発行年月:2014年4月
内緒にしていた、ささやかな秘密。
本当のことを、こっそりお教えします。
あの事件は、どう解決されたんだろう。誰が犯人だったんだろう。彼は何をしようとしていて、彼女はどこにいっちゃったんだろう──。
知らされていなかった真相が、時を経て、意外なきっかけから解き明かされる。多彩な趣向が楽しいミステリー珠玉集。
(光文社HPより)
過去に起きたことの真相を、ふとしたキッカケで解明していくお話集というかんじかな?
どれも楽しめました♪
<沙羅の実>
不動産仲介会社の小日向弘司は顧客の家を訪問すると、そこの主が小学校時代、隣のクラスの担任だった。
そして20年前の事件について問われる。
弘司が何者かに連れ去られ、翌朝、保護された事件と同じ日に起きたもうひとつの事件の
関係性。
これは真相を知って、ちょっと重たい気持ちになったなぁ~。
<君の歌>
高校の卒業式を終えた湯沢芳樹に高崎が話しかけてきた3年前の事件について。
それは女子生徒が何者かに手紙で呼び出され、校舎内で暴行されかけた事件。
当時、犯人じゃないかと疑われたのはワルの3人組だったが、本当の犯人は
分からず仕舞いのまま。
高崎くんは、良い子だなぁ~。
事件の真相に気づきながらも当時、被害者だとされた子を庇おうとしてて
なんだかいい感じ。
最初の話が気が重くなるものだったので、ここで気分転換できたかんじ(^^)
<雪の糸>
一緒に暮らし始めたが、別れることになったカップルの会話。
喫茶店で話す二人の話をよく聞いている比呂美。
会話するカップルの話が、なかなか面白い。
この2人別れなくてもいいのになぁ~。
<おとなりの>
10年前近所で起きた殺人事件。
その日、高校生だった息子は熱をだし、学校を休んでいた。
しかし、途中で外出したことがわかり事件と何らかの関わりがあったのか?と
不安になる両親。
ああ、よかった、
外出していた理由が、事件と関係ないものでホッ。
<野ばらの庭へ>
ある企業のオーナー族の大奥様の回想録をまとめる仕事を任された香留(かおる)。
大奥様・志保子は73歳。「この庭でなくしたものを一緒に探してほしい」と言いながら
過去の話を始める。
それは兄と婚約者だったの統子のこと。
最後に「ああ、そういうこと」と。
志保子さんのお兄さん、優しい人だったんだなぁ~。
ずっと後になって明らかにされた真実。
時間が経たないとわからないことって確かにあるかも。
偶然な再会によって知らされること・・・正に忘れ物が届いた感じでしょうね~。
実に巧い表題だな。
★★★
PR
発行年月:2014年2月
東北の架空の国、リアス・エリア。漁業を手伝う少年カイのまわりで、原発誘致計画を巡り隠された巨大な陰謀が明らかになる。やがて国を大地震と津波が襲い、人々は復興に向けて新たに一歩を踏み出していく――。
(角川書店HPより)初めて読む作家さん。
読み応え十分の長編小説。
頁数481で2段書きなので、読み終えるまでの時間がかかりましたが
読みやすくてスイスイ読めました。
架空の土地・リアス・エリアに暮らす少年・港屋戒(13歳)を中心に物語が進む。
カイは両親を亡くし、姉・理央と二人暮らしだったが、姉は行方不明。
舟で沖に出た後、行方が分からなくなってしまい、地元では亡くなったと思われている。
が・・・理央はアメリカに渡り、キタヒロ教授の助手としてその元で生物資源研究をしている。
リアスエリアは、漁業で成り立っていたが、今はそれも衰退しつつあり新たに原発誘致により財を増やそうとする動きが水面下で起きている。
リアスエリアからの脱出を試みるカイの冒険話としても面白かったが後半は、
3.11を連想させる大地震により核のゴミの処理問題やら近海の環境問題などを
どうするか?
現代の日本が抱える問題そのままを物語のなかに盛り込み、この物語内で
決着がつくのか?と興味深く読んだ。
そして・・・・ああ、そういう解決策ですかぁ~?
やや拍子抜けしましたが、ま、物語なので、仕方ないか?
この物語のように、うまい具合に何か画期的な方法が見つかると良いのだけれど
どうかなぁ~?
