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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2007年11月


 北の大地の性を描く、オール讀物新人賞作家のデビュー作品集

北の農村を覆う閉塞感と、虚無的で乾いたセックス……。
現代に甦る『楢山節考』ともいうべきオール讀物新人賞作家のデビュー作品集

                     (文藝春秋HPより)





桜木さんの作品は幾つか読んでいますが・・・

デビュー作を読み忘れてました!!

これは短編集で表題作を含む6編。
どれも北海道が舞台。
桜木さんの物語はほとんど、舞台が北海道ですが、作風の持つ雰囲気が合ってるかんじ。


<雪虫>
自己破産の末、実家に戻った達郎。
家業の和牛農家を手伝う毎日。
田舎の酪農家に嫁いでくる嫁など居ないと思っていたが、父親が300万で嫁を買った。
女性は18歳のフィリピーナ。


<霧繭>
和裁師の真紀は、10年前に亡くなった母親の看板を引き継ぎ「島田和裁所」を営む。
師匠は、母とも良きライバルだった森千代野。
呉服問屋「かのこ屋」からの依頼も今では真紀が請け負うようになった。


<夏の稜線>
22歳で酪農家の嫁として東京から嫁いで来た京子。
娘が生まれた直後、「次は男の子を生んで貰わなければ」と言われた。
好きで嫁いできた夫・一也ともなんとなく心が通わず日々、悶々として過ごす。


<海に帰る>
25歳で理容師として独立した寺田圭介。
ある日、客として店を訪れた絹子。
夜の客商売をしているという。
顔そりのついでに首の後ろまで剃刀したのを気に入り、ちょくちょく通って来る
ようになる。


<水の棺>
歯科医師の関口良子。
かなりの給料を貰って雇われていた医院を辞め、過疎化が進む漁村で歯科医師を
募集していると知り、そちらに移る。
医院長の西出との別れでもあったが、西出が倒れたと知らせが入る。


<氷平線>
乱暴者の漁師の父親の元から逃げたくて、一生懸命勉強し、東大法学部に合格
した誠一郎。
卒業後は財務省に入省し、今度、北海道の税務署長として故郷に戻った。
少年時代、知り合った友江の事が忘れられず、訪ね、彼女を連れて出す。



男女の性絡みの話が多いなか、ちょっと異色の<霧繭>が良かった!
この話だけをもっと詳しく知りたいくらい。

閉塞感を抱えてどうしようもない状況に置かれる人たちの話を読んでいると
こちらまで気持ちが、ず~んと重たくなってしまうのですが、
読むのを止められない、筆の巧さは、デビュー当時から既にあったんですね~。


                             ★★★★

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発行年月:2014年6月

京都の路地にたたずむ古びた町屋長屋。
「男子限定」の料理教室を舞台に繰り広げられる、滋味たっぷりのやさしい物語。

                   (ポプラ社HPより)




京都の古い町並みの残る住宅内にある「小石原愛子、料理教室」。

大正時代に建てられた町屋長屋の1階。
風情ある書き出しから、頭のなかに風景が浮かんでくるようでした。

でも時は現代。
表紙の絵もレトロな雰囲気でしたが、これは終章の若き頃の愛子先生なんですね~。


序章
第1話~4話
終章
とありますが、第1話~4話は、料理教室の様子のほかに、生徒さんたちの
料理教室以外の様子がわかる話でした。

生徒は・・・
真渕智久・・・・建築事務所勤務の独身青年。図書館司書の永遠子に好意を寄せている。
佐伯・・・・妻の勧めで教室に通い始めた初老の彫金職人。
ヴインセント・・・フランス人。パティシエ。自分のカフェを開きたいと思っている。
ミキ・・・心理学を学ぶ大学生。見た目は乙女。


それぞれの生徒がなぜ、料理教室に通っているのかや、教室の仲間と語り合いながら
自分のなかの気持ちも良い方向に変化し、万事丸く納まる感じが良かった。

終章での愛子先生の若いころのお話も少し切ないけれど、料理教室を開くキッカケの出来事がそこにあったんですね~。

初めて読んだ作家さんでしたが、ほかの作品にも興味が湧きました!


