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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2001年12月


クリスマス前夜,気むずかしいスクルージに,
3人の幽霊が見せてくれたのは過去・現在・未来でした.

イギリスの古典的作品


                  (岩波少年文庫HPより)


もうすっごい昔に読んだきり。
こういう名作は、児童書で読むのもいいかも。


クリスマスイヴの甥が訪ねて来て「クリスマスおめでとう」と言い
「明日、食事にきてください」と誘ってくれたのに
スクルージは「くだらん!」と不機嫌に甥を追い返してしまう。
結婚したという甥にも「くだらん!」の一言。

呆れるほどの偏屈さ。


夜、仕事を終えて家に帰ると現れたのは以前の共同経営者で唯一の友・マーレイ。
マーレイは7年前に亡くなっている。
鎖に繋がれて辛そう。7年間ずっと不自由な身で世界のちらこちらを旅していたと。
それは罪を償うための苦行だと。
自分のようにならないように・・・と。

そしてそれから3人の幽霊が順番に現れ、過去、現在、未来のスクルージの
姿を一緒に見る。

特に未来の自分の姿を見て、自分が今まで、なんと愚かだったのかに
気づくという話。


目が覚めての朝、その日がクリスマスの朝だと知り
スクルージの取る行動は何から何まで今までと違っていた。

甥の家で楽しそうにクリスマスを過ごすスクルージが印象的。


物語も面白いけれど、最後の「訳者のあとがき」が興味深かった。
ディケンズのこの物語が、当時のイギリスですたれていたクリスマスを祝う
風習を蘇らせたとか。



クリスマス前に借りて来たのに、過ぎてから読んだのが、ちょっと残念(^^ゞ


                    ★★★★★
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発行年月:2023年3月


初めて、もっと勉強したいって思った。
女子ゆえに進学に苦労した曾祖母つる子は、ひ孫のわかばと樹に奨学金をだすという。
ただし、そのためにはひとつ条件があって……。
高校受験とバレー部の両立、応援し心配する親からのプレッシャーに悩みながらも、わかばは挑戦するおもしろさを感じていく。
::::::::::::::::::::::::
つる子はこほんと一つ咳払いをして言った。
「奨学金をだすことにしたよ。」
奨学金?
わかばはきいたばかりの単語を心の中でくりかえした。(略)
座敷の空気は一気になごんだ。というか、軽々しいばかりにはずんだ。
だが、次の一言でまたピンと張りつめた。
「ただし、それにはひとつ条件があるよ。」
つる子がぴしゃりと告げたからだ。
(本文より)


                    (偕成社HPより)


99歳のつる子さんから呼ばれた中学2年生のわかばと、樹家族。

「高校の学費を出すけれど、今の学力よりもひとつ上の学校を目指すこと」


わかばと樹は、それぞれの目標に向かって努力する。

樹は、成績優秀でレベルの高い高校にも進学できる実力。
わかばは、バレー部の練習と勉強の二つを頑張る。

主にわかばの頑張りが物語の軸になっている。
勉強をするうちに成績が上がり、志望校のレベルも上がる。

樹は将来、やりたい仕事のために高校を選ぶ。

学力に見合った学校を選ぶというより、将来のための勉強ができる学校を
選ぶ樹のような子もいいと思う。

わかばの最後の選択も、長いこの先の人生を考えたら、ありだと思う。

何より、自分で選んだ道なら、一層の努力をしていけると思う。


つる子さんは、二人にとって、素敵な大おばあちゃんだなぁ~。



                       ★★★



発行年月:2023年8月


同じ地方都市に生まれ育ち現在もそこに暮らしている三人。4歳の娘を育てるシングルマザー――朱音。朱音と同じ保育園に娘を預ける専業主婦――莉子。マンション管理会社勤務の独身――園田。いじめ、モラハラ夫、母親の支配。心の傷は、恨みとなり、やがて……。2023年本屋大賞ノミネート、最旬の注目度No.1作家最新長篇。

                   (新潮社HPより)




