社が良い方向にむかい
読んでいて楽しかった。
第三章の伊藤も、大きな決断をしたけれど、それで正解!と思った。



知らなかったけれど中小企業診断士って、凄いな。



                       ★★★★


PR



発行年月:2023年11月


祖母が守りたかったもの、それは?
瑞ノ瀬村に暮らす佳代、千代、三代の三姉妹は、美しい自然の中をかけまわり元気に暮らしていた。大切な人が戦地から帰ってくる日も、村中から祝われながら結婚式を挙げた日も、家で子を産んだ日も、豊かな自然を讃えた山々の景色が、佳代たちを包み込み、見守ってくれていた。あるときそんな瑞ノ瀬村に、ダム建設計画の話が浮上する。佳代たちの愛する村が、湖の底に沈んでしまうという。佳代は夫の孝光とともに懸命に反対運動に励むが──。
 定年退職まで営業部で忙しく働く佳代の娘・雅枝と、海外留学先であるイタリアで「適応障害」になり、1ヶ月と少しで実家に帰ってきてしまった孫・都。湖の底に沈んだ瑞ノ瀬への想いはそれぞれにまったく異なっていた。
 大藪春彦賞受賞、吉川英治文学新人賞ノミネートなど、いま最注目の若手作家・辻堂ゆめの最新刊! 都市開発や自然災害で、瞬く間に変わりゆく日本の古き良き故郷(ふるさと)の姿。私たちが得たものと失ったものは、一体何なのか。若き作家が三世代の親子の目を通じ、変わりゆく日本の「故郷」を壮大なスケールで描いた感動作。

                      (小学館HPより)


最近、よく読んでいる作家さん。
これも素晴らしかった。

孫、娘、祖母の順に語り手が変わり、時代を遡っていく。

最初は大学生・都の物語。
大学3年生を休学して、憧れのイタリアに1年留学のはずが、海外の生活
人間関係、言語、すべてがうまくいかず適応障害になって留学からわずか1か月少々で
帰国。
近くに一人で住む祖母の元にいくことで、何とか気持ちを保っている


次はバリバリ仕事をしている雅枝。
夫は元部下だが今は専業主夫。
優しすぎる性格故、仕事場のストレスから精神が参ってしまった。
寡黙で何を考えているのかわからない夫。
行く先が不安な娘のことなどで、ついつい家では不機嫌になってしまう。

最後は、ダムに沈んだ村・端ノ瀬村への想いを持ち続けた佳代の話。
夫の孝光とは同い年で、ほぼ毎日、一緒に遊んでいた。
2つ下の妹・千代。まだ幼い三代は佳代が背中におんぶして。
孝光も弟の茂則をおんぶして競争したり・・・。
やがて孝光と佳代は結婚。戦争があり孝光も出兵するが無事、帰る。
千代が戦後すぐ結核で亡くなる。

端ノ瀬村にダムが出来る話が出て来てから、そんな幸せな光景が一変してしまう
のが辛かった。
多くの人が最初は建設反対を訴えていたけれど、時間が経つと国の補償金と今の暮らしを
比べ補償金を貰うことの方が将来的には良しとする者が増えていく。
反対を続ける佳代と孝光を邪魔者扱いする者も。
どんな状況になっても夫婦の気持ちはひとつ。
けれど、ある日、孝光は置手紙を残し、村から姿を消してしまう。

これは納得できなかったな・・・。
佳代が気の毒過ぎて・・・・(/_;)


前の娘の雅枝の話で、父親のものかもしれない骨と腕時計が出てきたという話の
その腕時計の話がまだ二人が希望を捨てていなかった頃の話で出て来て
泣けた・・・・(/_;)

佳代の覚悟もすごいもので、そこまでそこに居続けることは夫をそこで待ちたいと
いう思いだったのかな?
諦めて、違う土地で、娘や孫と穏やかに暮らす方が幸せのような気がするけれど
それは他人が思うことで佳代にとっては、そうすることが一番大事な
ことだったのかもしれない。


重たい話だったけれど、行き詰まりのようだった都と雅枝のこの先が少し
明るいものになりそうなかんじになって、ホッとした。


まだ若い作家さん、これからの作品にも期待!