                            ★★★★
 



発行年月:2014年4月


 人妻の恋は罪でしょうか?

心極流の達人ながら、凡庸な勤めに留まる蔵太。
二人の子供とともに穏やかに暮らす、その妻・澪。
すれちがいの暮らしを送る澪の前に、一度だけ契りをかわした男・笙平があらわれる。
側用人にまで出世したかつての想い人との再会に、澪の心は揺れる。
今、ここで、心のままに生きられたなら――。

紫のにほへる妹(いも)を憎くあらば 人妻ゆゑに吾恋ひめやも

直木賞作家が描く、人妻の恋。
日本人の心が紡ぐ、美しく、哀しき恋。
時代小説の新たな代表作。全国17紙に掲載された大人気連載、ついに単行本化!

                          (講談社HPより)



今までの作品とちょっと違う感じでしたが、やはり良かった!
女性受けする作品かも^m^

結婚する前に、好きだった人。
その人が窮地に追いやられた状況で目の前に現れたら・・・・
主人公の澪のように行動しちゃうかなぁ~?


結婚した夫・蔵太は寡黙でかつて好きだった笙平に比べると凡庸に見えてしまう澪。
夫と元恋人の間で揺れる女心・・・・時代小説なのに三角関係の恋愛小説。
果たして澪はどちらを選ぶ?なんて野次馬根性で途中まで読みましたが・・・
しかし、寡黙で冴えないかんじの夫・蔵太が、どんどん秘めた男らしさを出して来ると
読みながら蔵太にどんどん惹かれて行きました。
それは澪も同様で、夫の本当の優しさや強さに気づかずいた自分を恥じる気持ちに
なっていく。
そうなると、かつてあんなに好きだった笙平に思いを告げられても、揺れない。

蔵太、恰好良いぃ~!!
こんな男に惚れない女は居ないでしょ!?


そんな様子を半分面白がって見ている芳光院も最後は、強い味方になってくれて
ハッピーエンド。

蔵太の両親も実に良い人たちで、娘の由喜と息子の小一郎も利発で澪は幸せ者だなぁ~。

これからは、益々家族仲良く暮らしていくんでしょうね~。

笙平のお咎めがどうなっていくのかさえ、もうあまり関心ないようで、
女心の変わり様がちょっと可笑しかった。

葉室さんは女心、よくわかっていらっしゃる!と妙なところに感嘆しました^m^


正しい者が幸せになる葉室さんの作品は安心して読めます(^^)
次回作も楽しみです♪


                             ★★★★★








発行年月:2014年6月


 いびつでもかなしくても生きてゆく

『ラブレス』『ホテルローヤル』の桜木ワールドを凝縮。
直木賞作家による珠玉の作品集


奔放な実の母親とも、二度目の結婚でさずかった実の娘とも生き別れ、昭和から平成へと移りゆく時代に北の大地を彷徨った、塚本千春という女。その数奇な生と性、千春とかかわった人々の哀歓を、研ぎ澄まされた筆致で浮き彫りにする九つの物語。桜木紫乃の真骨頂がここにある!

                      (実業之日本社HPより)



