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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2015年9月

日本版「フランダースの犬」の誕生!

第二次世界大戦で両親をなくした少年、ツヨシ。
幼い彼の前に現れたのは、虐待同然に働かされ、捨てられた大型犬だった。
ツヨシはその犬に「ソラ」と名付け、家族同然に生活を共にし始める。

生まれて初めて平穏な日々を過ごすことになった犬が心に宿した、飼い主への感謝と愛。
しかし、別れのときは刻一刻と近づいてくる――。

「犬の愛」が最後に行きつくところとは、いったいどこなのか。
「フランダースの犬」へのオマージュとして描かれた、傑作長編小説。

                  (文藝春秋HPより)




途中まではまさに「日本版フランダースの犬」でした。
貧しいけれど、賢く心優しい少年ツヨシと犬のソラ。

そんな少年とソラに出会う裕福な家の少女・風砂子(ふさこ)。

哀しい結末は、おじいさんが亡くなってから・・・・と思って居たら・・・
そこからちょっと違う展開に。

ソラは少年を庇って命を落としましたが、少年はその後、少女の養父に学費を
援助してもらい、大学まで進学。
多くのことを学んで少年のときに夢見ていた
皆が平和で平等な暮らしができるような世の中にするために働くんだろうな~と
思って居たら・・・・・


ああ、それで「テルアビブ」ですか・・・。

なんだか切ないラストでした。


ちょっと後から調べたら、「テルアビブ空港乱射事件」は1972年でした。
その首謀者(日本赤軍の奥平)がツヨシということ?

でも、物語のツヨシには、ソラの声が聞こえたのだから、
引き返したんだと思いたい。

なかなか、凄い話でした。



                       ★★★★
 
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発行年月:2015年6月


 日本はもう一度、焼け野原になるべきなのか?
経済の衰退した近未来の東京。
「満州国 の人間」を自称する謎の老人達が、
次々に凄惨なテロを仕掛け始めるが…。

                 (文藝春秋HPより)



凄いシビアな内容でビックリ!
実業家だったり、医者だったり、社会的地位も高い老人たちのグループが
国内で次々に引き起す残虐なテロ。

そのグループから「われわれの起こすことを記事にしてほしい」と言われ
彼らの行動を追うことになるセキグチ(54歳)。
元は大手出版社のフリーの記者だったが、急に仕事がなくなり、妻子は
アメリカへ渡ってしまう。


老人が集うコミュニティに出入りしていたカツラギ(20代女性)も
セキグチと共に、テロの行方を追う。


テロの内容が凄い。

爆発物による破壊、刈払樹による首切り、毒ガス・・・・・死傷者の数も
何百人という数。
その描写もグロかったりで、読み終えて就寝した日は悪夢を見ました^^;


彼らの父親たちのルーツが満州国とか、旧ドイツ軍の88ミリ対戦射砲を保持など
よくわからないけど、不安にさせる背景があって
現実にそんな老人たちが結束して暴走するなんてことないと思うけど
考えたら恐ろしい。

貧困生活を送る者がテロを起こすより、資金源のあるインテリ集団の起こす
テロは破壊力が違うだろうし・・・・。


フランスの多発テロが起きている今、読んでいるので、
日本でもテロが起きたら・・・・と考えて恐ろしくなった。

テロはいつ何処で起きても不思議じゃない世の中になってしまったのは
とても怖い。

物語終盤で、自分の行動に迷いが出たセキグチがカツラギのアドバイスもあり
元妻の由美子と連絡を取り状況を話し相談する場面に、別れても
今後、良い理解者にはなってくれそうじゃないかな?なんて少し
心温まる場面があって良かった。

 
 
内容的には、好みじゃないけど、まあまあ読み物としては楽しめた。


                          ★★★




発行年月:1999年4月

死んだ女ともだちを思い起こす奇妙な夜。そして入院中の姉の存在が、ひとりひとりの心情を色鮮やかに変えていく「ハードラック」。闇の中を過ごす人々の心が輝き始める時を描く二つの癒しの物語。              

「ハードボイルドに生きてね。どんなことがあろうと、いばっていて。」最後になった電話でそう言っていた千鶴。彼女のことを繰り返し思い起こす奇妙な夜を描く「ハードボイルド」。死を待つ姉の存在が、ひとりひとりの心情を色鮮やかに変えていく季節を行く「ハードラック」。闇の中を過す人々の心が光り輝き始める時を描く、二つの癒しの物語。 

                 (発行/ロッキング・オン)




かなり前に買って読んだ本。
よしもとばななになる前の本ですね~。
家の本棚から何気なく手に取りましたが・・・・2編目の「ハードラック」が
ちょうど11月の季節の物語だという偶然にビックリ!


