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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2015年3月

一枚の絵が、ふたりの止まった時間を動かし始める。

 たかむら画廊の青年専務・篁一輝(たかむら・かずき)と結婚した有吉美術館の副館長・菜穂は、出産を控えて東京を離れ、京都に長期逗留していた。妊婦としての生活に鬱々とする菜穂だったが、気分転換に出かけた老舗の画廊で、一枚の絵に心を奪われる。画廊の奥で、強い磁力を放つその絵を描いたのは、まだ無名の若き女性画家。深く、冷たい瞳を持つ彼女は、声を失くしていた――。

 京都の移ろう四季を背景に描かれる、若き画家の才能をめぐる人々の「業」。

 『楽園のカンヴァス』の著者、新境地の衝撃作。

                    (PHP研究所HPより)




新境地と謳っている通り、作風がちょっと今までと違った雰囲気だったなぁ~。

お得意の美術絡みではあるけれど・・・・


震災後の放射能が心配で、東京から京都で暮らすことに決めた妊娠初期の篁 菜穂。
菜穂は祖父が築いた美術館の副館長。
亡き祖父の美術品に関しての思考をよく理解し受け継いでいる。
京都の滞在先は、菜穂の祖父が書を習っていた書道家の鷹村せんの屋敷。


物語の冒頭、京都の国立近代美術館を菜穂と夫の一輝が訪れた際、印象に
強く残ると一輝が言っていた女性・白根 樹が、物語の途中から登場し
物語を大きく動かしていくことになる。

最初は、一輝と何やら深い関係になるのかなぁ~と下卑たことを想像して
いましたが・・・深い関係になるのは、菜穂の方でした!!


原田さんお得意の美術の話が盛り込まれていて面白かった!

しかし、菜穂の決断を一輝は受け入れられないでしょうね~。
なんだか一輝が可哀想ではありますが、菜穂の気持ちは強く揺るがないかんじ。

ちょっと後味すっきりじゃないモヤモヤする部分もありますが・・・


表紙の絵の意味は読み終えてみれば、なるほどと納得でした!


                        ★★★




 
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発行年月:2015年1月

驚きと感動のラストが心ふるわす、無敵のエンタテインメント小説!


冴えない容姿と“特殊”な声を持つラジオのパーソナリティの恭太郎はある雨の日、行きつけのバーでびしょ濡れの美女に出逢う。ひょんなことから彼女の企てた殺害計画に参加することになる恭太郎だったが――。

                 (角川書店HPより)




ラジオDJの桐畑恭太郎が行きつけのバー「If」に集う面々が個性的で楽しく
いいなぁ~こういう仲間の居る場所。
なんて能天気に思いながら、読んでいましたが・・・・
そこは道尾作品、そんな能天気な人たちじゃありませんでした!



常連客やママたちの話をラジオで話す恭太郎だけど、そこには隠された真実があって・・
その真実は結構、重たいもの。

でもバーで語らう人たちは皆、仲良し。

そしてある日、飛び込んできた三梶恵の企てに力を貸すことになった面々。
その恵にも皆には隠していたことがあった!


恭太郎の語る、小学校時代のカメレオンを飼う友達の話が良かった。

恭太郎と恵が良い雰囲気になった場面には笑った!
「紫陽花」=「しようか」・・・・・巧い!!よく思いつくなぁ~と感心^m^

笑いあり涙ありの物語でしたが最高でした(^^)


                          ★★★★★

 



発行年月:2015年6月


 戦時中、高知から家族と満洲にやってきた珠子。そこで彼女は、朝鮮人の美子と横浜から来た茉莉に出会う。三人は立場を越えた友情で結ばれる。しかし終戦が訪れ、珠子は中国戦争孤児になり、美子は日本で差別を受け、茉莉は空襲で家族を失い、三人は別々の人生を歩むことになった。あの戦争は、誰のためのものだったのだろうか。

                     (講談社HPより)



ホント、戦争なんて馬鹿げていて無意味で、得るものが何一つないことだと

感じる。

満州開拓団として、日本から中国に渡った珠子。

朝鮮から父親の仕事の関係で満州に来た美子。

横浜在住で父の貿易の仕事で中国に一緒に来た茉莉。

中国で、日本人と朝鮮人の少女たちは、仲良くなる。

その後、茉莉は、日本に帰るが空襲で孤児になり裕福だった暮らしは一変。
美子も中国を離れる。朝鮮に帰る者も多い中、美子の父親は日本に渡ることを選ぶ。
朝鮮人ということで差別を受けながら暮らすことに。

珠子は茉莉と美子が居なくなり寂しい思いをするが、一緒に満州に来た、
年上の八重子家族と共に満州に留まっていた。


が・・・やがて、日本が敗戦。無条件降伏すると事態が深刻化。
満州で暮らしていた日本人は、敗者ということで中国人から暴力を振るわれ
共産党員たちから逃れるために家を離れることになる。
その後、過酷な旅が始まり、珠子は、母親とはぐれて、中国残留孤児となる。


三人三様に苦労続き。
それでも必ず、助けてくれる人が現れたのが救いでした。

国同士が戦争をすると、そこに暮らす人たちは、違う民族ということだけで
今まで築いてきた信頼関係が一挙に崩れてしまう恐ろしさを切々と描いています。

日本人だった珠子は、日本語をすっかり喋れなくなってしまう。
生きるために中国人に成りきるしかなかったから。

珠子は、日本で自分を覚えていた人たちに会えて再び、日本に帰ることが
出来たけれど、再び日本人として生きるのには苦労した。


長篇なのに一気読みでした!

