発行年月:2002年6月
ずっとこの先も生きてゆくのか。こんなさみしいのに
小さな曾祖母、人間界になじめなかった蛸、海へ帰りたがる海馬。
遠いカミの世から訪れたものとの交情を描く川上弘美の最新短篇集
(文藝春秋HPより)
ちょっと前の川上作品を図書館棚より借りて来ました。
人とは違う生き物の物語。
人とは違うけれど、人と暮らしていたりして、感情も豊か。
不気味のような、美しいような、哀しいような、滑稽のような・・・
不思議な短編集でした。
<北斎>
葛飾北斎の女にまとわりつく蛸の絵は、おれのことを描いたもの。
<龍宮>
自分より随分小さな女の子のような曾祖母・イトに会った
<狐塚>
独り暮らしの93歳の正太の元にヘルパーとして通う。
やがてヘルパーを辞め正太と暮らし始める。
<荒神>
台所にいる荒神さまには朝昼晩、手をあわせなければいけないと
母に躾けられた。
<うごろもち>
人間を拾って来る。
拾って来た人間はみな、うるろな目をしている。
<轟>
7人の姉がいる。
一番上の姉の乳を飲んで育ち、6番目の姉が私の妻
<島崎>
七代前の父方の祖先にひとめぼれ。
先祖は若くみえるが400歳を超えている。
一緒に旅をして、先祖の膝の上で島の突端=島崎をじっと眺める。
<海馬>
海から上がって次々に主人が代わる生活。
四人目の子どもが嵐の晩、大笑いしながら流れていく。
海に帰ることを許され海の中へ。
なかなか面白かった。
★★★
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発行年月:2015年12月
恋愛小説の名手が描く、すこし不思議な短編集。
普通じゃない私を、受け入れてくれるのは誰? 存在感を消してしまった少女。 瞬間移動の力を手に入れた引きこもり少年。 危険な発火能力を持つ、木造アパートの住人…… どこかおかしくて、ちょっぴり切ない 超能力者×恋物語 この世界で、たしかに生きていると信じたい――。 そこらへんに落ちている石ころのように人畜無害で、存在感のない人間、鈴木伊織。彼女がこんな存在に成長したのは、生きるためだった。鈴木伊織のことを認識できるのは、友人の春日部さやか、ひとりだけ。そんな不思議な力を持つ彼女は、春日部の話をきっかけに、上条先輩のことを知る。かっこいい先輩は、バスケ部で主力選手として大活躍。気になった鈴木伊織は“体質”を活かして、こっそり彼のストーキングを始めたが…… ――――――「私は存在が空気」より |
(祥伝社HPより)
乙一の別名での作品ですね。
わたしは、こちらの乙一が好みです(^^)
短編形式で、色々なちょっと人とは違う能力を持つ人たちを描いています。
最初の話<少年ジャンパー>が一番好きかな?
能力として、ちょっと持っていたら使えそう^m^
何処でもドアみたいなものですが、行ったことがある場所でないと瞬間移動できない
というのがネック。
でも、主人公のカケルは海外にも行った経験ありで行ける場所が多くて羨ましい。
表題作の<私は存在が空気>の伊織は、家庭内の問題から自分の存在を消す努力をして
獲得した空気のように存在を消す力を利用して、人を助ける。
キャラクターとして魅力的だったのは<フアイアスターター湯川さん>かな?
この力はちょっと厄介だけど、湯川さんは、いい。
アパート管理人の大学生との接点があった経緯はちょっと切なかったけど。
不思議な力を持つ人たちだけれど、皆、良き理解者に巡り会えたのは良かった!
誰にも気づかれずに暮らすのは疲れることだけど、理解者が居ると思えば
少しは気楽になれそう。
楽しい短編集でした(^^)
★★★★
発行年月:2015年12月
滑稽な悲劇、あるいはグロテスクな妄執──痛みを引き受けながらそれらを直視するジャーナリスト、太刀洗万智の活動記録。『王とサーカス』後の六編を収録する垂涎の作品集。
(東京創元社HPより)
表題作を含む6編の短編。
主人公は、新聞社の記者・太刀洗万智。
やがて、フリーのジャーナリストになるのだけど、淡々とした彼女の物言いが
恰好いい!
<真実の10メートル手前>
兄妹で共同経営していた会社が破綻し、兄妹は行方不明に。
後日、妹・真理が車中で排気ガスにより亡くなっているのが発見される。
よくニュースでも聞くような話だけれど、その人の性格みたいなものが
わかると哀しいね。
<正義漢>
電車が人身事故で止まる。
線路内に落ちた人は自殺か?