読み応えは結構あったけれど、内容はイマイチ納得し兼ねるかな?というかんじ。
ちょっと惜しいかな?
★★★
発行年月:2014年4月
五年生になってぼくはいじめられるようになった。ぼくは未来のことだけを考えることにした。今のぼくから未来のぼくへ手紙を出す。未来のぼくはいつだってたのしそうだ。友達もたくさんいて、夢もかなう。二十通の手紙は、毎年ぼくの元へ届けられ、そして、ぼくは三十三歳になった。ある日、もう来るはずのない「未来の手紙」が届く。それは、悪夢の手紙だった―。 (「未来の手紙」他5編収録)
(光文社HPより)
児童書ですが、大人でも十分に楽しめました♪
どの話も良かったぁ~。
<しいちゃん>
しいちゃんは母方の祖母。
まだ51歳。しいちゃんに学校で自分の悪口を偶然、聞いてしまったことを話す。
しいちゃんのアドバイスは素晴らしい!!
そして、そのアドバイスから大事なことに気付いた、のりえ(12歳)も素直で良い子だなぁ~。
<忘れない夏>
ヤマトは中学2年生。野球部で来年こそは優勝をと仲間と誓い合っていたが
引っ越しによって転校することになってしまう。
転校先は今年の優勝校。
親友で同じ野球部で最高のバッテリーだったユウキの言葉がいい!
思いやりのある子だなぁ~。
2人がライバル同士として活躍する姿も目に浮かぶ。
<未来の息子>
中学2年生の理子。
友達とコックリさんをやってから、不思議なことが起きる。
おっさん姿の小人登場って愉快。
75年先の未来から来たと言うその小人は、理子の息子だったとは・・・
SF的な話で愉快だったけれど、最後はホロリ(/_;)。
<未来の手紙>
小学校5年生から3人組から虐められるようになった瑠依斗。
未来の自分(32歳まで)に明るい未来へ向かうように手紙を書く。
そして中学1年生からその手紙通りの人生を努力して歩み33歳になった。
そして自分では投函した覚えのない手紙が届き・・・
え?この話だけアンハッピーエンド?と思ったら、違ったのでホッとした。
辛い状況をよく耐えて努力したなぁ~。偉い!!
<月島さんちのフミちゃん>
両親が亡くなってから、二卵性双生児の姉・瑛子と兄・勘治郎が保護者代わり。
2人とも美形だけど、瑛子は派手で春を過ぎるころに毎年体に何らかの変化が起き、
今年は後頭部に口が出現。勘治郎はオカマ。
中学3年生のフミの三者面談で・・・
これもSF的。結局、瑛子の体に起きる変化は何だったんだろ??
よくわからないけれど、面白かった。
<イモリのしっぽ>
中学卒業間近の生物部元部長の幸野(女生徒)が部室を訪れいもりを見ていると
現部長の2年生の矢守くんがやってきて会話。
2人の会話がほのぼの。
先輩後輩の間柄なのに、好きなものが同じって、いいなぁ~。
2人がペットショップ「スイミー」で見てるコリドラスって生き物どんな姿だろ?
