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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2024年3月


30年ぶりにアメリカから帰国し、武蔵野の一角・うらはぐさ地区の伯父の家にひとり住むことになった大学教員の沙希。
そこで出会ったのは、伯父の友人で庭仕事に詳しい秋葉原さんをはじめとする、一風変わった多様な人々だった。
コロナ下で紡がれる人と人とのゆるやかなつながり、町なかの四季やおいしいごはんを瑞々しく描く物語。

               (集英社HPより)




楽しかった!
大学で教える田ノ岡沙希(52歳)。
従弟の博満から勧められて空き家になっていた伯父の家に暮らすことに。
伯父は施設に入所していて、コロナ禍で面会は限られている。

伯父の友人だった秋葉原さんがちょこちょこ庭仕事に訪れるのだが
最初は不審者だと勘違いして警察に通報してしまう・・・^m^
一言、声を掛ければよかったのにね・・・笑



自分の研究室に訪ねてきた女子学生・亀田マサミに自分もこの大学に
通っていたから「先輩」と呼んでくれていいよと話し、その代わりに
「パーシー」と呼ばせてと・・・・ああ、最高~♪
後日パーシーが連れてきた友達・水原鳩は「パティ」と呼ぶことに・・・。


大学のコピー機で顔を合わせ親しくなった来栖は日本近現代史が専攻。
その連れ合いという猿渡くんとも友好関係を築き、人間関係が広がっていく
様子が楽しい。


伯父の家の庭で採れる野菜や植物の話も面白い。

秋葉原はあけびの商店街で親がやっていた足袋屋(丸秋足袋店)を
妻の真弓とやっている。
共に70代の夫婦だけど、3年前に結婚したからか仲良し。
秋葉原は父親が亡くなり寂しくて初めて結婚したとか。


終盤あたりでアメリカで結婚して別れた元夫・バートが沙希の前に現れ
どうなる?と思ったけれど、あっさり挨拶だけ(謝りたかったと)で
去ってしまうのは拍子抜け。
まあ、こじれるのも嫌だからこのくらいの関係がいいか?


東京の武蔵野辺りを知っていればもっと雰囲気がわかるんだろうな~。
商店街が近くにある暮らしは、憧れるけれど、この先、どうなっていくのかな?
続編あるかな?


マトリョーシカは日本がルーツだということは知らなかった!
うはらぐさも後で調べてみよう。



                    ★★★★★
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発行年月:2024年8月


会社員の實成は、父を亡くした後、得体のしれない不安(「モヤヤン」と呼んでいる)にとり憑かれるようになった。特に夜に来るそいつを遠ざけるため、とにかくなにも考えずに、ひたすら夜道を歩く。そんなある日、会社の同僚・塩田さんが女性を連れて歩いているのに出くわした。中学生くらいみえるその連れの女性は、塩田さんの娘ではないという……。やがて、何故か増えてくる「深夜の散歩」メンバー。元カノ・伊吹さん、伊吹さんの住むマンションの管理人・松江さん。皆、それぞれ日常に問題を抱えながら、譲れないもののため、歩き続ける。いつも月夜、ではないけれど。

                  (角川j春樹事務所HPより)



主人公の實成冬至の人との関わり方がすごくいいなと思った。
自身は自分のことを過小評価しているのだけど・・・


父親が癌で他界してから何かモヤッとした影のような存在を感じるようになる。
寝ていて、それに覆われそうになると布団から出て住んでいるアパートの近辺を
グルグル歩く。

そんなある日、出会った同じ職場の女性・塩田さん。
一緒に歩いているのは中学生の女の子。
以来、都合が合えば一緒に歩くようになる。


独身だと聞いている塩田さんと女の子の関係を気になりながらも質問しない實成。
そういうところ好感をもつ。
次第に、相手から実はね・・・・と話してくれる。
その時も、ただ話を聞いて「そうなんですね~」に留めるとこともいい。
實成のアパートの隣人とベランダ越しに会話を時々するのだけど、
ある日、小学校時代の同級生とわかり驚く實成。
深く相手を詮索しないとこういうかんじになるんだな・・・・と少し笑えた^m^

夜の散歩のメンバーがすこしずつ増えていく。

實成の元彼女の伊吹さん、伊吹さんのマンションの管理人・松江は男性の
パートナーと暮らしている。
松江は普段、言わないそのことをサラリと實成たちの前で話し
「自分から普通は言わないんですけど・・・」と。
たぶん、この人たちになら話してもいいと思ったんだろうな。


そして、誰かが困った状況になっていると確信すれば、迷わず助けに入る。
ほんと、理想的な人間関係。



伊吹さんは今、付き合っている男性との問題を解決しようと実家に。
中学生の彩夏(呼び名がザべ子~熊と変わったが)は自分で考えて父親の元に。


みんな最後は自分で一歩踏み出していった。
實成も会いにきた、もっちゃん(望月ゆうな)と新しい関係が生まれるのかな?