戦争体験者ではない著者(1974年生まれ)がいろいろと文献を調べて
描かれたであろう物語。
戦争を体験した人から直接、話を聞く機会はそうそう無くなった時代だからこそ
多くの人に読んで欲しいなと思える。

                        ★★★★★



発行年月:2015年1月

悲しみしかないと、思っていた。でも。死は悲しむべきものじゃない――南の島の、その人は言った。

心を取り戻すために、約束を果たすために、逃げ出すために。忘れられないあの日のために。別れを受け止めるために――。「死」に打ちのめされ、自分を見失いかけていた。そんな彼女たちが秘密を抱えたまま辿りついた場所は、太平洋に浮かぶ島。そこで生まれたそれぞれの「希望」のかたちとは? “喪失”から、物語は生まれる――。

                    (新潮社HPより)



4つの章からなる物語で、章ごとに主人公が変わる。
いずれも阪神淡路大震災を経験し、大事な人を亡くしている。
それぞれの章に共通して登場は、トンガ王国でゲストハウスを経営する日本人
尚美。


<楽園>
濱野毬絵は、震災で双子の姉妹を亡くしている。
当時5歳。
亡くなったのは、雪絵だが、母親は毬絵を亡くしたものとして毬絵の墓を建てた。
毬絵は雪絵として生きることを強いられる。
20歳の毬絵は、一人ある決心をしてトンガ王国のトンガタブ島に来た。
毬絵として生き返るために。


<約束>
松本理恵子は、トンガの中高一貫の女子校に赴任して2か月。
婚約者だった柏木宗一と距離をおくために日本を離れてきた。
それなのに、宗一はトンガまで理恵子に会いに来る。
戸惑う理恵子だったが、それは、震災で亡くなった友と交わした約束を
果たすためという。


<太陽>
杏子は5歳の娘を連れてトンガ王国に来た。
大学2年のときに妊娠し、一人で娘の花恋(かれん)を産んだ。
子どもの頃、震災で父親を亡くし、慣れない避難所生活は苦痛でしか
なかったが、そこでボランティアのトンガ人・セシミさんに出会い
救われた。トンガでセシミさんに会えたらいいなと思い・・・。


<絶唱>
土居千晴は、大学4年のときに震災を体験した。
その日は、前の日からまだ卒論が完成しない同じアパートの友人の部屋で
パソコンに向かっていた。
自分たちは怪我もせず無事だったが、別のマンションに住んでいた友人・静香は
建物の下敷きになり圧死したと後から知りショックを受ける。
震災後わりとすぐに電車が復旧し、安全な場所に避難したが、後に静香の
葬儀の場でほかの友人からそのことを非難され傷つく。



あれから20年経ったんだなぁ~。
その年に長女が生まれて、長女も20歳になっているから・・・
離れた場所で、住んでいるところでは少し揺れを感じた程度だったけど
あのニュースを見たときは被害の大きさに唖然とした。

そんな当事者たちの物語。

大変な体験をして、その後も重いものを抱えて生きることになった人たちだけど
そんな気持ちを軽くしてくれる人との出会いがあってホッとする。

特に最後の<絶唱>は、自然と涙が溢れて来た。
亡くなった人との思い出を胸に秘めながら、前を向いて明るい方へ
進んで行ってほしい。


良い物語でした。


                        ★★★★★





発行年月:2015年4月


 自分以外の人間は誰も信じるな――
子供の頃からそう言われ続けて育てられた。
しかし、その言葉には、まだ逃げ道がある。
たった一人、自分だけは信じていいのだ。

南の島の集落で、知子ばあさんと暮らす高校生の鷹野一彦。
東京からの転校生・詩織の噂話に興じるような、一見のどかな田舎の高校生活だが、その裏では、ある組織の諜報活動訓練を受けている。
ある日、同じ訓練生で親友の柳勇次が、一通の手紙を残して姿を消した。逃亡、裏切り、それとも? その行方を案じながらも、鷹野は訓練の最終テストとして初任務につくが――。
過酷な運命に翻弄されながらも、真っさらな白い地図を胸に抱き、大空へと飛翔した17歳の冒険が、いま始まる!

「ここよりももっと良い場所、あるよな?」
「あるよ、いっぱい。私たちが知らないだけで」

                  (BOOKデータベースより/幻冬舎)




沖縄県の南西64kmに浮かぶ孤島での暮らしが最初にあって・・・

孤島が舞台の青春小説?と思って読み始めたら、段々、彼らに置かれた状況の
過酷さが見えて来て、どうなるんだ?と気になり一気読み。


17歳の鷹野一彦と柳勇次。

2人はとある産業スパイ組織の訓練生として任務を遂行しながら、昼間は高校生
としての顔を持つ。

特に鷹野の生い立ちは壮絶で、幼い頃の体験話には、胸が痛む。

そんななか、二人の島での生活を援助している、知子ばあや、
鷹野に生きる希望の言葉をかけた風間、軽井沢で子どもの頃の鷹野を世話した富美子など
の存在が明るい将来の希望を手助けしてくれる。


過酷なことが、この先もあるんでしょうけど、力強く生きて行って欲しいな~。

鷹野が成長した後の話、「太陽は動かない」を
読んだのに、全く思い出せない^^;

ま、これだけでも面白かったからいいか?


                      ★★★★

ささやかでも確かな“希望”を明日へと繋ぐ傑作エンターテイメント!
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