                       ★★★★★




発行年月:2021年3月


イギリスでは「2020年一番売れた本」となり、
さらには「ハリー・ポッター」シリーズに次ぎ、
「史上2番目に売れたハードカバー本」に。
コロナ禍で生きる希望をつなぐ「特別な本」として
社会現象を巻き起こしている
累計550万部突破の世界的ベストセラー。
日本語版も発売たちまち22万部突破!
「イギリス人のイラストレーターが初めて描いた本が、
ニューヨークタイムズベストセラーで
1位になったと聞いた。
いったい、どんな本なのだろうか?
と思い手に取ると、 ひと目で魅了された。
ペン1本で描かれた圧巻のイラストと、
すべての人生に寄り添う言葉。
英米を席巻したこの圧倒的なデビュー作が、
日本でも多くの人に読まれますように」



                    (飛鳥新社HPより)


確か、NHKの朝イチで紹介されていたと思う。
気になるな・・・と図書館で借りて読んだ。

意外と厚みのある本。
イラストレーターが書いたというので、絵は素敵なのは当たり前?
しかし、ことばが凄くいい。
難しいことばではない。
誰でも、そうだよ、うん、その通り!と思えることが書かれている。
けれど、当たり前のことなのに、改めて言われると、何か不思議な気持ち。