今回の話、過去の寺地さんの作品のなかで一番、すきかも。


表題は 「いつも月夜に米の飯」 ということわざかららしい。
これ、ことわざだったんだぁ~

一年中、月夜と米の飯さえあれば申し分ない(あきることない、気楽な生活)
という意味らしい。
また、満足な生活を願えど実際は、なかなかそうはいかないことという意味も
同時にあるとか。
勉強になりました。



                     ★★★★★



発行年月:2024年8月


前代未聞の探偵小説。
誰かが命を落とす前にその事件の謎を解く…
名探偵・除夜一郎の事件簿!
今までにはなかった探偵小説。これこそ唯一無二の吉田篤弘ワールドです。

               (春陽堂書店HPより)




誰一人死なせないと事件が起きる前に事件を解決しようと推理する探偵・除夜一郎。

左右の虹彩が異なるいオッドアイで左目が青い。
それを隠すため眼帯をしている。

そして、ある日、何者かに追われているように走って来たミサキを匿う。
彼女は右目を眼帯で覆っていた。


除夜がよく行く古本屋店主の六月仰一郎の亡くなった
妹・菜緒が生前暮らしていたアパートがそのままにしてあるということで
ミサキはそこで暮らす。

この街には高い塔があり、そのため塔の下と呼ばれている。
そして、街では連続殺人事件が起きている?
亡くなった人に刻印されているアルファベット一文字。


6人目の遺体の刻印は「I」
今までのを繋げると・・・・「D」「E」「S」「P」「A」「I」
次が「R」ならば・・・DESPAIR・・・絶望



謎解きの最後は、なるほど・・・・と思えた。
でもそれをした意味はイマイチ、理解できなかったな・・・(^^ゞ


しかし、そんなことはどうでもいい。
物語の雰囲気がやはり好き。
挿絵も毎度のことながらオシャレ。


除夜とミサキ・・・いいかんじ(^^)



                          ★★★★★




発行年月:2024年3月


君の百倍、僕は君が好きだ。僕の世界の真ん中は、もう僕じゃない。それはひどく幸せなことだった。総合病院の長男である加賀谷は、周囲の期待が重苦しかった。そんな時に出会った蓮に好意を示され、舞い上がるような心地になる。借金を背負いながらも一生懸命に生きている彼の力になりたいと思う。なのに──愛した「蓮」は恋愛詐欺師だった。彼と過ごした甘やかな時間、それが嘘だとはどうしても受け入れられず……。短編『ありがとう』も初収録今からでも遅くない。彼が幼いころもらえなかった幸せを、できるかぎり僕があげよう。そうしてこの家に彼のものがたくさん溢れて、その一つ一つが彼の毎日を確かな幸せで彩って、彼を笑顔にしてくれたなら、それだけできっともう僕も幸せだろうから。

                     (発行/プランタン出版)



凪良さんってBL作品からデビューしてたんですね~
知らなかった。

でもこれは純愛小説として十分、楽しめた。

男性専門の恋愛詐欺師・五十嵐連(22歳)(本名は小野寺透)と
総合病院の長男で自身も医師の加賀谷聡(32歳)の出会いは、
金持ちから搾取することを目的とした連の企みによるものだったのだけど・・・・


幼い頃から親や周りの大人たちからの愛情を受けるなく成長した連が
どんな自分も受けいれてくれる加賀谷に真から惹かれていく過程がいい。


加賀谷は自分より10歳も年下の透にたいしてすごく丁寧なもの言いで
優しい。
行動は大胆なんだけど・・・そのギャップがまた魅力。



これ1冊でおしまいなんだろうけど、その後の様子も読みたいな。




                      ★★★



発行年月:2024年7月


【全冊著者直筆サイン入り!】
延暦19年。駿河国司の家人・鷹取は、軍馬を養う官牧で己の境遇を嘆く日々を送っている。ある日、近くの市に出かけていた鷹取は、富士ノ御山から黒煙が噴き上がるのを目撃し、降り注ぐ焼灰にまみれて意識を失う。一方、近隣の郷人や遊女などの避難民を受け入れた牧は、混沌とする。灰に埋もれた郷では盗難騒ぎが起こり、不安、怒り、絶望がはびこるなか、京から坂上田村麻呂による蝦夷征討のための武具作りを命じられる。地方の不遇に歯噛みする鷹取は――
平安時代、富士山延暦噴火。大災害に遭った人々の苦悩と奮闘の日々を描く、歴史パニック長編。


                     (光文社HPより)



著者のサインには感動・・・・全冊直筆って凄い!


登場人物が次々と出て来るので、慣れるまでちょっと難儀した。
でも、それぞれのキャラクターが魅力的で、起きていることは大災難なんだけど
そこにいて、奔走する人たちがただ恐れ慄くだけではなく
凄く生き生きしていた。

そこは、やがて軍馬として活躍する馬を育てている地だったため、
自分たちの命よりまず、馬を守るために色々な知恵を出し避難させる場所を
決めたり、実際に移動させたりと必死。


主人公の鷹取(30歳)は、生まれは貧しい賤民。
京都から主に従って駿河の地へ。
着いた早々、馬を一頭、逃がしてしまい、新たな馬を貰い受けて来いと
岡野牧へと出向く。
そこで、遭遇した富士ノ御山の噴火騒ぎ。
そのままその岡野牧にとどまる。

そこで、出会う人たちとも次第に親しくなっていく。
身分の低いことにずっと引け目を感じていた鷹取だったが、ここではそれを
次第に感じなくなる。


噴火したあとの暮らしも大変だけど、皆、黙々とやるべきことをやっている。
そして再びの噴火。

時代は坂上田村麻呂が東北を制覇する頃。
東北の地のリーダー・阿弖流為は(アテルイ)囚われの身として
田村麻呂と共に岡野牧へ
寄る。
その時、二人の関係討伐した側の大将とそれに敗れた者という
だけではないのでは?と感じる鷹取が田村麻呂に自身の疑問を問う場面が
いい。
そして、かつては自分と似た身分だった小黒が出世して田村麻呂に仕えて
いたんじゃないか?と思えるところも。


災厄に逃げ惑う人の物語だと辛いだけだけど、そんな中でも逞しく生きている
人たちの物語は、読んでいて心地よかった。



                       ★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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