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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2023年11月


☆2023年本屋大賞受賞作 シリーズ最新作☆
第20回本屋大賞受賞作『汝、星のごとく』続編
花火のように煌めいて、
届かぬ星を見上げて、
海のように見守って、
いつでもそこには愛があった。
ああ、そうか。
わたしたちは幸せだった
のかもしれないね。
『汝、星のごとく』で語りきれなかった愛の物語
「春に翔ぶ」--瀬戸内の島で出会った櫂と暁海。二人を支える教師・北原が秘めた過去。彼が病院で話しかけられた教え子の菜々が抱えていた問題とは?
「星を編む」--才能という名の星を輝かせるために、魂を燃やす編集者たちの物語。漫画原作者・作家となった櫂を担当した編集者二人が繋いだもの。
「波を渡る」--花火のように煌めく時間を経て、愛の果てにも暁海の人生は続いていく。『汝、星のごとく』の先に描かれる、繋がる未来と新たな愛の形。

                  (講談社HPより)



「汝、星のごとく」で、疑問に感じたことが、本書で全て解決した!
素敵な物語だったぁ~。


最初の<春に翔ぶ>は、北原草介先生が26歳の話。
大学で触媒の研究をしていたけれど、母が亡くなり、父親も入院し
経済的理由から大学院を辞めて高校教師(化学)の道に進んだ。
父親が入院していた病院は、生徒の明日見菜々の父親が経営していた。
菜々は、両親から大切にされていたが息苦しさも感じていて
スノーボード選手の片山敦(17歳)とも交際していた。
昼休みになると北原のいる化学準備室にきて、話をする。
北原がカップ麺を食べていると食べたいと。
以後、菜々のお弁当(母親の手作り)と交換して食べるように・・・・

菜々の悩みを聞き、北谷の試合会場まで送ったりしていたが、
菜々の妊娠がわかり、菜々は家を出て一人で産んで育てると。

北原先生の娘・結は、菜々と片山の子どもだったんだ~!!
いくら生徒の子どもとはいえ、自分が育てると言いそれを実行した
北原草介って、凄い!
やっぱり北原先生は、文句なしの良い人だったとわかり嬉しい!

そのほかの話も素敵だった。
<星を編む>
青埜櫂と久住尚人の作品が、世に出る寸前で全て帳消しになったことを
残念に思っている当時関わった植木と二階堂絵里がそれぞれの出版社で
編集長という肩書を得たのを機に二人でタッグを組んで再び世に出そうと
奔走する様がいい。
実際、世の中で脚光を浴び、重版がかかり映画化もされる。
自死した尚人、病死した櫂の努力がやっと認められてよかった・・(/_;)


<波を渡る>は、北原先生と互助会結婚した暁美と先生(草介)が
交互に語る。
二人はお互いを想い合って暮らしている。
結もオーストラリア人で寿司職人のノアと結婚することに。

それを結の実母・明日見菜々にも報告に行き、良い関係がすっと続いて
いたんだとわかる。
菜々も自立しフリーライターとNPO法人(若い女性の妊娠、出産を支える)と
しても働き、そこの代表・江本立夏が恋人。

結の結婚を機に、暁美と草介の関係も互助会結婚を越えた
真の夫婦という関係に変わっていくという話。

しあわせになるべき人たちが、幸せになって、良かった!!



                        ★★★★★



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発行年月:2023年5月


時代小説の名手が描く、ホロリと泣かせる
大江戸謎解き物語。
万両店の廻船問屋の末弟、鷺之介は齢十一にして悩みが尽きない。
その元凶は、かしましい三人の姉。
姉さん、また事件ですか?!
とっとと嫁に行ってもらって、静かな余生を送りたいーーーー
万両店の廻船問屋『飛鷹屋』の末弟・鷺之介は齢十一にして悩みが尽きない。
かしましい三人の姉ーお瀬己・お日和・お喜路のお喋りや買い物、芝居、物見遊山に常日頃
付き合わされるからだ。遠慮なし、気遣いなし、毒舌大いにあり。三拍子そろった三姉妹の近くに
いるだけで、身がふたまわりはすり減った心地がするうえに、姉たちに付き合うと、なぜかその先々で
事件が発生し……。そんな三人の姉に、鷺之介は振り回されてばかりいた。
ある日、母親の月命日に墓参りに出かけた鷺之介は、墓に置き忘れられていた櫛を発見する。
その櫛は亡き母が三姉妹のためにそれぞれ一つずつ誂えたものと瓜二つだったーーー。

