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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2013年11月


 撮影現場から姿を消した人気女優と、あとを追うベテラン俳優。よみがえる禁断の恋の記憶――。

最愛の娘を失った老俳優と、今をときめく人気女優の、奇妙な逃避行。その途上で彼の脳裏によみがえるのは、友人の母親との禁断の恋の記憶だった。二人きりで過ごした短い時間があんなにも光に満ちていたのは、なぜだったのか? 数十年の後、その手がかりが不意に明らかになる――。ブッカー賞、カフカ賞受賞作家による最新長篇。

                     (新潮社HPより)





年老いた俳優の男性が、自身が15歳のときの恋を回想しながら
現在の話も進む。

15歳で親友の35歳の母親と肉体関係を持つって、ちょっと気味悪いんだけれど
文章が綺麗なので、嫌なかんじはしない。

そして、現在の話は、映画出演の話が舞い込むが、共演する人気女優が撮影を
放り行方をくらます事態に巻き込まれていく。

主人公の老俳優は10年前に娘を亡くしている。
娘は27歳だったが、精神的に弱っていたのは父親も知っていた。
そして、死後、娘は妊娠していたことに更なるショックを受ける。
妻のリディアは、娘の死を未だ受け入れられずに苦しんでいる。


娘のことを救ってやれなかった事で、人気女優の抱える問題を解決するために
何とかしたいと思ったのかな?

親友の母親・ミセスグレイのその後のことが終盤に明かされ、
息子の親友と、ふつうなら考えられない行動を起こしたわけが明かされる。
切ないな・・・(/_;)


ラスト、精神的に追い込まれていた女優を、再び、撮影現場に戻す力を与えたのが
リディアであったことが、嬉しい。
これを機にリディアの喪失感が今後、薄れていくといいな。

内容的には、前に誰かの小説で読んだような話(15歳のときの思い出話はシュリンクの「朗読者」を思い出すかんじでした)でしたが、文章が巧みで美しい。

強烈な思い出が生きて行くうえで蘇ってくるなんて経験、わたしにはないけれど
ふと、した瞬間に過去の何でもない情景を思い出す瞬間は誰にでもあるでしょうね。

なんだか、この表紙の絵も素敵。
穏やかな未来がこの、道の先に開けていそう。


                            ★★★
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発行年月:2014年4月


 音楽の才がありながら、亡き母に変わって家族の世話を強いられるスウ姉さんが、困難にも負けず、持ち前のユーモアとを共に生きていく。村岡花子訳で読む、世界中の「隠れた尊い女性たち」に捧げる物語。

                      (河出文庫HPより)



村岡花子さんの訳ということで、読んでみました。
主人公のスウ姉さんは、ピアニストになりたいという夢を置いて
亡き母のため、自分が一家の家事や雑多なことを引き受ける。

母親が亡くなったのは、14歳の時。
その時、12歳の妹・メイ。10歳の弟。ゴルドン。

物語は、スウ姉さんが20歳のときから始まる。
お手伝いさんが2人いる裕福な暮らしをしていたけれど、父親の経営する銀行が
破たんし、一家は貧乏暮らし。
家と家財道具を売り、別荘のある田舎町へ一家揃って引っ越し。

スウには、新鋭作家の恋人・ケントが居て、早く結婚して二人で暮らそうと言われ続けて
いるけれど、心身共に弱った父親の面倒を見なければという責任感から
結婚を先延ばししている。
そのため、ケントは妹のメイと結婚。


スウ姉さんの人生、理不尽過ぎる!と周りの人たちのあまりにも無頓着ぶりに
頭に来たりします^^;
が・・・・当のスウ姉さんは、その理不尽さをあまり嘆く風でもない。

唯一本音を漏らすのは、ブレストン小母さんの前でだけ。


父親が亡くなり、これからはピアニストになるという夢を追いかけようと決心し
以前、自分のピアノを褒めてくれたバルトン教授の元を訪ねるスウ姉さんだったが・・・

教授の助言はて適格でした!
その真意をちゃんと理解したスウ姉さんもやはり、賢い。

優しくて賢いスウ姉さん。
なんだか、すごく好き!

周りから見たら、人生を棒に振った可哀想な人と見えてしまうけれど
よく考えたら、スウ姉さんが、そうすることを選んだのですね。
いつも家族の皆に頼りにされて、重荷だと感じながらも
そんな期待に応えたいと思ってしまう性分なんですね。


けれど、ラストは、やっとスウ姉さんにも幸せな日々が訪れそうで
ホッとしました。
幸せになれなきゃ、あまりにもひどい!


村岡花子さんの訳、いいですね。
とても読みやすいです♪

                          ★★★★★



発行年月:2014年6月


 弟の葬式のため、10年ぶりに香川に帰ってきた健太郎。そこには堅ブツうどん職人のオヤジと情熱あふれる弟子の京香、そして個性豊かな仲間が待っていた。遺品のカセットテープに録音されていた弟からの謎のメッセージが、夢破れた健太郎の人生を少しずつ変えてゆく。厳しい修行のはてに健太郎は弟との約束をはたせるのか? 一杯のうどんがみんなを繋ぐ、感動のうどん小説できました!

