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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2013年12月


 少年のまっすぐな憤怒が眩しい<プリン三部作>と
繊細にして骨のある30代女子のゆれる日々を描いた中編二篇所収

                (文藝春秋HPより)


少年三部作は
<少年とプリン>
6年3組の給食は何故か時々不足する。
今日はプリンが1個足りず、担任の女教師がブチ切れ犯人扱いされた
少年は怒り言い返す

<老人とアイロン>
進路調査のアンケートに「アイロン師になりたい」と書いた中学2年の少年。
それを同居の男からダメだしされて口論。

<ア・ラ・モード>
プリン・ア・ラ・モードが食べたくて注文したのに「ア・ラ・モードならあります」と
言われ心のなかに怒りを感じながらも、承諾する少年。


この3部作の少年は同一人物だろうか?
プリン好きなことで考えると、同一人物かなぁ~?
なんともユーモラスな話で、クスッと笑えた。


ほか2編は、東日本大震災を経験した者たちの話。

<あの日以来>
親戚夫婦が海外移住をしたので、その一軒家に旧友とその知り合いと女3人で
共同生活を始める私。
そして震災が起き・・・
旧友の知り合いは離婚前の夫の元に戻るが、再び帰って来て、私は東北にボランティアに
行った恋人(勤め先のカフェのオーナー兼店長)から「こちらで落ち着こうと思う。いっしょに
やらないか?」と言われ迷う。


<漁師の愛人>
震災後、サラリーマンから漁師になると故郷に戻った恋人と一緒についてきた私。
恋人にはまだ離婚していない妻子がいるが、別居していて夫婦の関係は壊れている。
わたしは「二号丸」と陰で呼ばれている。



2つの話の主人公は女性。
今の生活をこのまま続けていくべきか?多少悩みつつも、周りの人たちとの
関わりを通じて自分の進む道を決心したような話で、読後感が良かった。

どの話も面白く読めた。


                         ★★★
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発行年月:2014年1月


 ふたつの才能が挑んだ
シナリオなしの真剣勝負。
全5幕。

「ないものを探してください」。
小川洋子の描く人物たちの依頼に、クラフト・エヴィング商會が応える。
ふたつの才能が真剣勝負で挑む、新しい小説のかたち

                   (筑摩書房HPより)


小川さんとクラフト・エヴィング商會が、コラボするとこんなに素敵な
芸術作品のような1冊ができるんですね~とただただ感動!

5つの探し物をクラフト・エヴィング商會に依頼する・・・注文書
そして、目当ての品を見つけて届けてくれる・・・納品書
それを受け取っての感想など・・・受領書


探し物は、皆、それに関係する小説がある。


<case1 人体欠視症治療薬   『たんぽぽ』川端康成>
<case2    バナナフィッシュの耳石   『バナナフィッシュにうってつけの日』J.Dサリンジャー>
<csse3    貧乏な叔母さん   『貧乏な叔母さんの話』村上春樹>
<case4     肺に咲く睡蓮   『うたかたの日々』ボリス・ヴィアン>
<csase5   冥途の落丁   『冥途』内田百聞>



どれも素敵でした。
小川さんの文章、クラフト・エヴィング商會の文章・・・・相乗効果でちょっと不思議で
ユーモアもある独特の世界観。
9年の年月を要して作られたと知り、納得です!!


一番好きだったのは、三番目の貧乏な叔母さん。
4歳の時から19年間いっしょに暮してきた郵便配達人だった祖父を亡くし、
悲しみにくれる日々のなか、突然、現れたおばさん。
「あなたは誰ですか?」の問いに、おばさんは「村上春樹氏の『貧乏な叔母さんの話』を読めば
わたしのことが書いてある」という。
そして突然、姿を消す。

郵便配達人という仕事だからこそ、過去と未来と現在を繋ぐ不思議なことも
納得できるオチ。
なんだかファンタジックなかんじで良かった!


最後の小川さんとクラフト・エヴイング商會のお二人との座談会のような
章も面白かった。

またいっしょに何か作って欲しいなぁ~。


                          ★★★★★





発行年月:2003年12月


 パリッと月がくだけた夜、空から記憶が降りてくる――響きあう七つの短篇。

いくつもの物語の向こうにいくつもの記憶が蘇る。月面に眠る猫、クロークルームに残った「運命」のコート、八十日で世界を一周した雑貨屋、常夜灯に恋をした天使、6月の観覧車、B面の小さなかすりキズ、真っ白なレコード・ジャケット……クラフト・エヴィング商會の物語作家が紡ぐ、月と旅と追憶の物語。

                       (新潮社HPより)


