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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2015年1月


 レコードばかり聴いていた1986年の冬、忽然と現れ、忽然と消えた女性デュオがいた。

むかし写真誌のレイアウター、今は文筆業のおれは、ふと手にした古い雑誌の記事に惹きつけられる。その二人組は愛してやまないアルバムと一番好きな曲が自分と一致し、片割れはかつてのおれと同じくダブル・ベース弾きだった。彼女たち=ソラシドの断片を掻き集め、おれは紡いでゆく――。クラフト・エヴィング商會の物語作者が描く、失われたものの小説。

                    (新潮社HPより)




主人公の山下が、古い雑誌で気になった女性デュオ「ソラシド」を追い求める物語。

山下には、親子ほどの年が離れた腹違いの妹・桜(オーと呼んでいる)がいる。
二人の関係がなんだかいい。
腹違いの妹とこんな風に会話したり接することが自然に出来るのっていいな。

そして、気になる「ソラシド」のことが段々と分かってくるのも楽しい。
ソラシドは、ソラとカオルの二人がソラの父親が営んでいたデリカテッセン
「ソラシド」の店名を貰ったもの。
ソラシドが生演奏をしていた喫茶店<ガルボ>の元店主、カオルの双子の弟・トオル、
二人を自分の映画の音楽担当にしたミツヨ。

ソラシドに関わった色々な人に会っていく山下と同行するオー。

ソラシドを調査しながら、山下とオーがそれぞれの母親に会いたいと
感じて会う場面が良かった。

時が経って、いろいろ変化はしても消えない気持ちとかより深まる気持ちとか
あるよね~と感じました。

著者の作品は、懐かしい気持ちを思い起こさせてくれるものが多く
これもそんな作品でした!

楽しかったぁ~♪


                           ★★★★★
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発行年月:2014年12月

再会したのは愛しき初恋の女(ひと)か、兄を殺めた冷酷な悪女か。

この傷痕(スティグマ)にかけて俺が一生護る――。月夜に誓った幼なじみは、時を経て謎多き美女へと羽化していた。東京地検特捜部検事と、疑惑の政治家の私設秘書。追い追われる立場に置かれつつも愛欲と疑念に揺れるふたりに、やがて試練の時がやってくる。阪神淡路大震災と東日本大震災。ふたつの悲劇に翻弄された孤児の命運を描く、著者初の恋愛サスペンス!

                     (新潮社HPより)




著者初の恋愛サスペンスの謳い文句は、読んでから知りました^^;
う~ん。
面白くないわけじゃないんですが・・・・ちょっと話がガチャガチャしてるかんじ。
色々な事が次々起きるので、読み手は退屈せず一気読み出来るのですが・・・
ひとつひとつの事柄の裏にあるそれに関わった人の心理描写がもっと
知りたかったなぁ~。

美貌の双子の姉妹・麻衣と優衣。

二人が成長してからの幼馴染である淳平とのこととか、もっと読みたかった。
阪神・淡路大震災が起きて、一人が亡くなるなんて・・・・。
それならなぜ、物語に双子をもってきたんだろ???


物語の中盤以降は、淳平は30歳になっていて検事になっていたのにはビックリ!
そして、ある大物国会議員のことを潜入捜査によって調べる淳平の前に
震災以降、行方が分からなかった優衣が現れる。
議員の秘書の一人として働いている。


物語の終盤は、またまた大きな事件が起きる。
これ必要かな~?


凄い波乱万丈な物語で、やや疲れた。
読後感もよくないのが、嫌だな・・・・^^;


                          ★★★
 



発行年月:2014年12月


人間の「生」の深淵を見つめて書き続ける宮本輝による随筆集。
異父兄との邂逅を描く「兄」、シルクロードへの旅にまつわる回想「星雲」など、
著者が白秋のときを迎えて命を想う、珠玉の14篇。      

                     (集英社HPより)




以前は、宮本さんの作品を読んでいましたが、最近読んでいないなぁ~と

思い、昨年12月に発行という新しめの作品を手に取りました。
小説だと思ったら・・・エッセイでした!
宮本さんのエッセイ・・・初めて読むな~と思ったら、あとがきに
エッセイは今まで断っていたとか。


