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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2014年10月

どんな罪を犯したのか。本当の名前は何なのか。
整形を繰り返し隠れ暮らす母の秘密を知りたい。

顔を変え続ける母とアジアやヨーロッパの都市を転々とし、
四年前にイタリア・ナポリのスラムに住み着いた。
国籍もIDもなく、父親の名前も、自分のルーツも、わからない。
母と口論し外に飛び出すと、「MANGA CAFE」と書かれた
チラシを手にする男に呼び止められた。絶対に本当の名前を
教えてはいけないという母のOKITEを初めて破って、私は
「マイコ」と答えた。

私は何者?
私の居場所は、
どこかにあるの?

魂の疾走を描き切った、苛烈な現代サバイバル小説

                (BOOKデータベース/幻冬舎




舞子が七海に手紙で綴る自身のことが物語になっている。
舞子と七海の関係は、最後までよくわからなかったけれど、同じような立場に
置かれた者同士というかんじ。


舞子は母親とナポリのスラムに住み、貧乏暮らし。
母は度々、整形で顔を変え、舞子に本名を明かしてはいけないという。
母親の名前さえも知らされず、母の「もう一人の自分による窮屈な暮らしが嫌で
ある日、18歳で家出。

それから点々と住処を変えるのだけど、途中で知り合った
エリスとアナスタシアと暫く共に生活する。
二人は密入国してきたと言う。

二人とも家族がいない。
それぞれの国を脱出してきたと言う。

特にリベリア出身のエリスの体験談は凄まじい。
家族を次々、殺されて自分もいつ殺されるかという恐怖のなか、人を殺して
逃げて来た。
殺さなければ殺される。そんな恐怖のなか生きてきた。


国籍も違う3人の女性たち。
時に衝突しながらも、心の中では強い絆で結ばれていく。


舞子の母親の秘密が終盤明かされる。
実際にあった宗教家の事件も出て来たりする。

舞子から七海への手紙ばかりだったが、七海から舞子へ送った手紙も
終盤あって、いろいろ過酷な体験をしながら七海も生きて来たんだと知る。

ラストは、舞子も七海も新しい環境で、幸せそうでホッとした。


最初から最後まで一気に読みました!
感動とかいうのとは、ちょっと違うけれど、考えさせられる物語で
さすが桐野さんというかんじでした。


                         ★★★★★

 
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発行年月:2014年10月

盲目で、耳が聞こえず、口も利けない少女が青森の弘前にいるという。明治二十年、教育係として招かれた去場安は、その少女、介良れんに出会った――。大きな苦難を背負った少女と、人間の可能性を信じて彼女の教育に献身する女教師が、奇跡を起こす!

                    (双葉社HPより)




ヘレンケラー物語の日本版にリメイクした物語。

と思って読みましたが、日本が舞台になるだけで、こんなに素晴らしい物語に
変わってしまうんだ~と感動しました。

舞台は明治20年の青森県津軽群。
そこに自身も弱視でいつ視力が失われるかわからない去場安が、とある男爵家の
長女・介良れん(6歳)の教育係として東京からやってくる。
れんは1歳の時の大病により、視力と聴力を失い、言葉も喋れないという。


ヘレンケラーの物語のように、サリバン先生のように安に苦労の連続の日々が続く。


男爵家の長男・辰彦の存在が嫌でした。
自分のことしか考えていない。
れんが居なくなればいいと考えるのも腹が立ったけれど、卑怯な恐ろしい企てをした時には
怒りがこみ上げた。


この物語のなかで、れんの最初の友達・狼野キワの登場が物語を面白くする。
キワは、盲目の旅芸人で、大人の男女と一緒に家族の形態で旅をし物乞いによって
生活している。
ボサマというこの地方の呼び名があり、人々から蔑まれて生きて居る人たち。
そんなキワの三味線と歌に魅せられた安は、キワとれんを引き合わせ
二人の間に強い絆が生まれた場面は、本当に素晴らしかった。


子どもの頃、一時共に生活しただけなのに、その後ずっと離れ離れでもお互いが
心のなかにその思い出を大事にしていたんだとラストの場面で知り
感動で自然と泣けた(/_;)。


素晴らしい物語でした!


                            ★★★★★



発行年月:2014年9月


 過去と現在の間に立ち現れる存在 都と陵はきょうだいとして育った。
だが、今のふたりの 生活のこの甘美さ!「
ママ」は死に、人生の時間は過ぎるのであった。

                   (文藝春秋HPより)



55歳の都と54歳の陵。

姉と弟とその家族の物語。

子ども時代の回想シーンから、亡き母の言動。
そして、都の夢の中に現れるママ。


場面がコロコロ変わりながら話が進む。


姉と弟として育った二人には、共通の思い出が多く、今もそれを共有しながら
会話する場面は、微笑ましい。
二人の両親の関係が、やや複雑。
でも二人が姉と弟という事実は揺るがない。
それぞれ、恋人と生きようとしたときもあった様子だが、結局、他人と生きることを
諦めてしまったんだろうか??


