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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2015年10月

書店の店長をしている立石花は、12歳の時に、父親が借金を作って夜逃げし、母親は新しく出会った男性と結婚をすることになり、一家離散を体験する。一緒に暮らそうという母親の説得を断り、千葉県の船橋に住む親戚の奈美おばさんのマンションに身を寄せることになるのだが、大好きなお母さんと船橋の駅で別れるときに買ってもらった「梨の妖精 ふなっしー」のぬいぐるみを15年経った今も大切に持っている。
花が奈美おばさんのマンションで暮らすようになって間もなく、小さな女の子が出てくる不思議な夢を繰り返し見るようになる。その夢の中の女の子もまた、「梨の妖精 ふなっしー」を愛するひとりだった。花はいつも「温かいミルクティーを飲んだ」ような優しい気持ちになって目が覚めるのだった。
悲しい出来事があって泣きながら寝た夜のことだった、いつもの少女が夢に出てきて、花に頼みごとをする。それは「自分が住んでいた庭にある桐の木の下に埋めたものを掘り起こして、お父さんに渡してほしい」というものだった。
夢から覚めた花は、奈美おばさんに、この不思議な夢のことを告白すると、過去にこの部屋でおきた出来事を教えられる。そして、夢の中に出てくる少女との約束を果たそうと決意するのだが……。

                  (朝日新聞出版HPより




結構、複雑な家庭環境のなか成長した立石 花だけど・・・・
なすがまま的なところが好感持てました。

船橋に住む15歳の花の精神的支えになったのが、ふなっしー。
そうか、梨の妖精だったか?^^;
確かに、この物語のなかの、ふなっしーはいい。
好感度UP!


花が奈美おばさんのマンションで暮らし始めてから、定期的に見る夢のなかの
花子の正体が後半にわかったとき、切ない気持ちになりました(/_;)。

花子と花の関係は、特殊なものですが、凄く素敵な出会いだった。

花子のお願いを聞いて花が花子のお父さんに会い、伝えてほしいと頼まれた
言葉を伝えるシーンはウルウル。

そして、花からずっと離れていた父親のことも終盤、奈美おばさんから
伝えられ、大切な人を想い続けるって素敵なことだな。
なんて思った。

ばななさんの作品は、よく死んじゃった人が出て来るけれど
怖くないのがいい。

温かい素敵なお話でした。


                     ★★★★★
 
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発行年月:2015年7月


 タリウム、サリン、そして砒素――。「毒」はなぜ、人の心を闇の世界に引きずり込むのか?

悲劇は、夏祭りから始まった――。多くの犠牲者を出した砒素中毒事件。地元の刑事の要請を受け、ひとりの医師が、九州からその地へと向かった。医師と刑事は地を這うように、真実へと近づいていくが――。「毒」とは何か、「罪」とは何か。現役医師の著者が、実在の事件を題材に描いた「怒り」と「鎮魂」の医学ミステリー。

                   (新潮社HPより)




1998年7月25日に起きた和歌山県の毒カレー事件について書かれた物語でした。

記憶にもはっきりある惨い事件でした。
町内恒例の夏祭りで、ふるまわれたカレーに砒素を混入させて
4名の死者と60名以上の被害者を出した事件。
捜査が進み、逮捕されたのは、そのカレーを当日、交代で番をした主婦。
物語では、小林真須美被告ですが、実際は林 真須美。


物語では、カレー事件の犯人は、砒素を保有していた夫婦ではないか?と
早くから容疑が固まり、その裏づけ捜査の様子が詳しく書かれていました。

そもそも、そんなに沢山の人を対象にした理由は?と疑問でした。
町内の人間関係のトラブル?
事件の真相を追ううちに明らかになってきたことに驚愕!

カレー事件の前から、砒素中毒の被害者が犯人の身近なところに居たんですね!
真須美の夫・憲二は、被疑者でありながらも被害者という矛盾が疑問でしたが
その辺のところも少しわかり、何とも普通では考えられない夫婦。
お金のためなら、ここまでやるのか?


そして、カレー事件で被害を受けた方たちは、本当に落ち度のない標的に
なってしまったということに強い怒りを感じました。

物語では、カレー事件の他に、
過去の対戦時で各国が使った科学兵器についてや、1995年の地下鉄サリン事件
などにも触れていました。

541頁の長い長い物語。
専門用語も多いので読み進むのに時間がかかりましたが、勉強になりました。

著者も多くの文献や取材を重ねての執筆だったでしょう。
医師だからこそここまでの物が描けたと思います。


事件は2009年5月に最高裁で犯人の林 真須美に死刑確定していますが
本人は未だに無実を訴えているとか。
う~ん。
二人の子どもたちももう成人しているでしょうけど、どういう心境なんだろ?

