発行年月:2014年12月
なして助がった? 流されちまえば良がったのに。3・11のあと、妻たちに突きつけられた現実に迫る長篇小説。
乳飲み子を抱える遠乃は舅と義兄と、夫と離婚できずにいた福子は命を助けた少年と、そして出戻りで息子と母の三人暮らしだった渚はひとり避難所へむかった。段ボールの仕切りすらない体育館で、絆を押しつけられ、残された者と環境に押しつぶされる三人の妻。東日本大震災後で露わになった家族の問題と真の再生を描く問題作。
(新潮社HPより)
3.11のとき、奇跡的に助かった人たちのその日とその後を追う。
主な人物
・椿原福子(55歳)・・・嫌悪感しか抱かない夫の存在に堪えながらの生活。
3.11の日は、勤務先の奥さんから頼まれた買い物をスーパーでしていた。
車で帰る途中、津波に飲みこまれるが運よく助かる。
そして、津波に流されてきた昌也を助ける。
・山野渚(40歳)・・・夫と離婚し息子の昌也(小5)との生活。
スナックのママとして家計をやりくり。
津波に巻き込まれたらしい息子の安否を心配していた。
・漆山遠乃(20代)・・・知り合いの女性と買い物に行く車中で津波に飲まれそうに
なる。まだ乳のみ児の智彦を抱えている。
舅と義兄との避難所生活を強いられる。
3人の女性たちが、やがて避難所で知り合い、お互いに励まし合う仲になる。
一番気の毒だったのは、若い遠乃。
夫が遺体で発見された後は、苦労の連続。
精神的に参る寸前で、福子に出会ったことが幸運!
あんな舅と義兄に一生つきまとわれたら辛すぎるでしょ!?
ラストは、なんとか皆、希望を持てる暮らしを始められた様子でホッとした。
実際、こういう風に前向きに新生活を始められる人ばかりじゃないんでしょうが・・・
理不尽に今までの生活を断ち切られてしまうのってやりきれない。
参考文献が後ろにずら~っと並んでいました。
いろいろ調べて書かれたんだろうな。
★★★
・
発行年月:2014年11月
人生の「後悔」を生き直してみたら…
33歳の医師・早坂ルミ子は末期のがん患者を診ているが、「患者の気持ちがわからない女医」というレッテルに悩んでいる。ある日、ルミ子は不思議な聴診器を拾う。その聴診器を胸に当てると、患者の”心の声”が聞こえてくるのだ。死を目前にした患者達は、さまざまな後悔を抱えていた。ルミ子は患者とともに彼らの”もうひとつの人生”を生き直すことになり――!?
この世の中の誰もが、「長生き」することを前提に生きている。
もしも、この歳で死ぬことを知っていたら…
●dream――千木良小都子(33歳)
母は大女優の南條千鳥。母に反対された「芸能界デビュー」の夢を諦めきれなくて…
●family――日向慶一(37歳)
IT企業のサラリーマン。残業ばかりせずに、もっと家族と過ごせばよかった。
●marriage――雪村千登勢(76歳)
娘の幸せを奪ったのは私だ。若い頃、結婚に大反対したから46歳になった今も独り身で…
●friend――八重樫光司(45歳)
中3の時の、爽子をめぐるあの”事件”。僕が純生に代わって罪をかぶるべきだった。
女性から圧倒的支持を受ける著者が描くヒューマン・ドラマ!!
(小学館HPより)
患者の心の声が聞こえる聴診器をある日、拾った主人公の女医・ルミ子。
患者の本音を知ってどうするのかな~?と思って居たら・・・
患者が心残りに思っていることを過去に戻って行き直す姿を一緒に
見るという予想外の展開でした~^^;
でも、なかなか面白かった。
ルミ子自身が生き別れていた父親と再会したラストの話が一番良かった。
不思議な聴診器は、新入りの女医・摩周湖に引き継がれて
これは続編あるのかな?と期待させる終わり方^m^
★★★
2014年12月
あらゆる世界に物語はある――思わずゾクッとするホラーテイストな話から、
ほろっとくる感動ストーリーまで、直木賞作家が綴る連作集。
(PHP研究所HPより)
箱庭旅団シリーズ3作目です!
このシリーズ好きだなぁ~。
今回も楽しませて貰いました!
最初の話<マミオ、地球を去る>は、人間の世界で猫として生活している異世界から
来たマミオ。地球での潜伏調査を終える時が来た。
突然居なくなる猫は、異世界に戻っていくんだと考えると飼い猫が突然
居なくなった経験を持つ人は少し楽しい気分になれるかも^m^
不思議で少しクスッと笑えたのが
表題は恐ろしい<クリスマスの呪い>。
12月25日が誕生日の女の子の思い。
なるほど~言われてみればイベントの日と誕生日が重なるとちょっとつまらないかも。
<シュシュと空きカバンの住人><シュシュ、途方に暮れちゃって>も
なかなかユニークだった!
