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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2007年4月


 独身女、家を建てる
30代半ばの独身女性はある日、重大な決意をする。それは、家を建てること――。仕事よりも、恋よりも、結婚よりも、家……それは正しい女の生き方ですか?
今一番注目の女性作家・中島たい子新作小説。

「家、欲しいな」
わずかであっても空間に囲まれている、独立した建物。その個体を専有して暮らす私。イメージしたとたん頭の中の霧が晴れていくような感じがした。ちょっと待って、私、今なんて言った?思考を切るようにイスから立ち上がり、キッチンにもどった。紙袋の中から蟹缶を出して、食料品棚にしまい、アボカドも野菜かごに入れる。でも、さきほどの爽快感はまだ残っている。

別れて1ヵ月以上たった彼から突然届いた「宅急便」。はたして中身は……?傑作短編「彼の宅急便」同時収録。

                   (講談社HPより)




名前は知っていたけど、初めて読んだかも・・・。

<建てて、いい?>
30代半ばの独身女性。
結婚したいと思っていたけれど、はたと自分の居場所が欲しいんだと気づき
家を建てることを決意する。

家を建てるのに、相談したのが建築会社の男性・福島。
彼とは、おばの勧めで見合いをしていた。
顔を合わせた瞬間、お互い、本気で見合いしたいわけではないことに気づき
その後は、家造りのよき相談相手としての付き合い方。

もしかして、それでも二人は良い関係に発展するとか?と少し期待しましたが・・・
その期待は外れ。
ま、それも良かったかな?

家を建てるって楽しいだろうなぁ~。
建てると決めたその瞬間から、ワクワク感が始まるんだなぁ~。
実際の家、どんなかんじなんだろ?、間取りが見たい!


<彼の宅急便>
同時収録のこちらの短編も良かった!
むしろ、話としては、こちらの方が好き。

別れて1か月少し経ってから、宅急便で送られてきたもの。

なんで、この二人は別れちゃったんだろな。



初読みの作家さんだったけど、読みやすく、登場人物たちが魅力的で
面白かった。
ほかの小説も読んでみたいと思った。


                        ★★★★
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発行年月:2015年8月


 ある晴れた夏の日、わたしが、湖に浮かべたボートの上で出会ったのは、
ふわふわの毛につつまれた、二本足で歩くハリネズミのようなふしぎな生きもの、
「ヤービ」でした。

                   (福音館書店HPより)




梨木さんの新刊は、可愛らしいお話でした♪


人間(おおきい人)とヤービが出会う場面が素敵。
ミルクキャンディーを刺し出したら、ヤービは受け取り、家に持ち帰る。
ママヤービがそれでミルクシロップを作ってくれた。

それは、誰かを殺した食べ物を受け付けなくなったヤービのいとこのセジロを
救う。
ミルクは誰も殺していない食べ物だから・・・。


ヤービたちクーイ族のほかに、人間を小さくしたような姿のトリカたち
ベック族も出てくる。

自然のなかで、まだ人間が知らない生き物たちがこうして生活していると
想像するだけで楽しい。


小沢さんの絵も素敵。

大人も楽しめる可愛い本でした♪
続編もあるかんじなので、期待して待ちたいと思います。


                      ★★★★★



発行年月:2015年5月


  「少年A」に人生を変えられた人々の物語
少年犯罪の加害者、被害者遺族、加害者を 崇拝した少女、
その運命の環の外にたつ女性作家
「少年A」は彼らに何をもたらした のか。

                   (文藝春秋HPより)




語りが何人かに変わりながら物語が進行する。


・小説家志望で、神戸の事件の加害者「少年A」を題材に小説を書くため取材を始める
今日子。
・「少年A」に憧れて、彼の関わった場所に訪れる女の子・爽。
・「少年A」に長女を殺された母親
・そして「少年A」の物語。


今日子、爽、被害者の母親のそれぞれの物語が、次第に「少年A」という共通な
対象によって近づいていく。

実際の事件で、少年Aは、14歳。
そして、現在29歳。

事件のことは、今でも覚えていて、少年の残虐さに驚異を覚えた。
最近は、また少し話題に上がったりしていたけれど、事件のことを
実際は、どう考えているんだろ?