ひとりワルツ

つとめ先のスナックに時折現れる優男・ヤマさんに、咲子はひそかに思いを寄せている。
中学生になった娘の千春と再会を控えた咲子を、ヤマさんはデートに誘う。

渚のひと
医大に通う息子が帰省する。
久々に家族三人で囲む食卓の準備で内職を早めに切り上げた育子。
隣家の千春は、息子が卒業した高校の後輩にあたるのだが……

隠れ家
ススキノの踊り子・麗香は、兄が帰ってきたら舞台を去ると決めていた。
その夜、8年ぶりに兄が姿を現した。

月見坂
晴彦は高齢の母親と二人暮らしだ。
商品の苦情を述べた母への謝罪に訪れたスーパーの配達係の女性を見て、晴彦は……

トリコロール
小さな港町で所帯を持って25年。桐子は夫とふたり、理髪店を営んでいる。
ひとり息子は家業を継がずに街をはなれている。

逃げてきました
市役所勤務のかたわら、詩作をつづけてきた巴五郎。
彼が主宰する詩作教室に、塚本千春という30代の女が入会してきた。

冬向日葵
罪を犯し、逃げ続けて何年になるだろう――。
能登忠治が道北の小さな一杯飲み屋の女将、咲子と暮らして8年が過ぎた。

案山子
東京から北海道・十勝に移住、独りで野中の一軒家に暮らす
元編集者・河野保徳の前に現れたのは……

やや子
図書館司書の田上やや子は、交際半年の恋人に乞われ、彼の母親と会っている。
内心、彼と別れようと考えているやや子だったが……



短編連作集でした。
「塚本千春」がどの話にも関わって来ました。

最初の話<ひとりワルツ>では、千春の母親・咲子の語り。
千春中学1年生で、咲子から離れ祖母と暮らしてる。
次の<渚のひと>で千春は高校生。
その後、成人した千春は、次々に男の人と出会い、関係を持ち、結婚もするが
離婚もして再び、別の男と出会い、子どもは一人女の子を産む。
その子の名前は、やや子。
最後の話で、やや子が短大を卒業し、立派な社会人として働いている姿が
出てきて、なんだか嬉しかった。
それまでの千春の生き様は、なんだか暗くて重たい感じだったので。
やや子の父親のその後の人生も幸せだった様子で、最後には、なんとなく
ホッとできる情報が知れて良かった。


次はどうなる?と読ませる力は、やはり流石です!


                            ★★★★




発行年月:2014年4月


 妻が出張先のホテルで死んだ。実は男との浮気旅行だった。幼い息子と土産の冷凍カニを残された夫は、妻の本心を探るため、不倫相手に会いにいく。各紙で絶賛された、芥川賞作家の最高傑作!

                    (河出書房新社HPより)



中編2つが収録。

1つは表題作の「ゆずこの形見」。
もう1編は「夢見入門」。


別の話ですが、少しだけリンクしていました。

<ゆずこの形見>は、妻を亡くし、保育園に通う息子と二人暮らしになった男の話。
妻の死は脳溢血。
ホテルで男と一緒だったと知る。


突然の死、その時の状況を淡々と受け入れて行く夫。
妻の作り置きしてあったおかずが冷蔵庫内にいっぱい。
なかでも一番の気がかりは旅先から送られた毛ガニ。
たぶん、男と一緒に行った旅行先の北海道から送られた物。

そして会社の同期の新井が末期がんで入院中と同じく同期の女性・原から知らされ
会いに行く。
淡々としたかんじで自分の死を受け入れている新井。
そして貸してくれた本「夢見入門」。


毛ガニは間男の真鍋に食べさせようと思いつく。
そして、原からすり身にするのもいいかもと教わり、料理やを予約し、鍋料理のなかに
手作りすり身団子を投入し、食べさせる。


面白い状況だった。
でも、妻の死も不倫してたことも、なんとなく受け入れて、この先、息子の裕樹と
2人で平穏に暮らしていくんだなぁ~と思える様子はホッとした。


次の話<夢見入門>は、先の話に出てきた本と同じもの。
持ち主は違うけれど、その本によって救われる男・梶尾。

性交時頭痛に悩まされ、脳神経外科を受診。
担当は女医の山口愛。

夢のなかで、現実とは違う行動を起こす。

何も問題は解決してないけれど、心の中で少し救われると楽になれるだろうな・・・。
しかし、性交時頭痛・・・辛い症状だな^^;


なかなか面白い本だったので、他の書物も読んでみたくなった。
芥川賞受賞の作品もまだ未読だったし・・・。


                        ★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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