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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2015年2月

舞台に魅せられた者だけが知る恍惚と業を描く、中山版オペラ座の怪人!


男役トップになって二日後に事故死して以来、宝塚の守護神として語り継がれてきたファントムさん。一方、新人公演で大抜擢されたひかるを待ち受ける試練とは――? 
愛と運命の業を描く中山可穂版・オペラ座の怪人!

                    (角川書店HPより)




宝塚歌劇団の男役たちの物語。


新人公演で主役の男役に抜擢された永遠ひかる。
20年のキャリアで宝塚トップスターの男役・如月すみれは、近く退団の予定。

そして。。。宝塚にはかつての男役のスター・扇乙矢の伝説が残っていた。
乙矢は、ファンファンの愛称で愛されていた。
トップお披露目公演の日、乙矢が乗ったセリが上昇。
舞台が開かずその間に挟まれ悲劇的な死を遂げた。
以来、乙矢の魂は、劇場の奈落に留まったままだという噂。
乙矢を、ファントムさんと皆が呼ぶようになる。


ひかるの祖母が乙矢の相手役の神無月れい。


ひかるの公演を見ていたその場にファントムが現れた場面は、感動的でした!

度々登場し、すみれやひかるに助言するファントムさんの言葉がなかなか意味深い。
「男役は男役に惚れる」・・・・なるほどね。

男役の方、素敵ですからね~。
退団を控えた、すみれの苦悩は、実際の男役の方が抱える悩みかも。
そんな風に葛藤されるんだなぁ~と思い、今、元宝塚で現在、女優さんとして
活躍されている方たちの顔がふと、頭に浮かびました。


宝塚ファンじゃなくても十分に楽しめました♪


                          ★★★★
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発行年月:2015年1月


 サーカスに魅せられ、綱渡り師を目指す少年の冒険と生長。心躍る物語。

離ればなれになった両親とかつて一緒に見たサーカス。忘れられないその不思議な世界の一員になることを目指して入団した少年の前に現れる、自由で個性の強い人々。クラウン、ピエロ、ブランコ乗り、ジャグラー、そして美味しいお菓子やスープを作ってくれるコック。少年は少しずつ綱渡りを学んでゆく。新鮮な長編小説。

                     (新潮社HPより)




今までの著者の作品とは雰囲気が違ったけれど、こういうのも良いですね。

13歳の少年が、サーカス団の一員として成長していく物語。
ちょっと海外の児童書みたいでした。

サーカスの団員たちとの関わりが温かい。
最初は、両親に捨てられた少年の境遇に驚いたけれど、新しい場所で
素敵な大人たちと沢山、知り合い、サーカス団の皆が大家族のようでした。

小川さんの作品には、美味しい物が登場するのが常で、今回も
コックが作る美味しそうな物が登場。


少年がサーカスにデビューの芸名はソリャカ。
トマト味のちょっと酢っぱいスープの名前で、両親が居なくなったあと
面倒をみてくれたグランマがよく飲んでいたスープ。


表紙の絵も素敵です。


                          ★★★



発行年月:2015年4月


 ニューヨークの中心、マンハッタンに存在し、1920年代から「ザ・モダン」と呼ばれたモダンアートの殿堂。それが「MoMA」ニューヨーク近代美術館。近現代美術、工業デザインなどを収集し、20世紀以降の美術の発展と普及に多大な貢献をしてきたこの美術館を舞台に、そこにたずさわる人々に起きる5つの出来事を描いた自らの美術小説の原点にとりまくんだ美術小説短編集がついに刊行

                  (文藝春秋HPより)




マハさんしか書けない物語でしょう!

ニューヨーク近代美術館(MOMA)が舞台のお話。

<中断された展覧会の記憶>
MOMAから貸し出している「クリスティーナの世界」(アンドリュー・ワイエス作)の無事を
確認するMOMAの展覧会ディレクターの杏子。
福島の美術館で働く学芸員・伸子と連絡を取りあい、一旦「クリスティーナ」を
迎えにいくことに。


<ロックフェラーギャラリーの幽霊>
MOMAで監視員をしているスコット・スミス。
美術館内で一番価値ある作品と言われているピカソの「アヴィニヨンの娘たち」の
前に佇む青年が気になる。
別のとき、ふと気づくとあの青年が今度は同じくピカソの「鏡の前の少女」の前に
立っている。


<私の好きなマシン>
デザイナーのジュリアは、幼いとき初めて両親と訪れたMOMAでの思い出を
思い出す。
あの時、館長だったアルフレッドに声を掛けて貰ったこと。
マシンアート展のなかで「きみの好きなマシンはどれかい?」と。