二編とも「死」と向き合うような話ですが、全然、暗さはなくて
生きて居れば死ぬのはあたりまえだよね~だから特別なことと考え過ぎないほうが
いいのかもなぁ~なんて漠然と思いました。


「ハードボイルド」は、山道を一人歩きながらちょっと奇妙な感覚に襲われながら
辿り着いた古いホテルで一晩過ごす主人公の話。
その間、思い出す、一緒に暮らしていたことがある千鶴のこと。
ちょうど、千鶴の命日であることを思い出す。

ホテルのおばちゃん(支配人?)とのやり取りが可笑しいけど、ホッとする。


「ハードラック」は、脳出血で突然植物状態に陥っている姉を見舞う妹。
姉の婚約者は、ショックで見舞いにも来ないけれど、その兄が代わりに
見舞いによく来て妹である、わたしと会話する内容が、なかなか意味深く
いいかんじ。

身近な人の死を静かに受け入れていくそんな人たちの様子は、切ないけれど
温かいかんじもした。


ああ、やっぱり、ばななさんの文章は昔からいいなぁ~と再確認(^^)

この表紙のイラスト・奈良美智さんの絵も好き


                       ★★★★★




発行年月:2014年7月


 芥川賞作家がセキララに綴った出産・育児記!
35歳ではじめての妊娠。作家の鋭い 観察眼で、
「出産」という大事業の現実と、出産後の夫婦の問題まで率直に描いた異色 エッセイ。


                    (文藝春秋HPより)




35歳での初産の様子から子どもさんが1歳を迎えるまでを書いた
エッセイでした。

初産ならだれでも感じる不安とか、20年前に長女を出産したときの
ことを懐かしく思い出しながら読みました。


出生前検査を受けたり、無痛分娩を選択した時の心境などは、自分のときと
違うことだったので、興味深く読みました。

出産後すぐから始まる授乳など、母親でなければ感じない感情。
夫に対する不満も・・・・うんうん、そうそう!!と共感しました。

これは、赤ちゃんが生まれたばかりの家庭の新米パパさんに是非、読んで欲しい!


                        ★★★



発行年月:2015年3月

マンションの内見に来たキヨコ。ふと避難経路が気になり非常口の扉を開けると、そのまま閉じ込められてしまう。無事にでることは出来るのか……。今までありそうでなかった、引っ越しにまつわる恐怖を描く連作短編集

                     (角川書店HPより




引っ越しにまつわるお話たち。
どれもゾクッとしました。

<扉>
引っ越し先候補のマンションを内見していたキヨコ。
玄関横の非常口の扉を開けて避難経路を確認しようとしたのがだ・・・


<棚>
引っ越し作業も終わったと思ったら・・・棚に詰め込まれている
大量の荷物の存在に気づいてしまったナオコ。


<机>
引っ越し会社の電話番としてバイトを始めたマナミ。
文具を探していたら、机のなかに<見知らぬあなた様へ>という
手紙を見つける。


<箱>
会社内の席替えのため、自分の荷物を段ボールに詰めて運ぶマナミ。
だが・・・自分の箱3個が行方不明。代わりに誰かの箱が自分の元に
43箱。


<壁>
同僚からマンションの隣人の騒音、話声が壁から聞こえ気になって仕方ないと
聞くハヤト。
ハヤトの家も父親はいつも機嫌が悪く食卓に並ぶ料理に文句ばかり言っていた。

<紐>
引っ越し魔のサヤカ。
荷造りをしながら、習慣化しているネットのホラー掲示板を見る。
恐怖体験を披露する投稿者に突っ込みを入れつつ・・・・
ふと気づくと足元に紐。


<解説>
今までの話の出所を解説する男。



共通して登場のマンション管理のアオシマさん。
解説を読んで、ゾゾッ。
彼は死神ですかぁ~?
アオシマサン、わたしの周りには居なくてよかった(笑)。



軽めのホラーというかんじで、なかなか面白く読みました。


                          ★★★
 
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