登場人物たちの行動はどれも理解し難いものばかり。
でも、所詮、理解するなんて無理なことなんでしょうね。

重苦しい物語ですが、やはり文章が巧いのか、先へ先へと頁をめくる手は
止まりませんでした。


                           ★★★



発行年月:2015年5月


 容疑者は、ごく平凡な主婦――のはずだった。
殺人と巨額詐欺。交錯する二つの事件は人の狂気を炙り出す。戦慄の犯罪小説。

人が罪を犯すのに、理由などいらない……。
大藪春彦賞作家が描く、戦慄の犯罪小説!!
家事と育児に追われ、かつての美貌を失った高村文絵。彼女はある日、趣味の懸賞でデイナーショーのチケットを手にした。参加した会場で、サングラスをかけた見覚えのない美女に声をかけられる。女は『加奈子』と名乗り、文絵と同じ中学で同級生だというのだ。そして、文絵に恩返しがしたいとある話を持ちかけるが――。一方、鎌倉に建つ豪邸で、殺人事件が発生。被害者男性は、頭部を強打され凄惨な姿で発見された。神奈川県警捜査一課の刑事・秦圭介は鎌倉署の美人刑事・中川菜月と捜査にあたっていた。聞き込みで、サングラスをかけた女が現場を頻繁に出入りしていたという情報が入る……。日常生活の危うさ、人間の心の脆さを圧倒的なリアリティーで描く、ミステリー長篇。

                   (幻冬舎HPより)




表題の意味が後半にわかって来ました。


終盤名前が突如上がった真野知世が悪い奴だったんだ~。
それまで、高村文絵と杉浦加奈子の話だったので、「誰その人?」と思ったけれど
なるほど・・・そういう事だったのかぁ~。

サスペンスドラマには、ありそうな話だけれど、文字で読んでいくので
騙されちゃいましたぁ~^^;

でも、悪い女・真野知世ですが、そうなった経緯には、少し同情する部分も
あった。


こんな状況に追い詰められたくないな・・・・。
あ、でも彼女には美貌があったから成し得た犯罪か?


嫌な話だったけれど、なかなか面白かった!


                        ★★★



発行年月:2015年4月

未練を残して死んだ者は鬼となり、井戸の水を赤く濁す。そのままでは水源は涸れ、村は滅んでしまう。鬼となった者の未練を解消し、常世に送れるのは、“ミツハの一族”と呼ばれる不思議な一族の「烏目役」と「水守」のみ。大正12年、黒々とした烏目を持つ、北海道帝国大学医学部に通う八尾清次郎に報せが届く。烏目役の従兄が死んだと。墓参りのため村に赴き、初めて水守の屋敷を訪ねた清次郎は、そこで美しい少女と出会う──。過酷な運命を背負わされた二人と一族の姿を抒情豊かに描いた、清艶な連作ミステリ。

                     (東京創元社HPより)




短編連作の形。
ミツハの一族には、烏目を持つ男とむくろ目を持つ女が生まれる。

亡くなった者がこの世に未練を残すと、井戸の水が濁り小安辺の村の池に鬼が出たことを
報せる。
鬼を黄泉に送ることが出来なければ、村の水は枯れてしまう。
そのために、烏目役とむくろ目の水守で力を併せ、鬼の未練の元を断ち切らなければ
ならない。


<水面水鬼>
最初の話の鬼は、清次郎の従弟で村の烏目役だった八尾庄一。
庄一は、自死だった。
庄一の未練の元は水守。

<黒羽黒珠>
次の話の鬼は、亡くなった3兄弟の末っ子7歳の捨吉。
未練は、拾って育てようとしていたヒナ。

<母子母情>
鬼は佐々本トシ38歳。
妾として子どもを産んだが産後の肥立ちが悪くて亡くなった。
残した子の将来が心配で成仏出来ずにいた。

<星雲青山>
鬼は内藤由太郎80歳。
移住する前の地が懐かしく忘れられずにいた。

<常世現世>
鬼は八尾清次郎。
未練は、水守。


どの話の鬼も未練を断ち切れない亡き人たち。
哀しいのは、最後の話。
烏目役は一度きりだと最初は思っていたのに、いつしか水守に会うことに
喜びを感じてしまった清次郎。
従兄の庄一と同じ運命を辿ることになってしまった。


怪しく美しい話でした。


                         ★★★★★
 
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