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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2014年6月

榎本帆奈は驚いた。金曜日の夜、行きつけのバーで隣り合ったハンサムな男性は、死神だったからだ。帆奈に召喚されたという死神は、いままで一度も“幸せ”を感じたことがないらしい。なぜなら“幸せ”を感じた瞬間、死神は……「幸せな死神」。

 池内雅人は貧しかった。貧乏神に取り憑かれていたのだ。ツキに見放された人生だったが、そんな人生を自ら<小吉人生>と称して楽観視していた。一方、貧乏神には雅人に取り憑かなければならない“理由”があった。なぜなら雅人が並々ならぬ……「貧乏神の災難」。

 人は時に、感謝したり、絶望したり、大事なものを見失いかけたりするもの。そんな人々の前に現れる神様の「意外な目的」が胸を打つ。

 「東京バンドワゴン」シリーズで人気の著者が紡いだちょっぴりひねりを利かせた短篇集。 

                       (PHP研究所HPより)




「死神」「貧乏神」「疫病神」「道祖神」「九十九神」「福の神」。

それぞれの神様の物語。

この物語のように、神様って結構、すぐそばに存在しているものだったら、楽しいな。
そして、神様同士、自分の受け持ちの人のことを情報交換してるんなんていうのも
愉快。

どれも素敵なお話でしたが、最初の「幸せな死神」が一番好き。
死神に対する認識が 変わったし・・・
こんな死神だったら、わたしも近くに感じたいなぁ~。
ウイスキーを頭からかける機会は、下戸なので、なさそうだけど・・・^m^


「ひとりの九十九神」も楽しかった。
神様がお釜に宿っているって・・・愉快。


宗教とか、あまりピンとこないけれど、いろいろな神様は居るっていう考え方は
受け入れられるなぁ~。

読んでいて楽しかったけれど、福の神だけは、ちょっと気の毒なかんじ。


                           ★★★★

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発行年月:2014年6月


 

歌舞伎子役と親同士の確執を描くミステリー

「美しい夢ならば、夢の中でも生きる価値がある」
『サクリファイス』で大藪春彦賞、第5回本屋大賞2位を獲得した、近藤史恵氏が長年温めてきた、歌舞伎の子役を主人公にしたミステリー。
市川萩太郎は、蘇芳屋を率いる歌舞伎役者。花田屋の中村竜胆の急逝に伴い、その息子、秋司の後見人になる。同学年の自分の息子・俊介よりも秋司に才能を感じた萩太郎は、ふたりの初共演「重の井子別れ」で、三吉役を秋司に、台詞の少ない調姫(しらべひめ)役を俊介にやらせることにする。しかし、初日前日に秋司のおたふく風邪が発覚。急遽、三吉は俊介にやらせる。そこから、秋司とその母親由香利との関係がこじれていく。さらに、秋司を突然の難聴が襲う。ふたりの夢である「春鏡鏡獅子」の「胡蝶」を、ふたりは舞うことが出来るのか…?

                        (小学館HPより)





表題に「殺し」なんてついているので、誰か殺されちゃうのかな?と思って

しまってドキドキしましたが、予想が外れてホッとしました。

歌舞伎の世界の話は全く知りませんが、周囲の期待を背負って、幼いときから
稽古を積んで大変な人生だなぁ~と感じた。

父親を亡くした秋司の後継人となった市川萩太郎。
その息子・俊介は秋司と同学年。
踊りに対しては、秋司の方が優れていたが、おたふく風邪の後遺症で難聴に
なってしまう秋司は、初舞台も諦め、その後、歌舞伎の世界から消える。

俊介と秋司が後半青年になって再会の場面は感動的。
二人とも人間として立派だなぁ~。

二人が同じ舞台で踊る姿を想像するとワクワクするが、それを読む前に物語は
終わってしまった。

歌舞伎にちょっと興味が沸いてくる作品でもあり
歌舞伎が好きな人なら、もっと楽しめるかも。

子どもを主役にした物語なのも読みやすくて良かった。


                          ★★★★




発行年月:2014年3月


 「おい鈴木、米原正和を捜しに行くぞ」とその米原正和が言った──。失踪した米原正和の行方を、当の米原とともに追う鈴木。会社を休んで、米原の自宅、立ち寄り先を米原をともに捜す。果たして、米原は見つかるのか?

                     (講談社HPより)




インパクトある表題に惹かれ読んでみました。

表題作を含む3編。

<IT業界 心の闇>
社長から頼まれて不倫相手として妻に一緒に会って欲しいと頼まれるA子。
浮気がばれたのは妻がITに精通していたからだとか。
社長の妻と会ったA子は、何故か奥さんと仲良くカフェへ。
そして、その後事件に巻き込まれることに・・・

え?こんな結末!?

<Tシャツ>
アメリカから日本に来たハワード。
亡くなった妻の両親(鈴木夫妻)に会い、暫く近所の清水夫妻の家に居候することに。
最初には、家の近所でウロウロするハワードを見つけたのは、長岡夫人。

鈴木夫妻、清水夫妻、長岡夫妻の日常のやり取りが可笑しい。
ハワードは、その後あまり出てこないな~と思ったら・・・突如、アメリカへ帰国?
その理由が、パチンコ中毒になったからって・・・^^;


<金を払うから素手で殴らせてくれないか?>
仕事熱心で真面目な米原正和が失踪?
しかしその米原を探そうと言ったのは、米原正和。
声を掛けられた鈴木と共に部長の平石も同行することに。
スーパー銭湯、自宅、ショッピングセンターへ。
米原は途中、大道芸の二人組に声を掛けられる。
「ストレス発散にワンコインで殴らせてあげる」とグローブを示されるが
1万円を渡し「素手で殴らせてくれないか?」と頼む。

あまり深刻じゃない失踪者探し。
可笑しい会話。
それゆえ、最後のシーンが強烈過ぎる!


