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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2007年8月


 海に消えた少女の記憶が、今もわたしを翻弄する――。2005年ブッカー賞受賞作。

最愛の妻を失った老美術史家が、遠い日の記憶に引き寄せられるように、海辺の町へと向かう。あの夏の日、双子の弟とともに海に消えた少女。謎めいた死の記憶は、亡き妻の思い出と重なり合って彼を翻弄する。荒々しく美しい、海のように――。カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』をおさえてブッカー賞を受賞した傑作長篇。

                     (新潮社HPより)


ちょっと前の作品。
カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』をおさえて?
そちらも未読ですが、ちょっと興味を覚えて読んでみました。
表紙の絵も好みだったので・・・。


主人公は、マックス・モーデン。
最愛の妻を病気で亡くし、独身で結婚する気があるのかないのか?の娘・クレアと
ともに遠い昔、少年時代を過ごした思い出の海辺の町へと向かう。

そして、少年時代の海辺の町でのことが語られる。
都会から来た一家の双子の姉弟と仲良くなり、グレース家に頻繁に出入りするマックス。
双子は、クロエとマイルス。
マイルスは生まれた時から喋らない。
双子の母親・ミス・グレースに最初は惹かれたマックスは、グレースに近づくために双子と
仲良くなる作戦を立てていたのだ。

この時期の少年が思うこと。性のめざめ。

海辺の町の様子を語る描写が美しい。

少年時代の話に突然、病気療養していた妻・アンアのことが全く別の話のように
語られる。


思い出に残っている景色を鮮明に思い出すって誰にでもあるんじゃないかな?
マックスの場合、そこに強烈な印象を残した双子の存在があるから尚更。
ちょっとしたミステリーも絡んでいたりして・・・。

読みやすく、なかなか面白かった。

カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』も読んでみたい。


                            ★★★
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発行年月:2014年2月


 たとえ「毒」でも、「ボケ老人」でも――親を捨てられない長女たちの行く末は?

痴呆が始まった母のせいで恋人と別れ、仕事も辞めた直美。父を孤独死させた悔恨から抜け出せない頼子。糖尿病の母に腎臓を差し出すべきか悩む慧子……当てにするための長女と、慈しむための他の兄妹。それでも長女は、親の呪縛から逃れられない。親の変容と介護に振り回される女たちを描く国民総介護時代に必読の連作小説。

                    (新潮社HPより)


3つのお話。
3人の長女たちの苦悩が、こちらにも痛いほど伝わってきて、苦しくなりました。


<家守娘>
島村直美
離婚して実家に戻り、母親と二人暮らし。
昔は、綺麗で料理も上手、何もかも完璧だった母が、今は認知症。
母は、幻の女の子・ユキちゃんを見る。
病院で処方される薬も拒否。
そして、母親を連れて行った病院で知り会い、直美と親しくなった男性のことを
悪く言う。そして、事件が起きる。


<ミッション>
秋本頼子
母が50代で病死。
一人暮らしをしていた父は60代半ばで孤独死していた。
頼子は、26歳で大学医学部に入学し、恩師の園田の死後、その仕事を引き継ぐ
ことを決め、インドの山奥の村へ。


<ファーストレディ>
松浦慧子
父は医師で自身の経営するクリニックで多忙な日々。
母は糖尿病が進行している。
医師の妻だから他の病院に受診させても自己管理が家庭で出来ると判断されてしまい
それがアダとなっている。
母は食欲を抑えられず、甘いものを食べ続ける。



3人の長女たちは、皆、親のことを大事に思っている良い娘。
それゆえ、苦しんでいる姿は痛々しい。
他人ごとじゃないなぁ~と思えて、ちょっと怖くもなった。

どんどん、高齢化が進み、医療が進歩して、昔なら亡くなっていた病気も命だけは
助けられるようになったりして・・・・
二番目の話<ミッション>で、へき地に医者が来たことは喜ばしいことだと思うのは
こちら側の常識で、元々、医師など居なかった暮らしをしてきた村人には
医者が来たことで、自然に死ねなくなったと考えているというのは、言われてみれば
なるほどなぁ~と思った。
ある程度の年齢になったら、自然に亡くなることの方が幸せかも。
ベッドの上で化学療法を受けながら生き長らえても苦痛なだけだから・・・。

この本で、いろいろな事を考えさせられました。

決して読んでいて楽しい話じゃなかったけれど・・・^^;


                          ★★★★




発行年月:2009年7月(単行本は2006年8月)


「生きて、必ず生きて帰る。妻のそばへ、娘の元へ」
涙を流さずにはいられない、男の絆、家族の絆。

「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」。そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。天才だが臆病者。想像と違う人物像に戸惑いつつも、1つの謎が浮かんでくる――。記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とは。

「俺は絶対に特攻に志願しない。妻に生きて帰ると約束したからだ」
「真珠湾に参加するとわかっていたら、結婚はしませんでした」
「零戦はかつて無敵の戦士でしたが、今や――老兵です」
「私には妻がいます。妻のために死にたくないのです」
「私は帝国海軍の恥さらしですね」

                   (講談社文庫HPより)
  
 



映画を先に少し前に観ているので、読みながら映画の映像が目に浮かんでくるようでした。
そして、また感動しました。
映画は、原作に忠実につくった作品だったんだなぁ~。

