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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2015年2月


 幸福な世界なら、神様はいらないのに――
無人島の清掃作業をする二人の青年は、人間の上陸を禁じるその島で
「猿」「山犬」と名付けられて外界を知らない生き神様の少女に出会った。

                    (中央公論社HPより)




ネットの求人情報に『無人島の清掃作業』に応募した裕一郎。

10日間で日当3万円。宿泊完備、食事つき
同じ作業を応募して来た、もう一人の青年と無人島へ。

無人島につくと、女性が近づき、あれこれ指示を出す。
無人島には人間は入れないということで、「猿か山犬」のどちかかを選べと。
女は神に仕える女で「幽鬼」と名乗る。


「猿」になった裕一郎ともう一人の青年「山犬」。
そして、島にいる生き神様の少女「夕星」。

4人の島でのやり取りが、段々と親しげのあるものになって行くのが面白い。

特にお笑い芸人だという「山犬」の存在が場を和ませている。

「幽鬼」と「夕星」の関係も・・・なるほど・・・と理解出来た。


生き神様とそれに仕える女の間柄じゃなく、二人が普通の人間の社会で
幸せに暮らすことが出来たらいいな。
「夕星」の言葉が、とても素直で賢くて可愛かった。
まだ少女なのに、裕一郎の心の闇を鋭く見抜き、優しくアドバイスする姿は
正に神でした!

不思議な話だけれど、良かったなぁ~。


                           ★★★★
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発行年月:2015年3月


 家族でごはんを食べることって、なんて愛おしい時間なんだろう――。「家族っていいな」と心から思える、笑って泣ける家族小説の傑作! ある日、大学生の真壁りんは、祖父の死を知らされる。急いで葬儀会場へ向かい、真壁家の一族が集まったところで、一人の青年が現れる。彼が「隠し子」と名乗ったことがきっかけで、一族は揉めに揉めることに。 マイペース、しっかり者、自由主義、冗談好き、ゴシップ通……。一人一人はいい人なのに、相続の話し合いで一族は崩壊寸前。解決に奔走するりんは、真壁家一族で笑い合える日々を取り戻すことができるのか?

                      (双葉社HPより)




祖父が急死。

大学の法学部で学ぶ、りんは親族の相続問題に振り回されることに・・・。

主人公は、真壁りん20歳の大学生。

祖父・麟太郎は母の容子が主に面倒をみていた。
父・渓二郎は、麟太郎の次男だが、5年前、家を出ている。

相続に絡む親族たちは・・・

長男・真壁陽一郎・・・その妻・靖子、娘の香澄は美容師
長女・真壁波子・・・独身でデザイン会社経営
次女・真壁風子(54歳)・・・職場で出会った事実婚の夫・郷田


りんと一緒に相続争いを見守る、麟太郎の元で居候していた植田大介(25歳)。



りんの母親・容子は失踪した夫に代わって義父にあたる麟太郎の世話をしていた。
けれど、長男は失踪しているのだから相続権は破棄するべきという流れになっていき
ああ、容子は、なんで大人しくそれに従うつもりなんだろう。
よほど出来た人なんだなぁ~と思って居たら・・・・
ああ、なるほど・・・とその結末に容子が一番賢かったわけか!?と納得。

でも、相続問題って厄介だなぁ~。
失踪しちゃった人が相続権を持つ人だと、探さなきゃいけないんだ~。
身内にそういう人が居なくて取りあえず、もめごとの一つは消えてホッとした
けれど、穏便に済ませたい問題だ。

今回も読みごたえある作品でした!


                         ★★★★



発行年月:2015年2月

どこかで誰かが
あなたの味方。

でもストレートには
受けとれない、届かない、
なぐさめや励まし……ビターで不思議な7つの世界

・森のような、大きな生き物――この子の未来を応援しよう、と決めた子がわたしたちにはいた。オリンピック代表の彼女に期待し、夢を託したが……。

・ニオイスミレ――産む女を国家全体で支援する世界に住むスミレ。〈志願母〉の彼女は今日も国営のサロンへ通う。

・あなたがいなくなってはいけない――入院が決まった。ステージⅡ。その昔、離婚騒ぎで愚痴を聞いてもらったチョピンを思い出していた。

・地元裁判――まちの結束を乱す人間は、亜子ちゃんの地域でも地元裁判にかけられる。ある日、卯月くん一家が消えた。

・相談――波多野が何か相談したそうだったので課長のおれから飲みに誘った。転職か?諭す準備はできていた。

・ムス子――加賀谷は太った中年女に会った。元同級生、あだ名はムス子。彼女に起こったことを、この時の彼はまだ知らない。

・お風呂、晩ごはん、なでしこ――フージコさんはみんなに愚鈍と笑われる。でも気にしない。かけがえのない仲間はあの中にいる

                       (幻冬舎HPより)



どれもこれも可笑しい^m^
いいなぁ~朝倉さんは短編集も。

表題作があるわけではないけれど・・・最初の話<森のような大きな生き物>が
それかな?
色々なオリンピック選手を想像しながら読んだ。
しかし、この表題作の付け方も妙だ。