ひとつひとつの話は短いのですが、それぞれに感慨深いものを感じました。


14編のうち特にジ~ンと来たのは、二番目の作品「ガラスの向こう」。
著者が12歳の時に家の近くに越してきた、何やらわけありの夫婦。
おでんやを営むその夫婦の間に生まれたSちゃんは、夫婦の夫が亡くなり
母親は育てられないとSちゃんを子どもが欲しい夫婦に渡す。
著者が18歳のとき、6歳になったSちゃんと再会し遊園地に連れていく。

そして、最後はSちゃんのその後のこと。
阪神淡路大震災で亡くなったSちゃん(当時35歳)との思い出は
著者にとって忘れられない出来事だっただな~ということがよくわかった。


あと、驚いたのは、作家になったキッカケにパニック障害を25歳で発症ということ。
社会人として働きながらの障害と向き合うのは大変だったでしょう。


エッセイで著者自身の実体験が読めるのは、その著者のことを知る上では
とても楽しい。

次は、小説のまだ読んでいないものを読んでみよう。


                            ★★★★



発行年月:2005年11月


 禁断の恋。懊悩。ホロコースト。孤独な少年の夢想が残酷な過去を掘り起こす。

父と母は何か隠している……。ひとりっ子で病弱なぼくは、想像上の兄を作って遊んでいたが、ある日、屋根裏部屋で、かつて本当の兄が存在していた形跡を見つける。両親の秘密とは何か。ナチスによる弾圧と虐殺のはざまで、二人に何が起ったのか。一九五〇年代のパリを舞台にした自伝的長編。高校生が選ぶゴンクール賞受賞作。

                     (新潮社HPより)




スラスラと読めました。

ナチスによるユダヤ人迫害の物語ですが、淡々と描かれていて、読むのが苦しくなる
ような描写は少ないのです。
けれど、それを体験した家族のことを考えると何とも言えない重たいものを感じます。

この物語は、著者人の自伝書。
物語の主人公・フィリップは著者自身。

パリで両親と暮らすフィリップ少年。
両親は鍛えられた筋肉を共に持ち、スポーツ用品の専門店を営んでいる。
けれど、少年は病弱でやせっぽち。
幼いころから、兄のいる友人たちが羨ましく、一人っ子の自分にも兄がいたらいいなと
想像上の兄がいつも一緒であるという雰囲気を感じながら生活する。
けれど・・・ある日、母と一緒に屋根裏部屋に行き、思わぬ発見をする。

両親が結婚するまでのこと。
そして、驚くことに、自分には本当にかつて兄がいたということ。
15歳で大抵の両親の秘密を知ることになる。


成長した少年は、大学生になり、かつての両親のそれぞれの妻と夫(ふたりは姉弟)
のことを調べる。
記録名簿を閲覧して、強制収容所に送られた人の名前や登録番号、列車で送られた先、
収容所への到着の日付、そして生き延びられなかった場合には亡くなった日付を
知ることができるとか。
それによって、かつて存在した兄とその母親(かつての父の妻)はポーランドのガス室で
殺害された事実を知る。


それを知ったときのフリップの気持ちは、どんなだったろう?

あまり自分の感情を出さずに進む物語で、そのあたりは読者が想像するしかないけれど
それゆえ、余計にいろいろな物が胸に迫ってくる。


読み終えて、この表紙の写真、幼い男の子が、何やら会話しながら狭い路地を
行く姿を見たら、堪らない気持ちになりました(/_;)


                        ★★★★★




発行年月:2014年12月


 私は書きたい。夫であった「彼」のことを。
老作家・藤田杉のもとにある日届いた訃報― ―
それはかつての夫、畑中辰彦のものだった。
杉は回想の中にあらためて辰彦の姿を 探す…。

                   (文藝春秋HPより)



久しぶりに愛子さんの本を読んだ。
もう90歳を超えられたんだ~。
それにしてもこんな長編を書けるなんて、やはり凄い。
老作家・藤田杉は、愛子さん自身のことですね。
元夫だった作家とは、15年間一緒に暮らし、その後別れていますが
全く音信不通だったわけではない様子。

確かに、夫・畑中辰彦は、不可解な人。
悪い人でないのは、よくわかりますが、こんな人を夫にしたら共倒れしそう。


夫を介して知り合った人たちがまた、皆、可笑しい人たち。
他人であるから、気楽に楽しめるけれど、入れ替わりこういう人たちが訪ねて
来たら疲れちゃうなぁ~^^;
この人たちも名前は変えていても実在した人物たちなんでしょうね。


最後のあとがきに、たぶん最後の小説なんてことを書かれていましたが
まだまだ書いて欲しいな。


                           ★★★
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