物語の主人公は、宮部久蔵。
大正8年生まれで昭和20年南西諸島沖で戦死(26歳)。


そんな宮部久蔵のことを孫の佐伯慶子と弟・健太郎が調べる。
慶子と健太郎には、祖父が健在しているが、宮部久蔵は、二人にとっては、もう一人の祖父。

健在する祖父と亡くなった祖父・宮部久蔵の関係もわかってくる。


映画では、あまり焦点が当たらなかった慶子の苦悩。
自分の仕事(フリーライター)と結婚についてのこと。
祖父のことを調べていくうちに、自分が今後、どう生きるべきかを考える。
映画では、健太郎の将来に対する姿勢の方を主に描いていたので、姉の人生も
前に踏み出した過程がよく理解できた。


そして、やはり考えさせられた戦争のこと。
世論って恐ろしい。
大事なひとつしかない命さえ、犠牲にすることが国のためと考えられ、生きて帰りたいと
いう言葉が言えない時代。
そんな時代のなかで、久蔵が「生きたい」と思い、部下たちにも「生きろ」と説くのは
なかなかできることではない。
そして、最期は・・・・これは何度読んでも泣ける(/_;)

戦争なんて、本当に愚かなことだとつくづく感じる。

これがデビュー作というのにも驚く。

最後の解説が児玉清さんというのも、ビックリでした!
児玉さんの言葉にもジ~ンと来るものがありました。


                           ★★★★★




発行年月:2014年1月

家庭に恵まれなかった里里は、シングルマザーとなって娘と暮らす。
過去に囚われる晴美は、女性の自立を援助する団体の代表を務める。
母親から棄てられた朋子は、かたくなに家族を否定しながら生きる。
戦地から戻った夫とすれ違う加寿は、大切なものを信じて家を出る。

すべては彼女が必死に生きてくれたおかげなのだ。
あたしもまた、誰かにつながるような生き方をしたい。

女がひとり、必死に生きてきたその証
その家に遺されていたのは、日々の暮らしが記された家計簿。
そこには「男と駆け落ちして心中した女」の秘密が隠されていた。
「母親ウエスタン」で注目の作家が放つ、世代を超えた女たちの物語

                    (光文社HPより)


主人公・瀧本里里(32歳)の元にある日、家計簿が送られてくる。
昭和17年から昭和24年までの家計簿のなかには、日々の出来事と共に
書いた人の思いが綴られていた。

その家計簿の持ち主は、五十鈴加寿。
母から聞いていた、その人は、祖父・善吉の妻であった女性。
つまり里里にとっては祖母に当たる人。
しかし、祖母は、母がまだ幼いときにほかの男の人と心中したと聞かされていた人。


里里の両親は中学生の時に離婚し、母親・朋子と二人暮らしをしてきた。
しかし、里里は、昔から朋子のことがよくわからない。
父は母と別れたあと、他の人と再婚し、子どもも出来たが、里里が大学生の時に
亡くなった。


祖母の家計簿を手にし、中に書かれている日記のようなものを読む里里。
母親から聞かされていたイメージとは少し違うことに気付く。
そして、祖母のことを知るNPO活動をしている女性・三浦晴美と知り合い
加寿がどんな人だったのか、だんだんとわかってくる。

母は祖母を誤解していた。
その真実を伝える終盤は、複雑な心境になりました。
真実をもっと早く何らかの方法で知っていたら、もしかしたら朋子の生き方も
変わっていたかもしれない。
なんて考えたら切なくなった。
それでも知らずにいるよりは、良いことだと思うけれど・・・・

なんとなくギクシャクしていた、里里との関係も少しずつ和やかなものに
なるといいなぁ~。


そういえば、わたしの母も生命保険会社が毎年くれた家計簿の上段に
日記のようなメモ書きをいたなあ~。
ちょっと前の家庭の主婦は、みんな同じようなことしていたのかも。
彼女の家計簿=彼女の生きざま。



読み応えあり面白かった!


                       ★★★★★
 




発行年月:2013年12月


 この星座館には、家族の夢が詰まっていた――

「和真は俺の兄貴で……そして今日から、月子のもうひとりのお父さんだ」
三軒茶屋の路地裏にひっそりと佇むプラネタリウム(兼バー)。酔客たちに星座について講釈する店主・和真のもとに、10年ぶりに弟・創馬が帰ってきた。娘だという美少女・月子を連れて。
18歳年上に夢中な高校生、彼氏の浮気を疑うキャバ嬢、筋肉フェチのオカマ、ウーロン茶一筋の謎の老人、不思議な客たちが集まる店で、“親子3人”の奇妙な共同生活が始まるが……。

辛いことがあったら夜空を見上げればいい。
僕たちよりもずっと昔から悩んできた、星たちの物語が広がっているから――。

読めば心温まる、人生讃歌エンターテインメント!

                    (講談社HPより)




三軒茶屋にある雑居ビル内にあるちょっと変わったバー「三軒茶屋星座館」
夕方7時から朝方までがOPEN時間。
店主は、大坪和真33歳。

和真の話す星座の話がユニーク。
いまどきの若者言葉だったりして、可笑しい^m^

オリオン座、おおいぬ座、山羊座、水瓶座、うお座
5つの星の話を交えながら、星座館に集う人たちの話が語られる。

小学生の月子と和真、和真の双子の弟で月子の父親・創馬の暮らしぶりが、ほのぼの。
こんな家族もいいな。

さいご、謎の常連客のぴか爺の正体が明かされた瞬間も面白かった。

ほかの星座の話も知りたいなぁ~。


                            ★★★
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