<ニオイスミレ>はちょっと怖いな。
SFっぽいけど、出産率が伸びないために国が打ち出した政策を基に展開される
話っていうのが可笑しい。


<あなたがなくなってはいけない>は、途中まで面白く読んでいたけれど
主人公の置かれた状況が何とも辛く気分が落ち込むかんじ。

<地元裁判>こんな裁判があったら、生活し難くて仕方ないだろう。

<相談>これ、笑ったなぁ~。
50歳の課長の妄想の痛さが痛快な笑いに変わる^m^

<ムス子>
ムス子と加賀谷は良い友であり続けてほしい。

<お風呂、晩ごはん、なでしこ>
フージコさんみたいな人、どこの職場にも一人くらい居そう。
でも、ちょっと哀しいな。
なでしこは、わたしも応援しているけれど・・・。



                         ★★★



発行年月:2015年2月


 男は抗い、女はたゆたう。

「生まれてから死ぬまでの『時間』。死に向かって生き続けるための哲学。この10年間、私はそればかりを考えて書いてきました」(著者)

義母の葬式で、男が思い浮かべた“女”の姿は――。
生と死、愛と性、男と女を見つめ続けた珠玉の8篇。

小池真理子の新たな到達点。9年越しの最新作品集。

                     (講談社HPより)





男は抗い・・・はなんとなくわかるのですが・・・・

女はたゆたう・・・??と思い調べました。

たゆたう・・漢字だと「揺蕩う」・・・こうすると意味がちょっとわかりますね~。
ゆらゆらと揺れ動いて定まらないことだとか。

なりほど・・・・この短編集の男と女は、そんなかんじの男女を描いていました。


<過ぎし者の標>
母の再婚相手の弟で映画監督の42歳の久爾夫と27歳で知り合った美貴。
久爾夫に憧れに気持ちを抱き二人で会うことに楽しみを覚えるが・・・


<つづれ織り>
父が他の女と一緒になりたいと言い離婚を受け入れた母。
わたしと兄は母と共に借家暮らしを始める。
母はそこの家主の息子・大学生と関係を持つ。


<落花生を食べる女>
父のつくる雑誌の専属モデルだった、あかり。
今は70歳だがどこか妖艶。あかりのことが始終頭から離れない。


<修羅のあとさき>
恋人と別れ苑子と親しくなったが、再び元恋人と付き合い始め、妊娠を機に結婚する
ことになる。
苑子に別れを告げ承諾してくれたが、その後、精神に異常を来たす。
20年ぶりで苑子に会いに行くと苑子の母と約束し会いに行く。


<常夜>
かつて夫だった人の死を知り、その姉に連絡を取り、お線香をあげさせてもらう
ために訪ねる。


<テンと月>
夫の夢に付き合い、ペンション経営を始めた。
暫くして経営が上手くいかなくなり、夫も急死。
自分もこの地を離れようと引っ越しの支度を始める。


<千日のマリア>
妻の母・美千代が亡くなった。
美千代との関係は、妻には話せないこと。


<凪の光>
57歳の智美は老人ホームでヘルパーとして働いている。
離婚後10年。
ある日、入所者の息子夫婦が訪ねて来た。その夫婦は自分の同級生だった。



表題作の<千日のマリア>は、話としては嫌な話だったなあ~。
妻の母親・美千代と関係を持つ夫・秀平・・・・気持ち悪い(;O;)
美千代は、きっと自分の娘のために黙って受け入れ、その秘密を墓場まで持って
行ったんでしょう。
本当に不憫でならない。
これからは良き夫、良き父親として生きて欲しい!


色々な男女の関係。
どれも興味深く読んだ。


                           ★★★★




発行年月:2014年11月


 マラリア、狂犬病、鳥インフルエンザ――
海外から襲いくる感染症に、検疫官・西條亜矢が体を張って立ち向かう。
衝撃の医療サスペンス!

                   (PHP文庫HPより)




空港内にある検疫所分室。

そこで海外から侵入しようとする感染源を食い止めるために働く検察官たちの
奮闘ぶりが描かれている。

医師の西條亜矢(37歳)が、ボス。
その部下で配属されたばかりの新人看護師の東出祐助。
医大で感染症教室助教授を務める瓦田平太郎は、亜矢の大学時代の同級生。
ほかには、新聞記者で感染症担当の下田雄史などが主な登場人物。


4つの章でそれぞれ、マラリア、炭疽菌、狂犬病、鳥インフルエンザの感染拡大を
水際で阻止する亜矢たちの様子が描かれている。

亜矢の政府の隠蔽工作を嫌い、独断で大胆な封じこめを行う様子はスカッとする。
同じ現場に居たら、やや厄介な人物だけれど、こういう方法でも
結果的に感染拡大を封じこめたという成果が得られるのなら止む終えないでしょう。


著者の作品は、社会に警告する内容が多いので、反論もあるかも?
ですが、これからもこんな作品を読ませて欲しい。

思ったより看護師の青山君の活躍が少なかったなぁ~。
続編もありそうなので、もう少し青山くんの出番があるといいと期待。


いつも思うのですが・・・仙川さんの本の表紙ちょっとリアルで怖いです^^;


                            ★★★
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