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読んだ本の感想あれこれ。
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行年月:2013年6月


 きれいに洗っても、忘れようとしても、まだ残っているもの。それで、人生は満ちている――。

結婚直前の不実も、不倫も、自分の体を傷つけてしまうのも、ここにずっといて欲しいとうまく言えないのも、ぜんぶ同じ。怖いから。抗いたいから。体と心が触れあった痕跡を遺すことだけが、私たちの唯一の寄る辺なのです――言葉にしたら消えてしまうかもしれない感情の奥底まで踏み込んで描ききった、痛くて優しい連作小説

                  (新潮社HPより)

6つの短篇からなる物語。
話に出た人物の一人が、次の物語で、その背景にあるものを詳しく語ってくれる。

大きく分けて2つの話かな?
前半は、結婚が決まっていながらも、知り合ったばかりの男と関係を持ち続ける
女性の周りの人たちの話。


そしてもう一つは、ハーフでモデル並の容姿を持ちながら
男の家を転々と居候して生活しているサキの周りの人たちの話。


どちらかというと、後の話、サキと幼なじみで現在の居候相手・松本との
話が良かったな。

辛い目にばかり遭ってきたサキが松本くんの今後の接し方で
穏やかな幸せが続く暮らしが出来るように祈りたい!


傷ついた人の心理描写はうまいなぁ~。

今後の作品も読んでいきたいと思います。


                              ★★★★
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発行年月:2014年1月


短篇と短篇が出会うことでそこに光が瞬き、
どこからともなく思いがけない世界が浮かび上がって見えてくる。
魅惑の16本と小川洋子のエッセイが奏でる究極の小説アンソロジー集!

              (河出書房新社HPより)


小川さんが陶酔されている短篇を集めた作品。
まだ未読の作家さん。読んだことはあるけれど・・・小川さんだとこんな
風に解釈されるのかぁ~?といろいろと楽しめた作品だったなぁ~。

短篇は全部で16篇。
そのひとつひとつの解説エッセイがつく。

有名だけど、殆ど読んだことがない

泉鏡花の「外科室」、梶井基次郎の「愛撫」、井伏鱒二の「鯉」
武者小路実篤の「空想」などは、もっとほかの作品も読んでみたいと思わせてくれた。


泉鏡花の「外科室」は、以前、映画化されたのをチラッと見たのだけど
解説エッセイで、小川さんが、ドクターの秘書をしていた話は、興味深かった。
しかし、外科室という言葉の響き自体が、なんとも冷たく重たいかんじ。
物語自体も純愛を描いていて、現在では、書けないだろうなぁ~。
この時代だから成立するお話という感じす。

しかし、小川さんの読書量というか読書の幅はすごいな。
作家さんというのは、こういうものでしょうか??

毎週末、FMラジオで本の解説をされているのを楽しみに聞いているので
その雰囲気もちょっと重なるかんじでした。

また陶酔短篇箱第二弾とかもあるといいな。


                         ★★★★★
 



発行年月:2013年10月


 あれは、誰の灯籠だろう――。
またひとつ、赤い灯籠が流された。灯籠を見送っている人に、希未は見覚えがあるような気がした。

「悼む」とは、ずっと忘れないで伝えていくということ。
中学1年生の希未は、昨年の灯籠流しの夜に、見知らぬ老婦人から年齢を問われる。
仏壇の前で涙を流す母。同じ風景ばかりを描く美術教師。
ひとりぼっちになってしまった女性。
そして、思いを寄せた相手を失った人――。
希未は、同級生の友だちとともに、よく知らなかった“あの日”のことを、周りの大人たちから聞かせてもらうことに……。

真夏の夜、元安川に、人々は色とりどりの灯籠を流す。光を揺らしながら、遠い海へと流れていく――。
1945年8月6日。広島上空で原子爆弾が炸裂した。そこに暮らしていた人々は、人類が経験したことのない光、熱線、爆風、そして放射能にさらされた。ひとりひとりの人生。ひとりひとりの物語。そのすべてが、一瞬にして消えてしまった。
研ぎ澄まされた筆致で原爆をテーマに描いた『八月の光』の朽木祥が、今回、長編で原爆を描ききる。
日本児童文学者協会新人賞をはじめ、産経児童出版文化賞大賞など多数の賞に輝く朽木祥が、渾身の力で、祈りをこめて描く代表作!