お金に取りつかれた人って恐ろしい。




                        ★★★★★



発行年月:2015年10月


相棒は青いスーツケースただ一つ。
今日も残りの半分に、温かいドラマが詰まってゆく――
人生は、一人旅。
明日はどこへ行こう?
心がふわっと軽くなる、幸せつなぐ物語。

大丈夫。
一歩踏み出せば、どこへだって行ける。
30歳を目前にした真美は、フリーマーケットで見つけた青いスーツケースに一目惚れ、衝動買いをしてしまう。そのとき、彼女の中で何かが変わった。心配性な夫の反対を押し切り、憧れのNYへ初めての一人旅を決意する。出発を直前にして、過去のある記憶が蘇り、不安に駆られる真美。しかし、鞄のポケットから見つけた「あなたの旅に、幸多かれ」というメッセージに背中を押され、真美はNYへ旅立った。やがてその鞄は友人たちへとバトンされ、世界中を旅するうちに、“幸運のスーツケース”と呼ばれるようになってゆく――。

                  (祥伝社HPより)



30代目前の4人の女性。

山口真美・・・・デパート勤務、結婚三年目。
中野花恵・・・・オフイスクリーニングの会社でマネージャ業。
ゆり香・・・・・派遣での仕事を転々と。お金が貯まれば海外へ気ままな一人旅。
澤 悠子・・・・フリーライター。あちらこちらの海外へ取材と執筆のため出かける。


青色のスーツケースを買ったのは、山口真美。
ニューヨークに行きたいと結婚前から夫に言っていたけれど、一向にその計画が具体化
する様子がなく、臆病で一人旅なんか無理と最初は思ってが、フリマで青色のスーツケースが
目に留まり、衝動買い。
そして本当にニューヨークへ。

スーツケースは友達にも貸し、それを持って旅行に出かける女性たち。

花恵は旅先の香港で職場の年下の男性に偶然会い、意気投合。
やがて結婚。

ゆり香は旅先で恋人と別れることになるけれど、それは正しい選択!

悠子は、パリに行くといつも会うマリーとの関係がギクシャクするけれど
その理由を知り、一層親交が深まる。



短編連作の形で登場人物たちのその後は別の人の話で分かるのも楽しかった。

最後の話だけ、直接は4人に関係ない人の話だったと思うけど
その話もまた素敵でした。

楽しく読めるお話でした。




                         ★★★★
 



発行年月:2006年11月


 人気戯作者、瀧澤馬琴の一人息子に嫁入りしたてつ。結婚早々みちと改名させられ、病弱な夫と癇性持ちの姑、そして何事にも厳格な舅に苦労させられながらも、持ち前の明るさと芯の強さで、次第に瀧澤家になくてはならない存在になっていく。
のちに「八犬伝」の代筆を務めるまでになる、馬琴の嫁の奮闘記。

                  (講談社HPより)



南総里見八犬伝は映画でみただけですが・・・・
その著者の嫁が主人公というのが興味深かった。

嫁いだ時から、なんだか大変そうな家族。
下働きの者さえ、長居しない家に嫁入りとは・・・・。

「てつ」という名前を縁戚に同名の者あり紛らわしいからと「みち」と改名させられるって。
そんなことあったんですね~。

馬琴もなかなか気難しい人ですが、姑の百と夫の宗伯が、共に癇癪持ち。
よく辛抱しました!!
偉いよ、みちさん!

そして、たまに訪れる実家の母親が、場の空気を読めない人で・・・^^;

けれど、占い師に「あなたの苦労は世のためになる苦労。きっと大きく
報われるときが来ます」と言われて、その言葉を信じて前向きに頑張ったんですね。

みちさんが辛抱して瀧澤家の嫁で居続けたからこそ、世に出た「八犬伝」
だったんですね!

医者なのに病弱だった夫が亡くなり、姑の百が亡くなり、馬琴も亡くなって
その後、長男が病死という哀しみが続きましたが、
その後、娘の幸と2番目に婿養子に入った吉之助が良い性格で良かった。

流行病のコロリで病死したという、みちさんだけど、晩年は心穏やかだった
んじゃないかな?


群さん、こういう小説も書かれるんですね。
群さんらしく、猫も登場してました(^^)

面白かった!


                          ★★★★



発行年月:2001年4月


 まもなく渋谷の街が抜ける、
精神病院への移送途中、逃亡した14歳の少年は、
霧雨に濡れるすり鉢の底の街に何を感じたのか?
知覚と妄想の狭間に潜む鮮烈な世界を描く傑作書き下ろし!

                (幻冬舎HPより)




三部作だそうですが・・・

前の「コンセント」と「アンテナ」は未読です。
でもこれだけで十分面白かった!


主人公の佐藤ミミにとても好感が持てました。
両親を幼くして亡くし、父方の祖父母の元で幸せに成長し・・・
武道家でもあった祖父から、武道を学び、自衛官~看護師と職業を変える。
でもそこで得た技術はその後のミミの大きな力になっていくのが凄い。

文章に無駄がない。
一つ一つの出来事が全て後に繋がって行く。

そして、ミミは移送屋に。
精神的に異常だと周囲が認めた者から依頼を受けて、本人に接触し納得したうえで
病院や施設まで移送する仕事。
ある日、14歳の正也を移送中に脱走され、正也を探す。

正也とミミとの関係がいい。
正也のような人は、実際居るでしょう。
周囲からは異常者のような目で見られ、本人は、今いる世界から安心できる
居場所を求め苦しむ。時には暴力で抵抗したり・・・

ミミはそんな正也の存在から真正面から向き合い、会話を長く続けることが出来る。

精神科の患者さんとの向き合い方のような物も書かれている。

世間から偏見の目で見られる精神科疾患の人のことがこういう物語から
少し救われるといいな。


時間があれば三部作の前二作も読んでみよう。


                        ★★★★★
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