                   (祥伝社HPより)




11歳の鷺之介が可愛らしい。

長兄の鵜之介を尊敬し、早く自分も兄と共に商いをしたいと思っている。
そのために、3人の姉には外に嫁にいってもらわなきゃと。


長女のお瀬己は、唯一嫁に行ったのに、出戻ってきた。
次女のお日和は、おっとりしていて、三女のお喜路はしっかり者だけど
理屈っぽい。

三人の姉の母親は、皆違う。
父親の鳶右衛門がよそに作った子達だが、母親のお七が育てた。
そのお七は病で鷺之助が6歳の時に亡くなっている。


3人の姉たちのかしましい様子も愉快で、それにやや困惑ぎみの鷺之介の様子が
なんとも愉快。

鷺之助が友達になった五百吉(いおきち)も逞しくて優しい子で、大人になっても
ずっといい関係が続くといいな~と思える。

小さな謎解きがあって、終盤は、鷺之助の出生の機密が明かされる。
自分は捨て子なの?と悲しむ鷺之助だったけれど、そうじゃなく
真相がわかったときは、よかったなぁ~とホッとした。

ほのぼのした江戸の家族の物語だった。



                       ★★★★



発行年月:2024年6月


「あなたの国では、どうですか?」
日本では当たり前だと思われていることだって、
もしかしたら、ほかの国では、そうではないのかもしれない。
ある国では正しいとされていることが、
別の国では正しくないのかもしれない。
その答えを知りたくて、ぼくは長い旅に出た―――
海をこえ、大陸をわたり、国境をこえ、世界の各地に住む人々に会いに行く。
男女差別から、ジェンダー、LGBTQ、地球温暖化、環境保護、動物愛護、戦争と平和まで。
17人へのインタビューを通して見えてくる、17つの「現実(リアル)」と、地球の「今」。
アメリカに住み、世界各国を旅してきた著者が描く、
世界をめぐる壮大なインタビュー・ストーリー。
楽しみながら、「国際理解(総合的な学習)」を学べます。
<もくじ>
プロローグ――肘掛け椅子で旅に出よう
1 たくましいお姫様とやさしい王子様/日本
2 子どもたちは虹色の卵。たいせつに温めなあかん。/日本
3 そこへ行ってみなければ、わからないことがある。/日本
4 夢を見ているのはきっと、ぼくだけじゃないはず。/ヴェトナム
5 サッカーと、日本のアニメと、甘いクリームパンが大好き!/イラク
6 あたしたちの心と体は、あたしたちのもの。だれのものでもない。/トルコ
7 武器のかわりにペンで、この世の悪と闘うのです。/インド
8 わたしたちは木を植えます。地球を守るために。/アイルランド
9 おれはこの河と共に生きてきたし、これからも生きていく。/コンゴ民主共和国
10 ボクのヒーローは、キマイラ。ちきゅうを救うかいぶつだよ。/ギリシャ
11 だれかに愛を注げば、その愛で、自分も幸せになれる。/スペイン
12 だれだって、昔は子どもだったんだ。子どもは環境破壊も戦争もしない。/コロンビア
13 生きるということは、愛するということでしょう。/コスタリカ
14 となりどうし、なかよくしないといけません。/メキシコ
15 動物はおれたちのフレンドだ、フードじゃない。/アメリカ
16 ふたりのママと、世界一おいしいチョコレート屋さん。/アメリカ
17 戦争をしない軍隊で、平和のために働く。/アメリカ
エピローグ――いつか、また、きっと


               (さ・え・ら書房HPより)



旅行作家の有海旅人が色々な国を訪ねていって、住んでいる人に話を聞く
インタビュー形式で進む。

実際に著者がこれらの国々を旅して、得た情報なんだろうな。
プロフィールにある旅した国の数も凄い!!