<新しい出口>
3.11以来、パニック障害に陥るローラ。
あの日、親友のセシルを失った。
ローラは、ピカソを。セシルはマティスを、いつか自分の手で企画展示会することを
夢見ていた。
あれから、5年、他の人の手でピカソマティス展が開催され、もうすぐMOMAにも
その企画の順番がくる。
それを機にMOMAから去ろうと決めるローラ。


<あえてよかった>
日本の私立美術館から1年間の期限付きでMOMAに派遣された麻美。
多くのことを学び、日本に帰る日が近づく。
いつも手助けしてくれたシングルマザーでパートタイムの職員・パティとの
出会い。


どれも素敵なお話でした。
特に後ろ2つのお話がいいな。


気になった作品を後から調べたので、ここに載せておこう。


 アンリマティスの浴女と亀

パブロピカソのアヴィニヨンの娘たち

 マティスの窓辺のヴァイオリニスト

ピカソの影


美術の勉強にもなりました(^^)
ピカソマティス展観たいなぁ~♪


                         ★★★★★



発行年月:2015年3月


 歴史的大惨事となった脱線衝突事故から10年。このところ不可解な事件が相次いでいた。女性がカラスに襲われ失明。白昼の凄惨な殺人。不思議な能力(念動力)を持つ小学生・信悟の優しかった女先生も突然豹変し、彼を執拗に付けまわすようになった。いったい何が起きているのか。背後には太古から地球にいた謎の生命体のたくらみが。信悟は圧倒的力を持つ生命体にいかに立ち向かうか。昭和の下町を舞台に描く、直木賞作家渾身のノスタルジックホラー。

                  (徳間書店HPより)



昭和46年が舞台。

小学校3年生になった立花信吾と彼の友達や、学校、近所の商店街の人々たちを
巻き込む不可解な凄惨な事件の連続。

起きる事件は、恐ろしいものばかりだけど、信悟の正義感、優しさにずっと
救われる。
そして、事件の真相は、なんと・・・・。
よくわからないけれど、ちょっと寄生獣を連想しちゃいました^^;

得体の知れないものとどう決着をつけるのか?
最後の展開は・・・ああ、なるほど・・・・。
鍵は将悟くんでしたか?
そして、信悟の優しさがこの町のピンチを救ったのかもね・・・と思いました。


今回も、昭和の懐かしい物が、いろいろ出てきました。
が・・・ロケットアイスはちょっとわからなかった。
似たようなものは知っているけれど、キャップは付いてなかったなぁ~。
ちなみに、わたしたちは「チューチューアイス」と言ってましたが^m^

エピローグで、信悟も、その弟の将悟も立派な大人に成長し、仲良しの兄弟のまま
だったのが嬉しかった。



                        ★★★★


発行年月:2014年9月


太平洋戦争末期、空襲が激しさを増す中、貞明皇太后は疎開することを拒み続けた。それは、今すぐ戦争を終えてほしいという、皇太后の命をかけた主張だった――。

 のちに貞明皇后となる九条家の姫、節子は、幼少の頃に農家へ預けられ、「九条の黒姫さま」と呼ばれるほど活発な少女として育つ。その利発さと健やかさを評価され、皇太子妃として選ばれたことから、明治、大正、昭和をつらぬく節子の激動の人生が始まった……。

 病に臥せることの多かった大正天皇を妻として支え、母として昭和天皇を見守り続けた貞明皇后の、平和への願いと家族の絆を描く。

 正当な評価をされてこなかった大正天皇の実像に迫るとともに、皇室の視点から日本の近代史に光を当てた傑作長編。

                     (PHP研究所HPより)




大正の時代は短く、大正の天皇と皇后さまのことは、全く無知でした。

が・・・この本を読んで、お二人とも人間として、素晴らしい方たちだったんだと
知ることが出来ました。


大正天皇は、幼いときから病弱で、髄膜炎の既往があり、お后候補に当初選ばれて
いなかった九条家の節子(ながこ)様が選ばれたのには、お体が大変、丈夫で
あったことが一番の要因だったとか。
節子さまの幼い頃の様子は、お転婆娘ですが、心優しい女の子で
大正天皇のお后としても常に天皇の気持ちを汲んで気持ちが通っていた
素晴らしい夫婦だったんだなぁ~という逸話が多かった。

世界的には、戦争があちらこちらで起き、日本もそこに巻き込まれていく
激動の時代。
そんなことを憂い、天皇でありながら、危い道に突き進むことを自分の意志だけで
食い止めることが出来ない悔しさを感じていた大正天皇。
それを側でいつも見ている節子さまも同様の心痛。

今の天皇・皇后さまもたぶん、同じような心境かと想像してしまいました。


あまり知られていない大正天皇のこと、そして、それを支え続けた皇后さまの
ことが、よくわかる物語でした。


昭和天皇と良子さまの物語も書いてくれないかなぁ~?


                          ★★★★★
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