ここに出て来る、男の子はまず、モグラに会って、次にキツネに会って最後は馬。
出会った者が一緒に歩いていく。

モグラは無邪気なかんじ。キツネは寡黙。馬は物知りでみんなの疑問に答える
先生みたいなかんじ。

馬の言葉が一番、哲学的かな?

~~~馬のことば~~~

弱さをみせることができたとき
たすけを求めることは あきらめるのとはちがう
あきらめないために そうするんだ


あしたのことはわからない
みんなが愛し愛されていることをわかっていればいい


ぼくの質問「いままでにあなたがいったなかで いちばんゆうかんなことばじは?」
馬の答え 「たすけて」



3回くらい読み返した。
図書館返却まで、まだまだ読み返したい。



日本語の手書き文字は、書家の島野真希さん。
この文字もすごく好き♪


とても素敵な本だ。




                      ★★★★★




発行年月:2022年12月


第169回直木三十五賞候補作
『ジェノサイド』の著者、11年ぶりの新作!
マスコミには決して書けないことがある――
都会の片隅にある踏切で撮影された、一枚の心霊写真。
同じ踏切では、列車の非常停止が相次いでいた。
雑誌記者の松田は、読者からの投稿をもとに心霊ネタの取材に乗り出すが、
やがて彼の調査は幽霊事件にまつわる思わぬ真実に辿り着く。
1994年冬、東京・下北沢で起こった怪異の全貌を描き、
読む者に慄くような感動をもたらす幽霊小説の決定版!

                 (文藝春秋HPより)




表紙が怖い。

幽霊の話?ホラー?
ホラーは苦手なので、恐る恐る読み始めた・・・・(^^ゞ


最初からホラー感・・・ドキドキ( ノД`)
でも、段々、怖さより、幽霊になった女性のことが知りたくなって読み進める。

踏切のそばで亡くなった女性は、何者かにその近くの小屋で刃物で刺され
絶命する前に自力でその場に辿り着いた。
なぜ、殺されなければならなかったのか?苦しみのなかで必死にそこまで
移動したわけは?


女性が殺された背景に大物政治家の黒い疑惑がある。それを暴こうとする
雑誌記者・松田法夫。元は新聞記者。新聞記者時代の顔見知り刑事・荒井から
情報を得ながら女性殺しの真相に迫っていく。
そのなかで、被害女性のことを知る者を見つけ、話を聞き、女性自身のことに
のめり込んでいく。
このままもしかして、憑かれたりしないかな?と心配になった。

女性を刺した男は最期まで怯えていたけれど、なんで?


が、急に霊媒師が現れるという展開になり、ややがっかり・・・。
ま、真相を知るのは手っ取り早いか?


女性は大物政治家の愛人だったゆえに殺されたみたいだけれど、
無口で暗いという元同僚の話などから、殺す必要あるかな?
社交的で、口が軽い女性なら、口封じしたというのもあり得るけれど・・・


幽霊になった女性の心情を考えて切なかった。
最後は、無縁仏としてでなく、母親の元に帰ることが出来たのかな?
松田がその辺りを働きかけてあげて・・・
母親が帰って来た娘の名前を呼ぶとか・・・
そういうラストを期待したんだけれどな~。


読み物としては、面白かったけれど、ちょっと自分としては腑に落ちないな



                       ★★★



発行年月:2023年1月


「こんなはずじゃなかった」。進路を断たれた高校生、恋人と別れたばかりの青年、ワンオペで初めての育児に励む女性……。市役所に開設された「2020こころの相談室」に持ち込まれたのは、切実な悩みと誰かに気づいてもらいたい想い、そして、誰にも知られたくない秘密。あなたなりの答えを見つけられるよう、二人のカウンセラーが推理します。
明日への一歩のために、私たちは心を映す鏡になればいい。本当も噓も映し出す鏡に。

                 (光文社HPより)


最近、気にって読んでいる辻堂さん。
今回も楽しかった。

コロナ禍、生活が一変し、追い詰められた状況に陥った人たちが相談室に
訪れる話。

市役所が開設した相談室なので、無料。
段々と口コミ的に評判が広がり、最初は閑古鳥が鳴いていた相談室も予約制に。

相談室を担当する2人の人柄がいい。
臨床心理士の晴川あかり(20代後半~30代?)と
認定心理士の正木昭三(60代半ば~70代?)。

問題がその場で解決しなくても、こういう人たちに自分の不安や不満を吐き出す
だけで、かなり心理的には良いんじゃないかな?と思う。

<第一話 白戸ゆり(17)>将来の夢を失った
就職希望だったがコロナ禍で希望する接客業の求人が激減。
合唱部の最後の大きな大会も中止。
大好きだった祖母が亡くなったがお見舞いもお別れも出来なかった。


<第二話 諸田真之介(29)>婚約者を失った
婚約者の彼女と口論になる。
彼女は看護師で、コロナ禍の今は、仕事を一旦辞めてほしいと言ったことから
別れることに


<第三話 秋吉三千穂(38)>幸せな未来を失った
初産で入院したが、コロナ禍で夫の立ち合い出産は叶わなかった。
しかも仕事で忙しいと夫は産後も見舞いに来ず、出産から1か月経って
やっと家に来た。
一人での子育てに四苦八苦している間、夫が不倫していたことがわかり
別れることに


<第四話 大河原昇(46)>人間の尊厳を失った
建設作業員として働いている。
コロナ禍まではネットカフェで寝泊まりして気ままな生活を楽しんでいたが
店が閉店し寝る場所がなくなりホームレス生活。
公園で寝ていると不良の集団に嫌がらせをうける。
最近、その仲間の一人らしい男が夜、公園に現れ、自分を観察しているのが
不気味でしかたない


<第五話 岩西創(19)>
父親と暮らしている。
大学に入学したが授業はオンライン
高校までの生活が大学では変わると思っていたのに・・・



話の最後に、それぞれ晴川あかりが謎解きをする。

第一話の白戸ゆり・・・高校で発生したクラスターは所属していた合唱部からでは?
そして、ゆり自身も感染し、祖母に感染してしまったのでは?

第二話の諸田真之介・・・看護師だったのは自分で、恋人に仕事を辞めてといわれた。

第三話の秋吉三千穂・・・三千穂が不倫相手側。夫であると言った男性は妻との離婚話に
奔走していて、やっとその見通しがついたのでは?

第四話の大河原昇・・・建設現場で働きながらネットカフェで寝泊まりというが
それはかなり金銭的な無駄使い。ほかに収入を得ていたのでは?
商店街の防犯カメラの位置に詳しかったのは、すりをしていたからでは?


第五話の岩西創・・・大学生と言っていたが、話に矛盾が・・・本当は二浪している
浪人生なのではないか?


謎解きが必ずそうとは言えないけれど、なるほどと思う箇所もあり面白かった。
人は知らない人にでも自分を少しよく見せたいという思いがあるのはわかる。


第一話の白戸ゆりと第五話の岩西創は兄妹だった。
両親が離婚して苗字が変わり、別々に暮らしているけれど、仲は良さそう。
建設作業員の大河原と岩西創の関わり方も面白かった。
大河原が犯罪者というのは、ちょっと嫌な想像で、そうでなければいいのにな。



                     ★★★★
カレンダー
11 2025/12 01
S M T W T F S
1 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
メ-タ-
kyokoさんの読書メーター
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
[09/20 kyoko]
[05/23 のぶ]
[09/15 kyoko]
[09/14 ひろ]
[03/06 kyoko]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
kyoko
HP:
性別:
女性
自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
フリーエリア

Copyright (c)本を片手に・・・ All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  image by Night on the Planet  Template by tsukika

忍者ブログ [PR]