初めて知った作家さんだったけれど、よくわからないけれど、凄いなと思った。
どういう思考回路持ってるんだろ?
実に個性的。

個人的にはあまり好きじゃないけど、きっとこういうの大好きな人は
多いかもしれない。


                        ★★★



発行年月:2012年8月

「不死身の男」と「トラの嫁」。二つの謎めいた物語が、祖父の人生を浮き彫りにする。

自分は死なないと嘯き、賭けを挑む男。爆撃された動物園から逃げ出したトラと心を通わせた少女。紛争地帯で奮闘する若き女医は、二つの物語から亡き祖父の人生を辿っていく。戦争に打ちひしがれた人々の思いを綴る確かな筆致と、鮮やかな幻想性。弱冠25歳でオレンジ賞を受賞したセルビア系作家による、驚異のデビュー長篇。

                   (新潮社HPより)



この表紙の絵に先ずは興味を覚えました。
動物のなかではトラが結構、好きなので。


物語は、女医のナタリアが同じく医師だった祖父の死の知らせを受け、祖父の
生前の語ってくれた物語を思い出しながら、祖父が育ったガリーナ村へと向かう。


祖父が語った「不死身の男」と「トラの嫁」の話。
やはり「トラの嫁」の方が印象的だったなぁ~。

そのトラの嫁と祖父はまだ10歳くらいの時に、大きく関わっていくことになる。
目が見えず、言葉も話せない「トラの嫁」。
トラの嫁と呼ばれる過程の物語が少し残酷な部分もある昔話的なかんじ。

物語の舞台は、はっきり何処と記されていないけれど、著者の経歴や、
隣国との紛争が起きているなどのことから、バルカン半島の旧ユーゴスラビアの
何処かかな?と想像できる。
そんな状況下を考えて、そんななかでの人々の暮らしを考えると何とも重たい気持ちにも
なる物語だった。
著者自身も紛争を逃れてユーゴスラビアからエジプトに渡り、その後、アメリカに移住。
著者の経験が活かされた物語でもあるんでしょうね。


祖父の生き様は凄まじい。
孫のナタリアもその血を受け継いで逞しく僻地での子どもたちの命を救う慈善活動を
していて、尊敬する。

物語を読み終えて最初の祖父が、まだ幼いナタリアを動物園に連れて行って
トラを眺めて会話する場面を読みたくなり、繰り返して読んだ。

25歳でデビューした著者の作品と言う通り、表紙裏の著者の顔写真は
可愛らしい。
こんな凄い文章を書いた人には見えない。


次の作品はまだ書かないのかなぁ~?
日本語訳されたら、ぜひ、次の作品も読んでみたい!


                           ★★★★★

 




発行年月:2009年7月


 大学卒業後に務めた出版社を退社後、埼玉の食肉会社に入社した著者は、翌日から牛豚の解体を生業に働きはじめる。入社初日から「ここはお前なんかの来るところじゃねえっ!」と怒鳴られたものの、しだいにナイフ捌きをおぼえ、牛の皮剥きに熟達していく。牛を屠る喜びと、屠りの技術を後輩に伝えるまでの屠場での十年の日々。 「職業を選ぶ」「働き続ける」とは、自分の人生にとってどういうことなのか――。 屠畜解体従事者への世間の恥知らずな差別と偏見はあろうと「牛を屠る」仕事は続けるに値する仕事だー―。これから世の中に出て行こうとする若い人たちに向けて、著者最初の小説作品である『生活の設計』以来、一度も書かれなかった屠場仲間の生きざま、差別をめぐる闘い、両親・家族をめぐる葛藤をまじえて描く。芥川賞候補作家による渾身の書き下ろし。

                      (解放社出版HPより)




著者の書く物語が好きで幾つか読んでいますが、これは著者の体験談です。

経歴も今回初めて知り、その意外な経歴にビックリ!
北海道大学法学部卒なんですね~。
出版社に勤めたのに、社長と編集長と喧嘩して退職っていうのも凄いな。
いったいどんな喧嘩をしたのやら??

でも、今回の話は、その後務めた食肉会社の屠殺の現場。
面接で事務職の方での仕事を打診されたのにも関わらず、本人の意志で決めた職場。

そして、その現場で過酷な仕事を黙々とこなしていく著者。
なんて逞しい人なんだろう。

大きな牛を解体する仕事は、考えただけでも重労働。
現場の先輩たちが、すぐに辞めるだろうと予想したのもうなづける仕事内容。

失敗しながら、作業のコツを覚え、その仕事にやりがいを持って働く著者は恰好いい。

職業で人を差別する時代は今はないでしょうけれど、こういう話を読むと
どんな仕事も懸命に働く人は恰好いい。

そんな著者が小説家に転向していく理由は、不妊治療に臨む奥さんに対して自分の考えを伝えるためだったと言うのが、また感動。

本当に恰好いいなぁ~。
こんな逞しい精神と優しい心を持つ男性は、そうそう居ないでしょ!?

今まで著者の作品を好きで読んでいたけれど、これを読んだら著者自身が
好きになりました!
「ジャムの空壜」と「生活の設計」も読んでみたくなった!


                       ★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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