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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2014年2月


彼女たちを「違う世界」へ連れて行ってくれる〈街に溢れる魔法の言葉〉、
それは――『スタッキング可能』で話題の松田青子が贈る、待望の第2作品集


                   (河出書房新社HPより)


表題作を含む6編からなる1冊。

表題作<英子の森>は割と長め。
高崎英子は、父親は亡くなり、母親と周りが森の家で暮らす。
幼い頃から、英会話スクールに通わせてもらい、学生の時にはオーストラリアに
1年間、短期留学もさせてもらった。
そして、現在は、英語を活かせる仕事を契約会社から斡旋してもらったり、
自ら応募したりの生活。


英語は話せるとは、どこまでのことを言うのか?英子は悩む。
英語が少し話せるからと言って恵まれた環境で、それを活かして仕事するって
なかなか大変なんだと感じた。
一般の事務と時給の差が50円だったり・・・・。

英文学科卒の著者だからこそ、書ける話でしょうかね~。


他は短い話。

<*写真はイメージです>
<おにいさんがこわい>
<スカートの上のABC>
<博士と助手>
<わたしはお医者さま?>


<博士と助手>は、流行のSNSで交わされる若者の言葉を研究している博士とその助手。
なるほど、言われてみればそうかも。
SNSで交わされる言葉って、日常交わされる言葉より、少しオーバーだったりするかもね。
だから、それが元で知り合い同士だったりすると、関係が歪んじゃったり。

若い作家さんだからこそ、書ける面白い話だなぁ~と思った。

ちょっと不思議だったり、怖かったりの要素も、読んでいるとクセになる。
違う本も読んでみたい!



                          ★★★★★
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発行年月:2014年2月


 
なにげなく働いているように見えるあの人も、
本当は何かに悩んでいるのかもしれない――あなたと同じように。
 
ブレイク必至の新鋭が、ありふれた雑居ビルを舞台に、
つまずき転んで、それでも立ち上がる人の姿を描いた感動作!

                     (光文社HPより)




5つの短編集。
とある雑居ビル内にで働いている人々の物語でした。


<泥雲>
手もみマッサージ店を任されている41歳の女性。
離婚して今は中2の息子と小1の娘と暮らしている。
24歳の時、店に飾る絵を探し、みつけたお気に入りの絵をずっと壁に飾っている。
絵を描いたのは、ウツミマコト。雪が舞うようなその絵はどこか暗く寂しい。

息子との関わり方に悩む日々だけど、少しその関わり方がわかりかけたラストは
ホッとした。


<7番目の神様>
カフェ店長の橋場。
同じビル内の上の方で勤務する藤原に誘われて合コンに参加。
そこで知り合った笑美とのデートで映画を見る。
ウツミマコトの「深海魚」という映画が好きと言うが、自分はその良さがわからない。

正直に「わからない」と言えたことで、ふたりの関係が良い方向に変わりそうで
ほっこり(^^)


<龍を見送る>
古書店でバイトする朝海20歳。
アマチュアバンドで作詞作曲を担当している。
バンド仲間の哲平とはネットの音楽のコミュニティサイトで知り合った。
二人でユニットを組み、ある程度の人気が出たが、突然、哲平はほかの女性と
ユニットを組むことを決め現在のバンドから抜ける。

勝手過ぎる言い分にズバリ言った朝海。
格好いい!もっと良い出会いがきっとあるよと言いたくなった。


<光る背中>
IT会社事務員の十和子28歳。
一流会社勤務34歳のプレイボーイ上条由隆に夢中。
メールをしても返信はない。けれど、突然、デートに誘う。
誘われれば、嬉しくていつでも出ていく。そしてそのデート中のことを思い出して
落ち込むの繰り返し。

でも、最後はきっちり見送ることが出来て良かったね~。
見送って正解!


<塔は崩れ食事は止まず>
以前はカフェオーナーだった天音は、今はホームセンター勤務。
カフェ時代一緒にやっていた郁子とわだかまりを残したまま。
ずっと不眠に悩まされている。
マッサージに訪れ、施術後、不眠症をきちんとお医者さんに直してもらうべきと
助言される。

職場の同僚の子どもを預かることになり、その子と過ごす時間のなかで、何か気持ちが
前向きになっていく様子が良かった。


5つの短編、それぞれ頑張っている人たちの姿を描いていた。
身近に居そうな人たち。


どの話にも出てくるウツミマコトの映画「深海魚」。
ストーリーは簡単に書かれていたけれど、その話を長編みたいに書いて
くれないかなぁ~。すごく興味を覚えてしまった。
好きだという人と嫌いだという人、両極端な評価だという映画。
自分はどっちかなぁ~?


面白い短編集でした。
ほかの作品もぜひ、読んでみたい!


                           ★★★★★




発行年月:2013年10月


 流星のように消え去った、藤圭子の「真実」とは――。奇跡のノンフィクション、緊急刊行!