中学時代、いじめを受けていた園田 律。
暴力を振るわれたとかではないけれど、中原大樹のことがずっと忘れられず
「あいつを殺してから死のう」とまで思いつめる。

園田と偶然、会った佐々木朱音。夫とは離婚前提で別居し、4歳の娘・鈴音と
暮らしている。

中原大樹の妻・莉子は、中学時代の同級生・大樹と結婚したが
いつも自分を見下しているような大樹の態度が許せなくなってきている。


園田、朱音、莉子。
同じ街に暮らし、接点も。

それぞれが接していくうちに、少しずつ、自分の気持ちが変化していく。

自分に不の感情しか与えない人とは、離れるべきだな。


最後、園田の姪・かんなと、朱音の娘・鈴音、莉子の娘・芽愛が
仲良く下校する様子が微笑ましかった。
重たい話が少し軽くなって、良いラストだった。



                     ★★★★



発行年月:2023年7月


米澤穂信、初の警察ミステリ!
米澤穂信、初の警察ミステリ!
二度のミステリーランキング3冠(『満願』『王とサーカス』)と『黒牢城』では史上初のミステリーランキング4冠を達成した米澤穂信さんが、ついに警察を舞台にした本格ミステリに乗り出しました。
余計なことは喋らない。上司から疎まれる。部下にもよい上司とは思われていない。しかし、捜査能力は卓越している。葛警部だけに見えている世界がある。
群馬県警を舞台にした新たなミステリーシリーズ始動。
群馬県警利根警察署に入った遭難の一報。現場となったスキー場に捜査員が赴くと、そこには頸動脈を刺され失血死した男性の遺体があった。犯人は一緒に遭難していた男とほぼ特定できるが、凶器が見つからない。その場所は崖の下で、しかも二人の回りの雪は踏み荒らされていず、凶器を処分することは不可能だった。犯人は何を使って〝刺殺〟したのか?(「崖の下」)
榛名山麓の〈きすげ回廊〉で右上腕が発見されたことを皮切りに明らかになったばらばら遺体遺棄事件。単に遺体を隠すためなら、遊歩道から見える位置に右上腕を捨てるはずはない。なぜ、犯人は死体を切り刻んだのか? (「命の恩」)
太田市の住宅街で連続放火事件が発生した。県警葛班が捜査に当てられるが、容疑者を絞り込めないうちに、犯行がぴたりと止まってしまう。犯行の動機は何か? なぜ放火は止まったのか? 犯人の姿が像を結ばず捜査は行き詰まるかに見えたが……(「可燃物」)
連続放火事件の“見えざる共通項”を探り出す表題作を始め、葛警部の鮮やかな推理が光る5編。


<崖の下  雪山での遭難✖見つからない凶器>
<ねむけ  交通事故✖不自然に一致する目撃証言>
<命の恩  バラバラ遺体✖ずさんな犯行>
<可燃物  連続放火事件✖読めない動機>
<本物か  立てこもり事件✖かみあわない証言>


                    (文藝春秋HPより)



どれも面白かった。
この人、犯人だよね?とすぐわかるものもあるけれど、その事件の真相を知ると
「え?」と驚くものばかり。
一番、印象に残るのは、<命の恩>。
娘と登山中に滑落し、動けなくなって命の危険も感じていたとき、助けてくれた
男・野末に一生、恩に報いると決めた宮田村。

野末のバラバラ遺体の一部が人が通るような山道で見つかり、その後
頭部や体の部位がバラバラにされた状態で発見される。
が・・・首の部分だけがみつからない。

なんだか切ないような、ここまでやる必要あったか?と思う話。


<可燃物>の犯人の動機は、全く理解できず・・・・(^^ゞ
これが表題作の意図はなんだろ?
まあ、このなかで一番、「どういうことぉ~!?」と心のなかで叫んだけど(笑)。


他の話も楽しめた。
最初の<崖の下>
骨折した人がそれは無理だと思う。
最後の<本物か>
これは全く予想外の展開だった。


読みやすいし、謎の解明までは早いし、こういう短編集は楽しい。
警部補の葛もひょうひょうとしていて好きなかんじなので
また葛警部補が追う事件の話を読みたいな。



                     ★★★



                   




発行年月:2023年7月


その物件、購入して大丈夫ですか?
 賃貸に住み家賃を払い続けるのか、ローンを組んで終の棲家となるマンションを購入するのか、決断一つで人生の転機が訪れる。
 「借金をして家を買おう」。37歳、独身、小説家・猪瀬藍は、中古マンションの購入を決意。夫婦と娘2人の4人家族が暮らす物件を内見し、理想的なマンションに出会えたと契約を結ぶことに。新居での新生活に心躍らす藍。しかし、その先に思いもがけない展開が待ち受けていた・・・・・。マンション購入はその物件だけではなく周りの環境まるごとが自分の世界になるということ。藍の身に衝撃の結末が訪れる。
 果たして、その物件に手を出してはいけなかったのか・・・・・芥川賞作家が挑む異色のマイホームミステリー

                   (小学館HPより)



前の家族が恐ろしい。
最初から嫌なかんじ。

やっと理想的な間取りのマンション(中古)を見つけ、内見に。
仲の良さそうな家族が住んでいるところ訪問。
家族は、そこからあまり離れていない土地に一戸建てを建て引っ越すのだという。

引っ越しから、前の家族の長女(9歳)・ありさがきて、中を見せて欲しいと。
そのあとは妹のまり(5歳)も連れてくる。

最初から家に入れるべきではなかったと思うけれど、まさか、そんな展開になるとは
予想せずにの優しさからだから仕方ないか?

その後は、姉妹の母・杏奈が来たりですっかり親しくなってしまう。


まあ、そこまでは、そんなこともありかな?と思いつつ、自分なら、ちょっと
嫌だなと思いながら読んでいると、最終的には
「家を交換してほしい」と。
えぇ~!!

最初からその目的で行動していたのかと思うと恐ろしい。

藍が、マンションに居るのが嫌になるように、色々仕込んでいたってこと?

夜中の物音とか。
留守中に入り込んでいたとか。

きゃ~っ!!


カギはすぐに変えなきゃだめだと思う。


実際こんなことあるのかな?
前の住人の嫌がらせ。




                      ★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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