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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2014年3月


また、あの音が聴こえる――東京オリンピックの前年、出稼ぎのため上京した男。
生者と死者が共存する土地・上野公園で彷徨う男の生涯を通じ、
柳美里が「日本」の現在と未来を描いた傑作!

                  (河出書房新社HPより



上野公園でホームレスとして生きる男が主人公。
名前は?出てきたかな?

男は、福島県で昭和8年生まれ。
8人の弟、妹の一番上で、貧しい一家の暮らしを支えるため懸命に働き
成人し、結婚し妻と娘・息子との生活を得たが、出稼ぎのため東京に出る。
昭和38年の12月。
東京オリンピックが開催される前の年で、インフラ整備などで働き口には困らなかった。
福島に帰るのは、盆暮れだけで、後は東京で働いた。

やがて、娘は嫁ぎ、息子は、レントゲン技師の国家資格を得たという嬉しいニュースを
聞くが、その直後、息子はアパートの部屋でひとり死んでいたという。

65歳の妻が他界してからは、一人暮らしだったが、孫が世話をしてくれることに
なった。
が・・・・孫を自分のことで縛るのは忍びないと一人東京へ出て
ホームレス生活を始める。



男の人生、なんだか空しいことだらけ。
やがて、3.11でその孫も津波にのまれる。

辛いことがこれでもかと押し寄せるが、男は淡々と生きる。
心の中のことが描かれていないので、余計空しさを感じてしまう。


柳さんのあとがきが、またいろいろと考えさせられる内容でした。

こういう真面目に生きて来たのに、理不尽な運命を生きている人たちに
福祉の力でもっと手を差し伸べられないのかな?


歯がゆさだけが残りますが、こういう事を多くの人が知るべきだと感じた。


                        ★★★★★
 
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発行年月:2015年1月


 想像力と感応力が炸裂する超異色短編集 時代や場所に関わらず、
社会に時折現出 する抑圧と奴隷状態。
それは今ここで起きても不思議ではない。
七作を収録した超異色 短編集。

                      (文藝春秋HPより)




長編じゃなくて短編集でした。

七つの話、どれも嫌な話ですが、すらすら読めました。


<雀>
15歳のスズメ。母も祖母も舌を切られている。長老の妻になることを拒んだから。

恐ろしい。
スズメが暮らす家が「スズメのお宿」と呼ばれているなんて、ブラックジョークが
尚更ゾゾ~ッ。



<泥>
泥に囲まれた島に囚われている女子高校生たち。

よくわからない状況だけど、その中に自分が居たら・・・と想像してしまうと
堪らなく恐ろしい。



<神様男>
アイドルになる夢をやっと叶えた娘のイベントを見学に行く母親。

これはちょっと笑えた。
アイドルも大変だけど、その家族はもっと大変だかも。



<REAL>
ブラジルでNPO活動している友人を訪ねるアサミ。
彼女はもうすぐ20歳になる娘が自殺したことを友人に告白。
友人の活動先で知り合った少女に娘の面影をみる。

これは、ちょっと切ない話。
同じ年頃の娘を持つ母親として、アサミの気持ちが痛いほどわかって
泣けてきた。



<ただセックスがしたいだけ>
炭鉱労働のために村に入ったコウサ。
男たちがソワソワ、自分の住処を片づけたり、食べ物を調達している
様子を不思議に思っていたが、その理由は、女だった。

男って、そういう生き物?



<告白>
薩摩の商人ヤジローは、藩の役人を殺めてしまい日本から船に乗りこみ逃亡。
日本は鎖国中で着いた国で、日本人の老人から声を掛けられその男の家に

老人の告白話が怖い。
ヤジローはどうなったんだろう?


<山羊の目は空を青く映すか>
囚人として暮らすタンネ。
監視様たちに密告すれ国家に忠誠を誓っている証とされる。
父は一級囚人だと信じていたが・・・。

これって、何処かの国にありそうな話だなぁ~。
タンネの最期の気持ちは安らかだったのかな?


表紙の暗い絵が、本の内容に見事に合っていて、見入ってしまった。

次は長編を読みたい!


                         ★★★



発行年月:2015年4月


 外国人の素直な目から、ニッポンの奥の深さと可能性を再発見!