「何もなかった、あたしの頂上には何もなかった」――1979年秋。歌を捨てる決意をした美しき歌姫・藤圭子に、沢木耕太郎がインタヴューを試みた。その肉声は、聞き手と語り手の「会話」だけで紡がれる、まったく新しいノンフィクションに結実した。だが――。一度は封印された作品が、33年の時を隔てていま、新たによみがえる。

                     (新潮社HPより)



今の若い人は、藤圭子と聞いても、宇多田ヒカルの母親という認識なんでしょうね。
藤圭子のデビューは昭和44年。
有名な<圭子の夢は夜ひらく>は、その翌年昭和45年のヒット曲。
まだ小学校低学年だった、わたしもそのころ、数々の賞を受賞する姿を
見ていたし、独特の声とどこか陰のある風貌がインパクトあったのを覚えている。

その藤圭子が芸能界引退を決意し、その時にインタビューした沢木氏との会話を
1冊の本としてまとめた本書。


幼い頃のこと、家族のこと、デビューしてからの苦労などなど。
そして引退を決意した要因になったのが、のどの手術。
ポリープを除去したけれど、元々の声が綺麗過ぎる声に変ってしまったことで
自身の歌が歌えなくなったとか。
知らなかった。そういう事で悩んでいたんだ~。
引退を決めるまで舞台に立つの辛かったでしょうね。
こうして読むと、引退は良かったと思える。

そして、英語の勉強をしたいとアメリカに渡り、後に宇多田ヒカルが生まれる。


最後の方に藤圭子さんが投身自殺した後の宇多田ヒカルのコメントが
また衝撃的だった。
ずっと精神を病んでいたとか。

インタビューの様子では、そんな雰囲気はなかったから。
苦しんで悩んだ挙句、芸能界を引退して、やりたかったことをやり始めたのに
そこで精神を病んでいたとは・・・・なんだかすごく哀しい。

娘の宇多田ヒカルのために、このインタビューを本にして発行したという意図が
なんとなくわかる。


ああ、藤圭子さんの歌、もう一度今、聞きたいな~。


                         ★★★★★



発行年月:2014年1月

総統、ついに芸人になる! 奇想天外な設定で描かれた空前絶後の爆笑風刺小説。
危険な笑いに満ちた本書の評価をめぐりドイツでは賛否両論の物議になった衝撃の問題作

                  (河出書房新社HPより)



上巻に引き続き、一気読みの面白さ。

あの残酷なユダヤ人迫害を指揮した総統のイメージはほとんどないので
なんだか、好感すら覚えてしまう。

現代に蘇ったヒトラー、周囲の勘違いにより、今や人気のヒトラーネタを喋る
芸人として受け入れられる。
が・・・逆にネオナチからドイツを侮辱していると受傷を負わされ入院する羽目に。


ヒトラーの演説の原稿を清書するのを手伝ったりしたクレマイヤー嬢は
祖母の一家がユダヤ人だった為、ガス室で亡くなった。
それに対してのヒトラーの気持ちは、あまり語られてなかったのが
ちょっと残念だけど、後に再会したクレマイヤー嬢が結婚したのを知り
喜ぶ場面はちょっと良いシーン。


物語は、どういう結末?と気になったけれど、そうか、そうくるか。
その後、どうなっていくのかも気になるけど

ドイツの今の政治家たちも登場したりして、ドイツの人たちは率直に
この小説をどう感じているのかな?
なんて事もきになった。

最初は、相手かまわず、自分の主張は曲げず言いたいことをズバリ言い、
世間の注目を集め、やがて、政治の世界で
リーダーシップを発揮して・・・その挙句が、悲劇となっていくとしたら・・・
蘇らせるのは危険だなぁ~やっぱり。


あ、なんか今の日本の総理もそれに近い?とふと思ってちょっとゾッとしてきた。

 
 
                         ★★★★




発行年月:2014年1月


 世界的ベストセラー! ついに日本上陸。現代に突如よみがえったヒトラーが巻き起こす爆笑騒動の連続。ドイツで130万部、世界38ヶ国に翻訳された話題の風刺小説!

                    (河出書房新社HPより)



ヒトラーが2011年8月、とある広場に突如蘇る。

そんな奇想天外な設定で、描かれる物語。
ヒトラーは、自身が自殺したことを覚えていない。
自分と同じように側近たちも近くに居ると最初は考えるが、どうやら此処は
自分が居た場所とは違うんじゃないか?と思い始める。
でも、本人はヒトラー。

周りの人々は、ヒトラーの真似を忠実にしている芸人だと思う。
そしてテレビ番組に出演。
本人は大真面目に演説をしているつもりだが、視聴者の反応は賛否両論。
面白い!と思うものあれば、けしからんと怒る者あり。


ヒトラーに対してのイメージがちょっと変わる。
何故か、愛嬌があるかんじもする。
あんな大虐殺を指示した者とは思えない人間味ある一人の男というかんじ。


さて、下巻ではどういう展開になるのやら??

しかし、こういう物語を書いているのが、ドイツ人とは、驚き。


                             ★★★★
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