どの話も興味深かったんだけど、コンゴってコンゴ共和国とコンゴ民主共和国の
二つあるんだってこと。
無知過ぎるんだろうか・・・・(^^ゞ
コンゴって国内紛争が多い国のイメージはあったけれど、そのたびに国の名前が
変わったりも元に戻ったりしていたとか。
コンゴ民主共和国は一時期、ザイールという国名だったことがあると。
え?ザイールって今はないんだね~。
なんか、この辺のことが、全くわかってなくて、いい勉強になりました(笑)


あと、LGBTQIのこと。
Qって何?と疑問だったからクエスチョニングのことと知れてこれも
勉強になりました。
自分の性的指向を探している状況の人のことらしい。

こういう性的指向の話は、よくわからないことが多いけれど、差別したり
偏見を持たないことは大事だと感じる。



あとやはり感じるのは戦争のない世界にはなれないのかな?
誰も望まないことなのに・・・
戦争に勝ちはないって誰かが言っていたけれど、全く同感。



色々と読みながら考えた本だった。



                      ★★★★



発行年月:2024年4月


からだは傷みを忘れない――たとえ肌がなめらかさを取り戻そうとも。
「傷」をめぐる10の物語を通して「癒える」とは何かを問いかける、切々とした疼きとふくよかな余韻に満ちた短編小説集。
「みんな、皮膚の下に流れている赤を忘れて暮らしている」。ある日を境に、「私」は高校のクラスメイト全員から「存在しない者」とされてしまい――「竜舌蘭」
「傷が、いつの日かよみがえってあなたを壊してしまわないよう、わたしはずっと祈り続けます」。公園で「わたし」が「あなた」を見守る理由は――「グリフィスの傷」
「瞬きを、する。このまぶたに傷をつけてくれたひとのことをおもう」。「あたし」は「さやちゃん先生」をめがけて、渋谷の街を駆け抜ける――「まぶたの光」
……ほか、からだに刻まれた傷を精緻にとらえた短編10作を収録。

                   (集英社HPより)



身体のどこかに傷痕が残っている人は、多いんじゃないかな?
傷の大小には、違いがあっても・・・。
それに関することも覚えていることが多いと思う。


10の話、どれもそれぞれ良かった。
最初の<竜舌蘭>は、通学途中にあった、竜舌蘭の棘で知らないうちにケガをして
それを機にクラスのなかで無視されていた状況が変わるという話。
見える傷には、人は反応するのに、見えない傷については人は驚くほど
無自覚だということが、印象的だった。

ほかに印象的だったのは
<この世のすべての>
犬に噛まれて顔が変形するほどの大きな傷を持つ男。
犬嫌いで、犬を連れている人に怒鳴ることが多く
それを見て、住人たちは男を疎ましく思う。
わたしもそのうちの一人。
ある日、犬を虐待していた容疑が男にかけられた。
男が犯人ではないと知っているが、否定せず、男が警察に連行
されていくのを見ている。
男の人すべてが怖いから。
後味悪い話だったけど、なんとなくこのこういうこと起こりうる。

<指の記憶>もちょっと、ゾックとする話。
工場の機械で指を切断する大怪我を負い、その時、指のすべてを拾って
救急隊員に渡してくれた恩人が触れた記憶が手術で無事にくっ付いた指が
感覚として覚えているという話。

<あおたん>
刺青で覆われている、おっちゃと親しくしていた。
いつも男の人に顔をじろじろ見られて嫌なかんじだったのに
おっちやんといると皆が視線を向けてこないのが嬉しかった。
新しい担任の先生に体を触られ、顔を舐められて気持ち悪くて泣きながら
おっちゃんの元にいくと、話を聞いたおっちゃんが学校に先生を殴りに
行ってくれた。
そんなおっちゃんが建築現場で高いところから落ちて頭をうち亡くなってしまう