                  (講談社HPより)


主人公は、広島に暮らす中学1年生の望未。
美術部に所属していて、文化祭では「あのころの廣島とヒロシマ」をテーマに
各自の取材を元に、あの日のヒロシマを元にした絵を描くことに。
それぞれが、あの日のことを身近な人から聞いたり体験者に話を聞きに行ったりするなかで
当時の人々の抱えている思いを表現していく。


主人公の望未は、美術部顧問の吉岡先生自身のことを題材にする。
あの日、許婚の聡子さんとちょっとしたことで気まずい気持ちをそれぞれが
抱えながら別れた。その直後、聡子さんは被爆して亡くなった。
先生は、聡子さんを探して、入市被曝した。
先生があげた櫛が焼けた状態で見つかっただけ。


ヒロシマやナガサキの原爆投下のことは、知っているけれど、そこに暮らしていた
人たちのその後のこと。
そのとき、亡くなってしまった人が、亡くなる前まで普通に生活していた様子を
こうして知ると、それぞれの哀しみや痛みが伝わってくるよう。

原子爆弾の熱で一瞬のうちに姿を消した人たち。
そして、その後で放射線を浴びて被曝した人たち、

生き残った人たちの多くは、体内に残った放射線の恐怖に怯えながら生活しなくては
ならなくなった。

恐ろしい。
とても怖い。

やはり放射能は、怖いな。

ヒロシマ、ナガサキ、そしてフクシマのこと、忘れたらいけないな。

文化祭という行事を通して、望未たちがヒロシマのことを深く考え
作成した作品も素晴らしいものだったでしょう。


表紙の灯篭流しの絵も物語のイメージを膨らませてくれた。


                            ★★★★★



発行年月:2013年12月

芥川賞受賞作『ポトスライムの舟』5年後の物語。奈良のカフェ「ハタナカ」でゆるやかに交差する、7人の女性の日常と小さな出来事。明日への希望が胸に灯る、書き下ろし長篇

                 (中央公論新社HPより)


『ポトスライムの舟』・・・読んだようなきもするけれど、覚えてない(^^ゞ

物語の舞台は、奈良。
そこでカフェ「ハタナカ」を営む畑中芳夏。
27歳のとき、会社を辞めてカフェを始める。
そこに集うお客たちとの交流が描かれた物語。

表題の「ポースケ」は、ノルウェーの復活祭のような行事だそう。
それを「ハタナカ」でもやろう!ということになる。
何をしたらいいのかよくわからないので、各自自分の得意なことを披露する
場所にしようと決める。

カフェの常連客たちの日常の話もそれぞれ面白かった。
主な登場人物たちは・・・

<カフェ従業員>
・ヨシカ・・・34歳。カフェの経営者。
・ナガセ・・・『ポトムライムの舟』の主人公。皿洗いと掃除をするという約束で
夕食にまかないを食べて帰宅。ヨシカとは友人関係。
・とき子・・・50代半ばの主婦。コンビニのバイトと掛け持ちのため午後3時から勤務。
・竹井佳枝・・・28歳。主にランチ時間のバイト。勤務していた会社で挫折後身体的にも精神的にもダメージを受けている。

<カフェのお客>
・林冬美・・・37歳。ピアノを教えている。夫は作家。子どもは欲しいのに居ない。
・梶谷恵奈・・・小学校5年生。ヨシカの友人・りつ子の娘。
・そよ乃・・・34歳。ヨシカの友人。


ほかにもいろいろな面白い人。
ウミウシの写真集をカフェに置いていった、加藤のぞみとか
カフェそばの履き物屋のおばあさんとか。

カフェを中心にいろいろな繋がりがあって・・・


最後は、カフェで「ポースケ」が開催される。
お客や従業員がワイワイと食べ物を囲んで楽しそう。
ナガセが弾き語りでシンディローパの歌を歌ったり、ピアノの先生・冬美が
朗読をしたり。


こんなカフェの常連さんになりたいなぁ~(^^)


                          ★★★★




発行年月:2013年11月


川上マジックがいっぱいの最新短篇集は
たとえばこんな話が21篇も収められている。

                 (マガジンハウスHPより)



どれも短い話だけれど、それもステキ♪
21篇のなかでもお気に入りの話をちょっと覚え書き。


<はにわ>
子どもの頃から周りの男の子とは違っていた息子がゲイであることをカミングアウト。
でもその時、むしろ、ホッとしたわたし。

こんな母親と息子の関係いいなぁ~。


<真面目な二人>
大学の授業で知り合いになった助成と二人。
上原菜野は、カウンター機で何かを数えていた。
それを見て声を掛けた島島英世。

心が動いたらカウントするという遊び(?)なかなかユニークでいいな。
ちょっとやってみたい。


<猫を拾いに>
平均年齢75歳の町内に住む30代のわたし。
回覧板にはその月に誕生日の人の名前が載る。

誕生日プレゼントが拾ってきた猫って・・・・笑
それを貰って喜んでくれるダッシュ(あだ名)もユニーク。
こんな風に年齢がすごく離れている人と友達みたいに付き合えるっていいな~。



ほかにも、なんだかほのぼのするような話が満載でした!


                       ★★★★
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