花見は「クール!」だけど紅葉狩りは「クール?」
居酒屋は「クール!」だけどカラオケは「クール?」
コスプレは「クール!」だけどゆるキャラは「クール?」
だんだんやみつきになるウォシュレットと風呂。

自動販売機に日本の平和を感じ、宅配便とコンビニに驚愕する。
残業の多い日本のビジネスマンを見て、「日本人は時間に正確じゃない」と発見し、
初対面でいきなり年齢を訊く日本人に憤る。

                   (講談社HPより)




この番組、NHKのBSで何度か見たことあります。

なので、番組を見ていて知っている話もありましたが、面白い!

特にp78の外国人が「自分が日本人になったと思う瞬間」っていうのには
笑った!

なるほどね・・・・^m^


日本ってやっぱり良い国だなぁ~と思える本でもありました。

番組、今度は録画しておこうかな?


                        ★★★★★



発行年月:2015年4月


 アイドルが自殺した。あんなに可愛らしくて、みんなから愛されていたのに……。しかし、沙霧の死を悼む暇もなく、蓮美は激動の渦に巻き込まれる。沙霧のブログに、蓮美のいじめが原因で死ぬとかかれていたのだ。身に覚えのない蓮美は、己の無実を証明するために沙霧の死の真相を追う。「サクリファイス」シリーズの著者が、女たちの葛藤や嫉妬を鮮やかに描き出す!

                    (徳間書店HPより)



芸能界の恐ろしさを感じた。
こういう話、よく聞くけれど、本当にあるのかなぁ~?

売れっ子アイドル・沙霧が飛び降り自殺。
ブログのなかで、自分が虐めていたことが自殺の原因のように書かれている
ことに戸惑う蓮美は、戸惑う。
沙霧は同じ事務所のライバルでもあったけれど、よき理解者であり親友だと
自分は思っていたのに・・・・。
ショックで人間不信に陥り、引きこもり太ってしまった蓮美。
けれど、太った自分は蓮美として注目されることもなく、本名の鈴木昭子でいられる。
そして、鈴木昭子として、沙霧の自殺の真相を追うことに。

真相を突き止めるにあたって、どんどん協力者が加わる。
今はアイドルを止めたチホ。
コンビニで度々、声を掛けてきた斉木。


終盤、どんどん真相が明かされ、斉木の正体が知れた頃にはビックリ!
怪しい人だと思っていたけれど・・・・勘違いでしたぁ~^^;


真相を知れたのは、スッキリしましたが、同時になんだかやり切れない
複雑な気持ちにもなりました。

沙霧、蓮美、チホ・・・・・芸能界に入らなければ、もっと幸せに
なれたと思うなぁ~。

表紙は二人の少女しか見えませんが、裏にもう一人。

物語りとしては面白かった。


                              ★★★



発行年月:2015年2月


 若菜17歳。青春真っ最中の女子高生と、三世代女系のてんやわんやの家族の物語。

内縁関係を貫いた曾祖母、族のヘッドの子どもを高校生で産んだシングルマザーの祖母、普通の家庭を夢見たのに別居中の母、そして自分のキャラを探して迷走中の娘の若菜。強烈な祖母らに煽られつつも、友の恋をアシスト、祖父母の仲も取り持ち大活躍の若菜と、それを見守る家族。それぞれに、幸せはやって来るのか……。

                   (新潮社HPより)




乙女の家のメンバー。

曾祖母・和子(78歳)
祖母・洋子(58歳)
母・あゆみ(42歳)
あゆみの娘・若菜(17歳)
あゆみの息子・誉(15歳)


主人公は高校2年生の若竹若菜。
母と父は別居しているけれど、平日の晩御飯を父は食べに来る。


曾祖母、祖母、母・・・みんな元気でそれぞれの生活をエンジョイしているのがいい。
まだみんな若いし。

そんな中、若菜は、学校のいつも行動を共にする親友とは別に
文学少女と皆から距離を置かれている、高橋鈴子と親しくなり、学校では殆ど言葉を
交わさないけれど、純喫茶ウィーンで会う。
二人の女子高校生の会話が楽しい。
こういう付き合いが出来る相手が生涯の友になるんだろうなぁ~(^^)


曾祖母、祖母、あゆみ、それぞれ今は夫(?)と離れて生活をしているのだけど、
いまも繋がっているかんじが、なんだか温かい。


高橋さんの恋の行方がとても気になっていたのに、なんだか最後は
うやむやにされた感があり・・・それだけがちょっと残念だったなぁ~。
告白の決行の様子とか知りたかったのになぁ~。


でも、面白かった!


                          ★★★★
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