発行年月:2015年10月
みんな遠くへ行ってしまう。本当の自分を知っているのにね――。四年ぶりの長篇小説!
麦彦とヘガティー、思春期直前の二人が、脆くはかない殻のようなイノセンスを抱えて全力で走り抜ける。この不条理に満ちた世界を――。サンドイッチ売り場の奇妙な女性、まだ見ぬ家族……さまざまな〈あこがれ〉の対象を持ちながら必死で生きる少年少女のぎりぎりのユートピアを繊細かつ強靭無比な筆力で描き尽くす感動作。
(新潮社HPより)
小学生の男の子・麦彦と女の子・ヘガティーの物語。
ヘガティーって結局名前、何だっけ?出て来たかなぁ~?
2つの章に分かれていて・・・
<第一章 ミス・アイスサンドイッチ>は麦彦の語り。
麦彦は、母親と二人暮らし。
スーパーの一画にあるサンドイッチ屋さんの店員のおばさんに何故か
惹かれて様子を見に行く。
サンドイッチもたまに買う。
そのおばさんは、まぶたが水色でくっくりした線がまぶたに入っていて
目がすごく大きい。
その目が小さい頃、読んだお気に入りの絵本の犬を思い出させる。
おばさんのことをミス・アイスサンドイッチと密かに呼ぶ。
でも、ある日から店に姿を見せなくなり、辞めたと聞く。
もう一度店に来る日があると聞き、絵を描いて渡す。
<第二章 苺ジャムから苺をひけば>
ヘガティは、父親と二人暮らし。
父親は映画の評論家で、ある日、学校でパソコンを使う授業があったとき
クラスメイトたちが「有名人だから検索すると出てくるんじゃない?」と言いだし
ヘガティの父親の名前を検索。
すると・・・・前妻とのあいだにも一女ありの文を見つけ動揺する。
麦彦とヘガティの関係がいい。
麦彦は優しい相手の気持ちがよくわかる男の子だし、ヘガティも素直で良い子。
第二章では、二人でヘガティの姉に会いにいく。
ヘガティは、あだ名なんだけど・・・その理由も可愛い。
他のクラスメイトたちのあだ名もすごくハイセンス!
最初、外国の話?と思っちゃった。
二人の周りの大人たちもいいな。
小学生の二人が、どんな風に成長していくんだろ?
変わらぬ友情を保ち続けけて欲しいなぁ~。
ほんわかした気持ちになれるお話でした!
★★★★
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発行年月:2015年11月
双葉社文芸WEBマガジン「カラフル」で大好評のうちに連載を終えた、人生の岐路に立つ若者の、せつなくてひたむきな恋と決断の物語。愛猫ペロを亡くした喪失感にうちひしがれていた立花明海は古本屋で普段は読まない自己啓発本を買った。中には前の所有者か、「大滝あかね」と書かれた名刺が挟まっていた。そして自分が唯一心を打たれたフレーズには傍線が。明海は思い切ってあかねにメールしてみるが……。新たな出会いとともに違う人生が現れ、明海は悩み、勇気を奮い、道を決めていく。
(双葉社HPより)
久しぶりに泣ける純愛小説を読んだ感じがする。
登場する人たちが皆、良い人たちで・・・
主人公の立花明海(25歳)が古書店で購入した本の元の持ち主・あかねと出会い・・・
主人公の明海がいい。
過去にイジメにあって辛い思いをした青年が、こんな風に相手の気持ちを察して
本当に気持ちの優しい人に成長しているのがいい。
彼の優しさに惹かれる職場の先輩と最初、良い感じになるのかな~?とも
思いましたが、彼自身が自分で好きな人に対して素直に向き合う姿勢も良かった。
きらきら眼鏡の意味が読むとわかります。
そういう風に物事を捉えていくって大事かも。
あかねの恋人・祐二の言葉にもハッとさせられました。
「あたりまえの幸せに気づかないと、もったない人生になるんだよ」
森沢さんの物語は、温かいものが多いなぁ~。
以前読んだ、作品の登場人物?と思う人が登場するのも嬉しかった!
次の作品も期待しちゃう作家さんです♪
★★★★★
発行年月:2015年8月
売れない舞台役者・加納慎策は、内閣総理大臣・真垣統一郎に瓜二つの容姿とそ精緻なものまね芸で、ファンの間やネット上で密かに話題を集めていた。ある日、官房長官・樽見正純から秘密裏に呼び出された慎策は「国家の大事」を告げられ、 総理の“替え玉”の密命を受ける 。慎策は得意のものまね芸で欺きつつ、 役者の才能を発揮して演説で周囲を圧倒・魅了する 。だが、直面する現実は、政治や経済の重要課題とは別次元で繰り広げられる派閥抗争や野党との駆け引き、官僚との軋轢ばかり。政治に無関心だった慎策も、 国民の切実な願いを置き去りにした不条理な状況にショックを受ける。義憤に駆られた慎策はその純粋で実直な思いを形にするため、国民の声を代弁すべく、演説で政治家たちの心を動かそうと挑み始める。そして襲いかる最悪の未曽有の事態に、慎策の声は皆の心に響くのか――。
予測不能な圧巻の展開と、読後の爽快感がたまらない、魅力満載の一冊。
(NHK出版HPより)
総理にされた売れない役者・加納慎策。
総理本人が病に倒れ、その替え玉として半ば強制的に仕立てられるわけですが・・・
結構、恰好いい!