                       (文芸社HPより)




3章からなる1つの物語。
ロックスターになる夢が破れ、弟の葬儀のため10年ぶりに香川の実家に帰って来た
健太郎。
実家は、うどん屋。
味には定評がある店。
父親とは仲違いしたまま。


最初の<さんぽナビ>は、弟が遺したカセットテープ。
玄関で待っているから散歩しようと先ずは吹き込まれていた弟・仁亜(ニア)の声。
そのテープの声に従って、散歩しながら、仁亜と関わりのあった人に会っていく。

楽しかったなぁ~。
もう既にいない仁亜の優しい人柄もわかって温かい気持ちになれた。



次の話<夏祭りとマスクマン>は、商店街の夏祭りのイベントだった「青空プロレス」が
19年ぶりに復活する話。
ラストの試合は、寿仮面と悪役の対戦。
寿仮面は、がりがりの高岡薬局。悪役は、ムキムキマッチョの紳士服店、入山。
どう考えても高岡に勝ち目はない。

これは、なかなか感動的な話でしたぁ~。
いい商店街だな。


最後は、殺人事件もありの<うどんの時間>。
殺人事件の被害者は、うどん屋で見習いの修行中の京香の元カレ。
犯人はだれ?

ちょっとしたミステリー話が最後でしたが、最後は事件も無事解決し
うどん屋の雰囲気も和やかでめでたしめでたし。
確執のあった父と息子の雰囲気も、少し和らいでいいかんじ♪


ああ、うどんが食べたくなってきたぁ~(笑)。


                            ★★★



発行年月:2012年10月


今日もし突然、チョコレートが消えたなら
電話が消えたなら 映画が消えたなら 時計が消えたなら
猫が消えたら そして 僕が消えたなら

世界はどう変化し、人は何を得て、何を失うのか
30歳郵便配達員。余命あとわずか。
陽気な悪魔が僕の周りにあるものと引き換えに1日の命を与える。
僕と猫と陽気な悪魔の摩訶不思議な7日間がはじまった-----。

消してみることで、価値が生まれる。
失うことで、大切さが分かる。
感動的、人生哲学エンターテイメント。

                    (マガジンハウスHPより)



表紙の絵の可愛らしさと表題から猫好きなら読みたくなる1冊!

内容も素晴らしかった!

30歳の青年がある日突然、余命わずかの宣告を受ける。
ショックを受けるが、彼の前に現れた 悪魔の提案で、この世界から何か1つを
消すごとに寿命が1日伸びるという契約を交わす。

この世から消すものは悪魔が決める。
それに従わなければ、寿命は延びない。
悪魔と主人公の会話も思わず笑っちゃう。
 
 
主人公に全く悲壮感が感じられないのは、この場合置いといて・・・^^;
ユニークな哲学書というかんじで、なかなか面白かった!

主人公の愛猫・キャベツが可愛い(=^・^=)。

この世から1つずつ消されるものたち。
消される前に一度をれを使うことが出来る。
あたりまえにあると思うものがなくなってしまうと思うと、それがとても大事なもの
だったと気づく。

特に時計が消える話では、ああ、なくなったら本当に困っちゃうなぁ~と思った。
そして、その章の中の言葉に「なるほど~」と感心!

人間は不自由さと引き換えに決まり事があるという安心感を得たのだ
 
 

ほかにも心に響く言葉が出てきて、さすが数々のヒットした映画製作に関わってきた

著者らしい感動のツボを心得ている!と感じた。
「死」を描いているのに、主人公と同じようにすんなり受け入れられる。
考えたら、「死」はなくなってしまうことだけれど、誰にも訪れる日常のなかの
出来事。大げさに考えてジタバタしても仕方ないのかもね。


猫好きの次女も読んで「なかなか面白かったね♪」と好評価でした!


                            ★★★★



発行年月:2014年7月


 大切なひとは、誰ですか――

才気あふれ、17歳という若さでデビューした詩人・すみれ。彼女の成長は少しだけゆっくりで、その後もまわりが少しハラハラするような、でもそのときどきに宝物を残してくれるようなものでした……

幼い娘の成長に不安を覚える母、生徒に詩人としての才能を見出した中年教師、姉の自由さに苛立ちながらその才能に憧れる妹、伸び悩む詩人に苦悩する編集者、クラスメートの名前が書かれた詩集に出会う販売員、アパートの隣人にときめく大学一年生男子。すみれと係わったひとびとが、その季節のあとに見つけたものは……

本作は、アンソロジー『あのころの、』(実業之日本社文庫)に収録された短編「ぱりぱり」を第1話に、詩人すみれと出会った人々それぞれの視点で描かれる全6話の連作短編集。

                      (実業之日本社HPより)




ぱりぱりって何だろ?と思ったら・・・
「いりこ」の事でした。

物語は短編連作の形で進むけれど、17歳で詩集を発表し爆発的にヒットした
中埜 菫が、どの話にも出てくる。

すみれには、妹の桜が居て、最初の話は、自由人の姉に振り回される妹・桜の目線で
描かれた物語。
それから、すみれを担当する編集者・北川、すみれが暮らすアパートの隣人になった
大学生の葵、すみれの詩の才能を見出した高校教師、同じ高校に通ってた美緒など
すみれに関わった人たちの語りで綴られる。

最後は、幼かったすみれの様子を母親が語る。


みんな結構、振り回されるんだけれど、それぞれが幸せそうなのがいい。

楽しいお話でした♪

表紙の絵もなんだか癒されるかんじで、物語のなかのすみれの雰囲気に
合ってるなぁ~。


                           ★★★★

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