反対に切なかったのが<鬼の来る正月>
ほかの人には理解してもらえないものと戦うってしんどいだろうな~。
おぉ~!と感嘆したお話は<バルルの原理>。
表紙の絵はそれを表しているのかな?
動物たちが集まって<バルルの原理>をニンゲンにも教えるか否かを議論するという
お話。
動物たちが下した結論は正しいと思う。
このシリーズ、もうお終いなのかなぁ~?
続けられそうな気もするんだけど・・・
楽しいからまたこういう短編書いて欲しいな。
★★★★★
発行年月:2014年11月
女の答えはすべて、ホトにございます。美しく艶めかしく、そして怖ろしい奇譚集。
成仏などするものか。ああ、口惜しい、恨めしい――妹のようにかわいがっていた娘の命令で、毒をもられた女の怨み。死してなお、毎夜毎夜、愛しい男の元を訪れる女の情念……。恋愛小説の名手が、四谷怪談、番町皿屋敷、牡丹燈籠、源氏物語などの古典に挑戦。溢れんばかりのエロスを注ぎ込み、ついに誕生した究極の官能小説!
(新潮社HPより)
・朱夏は濡れ行ゆく 牡丹燈籠
・蟲惑する指 番町皿屋敷
・陶酔の舌 蛇性の淫
・漆黒の闇は報いる 怪猫伝
・夢魔の甘き唇 ろくろ首
・無垢なる陰獣 四谷怪談
・真白き乳房 山姥
・白鷺は夜に狂う 六条御息所
怪猫伝以外は知っている怪談話でした。
唯川さんの独特なアレンジでどれも面白く読ませて貰いました。
映像になったら、凄く怖いんでしょうけれど、古典的な表現の為か
怖いけれど、それも含めて楽しめました。
恋に狂う女の念って、怖いな~。
飼い猫が飼い主の未練を感じて敵を討つ漆黒の闇は報いるが個人的には好き。
知らなかった話なので余計に面白かったのかも。
唯川さんのつけたそれぞれの話の表題も何だかいい!
怪しいかんじが漂ってるかんじです。
こういうアレンジ本も楽しくていいな。
★★★
発行年月:2014年8月
時は元禄の半ば。陸奥(東北)の小藩にある山深き村が、一夜にして壊滅状態となった。隣り合う二藩の反目、お家騒動、奇異な風土病など、様々な事情の交錯するこの土地に、その“化け物”は現れた。権勢をふるう藩主側近・弾正、その兄と分かち難い絆を持つ妹・朱音、朱音を慕う朴訥な村人たちと用心棒・宗栄、山里の少年・蓑吉、病の本復した小姓・直弥、謎の絵師・圓秀……山のふもとに生きる北の人びとは突如訪れた“災い”に何を思い、いかに立ち向かうのか――!? その豊潤な物語世界は現代日本を生きる私達に大きな勇気と希望をもたらす。著者渾身の冒険群像活劇。
(朝日新聞出版HPより)
陸奥にあったふたつの藩。
永津野藩と香山藩。
二つの藩は昔はひとつだったのに、敵対関係にあり、お互いの村人たちは
相手のことを忌み嫌っている。
香山藩で、祖父の源一と暮らしていた蓑吉は、ある日突然山が変貌し
人々をアッと言う間に飲み込む様子を見る。
源一に「先に行け!」と言われひとり源一と落ち合うことにきめた滝沢の下に
向かうが途中で得体のしれない闇に追いつかれる。
蓑吉はやがて永津野藩藩主の妹・朱音の庇護を受ける。
そこで暮らしていたころが一番幸せな時期だったかな~?
用心棒の宗栄、朱音つきの女中・おせん、じいや加介たちに可愛がられ
子どもらしい明るさも戻る。
が・・・・やがて得体の知れない化け物が再び暴れだす。
結局、化け物の正体は、その地で長年にわたって溜まった人の負の感情?
朱音の覚悟が凄かった!優しくて強い小台様でした!
時代劇とファンタジーが混ざった独特の雰囲気で、話の内容も先をどんどん知りたくなる
面白さでした!
蓑助は逞しい大人に成長していくんだろう。
おせんと再び巡り会えるときが来るといいな。
絵師の圓秀のその後の話が最後にあったのも、本当にそういう絵師がいたみたいで
良かった。
★★★★
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;