色々なしがらみに惑わされず、純粋に国民のことを考えて行動する姿は
清々しかった!
政治の話も多く、勉強にもなりました。
東北の震災復興、海外でテロに巻き込まれた邦人など
今、現実に問題視されていることが描かれていて、特にあちらこちらでテロが
頻発している今、邦人が多数人質になるような事態が起きたら・・・・と
あれこれ考えさせられました。
ラスト、恋人の珠緒に再会していう言葉が良かった!
今度は、珠緒がファーストレディとなった話が読めたら楽しいだろうけど
続編はないかな?
★★★★
発行年月:2015年11月
ボタンちゃんは、丸いお顔の女の子です。ボタンちゃんはアンナちゃんのブラウスの一番上にとまっています。ボタンちゃんの仲良しは、なんといってもボタンホールちゃんでしょう。ふたりはいつも一緒です。ところがある日、大変なことがおこりました。ボタンちゃんをとめていた糸が切れてしまい、ボタンちゃんは転がりおちてしまいました。
ボタンちゃんは、子どもべやのゆかをすすんでいきます。やがてたどりついたのは、おもちゃ箱のうらがわです。するとどこからか小さな泣き声がきこえてきました。泣いていたのはガラガラです。「アンナちゃんはもう、ぼくのことなどわすれてしまったのでしょうか」というので、ボタンちゃんはガラガラをなぐさめてあげました。ふたたびボタンちゃんがころがっていくと、今度はよだれかけにあいました。
『博士の愛した数式』などで人気の小川洋子初の絵本。ボタンちゃんと忘れられた「思い出たち」との心温まる物語。
(PHP研究所HPより)
小川さんの初めての絵本。
優しい気持ちになれる素敵なお話でした♪
ボタンちゃんとボタンホールちゃんの顔が可愛い♪
ある日、ボタンちゃんがコロコロ転がって・・・・
部屋の片隅で忘れられた存在になってしまった、おもちゃのガラガラや
スタイ、くまのぬいぐるみに出会います。
みんなアンナちゃんのために一時期は大忙しだったのに・・・・
最後はみんな、「思い出の箱」で大切に保管されることになって、よかった(^^)
捨ててしまわずに、こうして幾つかの物は大切に仕舞っておくのも良いアイデア
だなぁ~と思った。
そうすれば子どもが大きくなったとき、再び開けて思い出話ができますからね。
絵も優しい色調で素敵です♪
大人が読んでも子どもが読んでも楽しめる1冊だと思います。
★★★★★
発行年月:2002年6月
ずっとこの先も生きてゆくのか。こんなさみしいのに
小さな曾祖母、人間界になじめなかった蛸、海へ帰りたがる海馬。
遠いカミの世から訪れたものとの交情を描く川上弘美の最新短篇集
(文藝春秋HPより)
ちょっと前の川上作品を図書館棚より借りて来ました。
人とは違う生き物の物語。
人とは違うけれど、人と暮らしていたりして、感情も豊か。
不気味のような、美しいような、哀しいような、滑稽のような・・・
不思議な短編集でした。
<北斎>
葛飾北斎の女にまとわりつく蛸の絵は、おれのことを描いたもの。
<龍宮>
自分より随分小さな女の子のような曾祖母・イトに会った
<狐塚>
独り暮らしの93歳の正太の元にヘルパーとして通う。
やがてヘルパーを辞め正太と暮らし始める。
<荒神>
台所にいる荒神さまには朝昼晩、手をあわせなければいけないと
母に躾けられた。
<うごろもち>
人間を拾って来る。
拾って来た人間はみな、うるろな目をしている。
<轟>
7人の姉がいる。
一番上の姉の乳を飲んで育ち、6番目の姉が私の妻
<島崎>
七代前の父方の祖先にひとめぼれ。
先祖は若くみえるが400歳を超えている。
一緒に旅をして、先祖の膝の上で島の突端=島崎をじっと眺める。
<海馬>
海から上がって次々に主人が代わる生活。
四人目の子どもが嵐の晩、大笑いしながら流れていく。
海に帰ることを許され海の中へ。
なかなか面白かった。
★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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