自分にも弟がいるけれど、こういう気持ちは共感出来ないですね・・・^^;
でも、こういう二人の関係も物語を読んでいれば、気味悪くはないな。

川上さんの文章の力かもしれないけれど。

このまま二人は、一番の理解者として近くに居続けるのだろうか?
不思議な空気感を漂わせた話でした。


                           ★★★



発行年月:2014年8月

警視庁SPの土壁英朗は仕事の負傷で休暇を取り、幼い頃両親の離婚で別れたまま2年前に事故死した母の墓参りに赴く。北海道にある母の実家は町を支配する名家で、今は祖父母と小5の異父弟・未来が住んでいた。しかし初めて会う未来は自分が母を殺したと告げ、自ら座敷牢に籠もっていた。その真意とは? さらに町では謎の事故が相次ぐ。信じるべきものがわからぬまま、英朗は家族を護るため立ち上がる。

                (早川書房HPより)




警察官の土壁英朗が休暇で亡き母親の墓がある北海道に行き、そこで繰り広げられること。
SPとしての職務中、拳銃で負傷した土壁だけど、いろいろな疑問を
突き詰めていくうちに、自身の怪我も因果めいたものだったのだと気づく。


最初からインパクトあり、話のなかにグイグイ引きこまれた。
北海道の母の実家では初めて知る母親に関すること。

母親の遺した息子・11歳の篠太未来。
土壁の父親と別れた後で別の男との間の子。
土壁にとっては、父親違いの弟。

未来君が可愛い。
素直で賢く、土壁との関係も自然に親しみのこもったものになっていく。


段々と明かされる謎の部分だったが、最後までわからなかったことも。
未来くんが何故、母親の死に責任を感じてしまっていたのか?


終盤、バタバタといろんな真実が明るみになって来たが、その点は疑問のままだったので
なんだかモヤモヤ。

でも、いろんなことがあったけど、一番心配だった未来くんの今後が
ちょっと安心できるかんじであったのが良かった。

まあまあ面白かった。


                             ★★★
 



発行年月:2014年9月


 相次ぐ死。危険な香りを纏(まと)う謎(なぞ)の男。許されぬ恋。
そんなに一途(いちず)になっちゃあいけねえよ。
こんなに苦しいのに、想わずにはいられない──
少女が大人の女性へ変わっていく季節を鮮烈に描く!

人を想うことは罪ですか──
本所深川六間堀町(ほんじょふかがわろっけんぼりまち)の太物(ふともの)問屋『あたご屋』の一人娘お八重(やえ)は17歳。母は亡くしたものの、父の重蔵(しげぞう)と祖母の久利(くり)、伯母のお竹(たけ)に加え、お付きとなった16歳の女中・おちかに囲まれ、幸せな日々を送っていた。だがある日、“川獺(かわうそ)”と名乗る男に出逢った瞬間(とき)から人生が一変する。初めての恋に落ちたのだ。そしてその日から、人生の日向(ひなた)しか知らなかったお八重の周りには、謎(なぞ)が、死が、災厄が忍び寄ってきた……。

                     (祥伝社HPより)




お嬢様育ちのお八重が恋した相手は、自分のことを「かわうそ」と名乗る謎多き男。
お八重をいつもそばで支える1つ年下のおちかが健気で可愛い。

無鉄砲で世間知らずのお嬢様を、懸命に支え、年は1つ下だけど、
おちかの方がずいぶんとしっかりしている印象でした。

この時代には、成就しそうにない恋愛相手。
最初から切ない恋の話の予感でしたが、やはり最後は切なかった。
「かわうそ」と名乗った男は、この後、どんな生き方をしていくのだろう?
まっとうに履物屋として成功してくれたらいいな。

『あたご屋』の家族が良い感じ。
母親は居なくても、祖母や伯母がその代わりを務めてくれて、おちかたちも居る。


「かわうそ」と名乗る男も、そんな幸せな家で暮らすお八重に段々と惹かれながらも
お八重の幸せを思って、忠告し、自分は姿を消す。
謎多き男だったけれど、人としては魅力あるかんじだった。



数々の殺しの犯人の真相は、ああ、やっぱりね・・・・という感じでしたが
まあまあ楽しめました♪


                         ★★★
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