7つの短編から成るけれど、読み進めていくと・・・ああ、前の話の・・・のことだ。
と気づくのが楽しい。

表題作は一
番最初<針がとぶ>は、レコードの針がとぶ様。
詩人だった伯母が亡くなり、その遺品を片づけるために伯母の家に通う
ユイ。
結局、捨てるのは惜しいものが多くて、ダンボール12箱を自分の家に
送って両親からは呆れられる。
そんな遺品のひとつがレコード。
ビートルズのホワイトアルバムかぁ~。
あまり熱心に聴いてなかったから、その辺のことは理解できずに残念でした。


次の話<金曜日の本>は、ホテルのクローク係の男の話。
金曜の愉しみは仕事の前に本屋に立ち寄ること。
ホテルのクロークに残された1枚のコート。

それが後に別の話で登場。
最初の話で出てきた亡くなった伯母が語る<少しだけ海の見えるところ>が
良かった。
日記の部分がなんともいい。
こんな風に日記、書き続けれられたらいいな~。
真似してみようか?


ユイのその後のことも読みながら、あれこれ想像しながら
ショートスリーブ島の景色までも頭に浮かんで来たりして・・・・

読み手の想像力を掻き立てる美しい物語でした♪


                         ★★★★★



発行年月:2013年12月


「いくつになっても心配だけど、遠くから見守るしかないよね」
母親業に終わりはない。だけど、“子供のために生きる私”のままでいいの?
注目作家が、親離れ・子離れを等身大で描く書下ろし長編小説

教育費を捻出するため夫の両親と同居するお受験ママの「淳子(Junko)」
娘には一生続けられる仕事に就(つ)いてと願う専業主婦の「明美(Akemi)」
親の猛反対を押し切り結婚したことを後悔するお嬢様育ちの「紫(Yukari)」

就職、結婚、出産、子育て、嫁姑、実家との確執、職場復帰……
故郷を離れた18歳から40年、3人は悩みを語り合ってきた。
時には口に出せない痛みを抱えながら───

                     (祥伝社HPより)


大学で同級生だった3人の女性が結婚し、子育てをして、子どもたちがそれぞれ
独立するまでを描いた物語。
彼女たちと、ほぼ同年代と思われるので、学生時代の話。
就職時の話には、「ああ、そういう時代だったなぁ~」と懐かしい思いでした。
こういう時代のことを詳しく書けるんだから・・・と著者プロフィールを見ると
1958年生まれで、わたしよりちょっとお姉さんでした(^^)


子育ては、その子その子で違うし、良い人生を歩んでほしいと考えるから
進路選択の場では、つい親の考えも押し付けがち。
でも、最後は、自分で歩む人生だから、自分で納得した選択をしてくれたら
親はそれを応援するだけの方が、楽かもなぁ~。
なんて、この中の3人の物語を読んで思いました。

子育て卒業まで、まだちょっと、わたしは頑張らないといけないな。


                            ★★★
 




発行年月:2013年12月


 幕末の木曽、薮原宿。才に溢れる父の背中を追いかけ、一人の少女が櫛挽職人を目指す。周囲の無理解や時代の荒波に翻弄されながらも、ひたむきに、まっすぐに生きる姿を描き出す、感動の長編時代小説。

                    (集英社HPより)


今は、長野県の伝統工芸品となっている、お六櫛。
それを作っていた父親の姿を小さい頃からみて、自分も作りたいと思っていた登瀬が
主人公。

この時代、女性が技を継ぐのは珍しい。
一家の跡継ぎと期待された弟の直助は突然亡くなってしまう。
生前は、櫛を挽くことより、草紙を描きそれで小遣い稼ぎをしていた。


やがて、短い期間、弟子として父・吾助の元に通っていた実幸が現れ
弟子入りを申し出る。
教えたことはすぐ覚え、元から持ち合わせた才能を吾助も認める。
が、登瀬は、自分が父親の技を継ぎたいと思っていた為、内心複雑な心境。
商売のことにも口を出す実幸だが、伝統を守るためにも実入りのある品も
同時に作らねばという考えは正しいのかも。


最初、やや胡散臭いものを感じていたけれど、実幸なりに、伝統を守ることを
考えての事だったと分かったときにはホッとした。


そして、余所の村に嫁入りした妹・喜和の気持ち。
亡くなった直助が残した草紙に描かれたものを読んで知ること。


口には出さないけれど、胸に秘めた想い・・・じ~んと切なく温かい気持ちに
なりました。


登瀬と実幸も最後は、本当の信頼し合える夫婦になれたんだな~と
思える描写でした。

伝統を作り、それを後世に残していくって大変なことですね。


    
時代背景も絡めながらだったので、どんな時代か想像し易かった。
間違いなく感動作です!!


                          ★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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