太刀洗の洞察力恐るべし!
<恋累心中>
高校生の男女が心中?
ノートに遺された遺書そして「たすけて」の文字。
真実を知ったら・・・・辛くなった(/_;)
<名を刻む死>
独り暮らしの62歳男性が民家のなかで死亡しているのが見つかる。
事件性はない。
第一発見者は高校3年生の近所に住む青年。
真実を知ったら・・・・切ない気持ちになった。第一発見者の青年の気持ちが
軽くなるといいんだけど・・・。
<ナイフを失われた思い出の中に>
16歳の少年が3歳の女の子を刺殺?
これまた切ない話でした。
<綱渡りの成功例>
豪雨災害で犠牲者が出た地で3日間、電気もないなかを生き延び救出された。
助かったのはコーンフレークのおかげ。
こちらは、救助された夫妻の律義さが痛々しい。
助かってよかった!
事件の裏には知らされない真実がある。
それを知ることが出来るのは、太刀洗のようなジャーナリストの取材の力。
人の心のなかにズカズカ無神経に入り込んで取材するジャーナリストとは
違って、太刀洗は、真実を知って欲しいと思っている人の心を読むように
静かに相手に語らせる。
太刀洗の物語をもっと読みたい!!
「王とサーカス」も読むのが楽しみ♪
★★★★
発行年月:2015年3月
笑いとは何か、人間とは何かを描ききったデビュー小説。第153回芥川賞受賞。
売れない芸人徳永は、熱海の花火大会で、師として仰ぐべき先輩神谷に電撃的に出会った。そのお笑い哲学に心酔して行動を共にしながら議論を続けるのだが、やがて二人は別の道を歩んでいくことになる。運命は二人をどこへ連れていくのか
(文藝春秋HPより)
凄く期待して読んだので・・・
途中で「?」と違和感ありましたが、我慢して読み終えました。
う~ん。
面白くないわけじゃないけれど・・・ちょっと会話で語り過ぎなところが
嫌でした。
理屈っぽい先輩芸人の神谷が語る言葉には、なるほどね・・・と思う部分も
あるのだけど、そんな語られても・・・・と冷めてしまった^^;
漫才とか、あまり知らないからかもしれないけれど。
でも芸人の著者が書いたものなので、リアリティはある!
人を笑わせる商売って、シンドイことなんだなと思った。
実生活でどん底の状況のときでも、ついつい笑える言葉を選んだり・・・
ちょっと哀しくなってきた(/_;)
芸人・又吉さん、好きなので、次作は、全くお笑いと関係ない話で
「おぉ~凄いじゃん!」と感動させて欲しいなぁ~。
★★
発行年月:2015年6月
何があっても、生きるのよ。戦火や不条理に襲われたとしても。3.11以降の日本で書かずにいられなかった渾身の大長篇。
関東大震災後の横浜に生まれた異母姉妹の慧子と蒼。ミッションスクール、ジャズ、ダンスなどのヨコハマ文化を楽しみ、恋を知る二人。しかし戦争の暗雲が港町を覆い尽くす。3・11以降の日本で書かずにいられなかった、戦争と平和、生きることの歓びと哀しみ。
(新潮社HPより)
お嬢様育ちの慧子。
同じ父親を持ちながら妾の子として生まれた蒼。
二人が出会うのは、昭和10年、10歳のとき。
慧子の母は病気で亡くなる前、妹の存在を話し、仲良くできるといいねと言う。
蒼の母もまた慧子に対してお嬢様と呼びながらも家に来たら温かく迎える。
それぞれの母親がとても大らかな気持ちの優しい人であることにホッとする。
慧子の母が亡くなり、父親は、蒼の母を正妻にするのかと思いきや
若い多恵という女性を妻に迎え、慧子には弟2人と妹が出来る。
時代は戦争に突入する時代。
そして関東大震災。
誰もが生きることに必死な時代。
横浜という舞台がその時代、どんな様子だったのかもわかった。
やがて、慧子も蒼も恋をして・・・・・
しかし、戦争で辛い別れがあって・・・・
それでも二人はずっとそばにいて、支え合って生きたんだなぁ~。
蒼の子どもたちや、慧子の弟や妹たち、みんなが親戚関係を大事にその後も
生きて来た様子が終盤の現在の様子でわかり温かい気持ちになった。
読み応えあり面白かった!
★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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