なんだか切ない話。


<慈雨>
父親の誕生日にプレゼントを持って実家へ。
幼い時から、父親と接するのが苦手だった。
母親から自分の額にうっすら残る傷痕の話を聞く。
父親と留守番をしているときに木から落ちて出来た傷。
ずっとそれを気にしているという。

父親とのギクシャクした関係が少しずつ変わっていきそうかな?
良い話。


ひとつひとつは短くて、本自体の頁数も少な目だったので、ササッと
読めてしまったけれど、面白かった。


表紙の写真(絵?)は、結構、痛々しいけれど、そこにある思い出は
案外、悪くないものだったような・・・・



                   ★★★★



発行年月:2018年9月


2019年に70周年を迎えた家庭裁判所。
日本国憲法の理念を実現してきた足跡を、
貴重な証言と資料から、丹念に描く。



第1章 荒廃からの出発
  1 「家裁の父」帰国する
  2 みじめな最高裁
  3 家庭裁判所の前身
  4 「愉快そうなオジさん」
  5 BBSの生みの親
  6 アイデアマン
  7 殿様判事ニューヨークを観る
  8 新少年法と「ファミリー・コート」
  9 女性法律家第一号
  10 「少年」と「家事」の対立
  11 進まない設立準備
  12 元旦の家庭裁判所発足 
第2章 家庭裁判所の船出
  1 屋根裏の最高裁家庭局
  2 家裁の五性格
  3 家裁職員第一期生
  4 「高級官吏」調査官を求む
  5 二つの雑誌
  6 村岡花子と対談
  7 戦争被害者のために
  8 戦災孤児を救う
  9 民間の施設に託す
  10 孤児の養子縁組
  11 ヒロポン中毒
  12 少年審判の心得 
第3章 理想の裁判所を求めて
  1 日本婦人法律家協会
  2 建物の苦労
  3 履行確保
  4 滝に打たれる
  5 日本一の所長さん
  6 司法の戦争責任
  7 理想の学校 
第4章 少年法改正議論
  1 多忙な第三課長
  2 少年事件の「凶悪化」
  3 示された試案
  4 「原爆裁判」
  5 「少年友の会」発足
  6 真っ向からの反論
  7 長官を怒らせる
  8 「首を絞められてじっとはしない」
  9 ゴールト判決
  10 もう一つの東大裁判
  11 宇田川の遺言
第5章 闘う家裁
  1 再結集した人々
  2 波乱の幕開け
  3 長官の激励
  4 烈しい応酬
  5 支援する人々の輪
  6 「誤算と誤解」
  7 水面下の妥協案
  8 日弁連の猛反発
  9 管理と統制へ
  10 「整備・点検の時代」
第6章 震災と家裁
  1 烈しい揺れ
  2 家庭裁判所は弱者のために
  3 被災者に寄り添う
  4 少年事件への影響
  5 震災孤児を救う
  6 家庭裁判所は死なず
あとがき


                     (日本評論社HPより)



戦後の混乱期に、苦労して、弱い立場のひとを支援すようと法曹関係の人たちには
頭が下がる。
朝ドラ「虎に翼」をみているので、俳優さんの顔が浮かび、難しい話も
読み進むことができた。


ドラマは三淵亜嘉子さんが主役で、伊藤沙莉さん演じる佐田寅子が主役だけど
こちらは、家庭裁判所設立のために尽力した裁判官・宇田川潤四郎氏が主役。
ドラマでは、高等裁判所の家庭部局長・多岐川幸四郎氏、演じているのが
滝藤賢一さん。
水を被ったり、滝に打たれにいくのは史実に基づくものだったんだなぁ~。
あとドラマで寅子がよく歌を歌っていたけれど、あの歌も三淵さんが
歌っていたとか。

ドラマの雰囲気通り、二人とも人間味のある人柄なんだと思った。




                     ★★★★
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