すごく気になったのでウィキペディアで調べました(^^)
可愛いお魚。
矢守くんが飼いたいと言っていたコリドラス・ステルバイがこちら。
椰月さんの描く少年少女の姿は生き生きしていていいな。
★★★★★
発行年月:2014年5月
つい想像してしまう。もしかしたら、私の人生、ぜんぜん違ったんじゃないかって――。
もし、あの人と別れていなければ。結婚していなければ。子どもが出来ていなければ。仕事を辞めていなければ。仕事を辞めていれば……。もしかしたら私の「もう一つの人生」があったのかな。どこに行ったって絶対、選ばなかった方のことを想像してしまう。あなたもきっと思い当たるはず、6人の「もしかしたら」を描く作品集。
(新潮社HPより)
6つの短編集。
どれも面白かったなぁ~。
確かに誰でも「あのとき、もしも・・・していたらもしかしたら・・・・」って
考えることあるでしょうね。
そんなことを考える人たちのお話。
<もうひとつ>
一組の夫婦とその夫婦の結婚式を機に知り合ったもう一組の男女が海外へ旅行。
その旅行先でのあれこれ。
夫婦じゃない男女は、それぞれ既婚者。
旅先で結婚式の真似事をやろうと言いだし・・・
<月が笑う>
結婚6年目に妻から別れてほしいと言われてた男性。
探偵を雇い、妻に交際相手がいることを突き止め、なんだか勝ったような気になるが・・
ふと思い出した子どもの頃の「許す」という出来事。
<こともなく>
夫と一人娘と暮らしている主婦。
5年前からブログをはじめ、毎日の食卓などの画像を載せたり家族との一コマを
書いたりしている。
夫の前に付き合っていた男性のこと、男性が選んだ女のことを思い出す。
<いつかの一歩>
離婚して独りになった男性が元恋人がやっている飲み屋を訪ねる。
<平凡>
中高と同級生だった友達が遊びに行くから会えないか?と連絡をしてくる。
彼女は、今や超人気料理家としてメディアでもひっぱりだこ。
そんな彼女がニュースで知った火事の焼死者が元恋人かもしれないから
確かめたいと言う。
<どこかべつのところで>
離婚後飼いはじめた猫が行方不明になる。
「猫が居ました」と迷い猫の張り紙を見たという女性から電話を貰い、会いに行く。
猫は居なくなっていたけれど、その女性と話が弾み、彼女は10年前に1人息子を
バスの事故で亡くし、その後夫とも別れ、その夫も2年前に他界したと聞く。
どれも良かったけれど、表題作の「いつかの一歩」「平凡」「どこかべつのところで」と
後ろ3編が特に好き。
「こともなく」の
別れた相手には、不幸になって欲しいか?幸せになって欲しいか?を話し合う
女性の会話も興味深かった。
「平凡」の元恋人の安否確認をしたかった女性は、その恋人が平凡な幸せのなかで
生活していることを望んだ。
相手から別れを言いだされたら、一時的に相手を恨むことはあるかもしれないけれど
そういう気持ちをずっと引きずったら、自分も幸せになれないよね~。
ということかな?
男性が主人公の「月が笑う」もよかった。
偶然な出会いが男性の気持ちを180度変えた話。
こんな男性の元を去ろうとする妻の方が間違ってる気がしちゃうなぁ~。
どの話も読みながら、「そう!そう!」と共感したり、「なるほどね」と思わされたり
頁をめくるのが楽しみで、さすが角田さん!という感じでした♪
角田さんの才能は非凡です!!
★★★★★
発行年月:2014年5月
「眠ると、夢の中でも溝口と二人で漫才をやっている」
偶然見に行った「南部芸能事務所」のお笑いライブに魅了され、芸人を志した大学生の新城は、事務所の研修生になった。コンビを組んだ溝口との厳しい稽古を経て、初舞台に立った二人に、社長から渡されたギャラは「1000円」。相方と分けて残った500円玉を握りしめて、新城はその使い道を考えるのだが――。
「神様に会うには、まだ早いです。オレはまだ何もできていません」
芸の道と恋人。かつてのスターコンビの結末。ブサイク芸人のほのかな恋心。そして、ライバルコンビの出現……弱小プロダクション「南部芸能事務所」に集まってくる、「いろんな人の、いろんな人生」を、誰も書けない筆致で描く、連作短編集。
(講談社HPより)
「南部芸能事務所」を舞台に、そこで頑張る人たちの物語。
漫才コンビ、新城溝口のちのメリーランド。
佐倉と榎戸のインターバル、川崎と長沼のスパイラル、野島、中野、中嶋のナカノシマ。
ものまね女芸人の津田。
芸能事務所でバイトする鹿島ちゃん、保子師匠に事務所社長。
事務所外では、新城の彼女の美沙。
だれもかれも素敵なキャラクター。
お笑い芸人の苦労話としても楽しめて、みんな売れて欲しいなぁ~と思った。
ちょいちょい恋バナも挟んでいるのもその行方も気になり一気読み。
これは続編あったら読みたいな~と思ったら・・・
この前編に当たる「南部芸能事務所」があった!
知らなかったぁ~。
そちらも読んでみたいな~。
ああ、楽しかった!
★★★★★
カテゴリー
フリーエリア
最新記事
(01/21)
(01/19)
(01/17)
(01/16)
(01/12)
最新トラックバック
プロフィール
HN:
kyoko
HP:
性別:
女性
自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
ブログ内検索
P R
カウンター
フリーエリア